2003年3月31日月曜日

☆『TOMITA ON NHK』(日本コロムビア/83613)



 大河ドラマを含め、冨田勲は NHK の番組テーマソングを数多くの作曲しているが、その大半が1枚に収められた究極の CD が発売された。
冨田をよく知らない人もまずは買ってみて欲しい。日本人でも世界に誇れる作曲家がいるという事が絶対に分かるはずだ。
では、初 CD 化のものや知られていない音源をまず紹介しよう。
"新日本紀行 " は3テイク収められたが、TV版(ヴァージョン2)、そのリレコ版( NHK テレビ放送50周年で今年録音されたもの)に加え、よく知られているヴァージョン2の前の初期のテーマソング(ヴァージョン1)まで収録された。
ソノシートのみで聴くことができた63年のヴァージョン1は明るい旋律が耳に残るアカデミックな佳曲。
同じソノシートに入っていた "現代の映像 " (64年)は冨田らしい壮大なオーケストレーションが素晴らしく、これも必聴だ。
初 CD 化の "わたしの人生 " (71年)は冨田らしい金管の音色が耳に残る。
"青い地球は誰のもの-70年代われらの世界 " はまたしてもオリジナルではなく、 NHK 放送50周年記念用に今年リレコされた新録ヴァージョンが収録された。
先に CD 化されていたヴァージョンの方が出来ははるかにいいのだが、そのドラマティックな展開と曲全体に漂う凛とした空気はこちらにもあり、やはり名曲と改めて感じた次第。
"みんなの世界 " (72年)も残念ながらリレコヴァージョンが収められ、どうもこちらの願いと、気に入らないのかこうしてオリジナルを出さないアーティストの考えは食い違っていくばかり。
次に NHK の通販専用 CD にしか収められていなかった3曲から。
エキゾチックなマイナーメロディによる "日本の素顔 " (57年)は "新日本紀行(ヴァージョン2) " を思い起こさせる佳曲、 "教養特集 " (56年)はストリングスと管楽器による気品漂う佳曲で、どちらも出来がいい。
また木琴主体の "きょうの料理 " (57年)のテーマは、誰でも知っているあまりにも有名な曲でこれが冨田作品と知ってビックリするだろう。
本 CD には97年のリレコバージョンも収められている。
同じくあまりにも有名な "きょうの健康 " のテーマソングも収録されたが、こちらは初 CD 化。
72年より現在でも同じテイクがオン・エアーされている。
曲というよりジングルと言うべき20秒の "ニュース解説 " (78年)も、よく知られているメロディでこれも初。
"宇宙船シリカ " (60年)はイントロのファンファーレが入った完全版が収められこのヴァージョンは初 CD 化である。短いが転調につぐ転調の快作だ。
TVサイズの "宇宙人ピピ " (65年)も初 CD 化だろう。
さらに NHK のコンピレーションLPには収められていたものの CD はリレコのみでオリジナル・ヴァージョン収録は初なのが "文五捕物絵図 " (67年)。
そして既に CD 化済だが改めて収録されたのが大河ドラマ5作。
さらに最近の NHK スペシャルなどの "アジア古都物語 " , "聖徳太子 " , "ミツコ二つの世紀末 " , "太郎の国の物語 " "街道を行く " "蒼き狼 " が入り、この1枚の CD で CD 3枚、LP1枚、ソノシート1枚が不要となる超お徳用盤だった。
(佐野)

商品の詳細

☆Beatles:『Anthology』(東芝EMI/TOBW3101-5) DVD

 96年に公開されたビートルズの10時間に及ぶヒストリー・ビデオ『Anthology』が DVD 化された。
当時LD化もされたため、LDを持つ私のような人間にとっては、同じままではつまらないなと思っていたが、81分にも及ぶボーナス・ディスクが付いた5枚組というので小躍りしたもの。
そして日本盤なのに5枚で15000円という低価格 (私は店頭で買ったが、amazon.co.jpでも15%引きなので実際は12750円で広く売られている) にも思わずにんまり。
この内容でこの値段、買わない奴は音楽ファンではないぞ。
久々に見直してみたが、やはりビートルズは最高だ。
音楽が最高なのはもちろんとして、彼らはなにしろカッコいいのだ。見た目も最高、惚れ惚れしてしまう。ここが他のバンドとは決定的に違うね。
さて、本編の内容は語っているとキリがないし、どこでも書かれているだろうから、ここでは省略。
ただ、ふんだんに収録された各地のライブ、TV出演のライブはその抜粋だし、プロモーション・フィルムには複数のフィルムのミックスのうえ曲の途中にコメントが入ることがしばしば。ライブは全編を、まだまだ残るプロモーション・フィルムはそのままの形できちんと出してもらいたい。
まあ『Let It Be』がずっと発売されていない現在では、ドル箱のこれらの映像は簡単には出せないのだろうな。
それではやっとボーナス・ディスクについて。
ジョージの邸宅に招待されたポールとリンゴが、庭でウクレレを弾きながら歌ったり、室内でアコギ2本とドラムでオールド・ロックンロール・ナンバーを即興で歌う17分が目玉だ。
続いてスタジオでジョージ・マーティンと曲を聴きながらレコーディングの思い出話に花が咲く「Back At Abbey Road-May 1995」が素晴らしい。
ファンならたまらない話が聞ける。
"Free As A Bird" と "Real Love" のレコーディング秘話が3人のコメントとジェフ・リンを加えた実際のスタジオのシーンで明らかになる「Recording "Free As A Bird" And "Real Love" 」も興味深い。
さらにジョージ・マーティンを中心に3人のコメントを交えた「Compiling The Anthology Album」があるし、ビデオ・LDでは未収録の "Real Love" のプロモーション・フィルムも収められた。
期待に違わぬ内容のこのディスクがあるので、LDを買った人も観念して買いましょう。(佐野)


2003年3月26日水曜日

☆Warren Zevon:『The First Sessions』(Varese Sarabande/3020664382)

 カルト的な人気を持つ孤高のシンガー・ソングライター、ウォーレン・ジヴォンがソロ・デビュー前に録音した作品集がこのCDだ。
1966年、ジヴォンはヴァイオレット・サンタンジェロという女性歌手と Lyme & Cybelle というデュオを組んでいて、その時の音源が中心。
シングルとして発表された2 枚はなんとプロデュースがボーンズ・ハウだった。これは収穫。
ただしジヴォンらしいのはその後のソロ名義のデモだ。
さて我々にとって最も注目は、ボーナス・トラックに入っていた、ジヴォンが外れ新しい Lyme ことWayne Erwin が男性ヴォーカルを担当した、"Song 7/Write If You Get Work" のシングルだ。
この66年のシングルのプロデュースはカート・ベッチャーで、特に A 面はポップながらアヴァンギャルドなハーモニーがいかにもカートで、楽しめる。
B 面はオールドタイミーな作品で、エンディングで僅かにカートらしさが見えた。
バッキングにはミレニウムのメンバーがずらりと並び、スタジオ・ミュージシャンはアソシエイションのアルバム制作とスタッフだった。(佐野)


2003年3月25日火曜日

Radio VANDA 第 36 回選曲リスト(2003/04/03)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

 
第一特集Alzo

1. Something Going ('69) ... Alzo&Udine
2. C'mon And Join Us ('69) ... Alzo&Udine
3. Hot Time In The City ('69) ... Alzo&Udine ※Single Only
4. All Of My Lovin' ('69) ... Alzo&Udine ※Single Only
5. Don't Ask Me Why ('71)from
Alzo
6. Looks Like Rain ('71)from
Alzo
7. So Glad ('73)from
Taking So Long
8. (I Want You To Be)A Part Of Me ('73) ※Unreleased
9. (Do I Have To)Lead You By The Hand ('73) ※Unreleased
10. Sunday Kind Of Love ('75)



第二特集: fromMUSIC FOR ATOM AGE

11. Beep beep beep! ... ヤング101+シンガーズ・スリー
12.
地球の歌 ... 森の木児童合唱団
13. lonely lonely ...
タケカワヒキヒデ
14.
ララバイ歌おう ... EPO

 

2003年3月23日日曜日

☆Happenings:『The Happenings/Psycle』(Collectable/7489)

ハプニングスのCDはSequel,Magicでリリースされたが、それぞれベスト盤的色彩のコンピレーションのため、ハプニングスがその本領を発揮したB.T.Puppy時代の2枚のオリジナルは、セカンド・アルバムが全曲収録されただけで、オリジナルの形ではリイシューされないままだった。
しかし、ようやくこの2イン1で全ての曲が聴けるようになった。
トーケンズと片面を分け合った『Back To Back』の曲はここには収められていないが、先の2枚のコンピに全曲収録されている。
さて、トーケンズがプロデュースした B.T.Puppy 時代のハプニングスは、フィリップス時代のフォー・シーズンズとイメージが見事にダブる。
そう、華麗なハーモニーと爽快なサウンド、ビートが一体となった理想のポップ・ミュージックだ。 "See You In September", "Go Away Little Girl" ,"I Got Rhythm" ,"My Mammy"という大ヒット曲は全てその黄金のヒット・サウンドで作られたため文句なしの出来だが、どのベスト盤にも入っているためここでは省略。
アルバム収録曲でのポイントを紹介しよう。
ファースト・アルバムでは、緊張感のあるAメロがハーモニート共に解放される "You're Coming On Strong,Babe" がベスト。
キャッチーな "The Same Old Story", 甘く美しいバラード "Girl On A Swing"も素晴らしい。
全12曲中この3曲がメンバーのボブ・ミランダのオリジナルなのだが、それがいずれも傑作なのは、ちょっとした驚き。
セカンド・アルバムではハープシコードとベースの絶妙のバッキングが『Pet Sounds』を思わせる "That Cold Feeling"がベスト。
キャッチーな "I Believe In Nothing"、ノスタルジックな香りが心地よい "When The Summer Is Through"も快調で、これらの曲はMargo=Margo=Medress=Siegle,つまりトーケンズの書き下ろしで、今度はプロデューサーがその力を見せつけた。
その他では冒頭のハーモニーから心を奪われる "I'm Always Chasing Rainbows"が素晴らしい。
やはりB.T.Puppy時代のハプニングスは最高だと、久々に聴き直して再認識できた。
(佐野)
The Happenings: Psycle by Happenings (2003-01-21) 【並行輸入品】