2010年10月18日月曜日

☆John Lennon:『John Lennon』(EMIミュージックジャパン/TOCP70911~9)

ジョン・レノンのボックス・セットはもうこれで3セットだ。2番目のボックス『ジョン・レノン・アンソロジー』はリンゴに提供した「I'm The Greatest」や「Goodnight Vienna」のデモや、ジョンの未発表デモの中の超名曲「Grow Old With Me」にジョージ・マーティンがストリングス・アレンジをオーバーダブしたテイクなど入ってほとんどが未発表トラックという「払う価値のある」ボックスだったが、今回はコレクター以外、不要の代物と言えるだろう。
というのも基本は『ジョンの魂』から『ミルク・アンド・ハニー』までが一切のボーナストラックものなく、そのまま入っているだけ。オリジナルのラインナップではない『メンローブ・アベニュー』と『ライブ・イン・ニューヨーク・シティ』は入らず、プラスチック・オノ・バンドとしての『平和の祈りをこめて~ライヴ・ピース・イン・トロント1969』も漏れるという、何とも片手落ちなものになってしまった。ここまでオリジナルの仕様にこだわるなら、せめてこの3枚くらいは入れるべきだった。そうしたら以前買ったもの処分できたのに。じゃあ、なんで買ったの?ということだが、2枚セットでプラスされたボーナスCDのためだ。ただし『シングルス』の方は「Give Peace A Chance」などの耳タコのアルバム未収録曲6曲が入っただけのどうでもいい代物。「2010年最新デジタルリマスター」とあるが、「Give Peace A Chance」や「Instant Karma」は『アメリカVSジョン・レノン』に入っていたリマスターの方がはるかに良かったなあ...。まあ、当時のシングルミックスに戻して収録したということなのだが。よって必要だったのはカップリングの『ホーム・テープス』というジョンのデモが13曲収められたCDだ。ただ、先の『アンソロジー』や『ラヴ~アコースティック・ジョン・レノン』に入っていたデモと少し違うテイクとか、初登場でもブートではお馴染みのものばかりで、新鮮味はない。未発表曲といっても「India India」程度のデモで\19800也はキツすぎる。『アンソロジー』に比べて見劣りが激しい。
CDの売り上げはピーク時の4割という有様になったレコード会社は、原価との差額でうまみが美味しいCDを買うのは小金を持っている50代近辺のオヤジ(自分のことだ!)ということで、この手の汚い商売が横行するようになった。若い連中はCDなんていうモノへのこだわりがまったくなく、データさえあればいいのだが、オヤジはモノになっていないと安心できないのだ。そこが狙い目だ。普段はamazonを使う私だが、ボックス・セットは安くない場合があるので15%を引いてくれる近くのCDショップで買う場合が多い。その店の壁にはポール・マッカートニーの『バンド・オン・ザ・ラン・スーパー・デラックス・エディション』\12000也と、フーの『ライブ・アト・リーズ40周年記念スーパー・デラックス・コレクターズ・エディション』\16000円也がユニヴァーサル・ミュージックから11月に出ると予告されていた。例によってほとんど持っているのに前者には『ワン・ハンド・クラッピング』という1974年のTV番組などが入ったDVDが付いているし、後者にはリーズ大学での収録の翌日にハルで行われたライブ『Live At Hull』が入っているから買わざると得ない。これ、その部分だけ単独で出せばそれで十分なのに、以前出した25周年記念デラックス等などに入っていたものが全てダブリになり、無駄なことこのうえない。(ほぼ同時にリリースされたローリング・ストーンズの最盛期、1972年の伝説のライブDVDLady & Gentleman』(WHDエンターテインメント/IEBP10052)みたいなものなら喜んで払うのに)小金を持っている奴から巻き上げようという魂胆が見え見えで最悪である。世も末だ...。でも節約してやっぱ、買っちゃうからなあ。あと、この一週間前にリリースされた『Double Fantasy Stripped Down』(TOCP70907)では『ダブル・ファンタジー』でミキシングされる前の「生声」のジョンのヴォーカルが楽しめる。これもコレクターは買うだろう。(佐野)







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