2026年2月4日水曜日

生活の設計 『長いカーブを曲がるために』

”大塚兄弟主演、フェリスはある朝突然に” 

 ロックバンド“生活の設計”が、セカンド・アルバム『長いカーブを曲がるために』を2月11日にアナログLPでリリースする。今月7日には本リリースを記念したワンマンライブを開催するので参加する読者もいるだろう。

 本作『長いカーブを曲がるために』は、昨年10月15日に配信で先行リリースしたアルバムなので、既に愛聴している読者も多いと思うが、そんな配信音源より再生周波数の帯域が格段に広く、高音質で聴けるばかりか、所有感を味わえるなどアナログLPのメリットは多々あるので、拘りを持つ音楽ファンは是非入手して頂きたい。

左から大塚薫平、大塚真太朗
 
 彼ら生活の設計のプロフィールは、先月のワンマンライブの記事で触れたばかりだが、リーダーでボーカル兼ギター、ソングライターの大塚真太朗と、実弟でドラム兼コーラスの大塚薫平による2人組のロックバンドである。前身バンド“恋する円盤” や“Bluems (ブルームス)”時代を含め、9年以上の活動経歴を持っており、2023年4月にファースト・フルアルバム『季節のつかまえ方』、同年11月に7インチ・シングル『キャロライン』をリリースしている。なお本作『長いカーブを曲がるために』に収録された内2曲は、GREAT3(1994年~)の片寄明人がプロデュースを手掛けており注目なのだ。
 またバンドのデビュー当時から、元ピチカート・ファイヴで著名クリエイターの小西康陽氏から高評価を得ており、ファッション・カルチャー雑誌『POPEYE』では対談記事が掲載され、その存在は音楽マニアから一般層にも広がっている。特筆すべきことに今年1月11日には、テレビ朝日の人気音楽番組『EIGHT-JAM』の【プロが選ぶ年間マイベスト2025】にて、元SUPERCARのギタリストで現在作詞家兼音楽プロデューサーとして活躍する、いしわたり淳治氏に、本作収録曲「小東京(リトル・トーキョー)」を選出されるという快挙もあり、今後彼らの活動もより一層注目されるだろう。


 ここでは筆者による収録曲の詳細解説と、メンバー2人が本作の曲作りやレコーディング中、イメージ作りで聴いていたプレイリストをお送りするので聴きながら読んで欲しい。
 冒頭の「街とダンサー」は、大塚(真)作らしい青春ブルーアイドソウルと呼べる、ポジティブながら散文詩的歌詞と躍動的なグルーヴが眩しい。サビの「しかめつらでもいいよ 帰り道はでかい音で音楽を聴くよ・・・」というライン、右チャンネルやセンターで聴ける、ゲスト・ギタリストの元Seukolの廣松直人によるブルージーなリフが強く耳に残り、曲の重要なエレメントとなっている。歌詞と曲の完成度が高く、冒頭のリード曲として相応しい。
 続く「稀代のホリデイメイカー」は昨年9月17日に先行配信リリースされたシングルで前出の通り、片寄明人がプロデュースをした2曲の内の1曲で、レコーディングにはGREAT3のサポート・キーボディストで数多くのセッションで知られる堀江博久と、セッションマンとしてメジャー・ワークも多い井上真也が参加している。
 アップテンポなシェイクビートに、Pico(樋口康雄)の「I LOVE YOU」(1972年)を彷彿とさせる和製ノーザン・ソウル風コード進行とスキャットのイントロでまずは耳を奪われるが、「とにかく外へ出て、旅に出て、さまざまなものを体験しよう」というテーマを持つ歌詞と大塚(真)の溌溂したボーカルが、メロディアスでポップなロック・ミュージックの心地良さを思い起こさせるナンバーに仕上がっている。大塚(薫)のやや前乗りのドラミングに、井上のバックビートにアクセントを持つべース・ラインが独特なグルーヴを形成し、堀江によるオルガンもメインのコード・ワークの他、グリッサンドのアクセント、スタッカートを活かせたオブリガード的リフなど多彩なプレイを繰り広げている。曲が持つべき方向性に的確に導いていくという、片寄のプロデュース力(りょく)を垣間見れる。

片寄明人

 3曲目の「いちょう並木の枯れるまで」は、弊サイト読者にも強くアピールする東海岸シャッフルのリズムを持つソフトロックで、アルバム・リリース前のライブでも披露されており、筆者も生で聴いて直ぐに気になった曲である。弊サイト前進のVANDA監修書籍『ソフトロックA to Z』で発掘された、ジェリー・ロス(Jerry Ross)のプロデュースでジョー・レンゼッティ(Joe Renzetti)がアレンジした、Keithの「Ain't Gonna Lie(嘘はつかない)」をオマージュしており、ソフトロック・マニアは唸る筈だ。
 A面ラストの「いさかいないせかい」は、片寄がプロデュースしたもう1曲で、フィラデルフィア・ソウル風のギター・リフ、Stax Records~Hi Recordsでドラマー兼プロデューサーとして活躍したアル・ジャクソン(Al Jackson Jr.)が編み出したリズム・パターン、ノーザン・ソウル風のフレーズ(「Am I The Same Girl」(「Soulful Strut」でも知られる))がモザイクでオマージュされたポップスだ。歌詞のテーマがユニークで、日常の情景から反戦イズムに繋がっていくというのが、作者である大塚(真)の世界観なのだろう。サウンド的にも大塚(薫)と井上によるリズム隊のグルーヴ、堀江のアープ系アナログ・シンセの温かみのあるソロなど聴きどころは多い。


 B面冒頭の「タイニー・シャイニー」は昨年12月6日にアナログ・7インチでシングルカットされていて、ポール・ウェラーがフロントマンだったThe Jam(1972年~1982年)に通じる、パンキッシュなネオモッズ感覚のサウンドが特徴だ。大塚(真)による退屈な日々から逃避行したクラビングのワンシーンを切り取った歌詞が瑞々しく、彼のボーカルもこのようなアップビート・ナンバーでは一層映える。ゲスト参加したHedigan's(ヘディガンズ)のギタリスト、栗田将治がプレイするリード・ギターの存在感は極めて大きく、双方にとって意義のあるコラボレーションとなった。また大塚(薫)の激しいドラミングとコンビネーションするのは、ゲスト参加したLIGHTERSのべーシスト清水直哉だ。
 同曲7インチのカップリングだった「君に起こりますように」は、レギュラー・サポートメンバーであるベーシストの大橋哲朗とキーボーディストの眞﨑康尚が参加し、大塚(真)のジェントルな歌詞とボーカル、眞崎による印象的なピアノが耳に残るラヴソングだ。ミドルテンポでメロディックなソフトロック調のサウンドで、米東海岸シャッフルのブリッジを挟んでいてアレンジ的にも凝っており、弊サイト読者にもアピールした好ナンバーに仕上がっている。

 続く「ポモドーロ」は、眞﨑のウーリッツァー系エレピがメインコードを刻む、変拍子パートを持つ2分15秒の小曲だ。大塚(薫)と大橋のリズム隊も特殊なテンポ・チェンジを巧みにプレイしている。タイトルのポモドーロはイタリアンのトマトソース・パスタ名で、歌詞のモチーフの一つで、ガールフレンドとのローマ旅行がテーマになったラヴソングに仕上がっている。
 B面ラストの「小東京(リトル・トーキョー)」は、前出の通り、『EIGHT-JAM』の【プロが選ぶ年間マイベスト2025】でいしわたり淳治氏に取上げられたばかりでなく、日本テレビ系ニュース番組の天気コーナーで一時タイアップされていた軽快なポップスだ。レギュラー・サポートメンバーであるパーカッショニストの關街によるコンガに絡むクランチ気味な廣松のエレキギター、大塚(薫)のビートも乗って展開していく。
 この曲も歌詞の世界観がユニークで、ラヴソングの要素もあるが、高倍率ズームレンズでその視点が瞬時に移動していくのが興味深く、大塚(真)の高い作詞能力を感じさせる。その他のゲスト・ミュージシャンは、キーボーディストの眞﨑、べーシストの清水が参加している。
 

生活の設計『長いカーブを曲がるために』
プレイリスト  
 
大塚真太朗
 アルバムを聴いてもらった人でソフトロックやソウルミュージックを愛好しているリスナーだったらすぐ分かる、というかこのWebVandaの読者の方々にはすぐわかってしまう曲ばかりを元ネタにしているので、列挙するのも野暮かもしれませんが、、

でも曲名やアーティスト名をこうして書いてみるだけで心がウキウキする大好きな曲ばかりです。
  「タイニー・シャイニー」に多大なる影響を与えた「恋はヒートウェーヴ 」はもちろん原曲も大好きですがあえてTHE COLLECTORS版で。ザ・リボンズというバンドの『君に届かない歌を大いに歌う』という作品に興奮した体験も曲に入れています。

 何卒『長いカーブを曲がるために』をよろしくお願いいたします。

■A Week Away / Spearmint(『A Week Away』1999年)
■Ain't Gonna Lie / Keith(『98.6 / Ain't Gonna Lie』1967年)
■I’ll Be Around / The Spinners(『Spinners』1973年)
■恋はヒートウェーヴ / THE COLLECTORS(『愛ある世界』1992年)
■Too Young To Be One / The Turtles(『Happy Together』1967年) 


大塚薫平
 友達のミュージシャンや日頃支えてくれているサポートミュージシャンとの共作を通じて身近なバンドの音楽に触れる機会が増えた。それと同時に、ソリッドでいて勢いのある60、70年代のロックのドラムやそこのリファレンスを受けた音楽を意識して制作にあたっていました。
 「稀代の〜」のリハでKey堀江さんに「(そのような)勢いあるドラムは年取ると出来なくなるよ」と言われました。なるべくずっとやれるよう筋トレしてます。

■In The Modern World / Fontaines D.C.(『Romance』2024年)
■マンション / Hedigan‘s(『Chance』2025年)
■It’s Not True / The Who(『My Generation』1965年)
■It’s Ok To Cry / Phoebe Katis(『It’s Ok To Cry』2020年)
■Deadstick / King Gizzard And The Lizard Wizard 
(『Phantom Island』2025年)



 なお本作はプレス枚数限定のアナログLPで、インナースリーヴの歌詞とクレジットの裏面にメンバーの大塚兄弟とプロデューサーの片寄明人への“ここでしか読めないインタビュー”が掲載された特別仕様となっている。
 筆者の収録曲の詳細レビューを読んで興味を持った音楽ファンは、早期にリンク先のショップで予約して入手しよう。

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(テキスト:ウチタカヒデ





高音質配信
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2026年1月24日土曜日

生活の設計 『長いカーブを曲がるために』リリース記念 ワンマンライブ


 昨年10月15日にセカンド・アルバム『長いカーブを曲がるために』を配信で発表していた“生活の設計”が、同アルバムを2月11日にアナログLPでリリースする。それを記念したワンマンライブ が2月7日に開催されるので紹介したい。

 まずは彼ら生活の設計のプロフィールに触れよう。リーダーでボーカル兼ギターの大塚真太朗と、実弟でドラム兼コーラスの大塚薫平による2人組のロックバンドで、前身バンドの“恋する円盤” や“Bluems (ブルームス)”時代を含めると、9年以上の活動経歴になる。2023年4月にファースト・フルアルバム『季節のつかまえ方』、同年11月に7インチ・シングル『キャロライン』をリリースしており、最新作『長いカーブを曲がるために』に収録された2曲は、GREAT3(1994年~)片寄明人がプロデュースを手掛けて話題になっている。
 デビュー当時から元ピチカート・ファイヴの小西康陽氏から高評価を得ており、ファッション・カルチャー雑誌『POPEYE』にも取り上げられ、その存在は音楽マニアから一般層にも広がっている。更に今年1月11日には、テレビ朝日の人気音楽番組『EIGHT-JAM』の【プロが選ぶ年間マイベスト2025】にて、元SUPERCARのギタリストで現在作詞家兼音楽プロデューサーとして活躍する、いしわたり淳治氏に収録曲「小東京(リトル・トーキョー)」を選出されるなど、彼らの前途は非常に明るいと言える。

 そんな彼らの『長いカーブを曲がるために』アナログLP・リリース記念ワンマンライブだが、サポートメンバーには、サブメンバーと言えるキーボーディストの眞崎康尚、べーシストの井上真也、パーカッショニストの關街に加えて、ゲスト・ギタリストとして、昨年12月に7インチでシングルカットした『タイニー・シャイニー』でフューチャーされたHedigan's(ヘディガンズ)の栗田将治も参加する。
 そしてライブの前後を飾るDJ陣には、収録曲の「稀代のホリデイメイカー」と「いさかいないせかい」をプロデュースした片寄明人に加えて、彼らの良き理解者である小西康陽氏も参加ということで、嘗ての渋谷系重要人物が顔を揃えるという極めて貴重なライブとなるので、興味を持った音楽ファンは直ぐに予約して欲しい。
 生憎であるが、この記事を執筆後の1月19日に前売り予約分がソールドアウトしてしまったので、当日券のアナウンスを彼らのSNSでチェックしよう。


生活の設計 『長いカーブを曲がるために』
リリース記念 ワンマンライブ 

日時:2026/2/7(土) 開場19:00 開演19:30 

会場:月見ル君想フ (東京都)
東京都港区南青山4−9−1

出演者:生活の設計
サポートメンバー
Key. 眞崎康尚
Ba. 井上真也 
Per. 關街
+Guest Gt. 栗田将治


開演前DJ:片寄明人

終演後DJ:小西康陽

前売り予約券SOLD OUT!!
※当日券の情報はコチラをチェック


(テキスト:ウチタカヒデ







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2026年1月11日日曜日

Megu:『めしませルルボン』インタビュー★ゲスト~フレネシ

 
 新潟在住のアイドル・ユニットNegicco(ネギッコ)のメンバーMegu(メグ)が、才女フレネシのプロデュースによるニューシングル『めしませルルボン』(Fall Wait Records / FAWA-0035)を1月14日にリリースする。 

  Negiccoとしては、2024年に結成20周年記念ミニアルバム『Perfect Sense』5thオリジナルアルバム『What A Wonderful World』をそれぞれリリースして弊サイトでも紹介したのが記憶にあると思う。そんな彼女達はリーダーのNao☆をはじめ、MeguとKaedeも2021年までに全員既婚者となり、翌年揃って出産も経験している。昨年9月にはKaedeが第2子を出産し現在育児休暇期間だが、全員がこうした経験をしているアイドル・ユニットというのは稀であり、現在も活動続行中というのは、音楽業界やファンにとって素晴らしいことである。
 過去弊サイトではメンバーのソロ作品として、Nao☆のソロ・シングル『菜の花』(2018年)Kaedeの『秋の惑星、ハートはナイトブルー。』(2020年)を紹介しているが、今回初めてMeguのニューシングル、しかも11年振りに音楽活動を本格的に再開したフレネシがソングライティングとアレンジ、プロデュースまでおこなっているということで紹介したい。


 本作『めしませルルボン』は前出の通り、唯一無二の世界観を持つ女性シンガーソングライターのフレネシがソングライティングとアレンジ、プロデュースを担当しており、Megu の声質を活かした、陽だまりを感じさせるシャッフルの愛らしいフレンチ・ポップ風に仕上げている。 イントロ無しで始まるサビのキャッチーなリフレインが最も特徴だが、シャッフル・リズムのヴァースAとBでハイハットのパターンを細かくチェンジさせたり、ブリッジはアンディ・パートリッジ(XTC)作品を彷彿とさせる英国モダンポップの捻じれたメロディーラインにするなどフレネシならではの拘りのセンスを感じさせた。
 パッケージにも触れるが、Meguのソロ作ではお馴染みとなっている、”CD+フォトブック”仕様で、本作の世界観からインスパイアされたクラシカルなロリータ・ファッションに身を包んだビジュアルはMegu も初挑戦ということで、ファンの興味を湧かせるだろう。 
 さてここでは、昨年10月の無果汁団11月の長谷川カオナシのレビュー記事と同様に、本作をプロデュースしたフレネシへのインタビューをお送りする。


特別インタビュー★ゲスト~フレネシ

◎活動再開で多忙な中ありがとうございます。
まずはNegiccoのメンバーであるMeguさんとの出会いを聞かせて下さい。Negiccoが新潟地区のアイドルから全国的に知られるようになる以前に、ご自分のコラムでインタビューされていたとか。北園みなみもそうでしたが先見の明がありますよね。

フレネシ:「先見の明」とは恐れ多いです。私より耳の早いリスナーが紹介していたのを目にして、音を聞き、ぜひインタビューをしたいと思っただけで…。私よりも先に紹介していた誰かの拡散力があってこそ私にも届いたのだと思いますし、何よりNegiccoさんや北園さんが魅力的だったということに尽きると思います。 

 ◎そうですか、フレネシさんが取り上げたことで彼女達のことが更に知られるようになった切っ掛けの一つになったと思いますよ。ご自分でNegiccoを聴いて興味をもったということで、きっかけになった曲を教えて下さい。
因みに 私が今でも好きなのは『ティー・フォー・スリー』(2016年)収録ヴァージョンの「おやすみ」でして、ユメトコスメの長谷泰宏君のストリングス・アレンジ含め完成度が高いと思っています。 

フレネシ:きっかけになった曲は「圧倒的なスタイル」だったかな…。「トリプル!WONDERLAND」あたりも大好きですね。

「圧倒的なスタイル」/「トリプル!WONDERLAND」
 

◎今回そんなMeguさんに楽曲を提供するに至った経緯は? 

フレネシ:一番最初は、6月19日にマネージャーさんからフレネシの通販サイト「フレネシ学園洋品店」あてにオファーが来たと、ディストリビューターのブリッジさんから連絡を受けました。その時点のメールには具体的なことは書かれておらず、私もまだ活動再開という状態ではなかったものの、奇しくも先にオファーを受けた長谷川カオナシさんと最初のミーティングをした日で、いよいよCubase(Steinberg社製DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフト)を立ち上げて、トラック組んでいくぞ!と決意をした直後で…休眠状態から創作モードに脳が切り替わったタイミングだったんです。
翌日のメールで、Meguさんの声にフレネシの曲が合うのではないだろうかというところで、オファーをいただいたことが明らかになりました。 

 ◎そういう経緯だったんですね。確かにNegiccoの中では高域でウィスパー系の声質を持つMeguさんにはフレネシさんの楽曲は合うと思います。
Meguさんの歌唱スタイルや声のキャラクターにはどういう印象を持ちましたか?

フレネシ:ふわふわとした、羊毛のような綿雲のような柔らかさでしょうか。
ソフトフォーカスの似合う声には、デジタル候なアレンジよりもクラシカルな生楽器的サウンドに軸足を置いたアレンジが合うように感じました。 

◎では本作『めしませルルボン』のテーマ、コンセプトをお聞かせください。

フレネシ:Negiccoの拠点の新潟といえば、とあるお菓子が有名かと思いますが、そのお菓子を擬人化した楽曲となっています。
お菓子の「勝手にCMソング」を作る構想はずっと前からあって、ここでようやく実現したというわけです

◎昭和から多くの家庭で親しまれた洋菓子がヒントになっているんですね。お米の生産量が日本国内で長年トップの地なので、米菓(せんべい、あられ)メーカーさんはよく知られていますが、そのカテゴリー外の洋菓子で全国に広まりロングセラー商品を多数発売したという、新潟県発祥商品のポテンシャルの高さを物語っていますね。そんなお菓子の「勝手にCMソング」というコンセプトは非常に面白いと思います。さすがですね! 
曲作りやアレンジのアイディア、レコーディング時のエピソードなどはありますか?

フレネシ:Meguさんからフレネシ「8:30のテーク」のようなアレンジで…とリクエストいただき、シャッフルのリズムパターン、メジャーコードを軸に組み立てていきました。
「8:30のテーク」直系というよりも、Meguさんのソフトなイメージにフィットしそうな、マーゴ・ガーヤン的なマイルドさを目指しました。 

◎アレンジの参考で「8:30のテーク(八時半のテーク)」(『ドルフィノ』収録/2013年)をリクエストで挙げられたということは、Meguさんやスタッフの方々はフレネシさんの作品を熱心にチェックしていたということですよね。この曲の牧歌的なシャッフルのリズムは、それこそ洋菓子のCMソングをイメージさせますよ、某社の◎◎◎エクレアとか。
今回フレネシさんがモチーフの一つにされたマーゴ・ガーヤン(Margo Guryan)は、弊サイト前進のVANDAが監修した書籍の『ソフトロックA to Z』で発掘され取上げたことが切っ掛けで、渋谷系ミュージシャン達に広く知られるようになったと思います。元々ジャズを専攻していて若くしてアーメット・アーティガンやクリード・テイラーに認められた才女ですが、今でもソフトロックの範疇で信奉者が多く、ジャケット・デザインまでオマージュされています。
そしてマスタリング直後の本作『めしませルルボン』を先日聴きまして、イントロ無しで始まるサビのリフレインや独特なメロディーラインで直ぐに心を掴まれました。シャッフルになるヴァースは確かにガーヤンの「Thoughts」(『Take A Picture』収録/1968年)などに通じます。何よりMeguさんの声質にマッチしているので、理想的なオファーだったと考えます。
 
『Take A Picture』/ Margo Guryan
『ソフトロックA to Z』シリーズ

フレネシ:マーゴ・ガーヤンが広く知られるようになったきっかけが『ソフトロックA to Z』というのは、まさにその通りでしょうね。雨の滲む窓越しにこちらを向いたご本人のアンニュイな表情が印象的なカバーデザインの「テイク・ア・ピクチャー」が唯一のアルバムとして知られていますが、リファレンスが明確にあるというわけではなく、今作のAメロに「雨樋はメトロノーム」という歌詞があり、雨がモチーフのひとつとなっているあたりにオマージュ要素があったりします。


◎では本作『めしませルルボン』のピーアールをお願いします。

フレネシ:楽曲のテーマにまさにぴったりな、Meguさんの初ロリータ衣装に注目! 本当に良くお似合いで、これまで衣装としてお召しになったことがなかったのが不思議なくらい…フォトブックを眺めつつ、メルヘンでスウィートなお菓子たちの宴ソングに浸っていただけたら嬉しいです。


◎そう言えば、フレネシさんは昨年12月22日に新曲「おやすみルナモス」を配信リリースされたばかりでしたね。この曲のテーマや曲作りのアイディアも聞かせて下さい。
またレコーディングにはテルミン奏者の方が参加されたそうで、エピソードがあればお願いします。

フレネシ:この曲は、まだ20代だったころに、渋谷のミニシアターで「ラジュテ」のオールナイト上映を観た帰りだったかと思うのですが、夜明け前の路上で季節外れのオオミズアオが死にかけて震えているのを見かけて、それがずっと記憶の片隅に残っていて…。「呪い」がコンセプトのアイドルグループ、じゅじゅの元メンバー、ねうちゃんへの提供曲として、バレエをモチーフにしつつ、あのときのオオミズアオを主役にワルツの曲に仕上げました。

今回、セルフカバーするにあたって、コーラスのラインを新たに追加し、サビのストリングスのラインをテルミン奏者の街角マチコさんにテルミンで演奏していただきました。

◎多忙な中今回もありがとうございました。


フレネシ・プロフィール 
8歳で、ささやき声しか出なくなる。20歳で衝動的に音楽活動を開始し、大学卒業までの2年間に50曲余りを作曲。 
2009年6月、乙女音楽研究社からリリースした初のフルアルバム『キュプラ』が、HMV インディーズチャート1位、カレッジチャート1位を獲得し注目を集める。
その後、『メルヘン』『ゲンダイ』『ドルフィノ』の3枚のアルバムを発表したのち、2014年12月27日のワンマンライブ「フレネシ学園 伝説の終業式」をもって活動を無期限休止。
2020年にストリーミング配信が開始されたことで海外の音楽ファンを中心に新たな注目を集め、 累計再生回数は数千万回に達し 「渋谷系のビョーク」とも称される。
2025年10月31日に11年ぶりの新作『除霊しないで』を発表し活動再開を宣言、さらには12月22日に『おやすみルナモス』を発表し、大きな話題を呼んでいる。
★フレネシofficial site:https://frenesifrenesi.com/ 
◎関連記事「ネシ子が会う」Negicco・Megu (第二十回)
◎最新配信シングル「おやすみルナモス」









【Megu「めしませルルボン」発売記念イベント】

【出演】Megu、フレネシ

【日時】2026年1月16日(金)18:30スタート

【会場】タワーレコード錦糸町パルコ店 イベントスペース

【内容】トーク&特典会

フレネシ告知動画

詳細はNegicco・official site内NEWSを: https://negicco.net/live_information/detail/30324


(設問作成、本編テキスト:ウチタカヒデ