2023年から展開されていた『短冊CDの日』のキャンペーン・イベントも今年で4回目となり、7月7日”七夕の日”に開催される。
このキャンペーンは1988年に8cmサイズのCDを短冊型パッケージにしたシングルCDが生産開始されて35周年となった、2023年から展開されている『短冊CDの日』のイベントであり、密かなブームの兆しを見せているのだ。
1990年代に青春時代を送った世代にとっては懐かしく、デジタル配信で育った令和の若い世代にとっては、この8cmサイズのCDのフォーマットは、アナログ盤やカセットテープと同様に音楽産業のリバイバル・ブームと言えるのだ。
今月1日に弊サイトで吉田哲人のインタビューを掲載したばかりの、イエスハッピー!/吉田哲人の『I Saw The Light』もこのキャンペーンにエントリーしている作品なので未読の方はチェックしよう。
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★イエスハッピー!/吉田哲人『I Saw The Light』
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ここでは『短冊CDの日 2026』にエントリーされて、7月7日に同時リリースされる中から、弊サイトのカラーや筆者の好みやで選出した作品を中心に紹介したいと思う。各作品の文末に予約リンク先を付けているので、筆者の解説で興味を持った読者は入手して聴いてほしい。
●短冊CDの日2026 Supported by Pococha公式サイト:https://tanzaku-day.jp/
『9月の海はクラゲの海』(NRSD-3176)
まずは2人組アイドルグループ”sommeil sommeil(ソメイユ・ソメーユ)”と”なんちゃらアイドル”の2組のコラボレーションによる、ムーンライダーズの「9月の海はクラゲの海」(『ドント・トラスト・オーバー・サーティー』収録1986年)カバーから取り上げたい。
4月23日にリリースされたばかりの岡田徹氏トリビュートアルバム『Adventures in Modern Recording by TOHRU OKADA』でも覚和歌子 with Life Goes Onが取上げていたが、ライダーズ史上屈指の美しさを誇るこのメロディは、巧みな歌唱力で歌い上げるタイプの曲では決してない。例えるならフェデリコ・フェリーニ監督『道』(1954年)でのジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の生き方に通じる純粋無垢な歌唱が似合うのだ。そしてその直向きさが聴く人の心を強く打つ。掛け値なしに名曲とはそういうものなのだ。
ここでのカバー・ヴァージョンは、sommeil sommeilのnemumiと夢乃なこ、なんちゃらアイドルの御茶海(みさみ)マミとあおはるが、4人のユニゾンと各々のソロパートに分けてボーカルを取っており、その無垢な歌声を聴かせている。編曲と演奏は1989年に結成されたベテラン・バンドのスキップカウズのリーダーでギタリストの遠藤肇が担当し、モジュレーションが効いたギターリフを中心に、岡田徹へのシンパシーが感じされるサウンドを構築している。
カップリングにはsommeil sommeilがなんちゃらアイドルの「PansyとDaisy」(同名7インチシングル/2020年)、なんちゃらアイドルの方はsommeil sommeilの「夕立クロニクル」(『Re:relation』収録/2025年)をトレードしカバーしているのがユニークだ。バックトラックはそれぞれのオリジナルを流用しているようだが、ボーカルの声質やキャラクターが異なるのでファンは楽しく聴けると思う。
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平野友里
『MICKEY』(NRSD-3174)
昨年PRINCESS PRINCESSの「世界でいちばん熱い夏」と渡辺美里の「恋したっていいじゃない」カップリング・カバーで短冊CDをリリースしたアイドル・シンガーのゆり丸こと平野友里は、今回Great Hunting主宰で敏腕A&Rマンの加茂啓太郎のプロデュースにより、アメリカの女性シンガーで振付師のトニー・バジル(Toni Basil)が1982年に大ヒットさせた「MICKEY」をタイトル・ソングとしてカバーしている。
またカップリングは平野友里のセルフ・プロデュースで、小室哲哉の作編曲とプロデュースでヒットしたhitomiの「CANDY GIRL」(1995年)を取り上げている。前者は加茂が発掘したクリエイターのZuuun、後者はマイクロスターの佐藤清喜が編曲と演奏及びプログラミングを担当しており、いずれのサウンドもダンス・ミュージックとして優れているのでDJ諸兄は必携だろう。
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なんちゃらアイドルや平野友里とレーベルメイトで、同日に短冊CDをリリースする他のアーティストも触れておこう。シンガー・ソングライターのルカタマと、伝説のガールズバンド“マサ子さん”のボーカルまゆたんで結成された女性2人組ユニットTAMAYURAMは、昨年の『bye-bye, tape echo』に続き、1980年代子供番組「どきんちょ!ネムリン」のテーマ曲をカバーした『ぴんく ピンク PINK』(NRSD-3175)をリリースする。
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前出の『Adventures in Modern Recording by TOHRU OKADA』にも参加した、富士山ご当地アイドルグループで井出ちよのソロユニットというべき3776(みななろ)は、昨年の『さよなら渦巻きの中の私』も音楽性が高かったが、今年の『六四』(EXTE-3776)も変拍子と巧みなギターカッティングを持つ実験作ポップスで音楽通を唸らせるだろう。
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松永天馬
『唇まで8センチ / 背中まで45分』(NRSD-3172)
そして最後に紹介するのは、前衛ポップロックバンド、アーバンギャルドのリーダーでボーカルの松永天馬がソロ名義で『唇まで8センチ / 背中まで45分』をリリースする。
両A面扱いであるがメインタイトル曲は、本キャンペーンの短冊CDのサイズである8cmから着想されたと思しき松永による作詞と、音楽プロデューサーでソングライターの佐々木喫茶(ささき きっさ)が作編曲した書き下ろしの新曲である。
作家や詩人の肩書を持つ松永の歌詞の世界は、エスプリが効いた言葉の選び方やダブルミーニングの使い方もプロフェッショナルな仕事で、佐々木による1980年代中期のYAMAHA DX7などのアタックの強いFM音源系シンセサイザー・ベースやブルースハープを模したリード・シンセのリフ等々、懐かしくも新しいエレクトロポップ・サウンドにマッチしている。主役である松永のボーカルもBPMが変化しまくるこの曲でピッチや表現力など申し分なく、正にこの短冊CDキャンペーンのアンセム(Anthem)として相応しい完成度なのだ。
両A面のカップリングは、井上陽水がソングライティングして沢田研二(以降:ジュリー)に提供した「背中まで45分」(1983年)のカバーである。ジュリーにとっては38枚目のシングルで、同曲のシングル・ヴァージョンの編曲を担当したのは、嘗てりりィのバイバイ・セッション・バンドやナイアガラ・レーベルのセッションにも参加していたベーシストの吉田建で、彼が率いるエキゾティクスがジュリーのバックバンドだった時期(1981年~1984年)でもあった。当時のニューウェイヴ・サウンドとの親和性が高い時期でも知られ、ジュリーとエキゾティクス、それを許容したプロデューサー加瀬邦彦(元ザ・ワイルドワンズのリーダー)の先見性の高さは、音楽界の最前線を生き抜いてきた一流の嗅覚と言えよう。
ここでのカバー・ヴァージョンの編曲と演奏及びプログラミングは、アーバンギャルドのサポート・キーボーディストも務めるシンセサイザー奏者の杉山圭一で、陽水の独特な歌詞世界に流れているデカダンスでアンニュイなイメージを巧みに演出している。オリジナルの編曲はシングルVer:吉田健、アルバム『MIS CAST』収録Ver:白井良明(ムーンライダーズ)と各人の異なるセンスによって制作されていたが、杉山は更に個性的なサウンドを追求している。それはエキゾチックなミッドテンポのポリリズムやフィル・マンザネラ(Phil Manzanera)に通じるギター・サウンド、空間の隙間を活かしたミックスで施したサウンドで、ロキシー・ミュージック(Roxy Music)の最終作『Avalon』(1982年)を彷彿とさせて、実に素晴らしいカバーになったと一聴して魅了されてしまった。
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なお松永天馬が率いるアーバンギャルドは、彼らが主宰する恒例のミュージック・フェスティバル「鬱フェス」を9月に開催するので、興味を持った読者は是非参加してほしい。
同フェスにはバンドの二枚看板である松永と浜崎容子を中心に交流を持つ、神聖かまってちゃんや大槻ケンヂなど個性的な著名アーティストやバンドが多くゲスト出演し、弊サイトでもお馴染みの才女シンガー・ソングライターのフレネシの出演も決定している。
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アーバンギャルドpresents
鬱フェス 2026
◎日時:2026年9月21日(月・祝)
開場 14:00 / 開演:14:30~
◎会場:CLUB CITTA’(神奈川県):アクセスはこちら
◎出演者
アーバンギャルド
◎ゲスト出演者
神聖かまってちゃん
大槻ケンヂ(オーケンギャルド)
挫・人間
色々な十字架
東京メルヘン倶楽部
フレネシ
水中、それは苦しい
赤いくらげ
絵恋ちゃん
古山菜の花
カラコルムの山々
AIR-CON BOOM BOOM ONESAN
◎イープラス先行チケット予約:こちらをクリック
(テキスト:ウチタカヒデ)






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