2014年12月13日土曜日

☆Beach Boys:『Keep An Eye On Summer:The Beach Boys Sessions 1964』(iTunes Only)


 遂に今年も出ました!ビーチ・ボーイズの著作隣接権切れを見こして、1964年に録音された未発表音源を一挙に46トラック、iTunesのみのダウンロードでリリースされた。個人的には一番待っていた音源だ。昨年の暮れにリリースされたブライアン・ウィルソン・プロダクション集の『The Big Beat 1963』は、日本発売はなかったが、今年のこのアルバムと『Live In  Sacramento 1964』は日本のiTunesで購入できるようになった!全てのビーチ・ボーイズ・ファンは必ず購入すべきアルバムである。さて、この本作は基本的にスタジオ・アウトテイク集。まずはやはり初登場から。

 「Little Honda(Unreleased Single Mix)」は歌にオルガンがオーバーダブされこれは明らかに初登場。「Unreleased Jam/Let's Live Before Die」はブライアンが書いたインストで、冒頭に明るいインストが出てくるがこれはお遊びで、その後に出てくる三連符の洒落た感じのバラードがその曲。
 「Denny's Drums(Session Highlights And Alternate Take)」は1分以上長く前半にはギターのリフが入っていたのにはビックリさせられた。
 「Endless Sleep(Larry Denton Vocal)」は、Jody ReynoldsDolores Nance作のロック・ナンバーで、Larry Dentonが歌でお遊びと思われるが、控えめなコーラスは付けられた。「Pom Pom Play Girl(New Stereo Mix)」は、最後の男性の声が大きくミックスされるなど僅かな違いがある。ビーチ・ボーイズの演奏ではないがあのクリスマス・アルバムのためにディック・レイノルズが録音していた「Christmas Eve」と「Jingle Bells 」のオケには驚かされた。まだまだ用意されていたとは。

 「Fun Fun Fun(Live)」と「I Get Around(Live)」は『Beach Boys Concert』でサクラメントのライブでの出来が良くないと外され、スタジオ録音されたものに歓声を被せて収録したもののオリジナル・テイクと言われているが、「Fun Fun Fun」はイントロと間奏のギターが違うし、「I Get Around」にはライブではハンドクラップが入っていて、逆に間奏のギターは全く聴こえずコーラスだけなのでこれも違う。もっと別のテイクが使われていた。BBCでのスタジオ・ライブで「I Get Around」「Graduation Day」「Surfin' USA」が入っていたが、一番の目玉は「The Little Old Lady From Pasadena」で、このジャン&ディーンのナンバーの、スタジオでの録音はこれだけだろう。さてそれ以外の曲はまずア・カペラだ。これはバックトラックで演奏だけの部分は小さく聴かせたア・カペラ。ビーチ・ボーイズ最強の魅力であるコーラス・ワークを存分に楽しめる。A Capellaは「Fun Fun Fun」「I Get Around」「All Summer Long」「She Knows Me Too Well」「When I Grow Up」「Don't Hurt My Little Sister」「Dance Dance Dance」。最初はスタジオ・チャット。これにスタジオ・セッションの模様を頭に加えたのがSession Highlight And A Capella Mixが「In The Parkin' Lot」と「Wendy」で、最初にバックトラックに合わせて歌っているが間奏で中断、以降は、ア・カペラになる。リード・ヴォーカルだけが抜かれたInstrumental Mix With Backing Vocalsは、「Keep An Eye On Summer」が5回目のリフレインの頭で完奏、「Hushabye」はレコードどおり完奏する。セッションの後にリード・ヴォーカル抜きが聴けるSession Highlights And Instrumental Mix With Backing Vocalは、「Don't Worry Baby」と「Pom Pom Play Girl」が完奏、「The Warmth Of The Sun」は3回のリフレインあと4回目の頭でフェイド・アウト。ア・カペラのあと、リード・ヴォーカル抜きが聴けるVocal Session Highlights And Track With Backing Vocalは「She Knows Me Too Well」で、8回目のリフレインで完奏。

続いて7分を超える長尺が「Fun Fun Fun(Session Highlights And Stereo Mix)」で、まずおふざけの歌の後、インストのTake1。イントロのギターが異なり、間奏の前で終わる。続くインストも同じパターンで、どちらもサックスがAメロでも2番から全面的に入る。最後とインストはイントロのギター、間奏のオルガンも同じで、サックスは2番からサックスなしとありで4小節ずつ入ってくるように変わり、完奏する。「Why Do Fools Fall In LoveSession Highlights And Stereo Mix)」はインストがまず途中まで、そして『Summer Love Songs』に登場したピアノのイントロの練習をはさみ、演奏の完全版で終わる。「All Summer Long(Session Highlights And Stereo Mix)」はマリンバの練習が何度も続いた後、インストで完奏。セッションの後にリード・ヴォーカル抜きが聴ける。「Girls On The Beach(Alternate Version Session Highlights And Master A Capella Mix)」は一オクターヴ低いリード・ヴォーカルで若干ふざけて歌い、ハーモニーの練習の後、ア・カペラになる。『Little Deuce Coupe/All Summer Long』で登場した別ヴァージョンの「Don't Back Down」はエンディングが18秒長く聴けるものが「Don't Back Down(Alternate Version New Stereo Mix)」として登場。歌の途中までの練習後に本番テイクが入っているのは「Drive-In」の替え歌で「Little Saint NickDrive-In(Vocal Session Highlights And New Stereo Mix)」と「All Dressed Up For School(Session Highlights And New Stereo Mix)」。頭に長いスタジオ・チャットが付いているのが『Little Deuce Coupe/All Summer Long』で登場したコーラスが違う「Little Honda(Alternate Version Session Highlights And New Stereo Mix)」。歌の短いセッションのあとに完全版になるのが『Today/Summer Days』で登場した「I'm So Young(Alternate Version Session Highlight And New Stereo Mix)」。ほぼそのままの登場が『Today/Summer Days』で登場した「Dance Dance Dance(Alternate Version New Stereo Mix)」。練習と本番演奏になるオリジナル・テイクの「Dance Dance Dance(Session Highlights And Instrumental Mix)」。演奏の練習のインストで完奏する「I Get Around(Session Highlight And Instrumental Mix)」。クレジットにはwith Backing Vocal」とあるが、コーラスは入っていない。なお最後の「Johnny B.Goode(Live Single Mix)」は初登場のようなことが書いてあるが、『Beach Boys Concert』のモノ盤からのもので、初CD化というだけ。ステレオとは何の違いもない。ただし初期の2イン1CDには妙にヴォーカルが小さいステレオ・ミックスが収められたがその後改善されている。(佐野邦彦)


Keep an Eye On Summer - The Beach Boys Sessions 1964, The Beach Boys 




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