2008年4月21日月曜日

☆ Parade:『Sunshine Girl:The Complete Recordings』(New Sounds/CDNOW1)

パレードの未発表デモを含んだコンプリートCDがリリースされた。レーベルはイギリスのCherryredが新しく作ったサブ・レーベルからで、番号からいってこれが第1弾だろう。マレー・マクレオド、ジェリー・リオペル、スモーキー・ロバーズの3人がパレードのメンバーだが、多くの曲作りに参加したスチュワート・マーゴリンを含めた4人によるプロジェクトだった。
結局当時リリースされたのは全米29位とヒットした「Sunshine Girl」を含め6枚のシングルだけで、後にCD化された時の未発表トラック2曲の計14曲だけが、今まで聴くことができるパレードの全ての曲だった。
このCDにはボーナストラックとしてさらに9曲がプラスされており、このWeb VANDAを読んでいる方でパレードのCDをお持ちでない方などいないだろうから、そのボーナストラックのことについて紹介しよう。
 まず始めに登場するのはロジャー・ニコルス・トリオの未発表デモの「Montage Mirror」だ。マレー・マクレオドは両グループに所属していたため、こうやって収録されたのだが、ソフトロックファンにとってこれは聴き逃せない。
曲はロジャー・ニコルスとマクレオドの共作、大いに期待されたが、ロジャー・ニコルスの作風とは思えないリフを使ったロック・ナンバーで、単調なメロディなので正直期待外れだった。
次がこのボーナストラックの目玉、「How Can I Thank You」のデモである。
この曲はゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズがアルバム『Now!』で取り上げた曲であり、非常にいい出来だったので、私が東芝EMIの依頼で選曲したCDThe Very Best Of Gary Lewis & The Playboys』(東芝EMI/TOCP53380)に収録している。未聴の方がいたら絶対入手して聴いて欲しい快作だ。
このパレードのデモも基本的にゲイリー・ルイスのヴァージョンと同じアレンジで、アコースティックギターとハープシコード(エレピ?)中心の弾むようなアレンジが心地よく、素晴らしい出来だが、サビのメロディがまったく違う。
ゲイリー・ルイスのサビはさらに疾走感のあるキャッチーでポップなものだったのに比べ、このデモはいったんブレイクしてしまうような盛り上がらないメロディのサビになっていて、やはりデモ、と思ってしまう。
ただ、最後に収録されたコニー・オースティンなる女性歌手のアセテート「One More Time」はまさにこの曲であり、サビはデモと同じメロディで歌われているため、このデモ・ヴァージョンはひとつの完成形だったとも言える。
ではなぜ、ゲイリー・ルイスでは改変されたのだろうか?
ゲイリー・ルイス・サウンドを生み出していた本当の実力者、レコーディングのボスはレオン・ラッセルだったことはゲイリー自身の口から語られて分かったことだが、パレードはもう一人のゲイリー・ルイスのアレンジャー、アル・キャップスと2曲を共作しており、その共作曲の「I Can See Love」(パレードの最高傑作のひとつ)はレオン・ラッセルのホーム・スタジオで録音されたという事実があることから、パレードと彼らは密接な関係があったようだ。
だから『Now!』のレコーディングの時、その時のアレンジャーで実質的チーフのアル・キャップスは、その実力を評価していた旧知のパレードのデモの中からこの「How Can I Thank You」を探し出し、サビが気に入らないので書き直させたのだろう。デモはもう一曲あり「Love Is There」はアコースティックギターのカッティングを効果的に使ったロック・ナンバーで、パレードらしさは薄いが出来は悪くない。
そしてスモーキー・ロバーズのソロ・シングル「Love Is The People's Choice」も収録された。
この曲はスモーキー・ロバーズとマレイ・マクレオドの共作で、マイナーの歌い出しがハーモニーと共にメジャーに展開していくこれぞパレード!という快作で、こうして誰にでも聴けるようにしてくれたのは嬉しい。なおカップリングの「God's Fool」はパレードらしさがまったくないアーシーな曲なので外されたようだ。そして「Frog Prince」は木管などがまだ入っていない別テイク、「She Sleeps Alone」はギター一本でハモるデモ、そして「Kinda Wasted Without You」(傑作!)と「Sunshine Girl」のモノ・ヴァージョンが収められた。当然、みんな買いなおしましょう。(佐野)
Sunshine Girl: The Complete Recordings
 

 







 




2008年4月18日金曜日

Radio VANDA 第 97 回放送リスト(2008/5/1)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。



第一特集:Small Faces Immediate Years

 1.Here Comes The Nice ('67)...US Single Version

 2.Me You And Us Too ('69)...UK Promo Version

 3.Don't Burst My Bubble ('69)

 4.Talk To You ('67)

 5.Lazy Sunday ('67)

 6.Green Circles ('68)

 

第二特集:Kinks Rarities

 7.I'm A Hog For You Baby'63...Ravens

 8.Bald Headed Woman ('64)...Mono Version

 9.Time Will Tell ('6?)...Dead End Street('83)オマケの10inchのみ収録

 10.Til Death Do Us Part ('69)...The Great Lost Kinks Album」('73)のみ収録。

 11.Supersonic Rocket Ship ('72) Backtrackin'('85)のみ収録の別テイク。

 12.Mirror Of Love ('74)...未CD化のUS Single Version

 13.Massive Reductions ('81)...Better Things」B面のみのSingle Version

 14.Moving Pictures ('79)...Backtrackin'('85)のみ収録の別テイク。

 15.Now And Then ('89)...Lost And Found('91)のみ収録の別テイク。
















2008年3月21日金曜日

☆Beach Boys:『All This Is That』(Sea Of Tunes/C0761)


とっくに終了したと思っていたSea Of Tunesの驚異のブートシリーズ、確かに『Unsurpassed Masters』シリーズは終わったのだが、先日紹介したデビュー時のレコーディング風景や初期音源などを集めた『In The Beginning/The Garage Tapes』と一緒に1970年代の未発表トラックを中心に集めたこの『All This Is That』も同時にリリースされていたのだ!

Sea Of Tunesだけあって音質は文句なし、ビーチ・ボーイズ・ファンは是非入手したいCDである。さて、順に紹介しよう。まずは「Time To Get Alone」の弦や管楽器が入ったほぼ完成されたバッキングトラックで、自然終止して終わる。「Country Air」はステレオミックスで、ヴォーカルが生々しく聴こえる。これも自然終止するまで入っていた。続く「Won't You Tell Me」は、唯一の問題トラックでSea Of Tunesらしからぬミスをしている。このテイクはサンレイズのデモで、曲を書いたのはマリー・ウィルソン、メロディ、ハーモニーも素晴らしくビーチ・ボーイズもかくやと思わせる出来栄えだが、ビーチ・ボーイズではない。ただサイレイズの名盤『Vintage Rays』に入っていたテイクより長く、自然終止して最後のしゃべり声まで入っているためそこは収穫だ。そしてブルース・ジョンストンの名作「Tears In The Morning」のカラオケが素晴らしい。ちゃんとコーラスまで入っていて、誰でも一緒に歌ってしまうような素晴らしいオケだった。大好きな曲なのでオケだけでも大満足。「Slip On Through」はカウントから入り、ホーンが小さくミックスされた別ミックス。「When Girls Get Together」は『Sunflower』時に録音されたカラオケ。「Cottonfields」はシングル・ヴァージョンのヴォーカル・オンリーで、見事なアカペラを堪能でき目玉のひとつ。そしてタイトルトラックの『All This Is That』だが、あの浮遊感漂う既発のヴァージョンよりヴォーカルがはるかにオンで力強く、間奏ではサックスのソロがフィーチャーされ、さらにフェイドアウトせずにきちんと歌い終わるなど、大幅に違いこれは目玉。「It's A New Day」は『So Tough』の時に録音されたデニスの曲だが、アップテンポのドライな曲想で、サビにデニスらしさが感じられる程度。1973年に録音されたブロンディ・チャンプリン&リッキー・ファターの「Hard Time」は、まったくビーチ・ボーイズらしさが感じられないアップテンポのロックナンバーだが、ビーチ・ボーイズと思わなければ曲は悪くない。以降は『15 Big Ones』より。ここからは少しはしょろう。別ヴァージョンは「Blueberry Hill」と「Palisades Park」で後者の方がよりプリミティブ。オケのみは「Had To Phone Ya」と「Just Once In My Life」、未発表曲はブライアンが書いた凡庸なインスト「Short Skirts」と、軽快なビート・ナンバーに仕上がった「Shake Rattle & Roll」、そしてマイクが歌う「Running Bear」。『Love You』からはバック・コーラスのみの「Let Us Go On This Way」と、その当時ボツになった「Sherry She Needs Me」、パッと終わって聴こえるが最後までの収録だ。「The Night Was So Young」はアカペラ。あとは『L.A.』から「Shortenin' Bread」の別テイクと『Keepin' The Summer Alive』からは「Oh Darlin'」の初期ヴージョン。そして嬉しい収録が未発表の『Adult Child』のハイライトトッラックである「Life Is For The Living」のカラオケで、このスウィングするバッキングに合わせて歌うと気分爽快になることうけあいである。そしてアメリカン・スプリングの「It's Like Heaven」のバックでブライアンが歌うデモ・ヴァージョン、『Pacific Ocean Blue』のアウトテイクで雄大なデニスの「Our Love」、1979年に録音された「Da Doo Ron Ron」の陽気なコピー、1980年にカールが書いた未発表曲で軽快な「Where We Are」で、全27曲をようやく紹介できた。さすがSea Of Tunes、聴きごたえがある。(佐野)