2000年6月24日土曜日

☆Sandy Salisbury:『Sandy』(TYO/31)

ミレニウムのメンバーの中で最もキャッチーな曲を書く才能を持つサンディ・サルスベリーのTogetherレコードでの未発表アルバムがリリースされた。プロデュースはもちろんカート・ベッチャー。アルバム全11曲の中にはTogetherでリリースされた3枚のシングルの計6曲が収録されているが、これらのシングルをみな持っていたため、本作が期待できることはあらかじめ予想がついていた。まず既発表から紹介すると、パワー・ポップの「Do Unto Others」、フリートウッズのカバー「Come Softly」がベスト。前者はビートとハーモニーが合体した快作、後者はほぼアカペラで歌われ、その幻想的なハーモニーとサウンドは出色の出来。こちらは後にカート・ベッチャーがカリフォルニアの幻のプロジェクト『Passion Fruit』でこのヴァージョンそっくりに吹き込んだいきさつもあった。ビーチ・ボーイズの「With Me Tonight」をアップテンポの楽しい曲に変えた「On And On She Goes」、トミー・ロウに提供した「These Are The Children」を思わせる牧歌的な「Once I Knew A Little Dog」、快調なバブルガム・ポップ「Goody Goodbye」もよく、6曲ともみなハイレベルだった。初登場の5曲はカントリー・タッチの曲が多く、サンディの音楽的趣向が伝わってくる。その中ではAメロがビートルズの「It's Only Love」にそっくりな「Baby Listen」がカートならではハーモニーが心地よく気に入ったが、アルバム全体では既発表曲を超えるものはなかった。おまけのデモ3曲ではピアノの弾き語りの「Every Minute Of My Life」が印象に残る佳曲。なおこれでサンディの残るソロ音源はOur Phonograph Recordsでリリースされたシングルの「The Best Thing」のみとなった。(佐野)
Sandy


0 件のコメント:

コメントを投稿