2019年4月21日日曜日

RYUTist:『センシティブサイン』(PENGUIN DISC / PGDC-0010)


4人組アルドル・ヴォーカル・グループのRYUTist(リューティスト)が、4月23日に通算7作目となるニュー・シングル『センシティブサイン』をリリースする。
メンバーは五十嵐夢羽、宇野友恵、佐藤乃々子、横山実郁のハイティーンから20代前半の4名から構成され、所謂アイドルとは一線を画すヴォーカル・ワークを誇り、提供される楽曲も音楽通を唸らせるソングライティングとサウンドを持った、拘り抜かれたプロダクションで活動しているのだ。
筆者も昨年5月にリリースされた『青空シグナル』(PGDC-0007)収録「無重力ファンタジア」を、昨年の年間ベストソングに選出したほど彼女達の作品には注目している。


さて本作のタイトル曲「センシティブサイン」は、若干21歳のシンガー・ソングライターのシンリズムの提供曲である。
またカップリングには、サード・アルバム『柳都芸妓(りゅうとげいぎ)』(PGDC-0005)のリード・トラック「夢見る花小路」を提供した佐藤望による「素敵にあこがれて」と、microstar(マイクロスターWack Wack Rhythm Bandのメンバーがタッグを組んだ「バ・バ・バカンス!」の2曲が収録されている。
今月頭に音源を入手してから聴き込んでいるが、このシングル収録曲について解説していこう。


センシティブサイン / RYUTist

タイトル曲の「センシティブサイン」は、イントロのエレキギター・アルペジオから始まるホーン・セクション入りの溌剌としたポップスで、アレンジ的にはファンキーなベースとコンガのポリリズムが利いている。シンリズムならではの個性は薄いが、ブリッジからサビのメロディの美しさなど、RYUTistのハーモニーを活かした楽曲の良さは光っている。

続くカップリングの「素敵にあこがれて」は、先月レビューしたコントラリーパレードの『CONTRARY』収録「ユートピア」のアレンジで手腕を発揮していた佐藤望(Orangeade他)のソングライティングとアレンジによる楽曲だ。前出の「夢見る花小路」を一聴した時からその才能には注目していたが、この曲でも極めて独創的なサウンドを展開していて裏切らない。
右チャンネルのラウドなエレキ・ギター(Orangeade黒澤鷹輔のプレイ)のフレーズと、センター及び左チャンネルで展開するピッコロ、フルート、ファゴット等木管楽器のコントラストがとにかく素晴らしく、縦横無尽に発されるアックの強いシンセのオブリガートもいいアクセントになっている。
アルドル・ヴォーカル・グループへの提供曲としては異端ではあるが、80年代初頭にテクノ少年だった筆者にとっては全く違和感がなく、むしろ歓迎すべきで、早くも本年度ベストソング候補に入る。

カップリングのもう1曲は、 microstar(飯泉裕子・佐藤清喜)のソングライティングに、Wack Wack Rhythm Band(以降ワック)のホーン・セクションとパーカッションがコラボレーションしたハウス系ダンス・ナンバーで、Beats Internationalの「For Spacious Lies」(『Beats International』収録90年)を彷彿とさせる。ホーン・アレンジは佐藤清喜とワックの三橋俊哉が担当し、サルソウル・フレイバーを醸し出している。
このシングル収録3曲は、アイドル・ファン層を超えた音楽通にもお勧めする出来る内容であるので興味を持った音楽ファンは是非入手して聴くべきだ。
(ウチタカヒデ)


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