2000年5月8日月曜日

☆Heaven Bound with Tony Scotti:『Breaking Up Is Hard To Do』(Vivid Sound/VSCD744)

 ハーモニー・ポップの傑作として名高い、ヘヴン・バウンドのアルバムがついにCD化された。このヘヴン・バウンド、メンバーはポップ・サイケ・フィールドで名盤を次々生み出しその後MGMの副社長兼プロデューサーとして活躍していたマイケル・ロイド、ラブ・ジェネレーションのプロデューサーのトミー・オリバー、サンレイズのメンバーだったエディ・マドーラとその姉妹のジョーン・マドーラ、そして「Valley Of The Dolls」への出演歴を持つトニー・スコッティの5人がメンバーとなってコーラスを担当、両マドーラ以外の3人はプロデュースも行った。実力者が集まっただけあってそのハーモニーは完璧、特に冒頭のフォークの定番「Five Hundred Miles」からラブ・ジェネレーションのカバー「Love And Sunshine」、そしてロジャー・ニコルス作の「I Kept On Loving You」を聴けば、もうあなたはこのグループの虜になっているはず。特に「I Kept On Loving You」は、ジョーンのウァームフルな女性ヴォーカルから始まりカウンターでコーラスがからみ、サビではファルセットを使った高揚感のあるハーモニーで一気に包み込んでしまう奇跡の傑作だった。当時MGMの社長でもあったマイク・カーブ作の「Come Run With Me」も夢見心地で聴けるはず。このヘヴン・バウンド、72年に『Heaven Bound With Tony Scotti』でデビューしたが、同年この中からビートルズの「I Will」のカバーを外してニール・セダカの「Breaking Up Is Hard To Do」を収録、タイトルも『Breaking Up Is Hard To Do』に変えて発売し直している。このニール・セダカのカバーは実に爽やかで素晴らしい出来なのだが、本CDでは差し替えたどちらの曲も入れたコンプリート仕様でこれはお徳、絶対にお薦めだ。(佐野)

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