2007年5月1日火曜日

☆Tom Jones:『This Is Tom Jones』(TIMELIFE/M19269slip)DVD


トム・ジョーンズのTVショー『This Is Tom Jones』の1969年から1970年に放送された8回分を集めたものが本DVDだ。かつて同名のDVDが出ていたが、これは正真正銘の『トム・ジョーンズ・ショー』(日本での放送名)で、DVD3枚組みという豪華版である。何よりも素晴らしいのは毎回呼ばれる豪華ゲストの歌と、ゲストとトムとのデュエットである。まずは目玉のフーである。19694月に出演していて、リアルライブで「Pinball Wizard」を披露してくれるのだが、原曲に忠実でかつ緻密な歌と演奏は極めてクオリティが高く、この当時、フー以上のライブバンドはないな、と改めて思い知らされた次第。見た目も最高にカッコいい時代だ。その少し前の2月にはムーディー・ブルースが登場する。「Departure」から「Ride My See-Saw」のメドレーで、こちらはオケを別録した口パクと思われる。メンバーはジェントルな服に身を包み、なかなか格好いいのだが、「Departure」がグレアム・エッジのソロ・ナレーションだったため、グレアムの位置が前列中心、カメラはまずグレアムのアップを映し、その後はマイク・ピンダーとレイ・トーマスのアップ、なんとジャスティン・ヘイワードのアップはたったの1回、ジョン・ロッジもほんの少しという、とんでもないカメラアングルだった。肝心な二人がオマケ程度、「Ride My See-Saw」のソングライターでビジュアルもいい貴公子ジャスティンにカメラを当てないなんて、バカじゃないかとほとほとあきれた。この回ではメリー・ホプキンも「Those Were The Days」を歌っていた。ただしこれらはみな、ソロ・パフォーマンスで、トムとのデュエットはなかった。そのトムとのデュエットは、まず19709月のバート・バカラックのゲストで見られる。ここではまずバカラックのピアノでトムが「What's New Pussycat?」「The Look Of Love」「What The World Needs Now Is Love」を歌い、後半ではJim Sullivanの生ギターをバックにトムとバカラックがデュエットで「Raindrops Keep Fallin' On My Head」で歌うという豪華版。何といってもバカラックの曲は本当に素晴らしい。しかしトム・ジョーンズは、もっとパワフルな、R&B系の曲でないと本領発揮できない。ディスク2以降は、リトル・リチャード、ジャニス・ジョプリン、ジョー・コッカー、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリンという最高のメンツを集め、これ以上ないというエネルギッシュなデュエットを聴かせてくれる。リトル・リチャードのソロの「Lucille」、トムとのデュオの「Jenny Jenny」「Rip It Up」「Send Me Some Lovin'」「Good Golly,Miss Molly」は最高だ。これを聴いて体が動かない奴なんてロックを語る資格なんてない。ロックンロールのカッコよさを十分堪能させてもらった。しかしリトル・リチャード、アイ・メークが物凄く、まつげを上下にカール、マスカラも塗っているようでおメメパッチリ、アップはかなり気持ち悪い(笑)。しかしそれにもまして素晴らしかったのが、ジャニス・ジョプリンとトムとのデュオ「Raise Your Hand」だ。ジャニスのR&Bフィーリング溢れる強烈な魂のシャウト・ヴォーカルに、一歩も引かずにシャウトで答えるトム・ジョーンズ、こんな熱い、カッコいいデュエットは今まで見たことがない。間違いなく本DVDのハイライトだ。絶対に、絶対に見てほしい。(佐野)
 







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