2014年9月7日日曜日

ユメトコスメ:『嘘だよ、過去形じゃなくて...!』



 ソングライター、アレンジャーの長谷泰宏(はせ やすひろ)とヴォーカルのユミからなる男女ユニット"ユメトコスメ"がニューシングル『嘘だよ、過去形じゃなくて...!』を7インチ・カラーヴァイナル(CD-R付き)で自主制作リリースした。
 一聴してソフトロック、ガールズポップ・ファンの琴線に触れるサウンドは、WebVANDA読者に大いにお勧めできるので紹介したい。

 ユメトコスメを主宰する長谷については、09年にROUND TABLEの『FRIDAY I'M IN LOVE』へアレンジャー兼ピアニストで参加した際、インタビューをここでも掲載したが、近年ではアイドルグループのNegiccoへの楽曲提供、声優の中島愛と花澤香菜のシングルやアルバムにアレンジャーとして参加するなど多岐に渡って活躍している。
 過去にはLampのファースト・アルバム『そよ風アパートメント201』(03年)のレコーディング・セッション、女性アーティスト"dahlia"のバックバンド・メンバーとして、現The Bookmarcsのギタリスト洞澤徹やDJ兼ベーシストのグルーヴあんちゃんと参加するなどキーボーディストとしての評価も高かった。

 さて本シングル「嘘だよ、過去形じゃなくて...!」は、ユメトコスメとしては、「絶対ラヴモーション」(10年)、「キスとかキライとか」(12年)に続く3枚目のシングルで、前作は短冊形8cmCD!という徹底した拘り振りだったのを更に時代を遡り、7インチ・アナログ盤という究極のカタチでリリースしてくれた。長谷によると次作も7インチ・カラーヴァイナル(CD-R付き)というスタイルで予定しているらしい。
 肝心の曲であるが、チェンバロ(ハープシコード)のバロックなフレーズから弦のピッツィカートとチューブラーベルが誘うドリーミーなイントロから期待は高まり、三連のリズムでキープされる現代的スペクター・サウンドは極めて完成度が高く、ユミのスウィートな声優系の声質と実にマッチしている。
 とにかく弦やヴィブラフォンのオブリやアクセントのティンパニー、ブリッジのコーラス・アレンジのヴォイシングなど細部に至るまでよく練られていて、70年代の筒美京平による良質な歌謡曲をはじめ、急逝後も日本音楽界の至宝であり続ける大滝詠一から近年のマイクロスターまで、時代を超越して引き継がれたエバーグリーンなサウンドを踏襲したものである。




 B面(懐かしい響きだ)は前作の「キスとかキライとか」が収録されているが、こちらはまるでロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの「Don't Take Your Time」を打ち込みで再現した様な高いクオリティで、筆者的にも両面最強の7インチと太鼓判を押したい。
なお本作は下記のユメトコスメのオフィシャル・サイトのみで販売しているので、興味を持った音楽ファンは是非購入して聴いてほしい。
ユメトコスメCDご注文フォーム
(ウチタカヒデ)



2014年8月30日土曜日

☆Creedence Clearwater Revival:『The Singles Collection』(Fantasy/31752)CD+DVD

今から5年前の2009年にリリースされたCDを何故今更とお思いだろうが、気づいてしまったのだから紹介しておかないわけにはいかない。CCR2001年にリリースされた前身のTommy Fogerty & The Blue Belvets,Golliwogsのシングルから、ライブアルバム2枚を含めた全アルバムを6枚のCDに収めたボックスセット、2008年のラストアルバム以外の全スタジオアルバムに未発表音源を収録した単独盤のリイシューがあったので、これで全音源終了と思っていた。さらに映像も2006年のDVDI Put A Spell On You』でTV用クリップもほぼ大丈夫とチェックしてなかったのが今回の失敗。このCCRのアルバムは1968年から解散後の1976年シングル計14枚を全てオリジナルのモノで収録していたのだ。CCRが全シングルをモノにしていたのは正直、気づいていなかったのである。またオマケの4曲入りDVDにもYou Tubeでは見た「Bootleg」のTV映像が入っていた。甘々のチェックでWeb VANDAの読者の方に申し訳ない。さて内容だが、アルバム音源までモノだった「Call It Pretending」「Proud Mary」「Bad Moon Rising」「Lodi」「Sweet Hitch-Hiker」以外は全てモノラルとして初CD化(ベスト盤の音源はモノの可能性ありだがチェックしたことがない)だ。やはりストレートなロックンロール、そしてアルバムではなくシングルヒットを目指したCCRのシングル曲はモノラルで聴くと最高だ。ヴォーカルも音圧が違う。何かパンチに欠けるなと思っていた「Green River」もモノで聴くと一気に迫力が増し、大ヒットが理解できた。このモノシングル、最後のギターフレーズが1回多く3秒長い。逆に「Down On The Corner」はイントロのハイハットとカウベルの10秒分がカットされ、リフから始まりこれがシングルヴァージョンとして正解だ。「Travelin' Band」のアルバムヴァージョンはモノに近いミックスで、1分後のピアノのフレーズの位置でステレオと気づくほど。その他のシングル曲も、アルバムではステレオながらモノ風にミックスしている事が多い。ジョン・フォガティの狙いが分かる。その他では、中学生時代に買った「Suzie Q」のシングルがPart1Part2に分かれてこともこのCDで思い出した。(キング・クリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」のシングルも同じパターンで当時買った)長い曲はこのパターンもあったな。バッサリとカットしたのは「Born On The Bayou」で512秒が344秒に。解散後リリースの「I Heard It Through The Grapevine」も1059秒が349秒、わざわざAB面ともモノミックスを作るこだわりが素晴らしい。この機会に全スタジオ曲をチェックしたが『Creedence Clearwater Revival』の「The Working Man」と『Bayou Country』の「Penthouse Pauper」はモノだと思うがどうだろうか。なおディスク2のプロモ用のラスト2曲だけオマケなのでステレオ。CD2枚とDVD1枚なのに値段は非常に安いのでオススメ。(佐野邦彦)


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2014年8月24日日曜日

☆Kinks:『Lola Versus Powerman And The Moneygoround & Percy』(Sanctuary/88843089592)

コンスタントに『Arthur...』まで出ていたキンクスのDeluxe Edition20117月以降、ピタリとリリースが途絶え、この2枚を飛ばして『Muswell Hillbillies』が20139月にようやく発表された。しかしそれまでのDeluxe Editionはモノ盤があった時代なのでステレオ+モノ+ボーナストラックという構成だったが、1971年の『Muswell Hillbillies』はステレオのみの時代なのでステレオ盤+ボーナストラック盤という2枚組に構成を変えた。それにしても飛ばされた2枚はどうしてと疑心暗鬼が漂っていた1年後の20149月、なんと『Lola...』&ボーナストラック+Percy』&ボーナストラックというカップリング形式のリリースとなった。もちろんこの2枚も70年、71年でモノ盤のない時代なのでステレオである。これでは1998年に単独でCastleからリリースされたものと同じではとお思いの方もいるだろうが前者はボーナストラックが3曲から7曲に、後者は5曲が10曲にと大幅に増え(Castle盤『Percy』は本盤未収録3曲あり)、さらに前者は7曲全てが初登場、後者は4曲が初登場と充実のリリースとなった。アルバムについては、このWeb VANDAの読者なら語るまでもないだろう。特に『Lola...』はPye時代の傑作として名高い名盤。よってボーナストラックのみ記述する。

Lola...』ではまず完全未発表曲の「Anytime」と「The Good Life」。前者はミディアムのナンバーで盛り上がりもありアルバム用としては十分な出来。後者はロックンロールのブギで後の「20th Century Man」を思わせる部分もある佳曲。録音はそれぞれ705月、709月で、『Lola...』セッション時のものであり、ボツ曲だった。「The Contenders(Instrumental Demo)」と「This Time Tomorrow(Instrumental)」はアルバム曲の歌なしだが、楽器が少なく、どちらもデモ・ヴァージョンである。ただし前者の録音は完成ヴァージョンより3日後の録音で意図はよく分からない。後者は同じ日なので、練習ヴァージョンだ。「Lola(Alternate Version)」は目玉のひとつ。イントロが印象的なコードではなく、アルペジオから静かに始まる。しかし2番からのアレンジ・コーラスはレコードに近く、完成間近のヴァージョンで、完成ヴァージョンの7日前に録音されたもの。「Apeman(Alternate Version,Stereo)」はイントロのSEが既に入っているのでこれも完成に近いが、レコードでは1番のミックスが極端に小さくミックスされているが、ここでは普通のヴォリュームなので聴きやすい。完成ヴァージョンの一か月前に録音されたもので、クレジットでは714月に発売されたテイチクの日本盤LPに入っていたと書かれているが初耳だ。そうだとすると大発見である。逆に最も違うヴァージョンが「Got To Be Free(Alternate Version)」で、レコードではギターによりカントリータッチの歌いだしで始まるが、このヴァージョンはグロッケンシュピールをバックに静かに歌われまったくアレンジが違っていた。オリジナルは709月の録音だが、クレジットでは7010月にBBC1で放送されたものだという。

Percy』のボーナストラックだが「Dreams(Remix)42秒くらいから27秒くらい間奏が入っているが、こちらではそれがなくdreams...のコーラスがいきなり入り、流れとしてはこのRemixヴァージョンの方がいい。完成ヴァージョンはdreams...のコーラスにエフェクトがかかるがRemixにはそれがなく、その点もいい。「The Moneygoround(Alternate Version,Mono)」は『Lola...』の収録曲で完成版の一か月後に録音されたものだが、歌い方が一部違い演奏も違う。721月にヴォーカルがプラスされ、あのCD5+DVD1枚の『The Kinks At The BBC』のビデオに収録されている。「God's ChildrenMono Film Mix)」は、ギターとパーカッションが大きくミックスされ、ヴォーカルもオンでアルバム版と印象がかなり違う。「God's Children(Mono Film Mix)」は、アルバム版はシンプルなインストだが、こちらはオーケストラにコーラス(キンクスではない)とまったくの別物。その他は既発表済のもので、「Lola」はCoca-ColaではなくCherry Colaとうたうシングルヴァージョン、「Apeman」「Rats」はモノシングルヴァージョン、「Powerman」のモノシングルヴァージョンは、以前の『Lola...』のCastleCDに入っていたもの、「The Way Love Used To Be」のモノフィルムミックスも以前の『Percy』のCastleCDに入っていたものだが、Castle盤は他に2ヴァージョン入っていた。あと「Apeman(Alternate Version.Mono」とはデンマーク盤シングルのみのヴァージョンのことで、Castle盤などで聴くことができる。(佐野邦彦)
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