2019年6月16日日曜日

The Pen Friend Club『THE EARLY YEARS』シリーズ リリース・インタビュー


昨年2作のオリジナル・アルバムをリリースしたThe Pen Friend Club(ザ・ペンフレンドクラブ)が、ファーストからフォースまでの初期アルバム4枚を一挙にリミックスとリマスターを施し、新装盤として6月19日にリリースする。
筆者は3月末にはその音源を入手して聴き始めていたが、リミックス&リマスター効果よるサウンド向上は大きく、これまでに同アルバム群を聴き込んだ音楽ファンにも新鮮に聴ける筈だ。
ここでは弊サイトでもお馴染みのペンフレンドクラブのリーダーで、今回のリミックス&リマスターを一人で成し遂げた平川雄一氏におこなったインタビューをおおくりする。

●今回の初期4タイトルのリイシューですが、以前『Best Of The Pen Friend Club 2012-2017』(SZDW1040 / 17年)リリース時のインタビューでも、「ベスト盤に入らなかった曲もいつか全部やり直したい」と語っていましたね。
こんなに早く、4タイトルの全曲をリミックス、リマスターした理由を聞かせて下さい。

平川:なんとなく昨年にクリスマスアルバム(『Merry Christmas From The Pen Friend Club』/PPRD0004)を出して、ペンフレンドクラブの「初期」が終わった気がしました。何となくですけどね。
その内容も往年のクリスマスソングとこれまでのペンクラ曲とのマッシュアップ=これまで活動の「総括」的な意味合いもありました。 次に進むためにはやり残したことがある。それが今回の4作の見直しだったわけです。

●昨年11月リリースの『Merry Christmas From・・・』までがペンクラの初期だと感じていたんですね。今後も続くバンド活動を考えれば一区切りと捉えるのも頷けますが、『Best Of ・・・』の17年9月のインタビューでは、今回リミックス&リマスターした4作までを「初期のペンクラ」と語っていました。
このベスト以降5作目『Garden Of The Pen Friend Club』(PPRD-0003)でサウンド的にも飛躍したと思いますがいかがでしょうか?  

平川:5作目『Garden Of・・・』ではオーケストラも導入しましたしね。
ミックス的にもやり残したことはないです。『Garden Of・・・』からはボーカルの藤本有華が前作から引き続き在籍しボーカルをとった作品で、バンドとしてやっと「2枚目」を作れた作品でもあります。(それまでが1アルバム1ボーカルだったので) 4作目までのベスト盤もその時期ですし、そう考えると1st~4thまでが「初期」って感じもしますね。


●ミックスとリマスターをする上で、アルバム毎にカラーがあり、気を付けた点も異なると思いますので、主軸となる主要曲を中心に具体的に教えて下さい。



『Sound Of The Pen Friend Club』(SZDW1067)

 平川:一番、初出時と音が変わったんじゃないでしょうか。ハッキリクッキリ。 今回のシリーズ全体に言えることですが、各パートをしっかり聴こえさせたかったのです。 「Do I Love You」の出だしから全く違いますからね。こういう音にしたかったんです。

●明らかに今回のリミックス&リマスターでメリハリが出ていますね。 リマスター盤とオリジナル盤を比較して聴くと一目瞭然というか一聴瞭然で、全体的に低かったオケ、特にリズム隊の音がきちんと出ているから躍動感がありますね。 曲によっては別物というくらい違いますよ。


『Spirit Of The Pen Friend Club』(SZDW1068) 

平川:このアルバムは初出時にもいいところはあったんですが、やり直してみるとやはりいいですね。現在のメンバーでもある祥雲貴行や中川ユミが加入し、演奏も大きく変わった時期です。その最初の録音もハッキリクッキリ出すことが出来ました。「Guess I’m Dumb」、「Dusty」が気に入っています。

●「Guess I’m Dumb」、「Dusty」に限らず、今回のリミックス&リマスターでアルバム全体にベースのハイが出ていて印象が変わりますね。「Please Let Me Wonder」のにおけるコーラスも広がったように思います。
また改めて聴くとこのアルバムは、カバー曲のチョイスが秀逸で個人的にも凄く好みでした。「Wichita Lineman」のコーダのドラム・フィルなんて、平川君のリクエストで祥雲君がジム・ゴードンのプレイをよく研究していますよ。


 
『Season Of The Pen Friend Club』(SZDW1069)

平川:これはリミックスして本当によくなりました。 一番やり直したかったアルバムです。 これまで聴くのも嫌だったんですが、やっと好きなアルバムになりました。
「Poor Boy」、「Long Way To Be Happy」がいいですね。 中でも「Summertime Girl」が本当に気に入っています。 

●聴くのも嫌って。(笑) ボーナスのオケとコーラスのみのトラックで聴くとより分かり易いですが、「Poor Boy」はギターとオルガンの煌びやかさが引き立っていますね。ピアノのグリッサンドの響きも凄くいい。
「Long Way To Be Happy」や「Summertime Girl」もオケではオルガンのハイが改善されているのが聴いて分かります。


 『Wonderful World Of The Pen Friend Club』(SZDW1070)

 平川:初出時はミックスに満足していたんですが、すぐに嫌になってきましたね。(笑) もう何もかも後悔ばかりですよ、音楽活動なんて。
それでCDの後に出したアナログLPで早速全曲リミックスしました。このバージョンがなかなか良くて、今回のリマスターにも数曲その音源を採用しています。 「ソーダ水の空」、「8月の雨の日」、「Wonderful World~」、「Sherry She Needs Me」がそれです。
これらも新たにリミックスしようと試みたんですがLPバージョンに勝てなかったのです。(笑)なのでそのまま入れました。 あと、今回の4作すべてにコーラス+インストゥルメンタルのカラオケ音源がボーナストラックとして入っています。それらは全て新たにミックスしたものです。

●すぐに嫌になる(笑)ってのは、自己完結型ミュージシャンにありがちなんでしょうね。レコーディングからミックスまで長時間聴いていると、もう何がベストなのか、自分一人では判断つかないんだと思います。
嘗てピンクフロイドがあの『狂気(The Dark Side of the Moon)』(73年)の最終トラックダウンで、メンバーとエンジニアのアラン・パーソンズは長期間音を聴き過ぎて、正常な判断が出来なり、アランの兄弟子筋のクリス・トーマス(当時から一流プロデューサー)に判断を仰いだという。
以前も質問したけど、俯瞰的な耳で自分達のサウンドに合ったミックスをしてもらおうと、本職のエンジニアに任せたいと思いませんか?バジェット(予算)的にクリアすればの話になりますが。

平川:ミキシングを他人に譲ることなど、もっての外ですね。一番楽しい作業ですから。お金をもらったとしても誰にも任せたくないですね。少なくともペンフレンドクラブの音作りに関しては。  


月見ル君想フ 2019年6月15日

●リリース前の6月15日には『月見ル君想フ』でライヴ・イベントをしましたが、この『THE EARLY YEARS』シリーズに関連したレコ発的なイベントは予定していませんか?

平川:オルガンのヨーコがその6月15日で脱退するというのもあり、レコ初的なものは行いません。
活動は続くのですが、それ以降は「中期ペンフレンドクラブ」が始まる気がしています。 何となくですけどね。まあ活動開始から7年目に入ることですし、そろそろ「中期」ですよ。(笑)

●そうでしたか。ヨーコさんはペンクラ・サウンドへの貢献度が大きかっただけに残念です。新たな鍵盤奏者も加入されるとのことで、今後の活動も応援していきます。

平川:ありがとうございます。

●最後にこの『THE EARLY YEARS』シリーズのピーアールをお願いします。

平川:やっと自信を持って「初期ペンフレンドクラブ」をお聴かせすることが出来て本当にうれしい限りです。
こういうことがやりたかったんです、僕は。是非お耳をかっぽじられて、じっくりお聴きになってください。
あとディスクユニオン限定の特典になるんですが、4作まとめ買いでボックスが付きます。これもやりたかったことの一つです。憧れていたんですよね、ボックスセット。
ディスクユニオン
The Pen Friend Club『THE EARLY YEARS』4タイトルまとめ買いセット:https://diskunion.net/portal/ct/detail/1007898394


(インタビュー設問作成/文:ウチタカヒデ)

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