2000年12月31日日曜日

☆Various:『The Concert For New York City』(Columbia/96270)




9月11日の同時多発テロで大打撃を受けたニューヨークを支援するため、10月20日に急遽開催されたチャリティコンサートのライブ盤だ。テロの深刻さを物語るように出演者は実に豪華。デビッド・ボウイ、ボン・ジョヴィからスタートして、エリック・クラプトン、ジェームス・テイラー、エルトン・ジョン、ビリー・ジョエルなど織り込みながら CD 2枚に渡って繰り広げられる。
個人的に特筆したいのはまずポール・マッカートニー。チャリティ好きの人なので各種ライブに登場しているが、ここでは "I'm Down" , "Yesterday" "Let It Be" "Freedom" の4曲を歌う。ラストの曲は『Driving Rain』にも収録された新曲。久々の "I'm Down" が嬉しい。 "Let It Be" の間奏のギターはクラプトン。
そしてミック・ジャガー、キース・リチャードの2人は "Miss You" "Salt Of The Earth" を披露する。後者はいつ聴いても感動的だ。
そしてベストパフォーマンスがやはりフー。ドラムにはザック・スターキーが入り "Who Are You" "Baba O'Reiley" (O'Reillyは誤植) "Won't Get Fooled Again" の3曲を歌う。いやーやはりフーはライブはエレクトリック・セットに限る。フーのライブのダイナミズム、その演奏力の高さに改めて驚かされた。音のひとつひとつが実に美しい。ライブの後の歓声も、おそらくすべてのアーティストで一番大きかったのではないか。私の見たいライブの筆頭は文句なしにフー、このライブ盤を聴いていてますますその思いは強くなった。(佐野)

The Concert for New York City

2000年12月20日水曜日

Radio VANDA 第 9 回選曲リスト(2001/1/4)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 
第一特集My Favorire Soft Rock Part2

1. Don't Play With The One Who Loves You...Cotton. Lloyd & Christian ('74)
2. End Of The Line...Terry Silvester ('74)
3. It's Gonna Take A Lot...Gordian Knot ('68)
4. So Lovely...Joy(?)
Composed by Rick Henn
5. You're Too Young...Silverbird ('73)
6. Happiness Is...Orange Colored Sky ('69)
7. Get The Message...Bobby Vee ('67)
8. May My Heart Be Cast Into Stone...Don & The Goodtimes ('68)
9. You Don't Need A Heart...Teddy Randazzo ('65)
10. Old Fashioned Feeling...High Noon ('70)
11. It Take A Lot Of Loving[Original LP Version]...Harmony Grass ('70)

2

12. Ten Below...Chris & Peter Allen ('66)
13. California Home...Mark Eric(?)
14. Solitude...Pastors(?)
15. Melody Fair...Bee Gees ('71)
16. More Today Than Yesterday...Spiral Starecase ('69)

 


2000年12月13日水曜日

DVD/CD『劇場版エースをねらえ!』(バンダイビジュアル/BCBA0657)

映像作品は音楽物以外、紹介しないようにしてきたが、この DVD は作品のBGM 集が CD として付けられた画期的なディスクだったので、紹介することにした。「劇場版エースをねらえ!」は以前 VANDA 本誌でも特集した日本アニメーション史上に輝く金字塔だ。宮崎駿、高畑勲監督と並ぶ名監督、出崎統の作品の中でも最も充実した傑作中の傑作である。TV シリーズとはまったく別の劇場版を作る際、出崎はこの長編を削ぎ落とすだけ削ぎ落とした。私が苦手だった部員のイジメはすべてカットされ、岡の成長と共にサラっと描かれる淡い慕情が、この作品を青春賛歌に変えた。青春賛歌と書くといかにもクサそうに見えるだろうがそうではない。誰の心の中にも、そうこの今でも、心の中に大切に抱かれている、人間の根源への賛歌だ。そしてスピーディーな演出、作品の最大のクライマックスである岡が緑川の弾丸サーブからエースを取り、その力を驚きを持って認めた竜崎が「ひろみ、勝ちに行くわよ」とフォーメーションを指示したその時だ。取材のヘリコプターの爆音がオーバーラップして、画面は試合後の学校へ変わっている。普通の演出家なら、逆転で勝利する感動の場面を必死で描くだろうが、出崎は岡と竜崎の気持ちがつながったその時だけで、私達に勝利を確信させ、さらにカタルシスも果させていた。「ガンバの冒険」、「宝島」とシャープな演出で我々を夢中にさせてくれた出崎監督の真骨頂と言えよう。「エース」が嫌いな人にこそ見てもらいたい作品である。さてこの作品の音楽は馬飼野康二で、BGM も非常にいい。なんといっても基調が爽やかであり、プロの作曲家の実力を十分に見せてくれる。DVD で聴ける少年探偵団が歌う主題歌「まぶしい季節に」は、日本のソフトロックの傑作と言ってもいい1曲。フォーク調ながらダサくならないこの曲は作品を見た後だとさらに光るはず。
(佐野)

2000年12月1日金曜日

☆Tony Rivers Collection Volume 1:『Castaways』(RPM/193)☆Tony Rivers Collection Volume 2:『Harmony Grass』(RPM/194)




EMレコードでリリースされ、大ヒットとなった『Harmony Grass: This Is Us』『Tony Rivers & The Castways: Birth Of Harmony』の成功を見て、イギリスのRPMレーベルが出したのが本CD。素晴らしいハーモニーと芳醇なメロディのアンサンブルで我々を酔わせてくれたハーモニー・グラスの音源と、スタイルを変えながら最終的にハーモニー・グラスのスタイルになっていく変遷が聴きもののキャスタウェイズ時代の音源はどちらも素晴らしく、特に名曲揃いのハーモニー・グラスは必ず入手すべき。でもこれは前にも書いたね。選曲はほとんど同じだが、 EMレコードの方が曲が多く、『This Is Us』ではPyeのサントラ盤のみに入っていた好バラード「It Takes A Lot Of Lovin'」と名曲「I Remember」のイタリア語版「To Lo Ricordi」、ラジオ用のスタジオ・ライブの「Move In A Little Closer Baby」「Walk On By」、『Birth Of Harmony』ではラジオ用のスタジオ・ライブの「Windy」がRPMの方には入っていない。よってはじめて買う人には解説も充実したEMレコードの方をおすすめする。しかしこしゃくなことにRPMのCDには1曲づつ初登場の音源があり、まず『Harmony Grass』にはキャスタウェイズ末期の68年、ポリドールのスタジオで録音されたGibb作の「Turn Of The Century」が収められた。この曲はキンクスの「Sunny Afternoon」そっくりのイントロから始まり、ハープシコードのバッキングに乗せた哀調を帯びたメロディとハーモニーが心地良い好作品。『Castways』には67年にラジオ・ルクセンブルグのFAB 208スタジオで録音された作者不明の「For Once In My Life」が収録。この曲はアコースティック・ギター1本のバッキングに自慢のハーモニーを乗せた爽やかなフォーク・ナンバーだった。そしてさらに『Castways』にはEMレコードでは4曲入りEPのみのリリースの「Nowhere Man」と「The Girl From New York City」が収録された。結局このRPMのCDも必要ということである。来年春にはVol.3が予定されている。『Tony Rivers Harmony Works In The Studio 1971-1993』の内容と同じなのはミエミエだが、きっと1曲ぐらい違うんだろうなあ。(佐野)
Tony Rivers Collection Vol.1: CastawaysThe Tony Rivers Collection, Vol. 2: Harmony Grass

ソフト・ロック in JAPAN(VANDA編/音楽之友社)



GS、加山雄三から始まる日本のソフトロック前史、そしてガロ、シュガー・ベイブ、杉真理、スターダスト・レビュー、カルロストシキ&オメガトライブ、村田和人、大瀧詠一、山下達郎など日本のソフトロックを生み出したキーパーソンを90年代のアーティストまで約200組を紹介。筒美京平、村井邦彦、加藤和彦などはワークスで、またアニメ、特撮までウィングを広げ冨田勲、山下毅雄、宇野誠一郎などの素晴らしい楽曲をまとめた。林哲司インタビューと作品リスト、喜多嶋修ストーリー、そしてソフトロックを音楽的に分析する。