2004年6月11日金曜日

☆Sandy Salisbury:『Everything For You Vol.1』(Sound City/9014)

 サンディ・サルスベリーの CD は基本的に 2 種類、日英で選曲が違うので計 4 枚、約 36 曲の音源がリリースされていた。
今回の CD は全 25 曲中 18 曲が初登場で、待望の「新発掘」作品集となった。
ミレニウムのメンバーで最もポップな曲を書くことが出来たサンディ。
しかしアルバムでの単独作は1曲のみで、これだけでは特筆できるものはなかったのだが、ミレニウムのメンバーのソロ作品を追っていて入手できた3枚のシングルがとてもキャッチーで気に入ったため、『ソフト・ロックA to Z』の単行本で、アルバムひとつないのに単独ミュージシャンとして紹介したのが96年のことだった。
その当時は、何でこんな無名の人を項目に入れるのと、いぶかしがられたものだが、ほどなくミレニウム、ボールルーム、サジタリアスの未発表音源が次々リリースされ、その中のサンディの作品が期待を裏切らない極上のポップ・ナンバーばかりで、不遜な言い方かもしれないが、目に狂いはなかったと、内心喜んだものだった。
そしてソロ CD までリリースされ、この中にはサンディならではの、一発でリスナーの心を引き付けてしまうポップメロディが詰まっていて、一気にファンが広がった。
たった4枚のソロ・シングルしか残さなかったミュージシャンが、当時のデモだけで 5 枚目のアルバムをリリースできたのだから、この 8 年はまさに隔絶の感がある。
さて肝心な内容だが、未発表の18曲はハーモニーもリズム隊も入っているが、サウンドの軽さは明らかにデモだ。
サンディならではのキャッチーなメロディはそこここに散りばめられているが、サビの展開がいまひとつだったり、これからさらに検討を重ねていけば、ヒット・チューンになりえる原石だと言えよう。
だからとびきりの作品はない。しかしサンディが最もポップ・マインドを持ったミュージシャンであることは間違いなく、十分に楽しめることは保証しておこう。(佐野)
  

Everything for You                                  

2004年6月4日金曜日

☆Various:『宇野誠一郎作品集1』(ウルトラヴァイヴ/1094)

この CD の監修を担当した濱田高志さんと私、そして私と現在こちカメの演出をしている岩本保雄さんとの間で、日本のアニメ・特撮の音楽を話題にした時に共通した認識があった。
それは日本のアニメ・特撮の作曲者で時に好きなのは3人いて、冨田勲、山下毅雄、そして宇野誠一郎だという点だ。
期せずしてまったく同じ選出だったので、驚かされたものだが、壮大な冨田、洒落た山下に比べればよりオーソドックスな作曲・編曲をする宇野を入れたところにキモがある。
暖かみのあるメロディとオーケストレーション、そして大胆なリズムとアレンジ、ありそうでいて他にはないのが宇野マジックだった。ここではアニメの「ふしぎなメルモ」、「長靴をはいた猫」、「さるとびエッちゃん」、「山ねずみロッキーチャック」、「少年ジャックと魔法使い」、「一休さん」、「W3」、「悟空の大冒険」、「まんがこども文庫」、「アリババと40人の盗賊」からの曲を集め、そして中山千夏が歌を歌った企画盤「なぞなぞな」からの曲を追加収録した。
「ムーミン」、「アンデルセン物語」「ひょっこりひょうたん島」などの曲が入っていないがこれは来る第2集のために間違いないだろう。楽しみに待とう。(佐野)

宇野誠一郎作品集

☆Curt Boettcher:『Chicken Little Was Right』(Sound City/9016)

カート・ベッチャーがウェブ ・バレルというミュージシャンと共に、73年のファースト・ソロ・アルバム『There's An Innocent Face』の後に録音した未発表音源集がリリースされた。
ベースは、アコースティック・ギターにカートのヴォーカル、そしてハーモニーというシンプルなものだが、歌い方、演奏はキッチリと作り込まれたものなので、これはデモではない。ベスト・トラックは牧歌的な、カート自身のペンによる "I Call You My Rainbow" だろう。リコーダーの音色も実に爽やかでいい。
全体的にはスタッフが同じなので『There's An Innocent Face』と同じプロダクションで作られていて、続編という印象がある。ただ本作の方が明るい曲想のものが多く、若干華やかな印象が
ある。なお "Astral Cowboys" は『Misty Mirage』にも収録されていたお馴染みのナンバーのリメイクだった。
(佐野)
 
Chicken Little Was Right