2000年5月8日月曜日

☆Who:『The Who Live The Blues To The Bush/1999』(MusicMaker.Com)




先のピート・タウンゼンドの『Lifehouse』『Avatar』に続き、フーの昨年のライブもインターネットのみで販売された。このアルバムは有料ダウンロード、もしくはこのCDRを購入する形だ。CDRというのが何ともセコいが、ジャケットなどの紙素材は印刷されたもの。さて、肝心な「音」だが、これがいいのだ。先日のBridge Schoolでのアコースティック・ライブは、何とも枯れてしまった感じで、フーのダイナミズムはもう失われてしまったかと、正直なところ期待は全然していなかった。この昨年11月のHouse Of Blues,Chicago、12月のEmpire Theatre,Shepherds Bushのライブは完全なエレクトリック・セットのライブで、ドラムにリンゴ・スターの息子のザック・スターキー、キーボードにジョン・バンドリックを迎えた5人という最小編成ながら、力強い演奏でフー健在を示してくれた。ピートの耳は復活したのか、ヘヴィなギターを炸裂させ、ジョンはまったく衰えないベースのスーパー・プレイ、まったくこの2人だけでサウンドが成立してしまうのだから凄い。長い間奏の曲がいくつがあるが、往年のような迫力満点のプレイを楽しめる。そしてザック・スターキーのドラムが、ケニー・ジョーンズよりはるかに手数が出るので、よりフーらしいサウンドに戻っているのが嬉しい。「The Real Me」なんてキースがいた時のフーのようではないか。そして曲によってそのオリジナルのスタイルに近いようにサウンド全体を変えているが、このことからもこのライブに「本気」に取り組んでいることが伝わってくる。リリカルな「Pure And Easy」、軽快な「You Better You Bet」、ヘヴィな「My Generation」とそれぞれギターの音色も違っている。初期のナンバーではエフェクトを使わないギターで演奏しているし、これらの「やる気」はロジャーにも伝わり、かなり切れ味のいいヴォーカルを聴かせてくれる。CD2枚組のライブというのは通常通して聴くのがしんどいのだが、このライブは一気に聴くことができた。この演奏なら、噂されるスタジオでのニュー・アルバムも期待できそうだし、何よりも日本へ是非ツアーで来て欲しい。このライブなら、楽しみ。なお、このCDRの申し込みはmusicmaker.comまで。(佐野)

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