2011年3月2日水曜日

☆Orange Colored Sky:『Orange Colored Sky』(Picard Records/PIC8120142)

大好きなオレンジ・カラード・スカイのアルバムがCD化されたのは本当に朗報だった。ソフトサイケの雄と言われたユニ・レーベルの中ではダントツに好きなのがこのオレンジ・カラード・スカイ。ストロベリー・アラーム・クロックなんて目じゃない。、私は個人的な思い入れと、このCD以降の後に発売されたシングルのことについてだけ、補遺しておきたい。  オレンジ・カラード・スカイの魅力は、アルバムの作曲、アレンジの全てを手がけたメンバーのウォルター・シルヴィンスキのセンスの良さに集約していると言ってよい。ほどよい哀愁と、なんといってもソフトロック系のキーワードと言ってもいい高揚感がある。
 それは1曲目の「The Sun And I」からすぐに伝わってくる。高みをどんどん目指していくような高揚感は格別で、掴みは完璧だ。2曲目の「The Shadow Of Summer」は、シルヴィンスキのオルガンがいい味を出しており、そこはかない哀調が心地いい佳曲で、2曲目としてはこれも文句なし。そして3曲目の弾むような「Knowing How I Love You」もいい。輪郭のはっきりとしたメロディにシルヴィンスキのオルガンはメロトロンのような効果を出している。アルバムではB1にあたる「Sometimes」はシルヴィンスキの曲づくりのセンスが溢れた快作で、巧みなコード展開、高揚感のあるメロディとアレンジはゾンビーズの『Odessey And Oracle』に通じるものがある。アルバム最後の「Orange Colored Sky」はグループ名とアルバム・ジャケットに通じる哀調が魅力的で、日本人好みのウェットな感覚があるだけでは私は少しも好きになれないのだが、この曲の持つ雄大なアレンジが曲を味わい深いものにした。その他の曲も哀調を帯びた曲とカーニバル的なサウンドの曲を交互に配してあり、捨て曲がない。隠れた名盤のひとつと、太鼓判を押してお勧めする。CDのボーナストラックにはユニでのアルバム未収録シングル3枚の全てが収められた。「Happiness Is」はまだアルバムの延長線上の曲なのでいいが、そこからは徐々にチャチになってしまい、「Sweet Potato」(作曲はRock Horseなる人物でCD唯一のシルヴィンスキ以外の作)は、ファンキーなロックにトライして大失敗している。クリッターズが典型的だが、ヒットがないと持ち味を捨ててロック寄りにシフトを変え、さらなる失敗作になって解散という、悪循環にはまってきていた。
 その後はPeopleというレーベルで「Help」と「Press A Rose」のカップリングのシングルをリリースしている。作曲はシルヴィンスキではなく、Wm.Stevensonなる人物で、プロデュースはMicky  Stevensonと何やらStevensonさんの意向を強く反映しているようだ。「Help」は軽快な曲で、まあ「Mr.Peacock」レベルのポップさはあるが、ロックな「Press A Rose」には魅力的なものがない。そして1971年にドン・コスタのDCPからドン・コスタのプロデュースで「Simon Zealotes/Superstar」「I'll Try Again」のシングルをリリースする。A面は言うまでもない「ジーザス・クライスト・スーパースター」からの曲で、目まぐるしく変わるアレンジで作りこまれた感はあるが、オレンジ・カラード・スカイらしさは皆無。B面は久々、シルヴィンスキの曲で、キングスレイ(アボット?)との共作だが、ポップとロックの中間の、70年代にはよくあるナンバーで、まあB面レベルの曲。このシングル以外のレコードは確認されていない。(佐野)










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