2017年9月2日土曜日

『Best Of The Pen Friend Club 2012-2017』(サザナミ・レーベル/SZDW1040) 平川雄一インタビュー


















2月8日に4thアルバム『Wonderful World Of The Pen Friend Club』をリリースしたばかりのペンフレンドクラブが、初のベストアルバムを9月6日にリリースする。
幾度かのメンバー・チェンジを経たバンド・ストーリーのメモリアルというばかりではなく、リーダーの平川によるリミックスへの飽くなき拘りによりブラッシュアップされた全20曲が収録された、希なベストアルバムと評価したい。選曲的にもWebVANDA読者にはお馴染みのソフトロック・クラシックが多く収められているので強くお勧め出来るのだ。
ここでは通算4回目(またかと言われそうだが)となる平川氏へのインタビューを掲載したい。

   

 【収 録 曲】
1. 8月の雨の日 ※4
2. Do I Love You ※1
3. Tell Me (Do You Really Love Me?) ※2
4. 街のアンサンブル ※3
5. 微笑んで ※4
6. Don't Run Away ※1
7. How Does It Feel? ※2
8. What A Summer ※3
9. Sherry She Needs Me ※4
10. I Sing A Song For You ※1
11. I Like You ※2
12. Summertime Girl ※3
13. Love's Lines, Angles and Rhymes ※4
14. I Fell In Love ※1
15. His Silhouette ※3
16. The Monkey's Uncle ※2
17. Newyork's A Lonely Town ※1
18. 土曜日の恋人 ※3
19. Wichita Lineman ※2
20. ふたりの夕日ライン ※4

【オリジナル収録アルバム】
『Sound Of The Pen Friend Club』※1 
『Spirit Of The Pen Friend Club』※2 
『Season Of The Pen Friend Club』※3
『Wonderful World Of The Pen Friend Club』※4



●今年2月の『Wonderful World Of The Pen Friend Club』が記憶に新しい訳ですが、この時期にベスト・アルバムをリリースしようとした動機を教えて下さい。
また選曲にはメンバーの意見も反映しましたか?バンド内投票とか? 

平川:動機は過去の音源をリミックスしたかったからです。それだけと言っていいです。選曲は僕一人の判断です。
活動が5周年とキリがいいのと、今回はメンバーが入れ替わることなく次に進めそうなので、これまでの4枚のアルバム(4人のボーカル)を「初期のペンクラ」として一区切りにできるかなと。
でも、とにかく「リミックスしたかった」の一言に尽きます。

●拘りが凄いよね(笑)。リミックスということでマルチトラックから全てやり直す訳ですが、作業時期と作業状況はどんな感じでしたか?
時間が経過しているとはいえ、オリジナル・ミックスの固定観念があるから頭を切り換えるのが大変だったのでは?
基本的に平川さん一人で担当したんですか?

平川:リミックスの作業時期は今年の4thアルバム発売後くらいから少しずつ進めていました。
1stアルバムの曲を全曲やり直そうと思ってなんとなく進めていたんですが、そのうちベスト盤として出すことにしたので全アルバムから選抜された曲のリミックス作業に移行しました。
オリジナル・ミックスへの固定観念というのは全然無くて、むしろ「もっと良くしたい」という気持ちで一杯だったので楽しんでやれました。
作業は僕一人で行いました。

●これまでのアルバムを振り返って、それぞれについて平川さんの思い入れを聞かせて下さい。

1)『Sound Of The Pen Friend Club』
平川:当時は全然知識が無くて、まさか自分のバンドで全国流通のアルバムが作れるとは思っていなかったので、最初に声をかけてくれたサザナミ・レーベルには本当に感謝ですね。
当時はこの1枚で終わる(アルバムを2枚も3枚も発売させてもらえるわけがない)と思っていました。なのでジャケットは見る人が見ればどういうバンドか一発でわかるデザインにせねば、と思いこのような感じに。音もジャケも、あの当時の僕の全力を投入して制作にあたりましたが・・・今聴くとやり直したいところだらけですね(笑)。
今回のベスト盤でのリミックスで一番恩恵受けているのはこの1st収録曲です。完全に生まれ変わりました。ベスト盤に入らなかった曲もいつか全部やり直したいですね。

●当時の心情が伺えますが、そもそもペンクラを結成した時は活動の中心はライブと考えていたのですか?
またサザナミ・レーベルから声が掛からなければ、自主制作でリリースする予定はあったのですか?

平川:結成当初は軽い遊びのバンドのつもりだったので、たまにライブが出来る程度でいいと思っていましたが、ボーカルに夕暮コウが加入すると自分が思っていた以上にいいバンドになると確信するようになりました。 活動が始まってからすぐに自主製作EP(CD-R)を作ったので、盤を残そうという意識は当初からあったと言えます。
最初に声をかけてもらったのがサザナミ・レーベルでした。それがなければ未だに手刷りCD-Rだったかもしれませんね。


2)『Spirit Of The Pen Friend Club』
平川:僕の気持ち的には「ペンクラのアルバム1枚目」、という感じです。
現メンバー(楽器隊)が参加したアルバムですし、非常に思い入れがあります。選曲的にもペンフレンドクラブというバンドを1stアルバム以上に象徴したものになっていると思います。
ただクオリティは1stより進化しましたが、やっぱり今聴くといろいろ自分のミックスが許せないので・・・。

●初めて推薦文を書かせて頂いたアルバムなので私も印象に残っています。ファーストでカバーしていたブルース&テリーの「Don't Run Away」やトレイドウィンズの「New york's A Lonely Town」は、マニアックな選曲とはいえ熱心な山下達郎ファンの間ではよく知られていましたが、このアルバムではジミー・ウェッブ作でグレン・キャンベルの「Wichita Lineman」を取り上げていて、平川さんの趣味の良さを確信しましたね。
各アルバムにおけるカバー曲の選択基準は、どんな尺度で選んでいたのですか?

平川:カバー曲の選択基準はもうただ単に「好きな曲」に尽きます。
あとは「こんな曲やるバンド、今どこにもおらんやろう」というのもありますね。ラグドールズの『Dusty』然り。
そういうところに命を懸けたいです(笑)。

●「命を懸けたい」とは拘りを超えて、悟りを開いたような境地に近いね(笑)。
繰り返しになるけど、各アルバムで取り上げるカバー曲は既にリストアップしていて、アルバム全体の構成を考えながらタイミングを計っているということですか?

平川:最初の頃はリストアップしていましたが、最近はその時のバンドの状況や、前作との比較を考えて決めるようにしてます。


3)『Season Of The Pen Friend Club』
平川:自主レコーディング、自主レーベルでの発売、と全部自分たちで作ったアルバムですね。
オリジナルとカバーの比率も5:5にし、日本語曲もこのアルバムから。 いろいろ挑戦した一枚ですね。新規ファン開拓、業界人との繋がり、等、いろいろな切っ掛けを作ってくれたアルバムになりましたが、やはり今聴くとダメなポイントが多すぎますね。
今回ベスト盤のリミックスで満足できる出来になりました。 

●このアルバムがリリースされたのは、ゾンビーズやジェフリー・フォスケットの来日公演で共演するなど、バンドとしてかなり充実していた時期ですが、今のところこのアルバムだけが自主レーベルからのリリースですね。
自主レーベルに拘った理由はなんでしょうか?

平川:このころになると盤を作って売ることのイロハが分かってきたので「これは自分でできるな」と思い自主レーベルでやることにしました。
自分で録って、自分で売る方が儲けが多いですからね。その分リスクは伴いますが、そこまで大きいビジネスにもなってないんで(笑)。分かる人にだけ伝わればいいと。
面倒くさい事務作業もありますが、メンバーが手伝ってくれるので助かっています。

●またボーカリストが、ファーストの夕暮コウさんからセカンドで向井はるかさんへ交代して、このアルバムでも高野ジュンさんへ代わっています。
各メンバーの方向性などシビアな事情があったと思いますが、バンドの看板であるボーカリストを定着させるというのは、この時期ペンクラにとって永遠のテーマになりつつありましたか?

平川:ボーカルが変わるとライブの全レパートリーのキーが変わるので、打楽器奏者以外がいつも大変な思いをします。もう三回もキーを総変えしていますからね、ペンクラは(笑)。
あと個人的なことですがボーカルの交代はとにかく精神的な重圧がすさまじいです。ペンクラの場合、ボーカルが抜けるだけで一気にバンド存亡の危機に陥ります。一番の肝のパートですし、一番後任が見つかりにくくもあります。ボーカルの違いでバンドの色がハッキリと変わりますから後任探しも慎重にならざるを得ません。
そんな中、いつもいいボーカルに巡り合えたなあと幸運に感謝しています。今回のベスト盤でも4人のボーカルが入れ代わり立ち代わり聴けるので、それが伝わるだろうと思っています。結果オーライですかね。

●同じバンドなのにレパートリーのキーを三回も変えるってなかなか無いよね(笑)。でもそれは歴代ボーカリストのベストな声域を綿密に計算していることの現れであって、今回のベスト盤を聴いて感じたのは違和感無くペンクラ・サウンドとして受け止められたことですね。

平川:ありがとうございます。今回のベスト盤のライナーノーツでもカンケさんが「初めて聴いた人は4人の女性ボーカルがいると思うだろう」といった趣旨の文を寄せられていました。
確かにそうかもしれませんね。


 4)『Wonderful World Of The Pen Friend Club』
平川:近作ですが、これは褒めるところの多い一枚です。
これまでのペンクラ作品の中で一番まともに聴けますね。「Sherry She Needs Me」のサウンド作りでは、やりたいことが100%実現できました。もちろん新メンバー藤本有華(Vo)と大谷英紗子(Sax)の好演も理由の一つです。
実は今年の11/3(レコードの日)に、この4thアルバムがアナログLP化されるんですが、ここぞとばかりに全曲リミックスしました。CDよりも更に、遥かに良くなったのでその4thLPも是非聴いていただきたいです。

●私もこれまでの最高傑作だと感じています。
「最新作が最高傑作」と言ったのは、ミック・ジャガー(ローリング・ストーンズ)の口癖だったと思いますが、リリース毎に前作を超えるアルバムを制作するというプレッシャーをリーダー、そしてプロデューサーという立場で常に感じていたと思います。
その辺りの苦労話を聞かせて下さい。

平川:そういうプレッシャーは感じたことはないです。
ただその時の自分が合格点を出せることが大事なので、そこに至らないことのほうが恐ろしいです。誰もがそうだと思いますが、完成時点で自分が100%納得できないとだめですね。
後から聴いたら後悔ばかりなんですけどね。


●過去多くのバンドは、ベスト・アルバムを一区切りに新たなステップを踏んでいく訳ですが、今後のペンクラについて新たなトピックスはありませんか?

平川:現メンバーで次の5thアルバムを作るということです。
同じメンバーで続けてアルバムを作ることは未知の経験であり、同時に悲願でもありました。既にジャケットがいい感じに完成しているので、それに見合った音楽を作ります。

●ペンクラみたいにマニアック(個人的には音楽界の「ガールズ&パンツァー」的なギャップの美学を感じている)なバンドのニューアルバムのコンセプトが、ジャケ先行というのは珍しいですが、収録曲やカバー曲の選曲などのアイディアは既に固まっていますか?

平川:収録曲は全部決まっていて、現在少しずつ録音を進めています。
本当は音楽のコンセプトのほうが先に決まって、それに合わせてジャケを撮るという順番なんですが、ジャケデザインのほうが先に出来てしまう、というだけなんです。
でもジャケができるとやる気が沸きますね。



●リリースに合わせたライブ・イベントをお知らせ下さい。

平川:9月30日にdues新宿でディスクユニオン購入者限定ライブ&サイン会があります。その他にも増える可能性がありますのでザ・ペンフレンドクラブ公式サイトをチェックして頂ければ幸いです。
ザ・ペンフレンドクラブ公式サイト

●では最後にこのベスト・アルバムのピーアルをお願いします。

平川:とにかくリミックスによって格段に音が良くなったので是非お聴きいただきたいですね。
これから初めてペンクラを聴く人にこそお勧めです。あとカンケさんのライナーノーツが絶品でバンド5年の統括と20曲分の解説は圧巻です。 紙ジャケもA式セミダブルと豪華な仕様ですので是非!
(インタビュー設問作成/文:ウチタカヒデ)



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