2010年5月20日木曜日

Radio VANDA 第121回放送リスト(2010/6/03)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

特集:Cass Elliot


1. Welcome To The World

 2. Glad To Be Unhappy...Mama's & Papa's

 3. Long Time Loving You

 4. It's Getting Better

 5. He's A Runner

 6. Move In A Little Closer Baby

 7. Make Your Own Kind Of Music

 8. New World Coming

 9. A Song That Never Comes

 10. Don't Let The Good Life Pass You By

 11. Ain't Nobody Else Like You

 12. That Song

 13. I'll Be There

 14. Disney Girls

 15. Saturday Suit

 16. I'm Coming To The Best Part Of My Life

 17. Something To Make You Happy ... Dave Mason & Cass Elliot

 

2010年5月16日日曜日

KATHY MCCORD:『NEW JERSEY TO WOODSTOCK』(BIG BEAT RECORDS/CDWIK2 289)


 フォーク系シンガーソングライターとしてサイケポップ・ファンに人気が高いKATHY MCCORD(キャシー・マッコード)の唯一のアルバム『RAINBOW RIDE』(70年)が、デビュー・シングルと70年代に録音された未発表音源をコンピレーションした2枚組で、英ACE系のBIG BEAT RECORDSから3月に新装CDリイシューされたので遅まきながら紹介したい。

 そもそも本編の『RAINBOW RIDE』は、68年にA&Mレコード内に後のクロスオーバー/フュージョンの先駆けとしてクリード・テイラーが設立したCTIレコーズが、70年にA&Mから独立した際1000番台の第一作目としてリリースした記念碑的アルバムである。

 最終的にこの1000番台からは5作品しか発表されなかったが、このレーベルの主力である3000~8000番台の所謂ジャズ系ミュージシャンの作品群とは異なり、ジャンルレスな実験的作品のシリーズを目指していたようだ。17歳の新鋭シンガーソングライター(以下SSW)のデビュー作としてはうってつけのシチュエーションといえるが、テイラーもそのあたりのインパクトを狙っていたに違いない。
 キャシー・マッコードは52年にニューヨークで生まれ、幼い頃より兄と共に音楽に接していたようだ。因みに兄ウィリアムはビリー・ヴェラという芸名で俳優、ソングライターとして活動しており、本作でもキャシーと1曲共作している。
 また本作に参加したミュージシャンの中核で、ディランやアル・クーパーのセッションで知られたベーシストのハーヴェイ・ブルックスは、このレコーディングの直前にはマイルス・デイヴィスの問題作『Bitches Brew』(69年)に参加している。他には後にオーリアンズを結成するギタリストのジョン・ホールとドラマーのウェルズ・ケリー、当時彼らやハーヴェイとサンダーフロッグを組んでいたキーボードのポール・ハリス、ジャズ系人脈からはCTIからソロアルバムをリリースするフルート奏者のヒューバート・ロウズ、アレンジにドン・セベスキー(ウェス・モンゴメリーの『A DAY IN THE LIFE』などCTIでの名仕事多し)、エンジニアには名匠ルディ・ヴァン・ゲルダーと、音楽界の変革期を背景に幅広い人材の参加が非常に興味深い。

 ディスク1の『RAINBOW RIDE』は既に幾度かリイシューされているので詳しいレビューは割愛するが、タイトル曲におけるホールのラーガ風のギターソロと、チェイス辺りにも通じるジャズ・ロック調のセベスキーのホーン・アレンジのコントラストが特に素晴らしい。

アルバム全体的には参加ミュージシャンのカラーからウッドストック派のサウンドに通底しており、SSWとしてのキャシーは初期のジョニ・ミッチェルに非常に近い。

 興味深いことのは、ディスク2収録の70年代にレコーディングされた16曲の未発表音源だが、これがそのジョニの『Court And Spark』(74年)以降のサウンドを彷彿とさせて、何故リリースされなかったのか不思議なほどに完成度が高い。
 参加ミュージシャンはハーヴェイが中心となったファビュラス・ラインストーンズの3名と、ザ・バンドのリヴォン・ヘルムとリック・ダンコが基本メンバーで、唯一無二の名ギタリストであるエイモス・ギャレット、ホーン・セクションにはブレッカー兄弟やデイヴィッド・サンボーンなど、またバックコーラスにはヴォイス・オブ・イースト・ハーレムと極めて豪華な面々がクレジットされている。曲によってはザ・バンドのガース・ハドソン風のクラヴィネットを耳にすることが出来るので、他にも参加している可能性が高い。
 なお今回は英ACE系のリイシューCDということでリマスタリングは申し分ない。欲を言えばディスク2のマスター音源の音質がもう少しよければというところ。11ページに及ぶブックレットには、キャシー本人と兄であるビリー・ヴェラによる最新の解説文が掲載されている。

(テキスト:ウチタカヒデ






2010年5月10日月曜日

☆Twinn Connexion:『Twinn Connexion』(Now Sounds/CDNOW16)

『ソフトロックA to Z』を出す1年前、1995年のVANDA18号の特集が『Soft Rock A to Z』だった。この18号は増刷したにもかかわらず瞬時に売り切れ、それを知った出版社がアプローチしてきて、加筆して冒頭の本としてまとめたわけだが、VANDA18号の特集の時から一押しだったアルバムがこのツイン・コネクションの本作だったことを思い出した。
本を出したときにはその大半は多くのリスナーにとって未知のアーティストであり、もちろんCD化などほとんどされていなかったのだが、この15年で逆にCD化されていないアルバムの方が数えるほどになってしまった。隔世の感を禁じえないほどだが、こういった無名アーティストの良作にスポットを当てられたことは嬉しいことで、初リイシューのこのCDを手にしながら、『ソフトロックA to Z』を出しておいてよかったなと改めて思った次第。レーベルはCherry Red傘下のNow Soundsで、同じ傘下のRev-Olaといい、着実にこの本のアルバムをCD化していってくれる最も要チェックのレーベルのひとつである。海外のバイヤーの人から聞いた話だが、米英のバイヤーの多くは『Soft Rock A to Z』を持っていて、レーベルの人間も多く持っているそうだ。もちろんこのレーベルの人も持っているそうである。
さて、前置きが長くなったが、このツイン・コネクションのキーマンは全ての曲作りとプロデュースを担当したジャック・ケラー、そして共作者のデイブ・ブルームであることは間違いない。ジャック・ケラーはアンディ・ウィリアムスの「Almost There」などを書いた作曲家で、このアルバムに収録されたサークルの大ヒット曲「Turn Down Day」も同じくジャック・ケラー&デイブ・ブルームのペンによるものだった。ツイン・コネクションのヴォーカルはサークルのヴォーカルと酷似しており、ジャック・ケラーはこういうハイトーンで軽い声質のヴォーカルを探していたのかもしれない。Aメロのヴォーカルに電気処理を施し、生声と交互に進行していく「Sixth Avenue Stroll」はクールでカッコよく、この冒頭の1曲で一気に引き込まれるだろう。同じくクールな雰囲気を持つ「I Think I'll Just Go And Find Me A Flower」、アコースティックなポップ・ナンバー「I Think I Know Him」、そしてハープシコードと弦楽器のバッキングによる美しいバロック調の「Dilemma」と続き、その後にフォークロックの傑作「Turn Down Day」が現れるのだからそのクオリティにはため息がでるほどだ。B面では転調と巧みなベースの進行を使った実にオシャレなソフトロックの傑作ナンバー「Foolin' Around」からスタート、その後、プロのワークスだと感じさせる大バラードの「Summer Sadness」、ハーパース・ビザールかと思わせるオールドタイミーなソフトロックナンバー「Oh What A Lovely Day」と続き、このアルバムが名盤だと改めて感じることができた。

海外のレーベルが作ると嬉しいのはボーナストラックと、解説である。ツイン・コネクションの二人が何者であるかはそれまでまったく分からなかったが、この解説には詳細なプロフィールと数多い写真が載り、双子の一人は既に故人であることなども分かった。そしてボーナストラックには4曲の未発表曲が納められた。この内、2曲の作曲にはこの双子が名を連ねていたが、どちらもジャック・ケラーがプロデュースしていたこともあり、ストリングスも入って意外と(失礼!)いい曲だった。絶対購入すべきCDである。(佐野)
Twinn Connexion