2023年12月25日月曜日

WebVANDA管理人選★2023年の邦楽ベストソング



 WebVANDA管理人が選ぶ年間ベストソングも6年目を迎えた。幣サイトの母体であるVANDA誌のカラーや趣向から外れているカテゴリーの楽曲も選出してきたが、分け隔てなく音楽の多様性を許容することが管理人の信条であるので、どうか理解して読んで頂きたい。 
 選出した楽曲は今年2023年にリリースされ、弊サイトで取り上げた作品を中心に最もリピートした収録曲であり、アルバムを象徴する曲である。主に非メジャー・レーベルのミュージシャンの作品が多いが、そんな彼らを後押して応援する意味で今後も続けていきたいと思う。 この記事で初めて知って興味を持った各アルバムはこれからでも遅くないので、記事文末のリンク先から入手して是非聴いて欲しい。
 選出趣旨からコンピレーション・アルバム、セルフ・カバーを除く他者のカバー作品は除外とした。例年同様、順位不同のリリース順で紹介する。

※サブスクに登録されたベストソング・プレイリスト


☆Another October / Snow Sheep
(『WHITE ALBUM』収録・レビュー記事はクリック  
男女3人組ポップ・バンドの結成23年にして初のフル・アルバムより。オリジナル・ヴァージョンからBPMをかなり落とし尺も延長して、ネオアコ系ギターポップから渋いロッカ・バラードに生まれ変わった。このリアレンジにより原石が磨かれて理想的サウンドになったと確信。筆者が十代半ばの頃大好きだった英国のペイル・ファウンテンズにも通じる。


☆ローマでチャオ / Wink Music Service
(同名7インチ及び配信シングル)
本年度最も完成度の高い現代ソフトロックサリー久保田高浪慶太郎のユニットに美形女子高生ヴォーカリストのアンジーひよりを迎えており、アレンジャー岡田ユミの仕事も光っている。イタリアの巨匠エンニオ・モリコーネのサウンドがベースにあるも、フランシス・レイやホーランド=ドジャー=ホーランドなどの要素がモザイクに構築され、めくるめく転調を多用して聴き飽きさせない。


☆Hit & Run / WACK WACK RHYTHM BAND
(『at the Friday Club』収録・レビュー記事はクリック  
オリジナルよりBPMを上げて疾走感があるセルフ・カバーで、魅惑的なコード進行のイントロに導かれて始まる、永遠のパーティー・バンドの愛すべきファンク・チューンだ。リード・ヴォーカルに元メンバーのToshieとLemonが参加しているのも嬉しい。アルバム全体的な選曲やジャケット・デザインなどトータル的センスも秀でており、誰もが憧れる理想の大所帯バンドである。


☆むかしの魔法 / 生活の設計
(『季節のつかまえ方』収録・レビュー記事はクリック) 
20年前筆者が絶賛したゲントウキの「素敵な、あの人。」にも通じる、ブリル・ビルディング時代から脈々と受け継がれているポップスの煌めきが宿る屈指の名曲である。ソングライターでヴォーカル兼ギターとドラムの兄弟を中心としたスリーピース・バンドのファースト・アルバムのリード曲で、東京の若手バンドの中でも正統派感があり、今後の成長が非常に楽しみである。


☆Tableaux / cero(『e o』収録)
“理解するな、感じろ”と言わんばかりの楽曲に毎作ごと魅了されてしまう、鬼才3人組による5thアルバムから。2021年の先行配信シングル「Nemesis」も同様だが、聖書の一節のような哲学的で難解な語彙を持つ歌詞が、音数少ない空間を生かしたサウンドに天使のごとく舞っている。幾度も聴き続けたくなるサムシングとしか形容できない稀有な存在なのだ。


☆マガジン・キラー / Nagakumo
(『JUNE e.p.』収録・レビュー記事はクリック) 
音楽通から注目される大阪の4人組ネオネオアコ・バンドのサードEPより。Cymbalsの最高傑作「Highway Star, Speed Star」に通じる、得も言われぬ疾走感と甘酸っぱいメロディの融合、ディストーションが効いたギターリフ、ドライヴしまくるリズム・セクションに刹那的なヴォーカルが乗る3分弱の多幸感。まるでスリリングなショート・ムーヴィーを観たような爽快感が残る。


☆彼女の時計 / Lamp
(『一夜のペーソス』収録・レビュー記事はクリック) 
デジタル配信のみでリリースされた9作目より。2018年の8作目『彼女の時計』と同タイトルのこの曲は前作のサウンドを踏襲しながら、シカゴ・ソウルやブラジリアン・フュージョンのエッセンスをより消化してバンドとしての成熟度も著しく増した。またサブスクリプション時代において、彼らの独自性とジャパネスク感覚に世界レベルでファン達が魅了され増加している面目躍如とも言える。


☆Never Can Say Goodbye / 青野りえ
アルバム制作のきっかけとなった2021年の初コラボレーション曲で、唐突なドラムフィルのイントロから「Never can say goodbye(さよならなんて、言えないわ)」のサビのコーラスというドラマチックなスタートに初見でノックアウトしてしまった。ブルーアイドソウルやシティポップを愛する音楽通も許容するであろうクール・サウンドで、是非7インチ化して欲しい。


☆Longtime Woman / Ellie
(『90s Baby』収録・レビュー記事はクリック) 
ラヴ・タンバリンズ時代の傑作「Midnight Parade」を彷彿とさせる、ミッドテンポのブルース・ファンクで、レニー・クラヴィッツの『Are You Gonna Go My Way』を愛聴していた筆者には直撃であった。ハードなリード・ギターを相手にEllieのシャウトが炸裂し、ホーン・アレンジのヴォイシングのセンスなど含めサウンド全体が一級品であり、ライヴで聴きたい曲の最有力候補である。


☆Don't Ask Me Why / 吉田哲人
WHY@DOLL提供曲のセルフ・カバーで、先行短冊CDのシングル・ヴァージョンと異なり、イントロからヴァースへのギター・アルペジオがなく、ヴォーカルをより強調したミックスが新鮮である。不毛の恋愛を綴った歌詞と四つ打ちキックが効いたエレクトロ・ダンス・サウンドとのコントラスが世界観を広げ、間奏の一人多重コーラスが原曲の価値を高めている。
※サブスク登録は無いため、プレイリストには管理人が好きだったWHY@DOLLのオリジナルVerを収録。













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2023年12月17日日曜日

わたくしのオフコース -2-/吉田哲人

 WebVANDAをご覧の皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。吉田哲人です。 
 2023年11月22日に発売になりました、僕の48歳にして初のアルバム『The Summing Up』とアーカイブ集『The World Won’t Listen』は聞いていただけましたでしょうか。2枚同時購入者に付いてくる(初回ブレス分のみ)特典CD『Another of The World Won’t Listen』も楽しんでいただけていますでしょうか。 まだ買ってないよ~!って方、詳しくはこちらのWebVANDAさんに濃密なインタビュー(前編後編)が掲載されてますので、そちらを御一読いただき御購入のほど、よろしくお願い致します。 

 オフコースの話の前に 

 オフコースといえば、我らがなりすコンパクト・ディスクから12月13日に発売された『なんちゃらアイドル / Sentimental Jukebox』(HYCA-8062)に「オフ・コース / のがすなチャンスを」のカヴァーが収録されてます。
 『オフコース / LIVE(ETP-60380/1)』収録ヴァージョンに寄せたアレンジだったので、ライブで盛り上がりそうですね。最高。 

 さて、この連載はオフコースのレコードを収集してる中で培った知識や疑問に思ったことを投げかけ、皆さんと情報共有/情報交換して所謂’集合知’として後々まとめられればと考えているものです。 
 前提として(シングルかLPかを問わず)レコード盤にあるマトリクスの「1S」が初回盤であろう、という予想の上で話を進めている訳ですが、この前、ふとした拍子に家に何枚かある(DJでよく使うので)「チューリップ / 虹とスニーカーの頃」のマトリクスを見たところ、なんと「1SM」というマトリクスがあるのを見つけてしまい困惑してしまいました。 どなたかどういう意味が込められたマトリクスなのか教えてください。 マトリクスの世界、一寸先は闇ですね…。



 そんな中お届けする第二回は… 


 『この道をゆけば / オフ・コース・ラウンド2』です。



 先ほど紹介しました「のがすなチャンスを」のオリジナル・ヴァージョンが収録されています(なんちゃらアイドルはこの時期の表記を尊重して”オフ・コース”としていると思う)。その後、オフコースのライヴにおいてアレンジが変わってゆき、ハードロック調のアレンジにまで育ってゆきます。 

家にあるものは… 

1.ETP-8293 1S/1S 裏ジャケット東芝EMI株式会社 ¥2,000表記

2.ETP-72141 1S2/1S 裏ジャケット東芝EMI株式会社 値段表記なし 

 このアルバムは、前回の『オフ・コース1 / 僕の贈りもの』に見られた社名変更による表記や価格改定もなく、再発時に価格改定とオビのデザインが一新されたくらいのものだと現状は考えております。ETP-8293の方はもう一枚持っているのですが、経年劣化は差し引くとして、これといった違いがないので特筆すべきことは特にありません。
 また、マトリクスの違いからくるレコード溝の視覚上における大きな違いはなく、聴感上もほぼ違いを感じられませんでした。多少違っていても誤差の範疇かと思います。 

 写真にある再発盤(ETP-72141)の方に鈴木康博さんのサインが書いてありますが、これは僕がとあるアレンジ仕事の際にゲスト・ミュージシャンとしていらっしゃった鈴木康博さんにその時に書いていただいたものです。実は、前回の『僕の贈りもの』の写真の中にもサインを書いていただいたレコードがあります。


今回はあっさりしているので、もう一枚。

『秋ゆく街で / オフ・コース・ライヴ・イン・コンサート』
 

ETP-72024 1S/1S 裏ジャケット東芝EMI株式会社 値段表記なし

 カタログ番号や価格の変更もなく、試しに何枚か手に入れてみたものの大きな違いが見つけられず、これといって特筆すべきことがないのですが、強いていえば後期プレス分と思われるものは、帯の色なのか紙の薄さなのかは分かりませんが、ジャケットが若干透けて見えます。こればかりは実際手に入れて見比べていただかないと伝わらないかと思います。


今回の2枚、自分が把握している情報では、前回とは異なりヴァリエーションの違いはそれほど見つけられませんでした。
もしも「全然勉強が足らないし、分かってないなあ。」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ御教示ください。 
本当に御連絡お待ちしております。

以上、吉田哲人でした。また次回。


吉田哲人プロフィール
作編曲家。 代表作『チームしゃちほこ/いいくらし』『WHY@DOLL / 菫アイオライト 』『Sputrip / 光の惑星』『WAY WAVE / SUMMER BREEZE』 等。シンガーソングライターとしてアナログ盤シングル『ひとめぐり』『光の惑星』、短冊CD 『ムーンライト・Tokyo』と、ソロアルバムCD『The Summing Up』『The World Won’t Listen』を発売中。

(テキスト及び画像提供:吉田哲人/編集:ウチタカヒデ








2023年12月10日日曜日

なんちゃらアイドル:『Sentimental Jukebox』


 御茶海(みさみ)マミと、あおはるによる2人組アイドル・グループ、なんちゃらアイドルが初のカバー・アルバム『Sentimental Jukebox』(NARISU COMPACT DISC/HAYABUSA LANDINGS / HYCA-8062)を12月13日にリリースする。
 
 個性派が多い地下アイドル界にあって、彼女たちはデビュー当初から「曲と性格は良いアイドル」をモットーにしており、彼女達を支えるスタッフも音楽通の人材がバックアップしている。その裏付けとしてシングルやステージではカーネーションやムーンライダーズなど、一般のアイドルは取り上げることは無いであろう往年の拘り派バンドの曲をカバーしているのだ。
 また幣サイトで評価しているRYUTistへの楽曲提供で知られる鬼才シンガー・ソングライターの柴田聡子の作品も取り上げていることから、アイドル業界の中でも唯一無二の存在と言えるだろう。
 
左からあおはる、御茶海マミ
(撮影:畔柳純子)

 なんちゃらアイドルは、2014年もにライブハウス新宿JAMの定期開催されていたアンダーグラウンド・イベント“なんちゃらキカク”をきっかけにして結成された。メンバーの卒業などを経て、現在は御茶海マミとあおはるの2人組として活動している。これまでに11枚のシングルCDと2枚の7インチ・シングル、そして2020年にファースト・アルバム『さよならOdyssey』、2022年にはセカンドの『Life Goes On』をリリースしており、現在もヒットし続けているのだという。
 また2021年には唯一のアルバム『MOTION PICTURE』(81年)を鈴木慶一氏がプロデュースし、松尾清憲や鈴木さえ子も所属した伝説のブリティッシュ・サウンド系バンドの”シネマ”の一色進と松田信男とのコラボレーション・アルバム『M.A.M.I.』(なんちゃらアイドルloves一色進&松田信男の名義)も話題となった。更に今年の10月18日には、伝説のメロコア・ロックバンド”SUPER STUPID”の中心メンバー兼ギタリストの大高ジャッキーとのコラボレーション・アルバム『Silver METAL Love Song, Baby』をリリースしたばかりで、その縦横矛盾なフットワークの軽さには脱帽させられるばかりだ。またメンバーの御茶海マミも1stシングル『芸術偶像mode』をリリースしてソロでも活動の幅を広げている。

(撮影:畔柳純子)

 さて本作『Sentimental Jukebox』だが、古今の邦楽ポップス、ロック曲13曲を収録したカバー・アルバムで、先ずその選曲のセンスや突飛な折衷感覚に唸ってしまった。カバーの原曲絡みのスペシャル・ゲストとして、シンガー・ソングライターの鈴木祥子とムーンライダーズの鈴木博文が参加している。サウンド・プロデューサーは『Life Goes On』でメイン・ソングライターだった、ロックバンドのスキップカウズの遠藤肇が手掛けており、エレキ・ギターやエレキ・ベースの演奏、プログラミングのバックトラック制作からエンジニアリングまで、全曲ほぼ彼のワンマン・レコーディングでおこなわれた。マスタリングは幣サイトで紹介した作品ではお馴染みのマイクロスター佐藤清喜が担当している。
 なお本作からは11月29日に先行として、PUFFYの31枚目のヒット・シングル「SWEET DROPS」(2011年)を8cmCD(短冊CD)でなんちゃらアイドル loves 鈴木祥子名義でリリースしている。この原曲のソングライティングを手掛けたのは鈴木だが、カップリングにもその鈴木の「恋のショットガン(懲りないふたり)」を取り上げるという温故知新なオマージュ振りが嬉しい。しかも鈴木本人が両曲にドラムとコーラスで全面参加しているというから、双方のファンにとっては、少し早いクリスマス・プレゼントになったのではないだろうか。

『SWEET DROPS』/なんちゃらアイドル loves 鈴木祥子

『SentimentalJukebox』アルバムトレーラー 

 ここからは先行シングル2曲をはじめ、筆者が気になる幣サイト読者にお薦めの収録曲を解説していく。 
 冒頭の「運命の人」は、スピッツの1997年17thシングルとして発表され、翌年リリースされた8thアルバム『フェイクファー』にはキーを下げてリレコした別ヴァージョンが収録された。オリジナルはアコースティックギターの刻みに複数のエレキ・ギターがダビングされ、アレンジと演奏に参加した当時カーネーションの棚谷祐一によるキーボードやサンプラーのドラム・ループが活躍する、ブリット・ポップからミクスチャー・ロックに移行していく時期のサウンドだった。ここではテンポアップしたアコースティック・スイングとモータウン(H=D=H)の三連ビートが融合した小気味いいリズムがシンプルな編成で演奏され、原曲が持つ美しいメロディーラインがビビッドに浮き上がる風通しの良いサウンドになっている。若々しい彼女達の歌声も相まって青春ポップスとして評価したい。

 前出の鈴木祥子作の「SWEET DROPS」は、PUFFYのオリジナルからロック好きには知られたオマージュが施されており、ヴァース(Aメロ)はThe Clashの「I Fought the Law」(1979年/オリジナルはクリケッツの1959年作)、ブリッジ(Bメロ)ではCaptain And Tennilleの「Love Will Keep Us Together(愛ある限り)」(1975年/オリジナルはニール・セダカの1973年作)、そしてサビはBay City Rollersの「Saturday Night」(1974年)のそれと、凝った構成が素晴らしかった。鈴木本人も参加した本作のカバーでは、更にイントロにThe Knack の「My Sharona」(1979年)のギター・リフを引用しており、PUFFYのオリジナルを超えるメタ・オマージュ・ポップになった。この曲のカバーから彼女達も地下アイドル界のPUFFYと呼ばれる存在になるかも知れない。

左からあおはる、 鈴木祥子、御茶海マミ
(撮影:畔柳純子)

 続く「恋のショットガン(懲りないふたり)」も鈴木作で彼女の8thアルバム『Candy Apple Red』(1997年)に収録されており、なぜシングルカットされなかったのか?と思えるほど原曲から詞曲共に完成度が高いラヴソングだった。
 26年の時を超えてここでは、10㏄の「The Things We Do For Love(愛ゆえに)」(1976年)に通じるイントロ、オブリで入るビートルズ風のコーラスやメロトロン系のキーボードなど、更に磨きをかけた仕上がりになっている。
 “ピンクのセルロイドでできた 色水入りのshotgun”というサビのパンチラインの世界観をうまく救い上げた遠藤肇のいい仕事であろう。ビートルズ、キンクスから10cc、パイロットのファンは聴くべき曲であり、筆者もファースト・インプレッションでベストトラックとして挙げたい。

 そして触れなければならない曲として、ムーンライダーズの「ボクハナク」のカバーも解説する。80年代ライダーズを愛聴していた筆者が最高作として挙げる『Don't Trust Over Thirty』(1986年)のB面にひっそり収録されたこの曲は、ソングライティングとリード・ヴォーカルを担当した鈴木博文の美学が詰まった、とっておきの曲ではないだろうか。ファンによるライダーズ・ベストテンでランクインすることはないが、この選曲センスには驚喜してしまった。
 本作のカバーでは、「川のむこうに今 燃えつきた空がおちる」の歌詞からイメージさせる、フィールド・レコーディングで録った二人のアカペラから始まる。八刻みのシンセサイザー・ベースとシンプルなドラムのプログラミングされたオケに、間奏でのハードなリード・ギターやラウドなドラムのインタープレイ、エンディングのリヴァース・コーラス、ホーミーを模したトークボックスなど、オリジナルのアレンジを現代的に解釈したサウンドに、作者である博文氏のヴォーカルやコーラスもダビングされるという贅沢なカバー・ヴァージョンとなっている。なんちゃらの二人による淡々とした歌唱も、このオタクのための失恋ソングの世界観を助長して半泣きしてしまうだろう。 

 最後に本作の総評として、ジャケット・ショットのカラオケ・シーンで安易なカバー集と誤解を受ける音楽ファンもいるかも知れないが、そんな先入観は捨てて欲しい。筆者が解説でピックアップした曲を筆頭に、オリジナルに対する溢れる愛と比類なき拘りがないと、このようなカバー・アルバムは生まれないからだ。
 興味を持った読者は是非入手して聴いて欲しい。

(テキスト:ウチタカヒデ