1999年9月15日水曜日

☆Beatles:『Yellow Submarine』(ワーナー/DL51170)DVD




 私の最も好きなアーティストは?と尋ねられればそれはやはりビートルズ。ビートルズはデビューから解散までそのすべてが素晴らしい。ビーチ・ボーイズも同じように好きだが、やはりジョンとポールという天才2人を抱えたビートルズは総合力で上だ。最も好きなアルバムは『Pet Sounds』だが、ブライアン一人ではここが限界だっただろう。ジョンとポール、そしてジョージ・マーティンのトリオのビートルズを、一時期でも上回ったブライアンの凄さは、たった一人だったこそ今は逆に際立っていることも事実。
 関係ない前置きはそのくらいにして、そのビートルズの名作アニメーションが、今まで日本ではUSヴァージョンしかなかったため見ることができなかった「Hey Bulldog」のシーンが入ったUKヴァージョンでDVD化されるというのだから、どこが違うのか楽しみに待っていた。全体でも違うカット、セリフがあるのかもしれないが、手持ちのUSヴァージョンのLDを比べて見て、「Hey Bulldog」のシーンはただカットされていたのではなく、大幅にその前後のシーンも変わっていたので、まずはここがどう違うか紹介しておきたい。
 後半で、青い玉の中に閉じ込められたSGT.Peppers Lonely Hearts Club Band(以下バンドと呼ぶ)をビートルズが見つけて、リンゴがポケットに入れておいたブラックホールを玉に張り付けると、青い玉が解け出してバンドが現れるのは同じ。しかしUSヴァージョンではバンドが現れ出すと「Baby You're Rich Man」のイントロが始まり、続いてメンバーが踊りながらワンコーラス歌い、リンゴがラッパを吹き、ポールが“Beatles to Battle"と叫ぶ。ここがUKヴァージョンでは「Baby You're Rich Man」はイントロだけで終わり、バンドのメンバーが降りて来て、ビートルズのメンバーと「やあ兄弟」などとお互いが挨拶しあうシーンがある。そして実は今は戦っている、一刻ct猶予もできないと語り、ポールがリンゴの声で「Beatles to Battle、Charge」と叫んで、その後にリンゴが突撃ラッパを吹く。続いてUSではブルーミーニーズが気づいて攻撃を始めるが銃から出てくるのは花ばかりで、ジョン目がけて撃った玉もYES OKと肯定的な文字ばかりが出てしまうが、このシーンはUKではまったく削除。そのかわりにバンドの復活に気づいたブルーミーニーズが4つの頭を持ったブルドッグをけしかけ、ビートルズはピアノの中に隠れて「Hey Bulldog」がフル・コーラス始まる。ブルドッグはピアノの中に隠れたビートルズにつられて爆弾をくわえさせられたり、バンドとビートルズがピアノと茂みから交互に顔を出し、ブルドッブは右往左往して結局ピアノに激突してしまう。このシーンはもちろんUKのみだ。
 ジェレミーとリンゴが出会うシーンも、USではジェレミーが足を縛られ吊るされているときに「勉強しなきゃ。行かせてくれ」と言っているが、このセリフはUKではない。そのかわりジェレミーが衛兵を倒したあと“Come on.Ringo"と言って、5秒ほどジェレミーがシャドーボクシングをしながら坂を上がって行くシーンがあった。
 画質は飛躍的に上がり、音質はクリアーなリミックスで文句なし。CD(東芝EMI/TOCP65300)も絶対買う必要がある。色々な本で新しくリミックスされたCDの違いは紹介されているので、ここでは書かないが、「All You Need Is Love」などコーラスが際立ち、感動的。こんな素晴らしいリミックスなら今度もどんどんやってもらいたい。(佐野)

イエロー・サブマリン〈U.K.バージョン〉特別版 [DVD]

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