2005年6月23日木曜日

☆Pilot:『Two's A Crowd』 (BMGファンハウス:BVCM37614)

パイロットのオリジナル・アルバムで唯一 CD 化されていなかった4枚目の、そして最後のアルバムがようやく日本のみでリイシューされた。
このアルバムの時点ではウィリアム・ライアルとスチュワート・トッシュが脱退していたため、デビッド・ペイトンとイアン・ベアースンの二人で制作したものだが、アラン・パーソンズがプロデューサーに復帰したことから、メロディアスで明快なパイロットのサウンドが復活し、パイロット・ファンのみならずポップ・ファン、ソフト・ロック・ファンなら是非持っていたいアルバムに仕上がった。
ペイトンのポップ・センスは冒頭の「Get Up And Go」で全開だ。キャッチーなメロディ、爽やかなハーモニー、アルペジオを効果的に使ったバッキング、パイロットの楽曲の中でも屈指の傑作である。
静かな美しさをたたえた「Library Door」もいい。
しかしこのアルバムで驚かされたのはベアースンの曲作りの進歩である。
特に「Monday Tuesday」はストリングスをフィーチャーした素晴らしいバラードで、文句なしにアルバムのハイライトになった。
パイロットらしいポップな「One Good Reason Why」、「There's A Place」など、このアルバムではペイトンの楽曲を上回る出来を見せている。
ライアル脱退の穴を十分に埋めていたと言えよう。
しかし、このアルバムからヒットが生まれなかったため、当時のアリスタ・レーベルは、アメリカでは発売もしないまま、長くカタログの隅にしまい込んでいた。アリスタがあまりにリイシューに無関心なため、業を煮やしたペイトンとベアースンの二人はこのアルバムの大半をリレコした『Blue Yonder』を2002年にリリースしたのは記憶に新しい。
この CD のライナーには二人のインタビューも載っているので、これも注目だ。
(佐野)
新たなる離陸(トゥーズ・ア・クラウド)

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