ギターの上手い先輩の話を聞きかじってブルースが重要らしいと思っていた私は、2枚組のロバート・ジョンソンを買ってみて違いの分からない41曲を聴き続けたり、エリック・クラプトンが参加したバンドのアルバムを1枚づつ買ってみたりした。CREAMのベスト盤『The Very Best of Cream』は、そのうちの1つ。重厚感と同時にふわふわしていて、良いとか悪いとかいう感想もすぐには出てこない不思議な印象だったけれど、いつのまにか癖になって繰り返し聴いていたので思い出深い。 1曲目の「Wrapping Paper」はどことなく可愛いらしい感じもして、CREAMと聞いて思い浮かべるような楽曲ではないかもしれないけれど、今聴いても良いなと思う。ただジンジャー・ベイカーとエリック・クラプトンはこの曲を嫌っているとか。
ラッピングペーパー。包装紙の曲?当時から変わったタイトルだなと思っていたけれど、歌詞をちゃんと読んだことはなかった。昔の恋人が忘れられず、一緒に過ごした海岸近くの家に戻りたいと願っている歌のようだ。作詞者のピート・ブラウンは、もともとはビート・ポエトリーの活動をロンドンで行なっていた詩人。ビート・ポエトリーとはジャズに乗せて詩を朗読するパフォーマンスで、1940年代後半にアメリカで生まれた反物質主義、性の解放、東洋思想への傾倒などを特徴とするビート・ジェネレーションという文学運動が基になっている。イギリスではマイク・ホロヴィッツという詩人が1959年に創刊した芸術・文学雑誌『New Departures』に米英のビート詩人の詩を掲載し拡まっていったそうだ。
1961年に開催されたビート・ポエトリーのショーのバックバンドにはグレアム・ボンドや、サックス奏者のディック・ヘクストール=スミスなどがいて、ピート・ブラウンはディック・ヘクストール=スミスを通じて、CREAMのドラムのジンジャー・ベイカー、ベーシストのジャック・ブルースと知り合い作詞を依頼される。当初はジンジャー・ベイカーとの共作のために声がかかったらしいのだけれど、あまり相性が良くなかったようでジャック・ブルースの共作パートナーとなる。デビュー曲「Wrapping Paper」の他、代表曲「White Room」や「I Feel Free」など、数多くの作詞を手がけている。ピート・ブラウンの歌詞は難解と言われ、簡単にひとつの解釈に辿り着くような詩世界ではないように見える。ビート・ポエトリーと同様にジャズの即興演奏のように書かれているのか、曲によっては本人も、書いた瞬間ではなく何年も経ってから出てきた言葉の意味に気づくことがあるそうだ。
参考・参照サイト
https://petebrown.co.uk/
https://thestrangebrew.co.uk/interviews/pete-brown/
https://faroutmagazine.co.uk/pete-brown-poet-of-the-british-invasion/


