2023年1月7日土曜日

The Pen Friend Club☆Megumiラストステージ・ミニインタビュー


  The Pen Friend Club(ザ・ペンフレンドクラブ 以下ペンクラ)の5代目ヴォーカリストMegumiが、2月18日の柏・Studio WUUでのライブをもってバンドを去ることになった。
 20年3月にペンクラ加入後メインボーカルを務めライブ活動をはじめ、昨年9月にリリースした8thアルバム『The Pen Friend Club』(SZDW1105)では、同作のカラーを決定つけた見事な歌声を披露していた。筆者としてはこのアルバムから続く作品群を強く望んでいたので、約3年という期間での彼女のバンド卒業は非常に残念でならない。
 参加したレコーディングした作品は、2020年8月の7インチ・シングル『一本の音楽/八月の雨の日』(SZDW-1086)をはじめ、翌年6月には同じく7インチの『Chinese Soup / Mind Connection』(SZDW-1105)、そして前出の『The Pen Friend Club』と決して多くはなかったが、その歌声と存在感はペンクラには欠かせない存在だった。
 ここではそんな彼女の、ペンクラのボーカリストとして最後のインタビューをお送りする。


●約3年間ペンクラのメンバーとして在籍した中で、最も印象に残っているエピソードをお聞かせ下さい。

◎Megumi:個性豊かなメンバーと一緒に活動してきた3年間は印象に残ることばかりでした。
一つに絞るのは難しいですが、エピソードとしてパッと思いついたのは、リーダーが大阪/名古屋の遠征時、行きの新幹線に衣装を置き忘れてしまったことでしょうか。
もうすぐライブが始まるという時に気がついて、でも無事見つかって開演になんとか間に合ったのが奇跡でした。
というような濃い思い出が多々あります。

 
Megumi選ペンクラ・
フェイバリットソング・プレイリスト

●シングルやアルバム・レコーディングや多くのライブを通して、ご自分がフェイバリットとして挙げたいペンクラのナンバーをいくつか選んで、その理由を教えて下さい。

◎Megumi:もともとペンクラがカバーしている曲をあまり知らなかった私ですが、歌っているうちに好きになったり自然と口ずさんでいるようになったりしました。 
フェイバリットとして挙げるとしたら、
・Do I Love You 
 は始まる感じが楽しく、 

・Don’t Run Away
・Please Let Me Wonder
 はしっとり歌いやすく、

・土曜日の恋人
・夏のペーパーバック
 は山下達郎さんや大瀧詠一さんの独特なサウンドが心地よく、

・Wichita Lineman
・Goodbye to Love
 のアンコール曲は特に気持ちを込めて歌えたかなという感じがします。 

8thアルバムの曲は自分が関わったアルバムなのでどれも思い入れがありますし、全曲オリジナルという点でもメンバーの個性が光っていて良いなと思います。

また、私にとってはペンクラでデビューシングルとなった「一本の音楽/八月の雨の日」も思い入れがあります。

あと実は、「Sherry She Needs Me」は加入当初から歌いたいと思っていた曲だったのですが、ライブでの再現が難しいということでやる予定は無かったそうで。。
でも岩下の新生姜の岩下社長からリクエストを頂き、ぜひお応えしたい!ということで先日12月の岩下の新生姜ミュージアムでのライブで演奏できたのは嬉しかったです。 1月と2月でのライブでも演奏予定です。

一本の音楽 - 2023 Mix /
The Pen Friend Club - ザ・ペンフレンドクラブ

●ペンクラ卒業後はソロのシンガー・ソングライターとして活動されると思いますが、どのような展望があるでしょうか? 

◎Megumi:ペンクラ加入以前から元々とシンガー・ソングライター、弾き語りという活動をしていたので、私としてはバンド活動が無くなって元に戻るイメージです。
今は自分のペースで楽しくずっと歌い続けていくことができたら良いなと思っています。
伸び代はいくらでもあると思うので、向上心を持って頑張りたいです。


●残り少ないペンクラでのライブについてアピールをお願いします。

◎Megumi:残り2つのライブとなって日が経つごとに寂しさもありますが、実は今が今までで一番純粋に楽しめている感じもします。
少し肩の力が抜けたのと、残り少ないライブを目一杯楽しみたいと思えているからだと思います。
ペンフレンドクラブは今後も続いて行きますが、1月と2月のライブもご都合良ければぜひ観に来てくださいね。


●では最後にペンクラ・ファンの方々に一言お願いします。

◎Megumi:ペンクラに加入してから約3年間、5代目ボーカルとして私を受け入れ歓迎して下さった皆さまの温かい言葉にいつも励まされました。応援して頂き本当にありがとうございました。

私がボーカルを務めた期間は始まりから今日までコロナ禍で、思うように活動ができなかったという部分もありましたが、その分ペンフレンドクラブの情熱が詰まった8thアルバムの制作にも携わることができ、私にとっては濃密な3年間でした。

今後の新しいペンフレンドクラブにもぜひご期待ください。

ついでに私の活動も「そう言えばあの子どうしてるかな?」という感じでも時々覗いて頂けたり、ライブなどにもお越し頂けたら嬉しいです。


【The Pen Friend Club(ザ・ペンフレンドクラブ)】 
音楽家・平川雄一により2012年結成。ザ・ビーチ・ボーイズ、
フィル・スペクター周辺の60年代中期ウェストコーストロックを
ベースとした音楽性。

平川雄一(Gt,Cho)
Megumi(Vo)
西岡利恵(Ba,Cho)
祥雲貴行(Dr)
中川ユミ(Glo)
大谷英紗子(Sax)
リカ(A,Gt,Cho)
そい(Key,Cho)

【ソーシャル】

【ライブ情報】
◆1月22日(日) 下北沢・Club Que 
 『SUNDAY GIRLS』
 出演:CHILDISH TONES feat.宇佐蔵べに
    The Pen Friend Club
    Grenfelle
 OPEN 17:15/START 18:00
 ADV.¥3,000/DOOR.¥3,500 [1D別]
 配信¥2,500

◆2月18日(土) 柏・Studio WUU
 『Add Some Music To Your Day』
 出演:The Pen Friend Club
 Open 18:30 Start 19:00
 前売¥3000 / 当日¥3500(共に+1ドリンク)
 ※入場整理番号付き
 前売り予約
 柏・Studio WUU:https://www.wuu.co.jp/ 

(設問作成・編集・テキスト:ウチタカヒデ


2022年12月25日日曜日

WebVANDA管理人が選ぶ2022年邦楽ベストソング


 今年もWebVANDA管理人が選ぶ、邦楽の年間ベストソングを発表したい。選出楽曲は今年リリースされて、弊サイトで取り上げた作品を中心に最もリピートした収録曲で、アルバムを象徴する曲である。
 2020年からのコロナ禍は落ち着いてきており、本サイトで紹介するミュージシャン達のアルバム作りもコロナ前に戻りつつあるので、来年もそんな彼らを応援する意味でも良作品を紹介し続けていきたいと思う。またこの記事で改めて知った各アルバムはこれからでも遅くないので、彼等の活動を後押しするためにも是非入手して聴いて欲しい。 
 選出趣旨からコンピレーション、カバー作品、配信のみの単体楽曲は除外とした。 昨年同様、順位不同のリリース順で紹介する。

   
※サブスクに登録された
ベストソング・プレイリスト 


☆Waiting for you / 青野りえ
(『Rain or Shine』収録・記事はクリック
 実力派女性シンガー・ソングライターのセカンドの冒頭曲。イントロからセンスを感じさせ、サビに呼応するコーラスやアナログ・シンセのオブリなど細部に渡って聴き応えがあった。アルバム全体的に名コンポーザー兼プロデューサーと手練ミュージシャン達の鉄壁なプレイに支えられた完成度の高さに耳を奪われてしまった。



 ☆西暦2200年 / 冗談伯爵
(『ONE』収録・記事はクリック 
 2達組音楽ユニットのファーストから。甘美なフレーズとコーラスが牽引する打ち込みフィリー・ソウル系サウンドとデストピアな仮想未来を綴った歌詞とのコントラスト、テノール気味の特徴あるヴォーカルに繊細な声質のコーラスがブレンドされたサビのパートなど聴きどころが多い。プログラミング系シティポップの旗手になるだろう。



☆一週間ダイアリー / ウワノソラ'67
(『Portrait in Rock'n'Roll 2』収録・記事はクリック
 ウワノソラの別ユニットのセカンドより。イントロからハモンドオルガンに絡むエレキ・ギターのリフ、バリトンなど3管のサックスなど、もう何も言うことはないあのサウンドで、甘酸っぱいトーチソングは60年代ガールズ・ポップから続く永遠のテーマである。ファーストからモディファイされた部分もあるが、巧みなコンポーズとアレンジは健在だった。



☆ふたりのシルエット(feat. 堀込泰行) / 流線形
(『インコンプリート』収録・記事はクリック
 現行シティポンプのパイオニアの16年振りのミニアルバムより。イントロの繊細なハイハット・ワーク、曲全体的にギターはデイヴィッド・Tに通じるプレイとそれに呼応するフェンダー・ローズなど名手達によるプレイと、シルキーなコーラスもこの曲の雰囲気に不可欠なエレメントである。弊団体定期誌の読者だった堀込泰行のヴォーカルも一級である。



☆MAP for LOVE / 冨田ラボ(『7+』収録)
 前出の堀込泰行など9名の名だたるシンガーの別々のヴォーカル・データから構築させた現代のゴスペル・シンフォニー。コロナ禍初頭の2020年に某FM局の企画で制作し翌年配信リリースされ、今年になってフィジカルのアルバムに収録された。パンデミックで遮断された人々の交流の真の大切さを綴った歌詞と、ガーシュウィンを彷彿とさせる優雅な旋律が融合して感動へと誘う。



☆Dawn / The Pen Friend Club
(『The Pen Friend Club』収録・記事はクリック
 弊サイトでは同じみのバンドの8作目のハイライト曲となるのがこの曲だろう。1960年代末期の英国ロックの魅力が4分14秒に凝縮されオマージュされた傑作と言える。ピアノ1台をバックにした歌唱から徐々に楽器がプラスされドラマティックに展開していく様は圧巻である。アルバムのトータル感も含め歴代最高傑作ではないだろうか。



☆Blue velvet / KARIMA
(『Nostalgic hour』収録・記事はクリック
 男性シンガー・ソングライターの記念すべきファーストより。複数のギターの展開やエレキ・シタールのアクセント、打ち込みのキーボードやベース&ドラム・セクションでありながら、そのヒューマンなバックトラックに耳を奪われた。恋の喪失感を滲ませる歌詞を表現するヴォーカルも含め完璧で長く聴ける。サウンドの裏方達が良い仕事をした見本である。



☆オーロラ / RYUTist
(『(エン)』収録・記事はクリック
 4人組ガールグループの5作目より。プリミティヴなアフロ・ビートをルーツとするR&Bサウンドをバックに、ソロ・パートとメンバーのコーラスがリフレインするサビのコントラストが非常に新鮮である。アルバム全体的に前作以上に独自性を持つサウンド・プロダクションの曲が多い問題作であるが、作品毎に成長していく彼女達の次作も期待している。



☆meta meta love / TWEEDEES
(『World Record』収録・記事はクリック
 男女2人組ポップ・グループの4thアルアムより。ファンタジー・テレビアニメのコラボソングで、「後期YMOで」というオーダーに応えたサウンドにより拘りが随所に鏤められている。ブリッジの甘美な旋律と無垢な歌声と相まって一本の映画を観たような感動へと誘ってくれる。アルバム全体的に異なる世界観で制作されていながら、彼らの多岐に渡る交流から発展したマスターピースと呼べるだろう。



☆ハートにROCK! / 一色萌とザ・ファントムギフト
(7インチ『ハートにROCK!』収録・記事はクリック
 唯一であろうパブロック・アイドルのサード・シングル。80年代後期のネオGSムーブメントの名バンドをリユニオンさせ、新鋭女性シンガーソングライターに書き下ろしの新曲を提供させるというアイディアに脱帽した。ヘッド・アレンジでエイトビートのガレージ風ロックンロール・サウンドに乙女の片思いを綴った歌詞をキャンディ・ボイスで歌い上げる。

(選者:ウチタカヒデ

2022年12月14日水曜日

一色萌とザ・ファントムギフト:『ハートにROCK!』(なりすレコード / NRSP-7106)


 今年4月のセカンド・シングル『トラブル・ボーイズ』が記憶に新しいパブロック・アイドルの一色萌(ひいろ もえ)が、リユニオンした伝説のネオGSバンドのザ・ファントムギフトをバックに、サード・シングル『ハートにROCK!』を12月21日に7インチでリリースする。
 B面には英国のモダンポップ・ユニット、コーギス(The Korgis)の80年のヒット曲「永遠の想い(Everybody's Got To Learn Sometime)」の日本語カバーを収録し、両サイド共に拘りのカップリングとなっている。

 一色は2020年11月の『Hammer & Bikkle / TAXI』のカップリング曲「TAXI」で英国伝説のパブロック・バンド、デフ・スクール(Deaf School)、前作『トラブル・ボーイズ』(デイヴ・エドモンズのカバー)ではオリジナル作者のデイヴとロックパイル(Rockpile)時代の同僚ギタリストのビリー・ブレブナー(Billy Bremner)とコラボレーションを敢行し、英国ロック・マニアには密かに知られたアイドルなのだ。

一色萌とザ・ファントムギフト

加納エミリ

 プログレ・アイドルグループXOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ エクストリーム)のメンバーである一色は、ソロ作ではパブロックをはじめ、パワーポップやモダンポップと極めてユニークなスタンスで活動しており、本作では80年代後期のネオGSムーブメントを牽引したザ・ファントムギフトまでリユニオンさせてしまったという。
 その情熱には脱帽してしまうが、この新曲「ハートにROCK!」は、80'sテクノ系アイドルからシンガー・ソングライター兼クリエイターに転身した加納エミリが手掛けた書き下ろしで、レコーディング・エンジニアはayU tokiOとしてアーティスト活動をしている猪爪東風(いのつめ あゆ)、ミックスは前作同様マイクロスターの佐藤清喜がそれぞれ参加し、リリース元の“なりすレコード関係者”が全面的にバックアップしている。
 また目を惹く昭和レトロなジャケット・デザインは、ザ・ファントムギフトのメンバーで、アートディレクターとしても知られるサリー久保田が担当している。

 
一色萌とザ・ファントムギフト「ハートにROCK!」MusicVideo

 ここからは筆者による収録曲の解説をお送りする。タイトル曲「ハートにROCK!」は、前出の通り加納エミリのソングライティングで、ザ・ファントムギフトがヘッド・アレンジをしたエイトビートのガレージ風ロックンロールだ。
 ギターのナポレオン山岸(スターリン=遠藤ミチロウとの活動等)、ベースのサリー久保田(アートディレクター、ミュージシャンとしてLes 5-4-3-2-1やSOLEIL等)、ドラムのチャーリー森田(チャーリー&ザ・ホット・ホイールズ等)のオリジナル・メンバーが35年振りにザ・ファントムギフトとしてリユニオンしてプレイしており、こなれたコンビネーションを聴かせている。タイトルはファントムの1987年メジャーデビュー・シングル「ハートにOK!」を彷彿とさせるが、片思いをした乙女の心情を綴った歌詞を一色がキャンディ・ボイスで軽快に歌い上げ、加納もコーラスで参加している。このプリティーなヴォーカルに対して、ファズをかまして縦横無尽に暴れる山岸のリード・ギターとのコントラスが非常に面白く、トラックに施されたリヴァーヴ処理も素晴らしい。7インチということでDJプレイでもフロアを沸かせるだろう。 
 
 The Korgis
『KOOL HITS, KURIOSITIES AND KOLLABORATIONS』

 カップリングの「永遠の想い(Everybody's Got To Learn Sometime)」は、コーギス最大のヒット曲として知られており、今年8月に日本でリリースされた特別編集コンピ『KOOL HITS, KURIOSITIES AND KOLLABORATIONS』(HYCA-8039)のボーナストラックとして、新たにリアレンジとリレコが施され、更に鈴木さえ子と掛川陽介が日本語訳を担当し一色がカバーしていた。
 英国ロック通には説明不要だが、かのジョージ・マーティンが手掛けた『The Man in the Bowler Hat』(1974年)で知られるスタックリッジ (Stackridge / 1969年-1976年)を母体とし、中心メンバーのジェームス・ウォーレンとアンディ・デイヴィスによって1978年に結成されたのがコーギス(1978年-1982年)である。プログレッシブ路線だったスタックリッジをニュー・ウェイヴの波によりモダンポップとして発展させたコーギスは、日本にもシンパが多く、ムーンライダーズ及びその周辺ミュージシャンが特に知られており、今回訳詞で鈴木さえ子が参加したのも頷ける。
 ここではオリジナルと異なるアレンジで、ジェームス(ベース、ヴォーカル)を中心とした現メンバーのジョン・ベイカー(ギターetc)、アル・スティール(ギター)、ポール・スミス(ドラム)、ナイジェル・ハート(キーボード)が新たにリレコしたバックトラックに、一色のヴォーカルを日本でダビングしている。原曲の荘厳でドラマティックなサウンドを80年代中期的にアップデイトさせたというべきか、シンセヴォイスのパッドやオーケストラ・ヒットなどデジタルシンセが多用されているが、表現力豊かな一色のヴォーカルは抜群で、この曲の儚い世界観をよりよく表現している。

 数量限定の7インチ・シングルなので、ネオGSや英国モダンポップ・ファンなどの音楽ファンはリンク先のレコード・ショップなどで早期に予約して入手しよう。 


(テキスト:ウチタカヒデ