2009年7月29日水曜日

☆Ray Davies:『The Kinks Choral Collection』(Decca/2703909)

少し気づくのが遅く、紹介が遅くなってしまったレイ・デービス先生の新作です。レイ先生は、まさに私の先生なので、全てがOKの、特別な存在なのですが、今回のアルバムだけは、「先生、ちょっと失敗だったかも」と耳打ちしてあげたい。
このアルバムはキンクスのナンバー14曲、ソロのナンバー1曲のリメイクを集めたもので、レイ先生のヴォーカルに、クロウ・エンド音楽祭合唱団なるクラシックの合唱団のコーラスを付けたものですが、サウンド自体がバンド・サウンドだったので、クラシカルなコーラスが浮いた存在になってしまいました。それならばオーケストラをもっと入れて、コーラスを生かすアレンジをすればよかったのに、どうにも中途半端です。特に「You Really Got Me」や「All Day And All Of The Night」が、歌と演奏はロックンロール、そこにクラシカルなコーラスですから合うはずがない。バラードの「Waterloo Sunset」や「Celluloid Heroes」も、コーラスが入ってもいまいち効果はなく期待はずれのナンバーが続く中、良かったのは「See My Friends」でした。単調なメロディだけにコーラスが幻想的に渦巻き、これは二重丸。あとは「Village Green Medley」の中の「Do You Remember Walter」が、アコーディオンを入れ、シャッフルビートのお洒落なアレンジに変えてあってこれは素晴らしい。ただこの2曲だけ。結局はアレンジを大きく変えた曲が良かったのであり、従来の歌と演奏にこういうクラシカルなコーラスは合わないということを実証して見せたのでした。まあ試行錯誤の多いレイ先生ですから、これも通常作業の一貫でしょう。(佐野)
Kinks Choral Collection

2009年7月25日土曜日

★皆既日食顛末記 2009

2009年7月21日(火)~22日(水)

佐野邦彦




4月から超多忙な部署へ異動となり、連日会議会議の部署ながら、大事な会議を欠席して、行きましたよ、皆既日食に。はっきり行って、皆既日食の方が大事でした。しかし最短で行くしかないので選んだのは1泊2日の弾丸ツアー、大枚はたいたのにテント持参のプランしかなく(旅行会社はぼろ儲け)、amazonでテントを買って、いざ、奄美大島へ。
大学生の子供二人は試験の真っ最中で検討外、妻は連休明けで仕事は休めない(これが当然の選択...)、私は一人で奄美へ向かいます。石垣島と宮古島へ通い続けて早10年、南の離島命の私ですが、奄美は初めてなので、どんな海なのか、それも楽しみでした。
ただし天気予報は悪く、皆既日食当日は曇りの予定、案の定、トランジットの鹿児島は大雨で、着いた奄美もどんよりと曇り、いきなりテンションは下がりました。なんとかテントサイトで手伝ってもらってテントを張った後、空港からの道すがら見えた海へ行きたくて、タクシーを呼んでビーチへ移動します。まずは食事と、食べたかった鶏飯(メチャ美味しい!)を食べ、ビーチへ出ると、みるみる青空に。珊瑚礁の海は、陽が注がないと翡翠色に輝かないのですが、絶好の天気に思わずにんまり。水着は持ってきていないので、ビーチを見下ろす柵に腰掛け、ビールを飲みながら、ただうっとりと海を眺めていました。海を渡る風が心地いい!沖縄でもこの風があるので、日陰さえあればパラダイスです。

アダンの木の下を探してそこに滑り込めばOK.なんですが、奄美ではちょうどいい休憩場所が作ってありました。日が傾いてようやくテントへ戻り、夕食は近くのコンビニで調達します。近くと言っても徒歩15分はかかるのですが、そこの弁当の量にビックリ!沖縄と同じで、おかずもごはんも東京の1.5倍はあります。いや2倍かな。そして安い。どちらかと言えば大食の私でさえ、全部は食べきれず、残しました。
関係ない話ですが、そのコンビニで大好物の「金ちゃんヌードル」を見つけ、荷物になるのに思わず数個、買ってしましました。沖縄では超ポピュラーなこの金ちゃんヌードル、東京ではほとんど入手できません。毎月、買出しに行っている沖縄食材の店「わしたショップ」でも、金ちゃんヌードルが徳島産なので扱ってくれません。なぜ徳島のものが南の島の定番なんですかね。

テントから見えた夜空は満天の星空。月が出てないからいいんだな、あっそうか、皆既日食だから新月か、なんて自問自答している内に寝てしまいました。明け方目を覚ましてさっそくテントの外に顔を出すと、いつの間にかすっかりと曇り空になっていて、ちぇっ、天気予報は正確だなと舌打ちしてしまいました。ただ雲はそんなに厚くないので、太陽は透けて見え、「おぼろ太陽」状態。日食の初期は日陰も出来るほどでした。少し期待できるかな。テントサイトでは、物凄い望遠レンズを付けたカメラがずらりと並び、参加者の気合が伝わってきます。しかし食分が9割くらいになると、陽が弱いのか、雲が厚くなったのか、もう日陰も出来ず、肉眼で太陽をしっかりと見続けられます。そしてテントサイトの放送で皆既日食のカウントダウンが始まります。5、4、3、2、1、ゼロ、消えた。光が消えただけ。ほぼ真っ暗。いきなり夜になりました。あの黒い太陽とフレアはまったく見えず、闇が周りを包みます。その暗さは尋常でなく、陽が沈んでしばらく経ち、夜の帳が下りた時のようです。時刻は昼の11時なんですから、これは不思議な体験でした。

そして本来ならダイヤモンドリングが見える「第3接触」のカウントダウンが始まります。ゼロと同時に暗闇がピカリと光り、これはきれいでした。そしてパラパラと気の無い拍手が聞こえてきます。それはそうでしょう。万難を排し、大金をかけてようやくやってきたのに、肝心な黒い太陽が見られなかったのですから。特に気合十分のカメラ撮影隊のみなさんは気の毒でした。ただ、あの不思議な闇が体験できたこと、「第3接触」の太陽の光が雲越しでもきれいだったことで、大マケで50点としておきましょう。

今回の皆既日食はあの悪石島を始め、屋久島、種子島、小笠原もダメで、陸地で見られたのは、奄美の隣の喜界島だけだったそうです。You tubeで見ましたが、喜界島は、うす曇りながら黒い太陽が見えていましたね。雲の厚みと角度が違うと見えたんだと、隣の島だっただけに、うらやましさが残りました。来年、皆既日食が見られるイースター島は遠すぎて無理としても、3年後のケアンズに行ってみようかな...。

 






2009年7月16日木曜日

Radio VANDA 第112回放送リスト(2009/8/6)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。



特集:Four Seasons Philips Years Part1


  1. Dawn

 2. Life Is But A Dream

 3. Only Yesterday

 4. Ronnie

 5. Rag Doll

 6. Save It For Me

 7. Danger

 8. Marcie

 9. Huggin' My Pillow

 10. An Angel Cried

 11. Show Girl

 12. Big Man In Town

 13. Bye Bye Baby

 14. Toy Soldier

 15. One Clown Cried

 16. Sassy



2009年7月5日日曜日

frenesi:『キュプラ』(乙女音楽研究社/OTMSH-001)

                     
 
 frenesi(フレネシ)はシンガーソングライター、熊崎ふさ子のソロユニット。これまでにミニアルバムとシングルを各1枚リリースし、複数のコンピレーションアルバムに楽曲を提供しており、今作『キュプラ』が初のフルアルバムとなるので紹介したい。

 嘗てリンダ・ロンシュタットもカバーした、メキシコの作曲家アルベルト・ドミンゲスによるボレロの名曲、「フレネシー」からインスパイアされたというユニット名。
 その「熱狂」という意味とは逆に、編み出されるサウンドは、クールな佇まいを見せたかと思うと、一転無邪気に音と戯れる少女のように変貌する。その上ウィスパー・ヴォーカルで歌われるのだから興味は尽きない。
 また彼女の才能はソングライティングやアレンジに留まらず、ジャケット・アートやPV(アニメーション)の絵コンテや作画にまで及び、トータル・コンセプトをクリエイト出来る希有なアーティストとしても大いに評価したい。

 では筆者が気になった収録曲を紹介しよう。
 「nero」は筆者が監修した2006年のコンピレーションアルバム『Easy Living Vol.1』に提供したテイクとは別ヴァージョンで、エレピとアコーステック・ギターを中心としたデッドなサウンド。グローヴァー・ワシントンJr.風のコード進行を持つ東京感覚のボサノヴァだ。ヴィブラフォン・ソロもいいアクセントになっている。

 「覆面調査員」は本作のリード・トラックであろうキャッチーなナンバーで、プログラミングされたシーケンスと生演奏のリズムトラックを融合させた80's風フューチャー・ポップ感覚が今となっては新鮮だ。
 またこの曲、全体的なコード転回や2コーラス・パートからアッパーで鳴っているテンションコード、更に音像の定位などトータル的に抜群のセンスで、見掛けのキューティーさとは裏腹に、玄人受けしそうな気配がする。彼女自身が手掛けたPVのアニメーションも必見である。

 「スプロウル」や「サバラン」で聴かれるトルコやスパニッシュ感覚、ダン・ヒックス風アコースティック・スウィングの「マージナル」などアレンジング・アイディアの引き出しが多いのも彼女の強みであり、様々な音楽に耳を向けている真摯なスタンスには脱帽するばかりだ。
 アルバム全体的にLess is moreな精神で音数を厳選しており、タイトル通り、高級裏地のように滑らかで肌触りがいいサウンドが堪能できる。

(テキスト:ウチタカヒデ