2019年9月12日木曜日

FMおおつ 音楽の館/Music Note 2019年8月号「Waterboys特集」

私の番組「音楽の館/Music Note 8月号」の「Waterboysサントラ特集」について、遅ればせにはなってしまったが報告さていただく。この『ウォーターボーイズ』は2001年に映画化されて話題になった“男のシンクロ”で、映画のヒットを受けて2003~2005年にかけてテレビ・ドラマ化され、計4シリーズが制作されている。

今回の特集では、この4作品のシンクロ演技で使用されたナンバーで構成している。さらに「衝撃のアノ人!その後を追跡」(NTV)なる番組で、「ウォーターボーイズのモデル、知らざれる苦労、高校生の今」というタイトルで放映された2004年9月に川越高校でシンクロ・チームのダンスの振付を担当した柴田周平君の選曲も加えた。

 
彼は、当日押し掛けた1万人以上の観客から大喝采を浴びるも「やりきり症候群」となり、大学受験に失敗。その後二浪して大学進学した彼は、映画研究会に入部する。そこで「エコーズ」なる作品で役者デビュー。その作品は「東京学生映画祭」で準グランプリを受賞し、演技に開眼する。現在は映画で知り合った女性と結婚し、サラリーマン兼舞台俳優として活動しているという概要だった。


  その2004年文化祭でシンクロ演技に使われた曲解説する。Bill Haley & The Comets<ロック・アラウンド・ザ・クロック(We're Gonna Rock Around The Clock)>、発表されたのは1954年で、翌1955年にMGM映画『暴力教室』のオープニングに採用され8週連続全米1位を記録したロックンロール創世記を代表する1曲。

 
次は大塚愛さんの<さくらんぼ>。この曲は2003年12月リリースの2曲目で代表曲、翌2004年の第55回紅白歌合戦に初選出されている。なお彼女の近況は2019.2.1.のミュージック・ステーション3時間スペシャルLIVE・テレ朝開局60周年や、Rock In Japan 2019.8.12.のステージでもこの曲を披露している。

 
そしてユーミン<真夏の夜の夢>、この曲は1993年に発表された佐野史郎さんの怪演が評判となった『誰にも言えない』の主題歌。この番組は1992年に大ヒットした『ずっとあなたが好きだった』の続編的なドラマで、共演者は野際陽子さん・賀来千香子さん。この曲は彼女にとって<あの日に帰りたい>に続く2曲目のNo.1ヒットだった。


 
ここで、「男のシンクロ」について簡単に紹介する。モデルは男子高校の埼玉県立/川越高校の水泳部が1988年から実施の文化祭用の演目だった。その後、1999年に『ニュースステーション』で放送され、その特集を見た矢口史靖監督によって2001年に映画化に至る。


 その第一作となったのが『ウォーターボーイズ』(カタカナ表記)、この言葉自体は映画プロデューサーが作った造語で、正式名称ではない。この作品は少数館の上映だったが、評判をよび上映館が100館まで増え、上映期間は半年を越える大ヒット作となっている。この現象はシネマコンプレックス(シネコン)普及と重なり、2000年以降の邦画復活の起爆剤になったとも言われる。この映画の大ヒットで、モデルとなった川越高校の2002年文化祭には約3万人の入場者を記録した。



 なおこの作品で主役の鈴木智役を務めた妻夫木聡さんと、準主役の佐藤役の玉木宏さんは、当時はまだ無名の若手俳優だった。彼らの起用は映画を制作に一か月以上前からシンクロの練習をする必要があり、二か月以上スケジュールの空いていた著名俳優がいなかったという事情による。なおストーリーは廃部寸前の唯野高校水泳部の顧問に真鍋かおりさん扮する美人教師が顧問に着任し、シンクロナイズドスイミングを教え、紆余曲折を経て公演を成功させるといったもの。



  
ではこの映画の演技シーンで使用された曲を紹介する。まずSylvie Vartanの<あなたのとりこ(Irresistiblement)>、彼女はフレンチ・ポップスのスーパー・スターで、本国で1968年に発表した代表曲のひとつ。おりしも1968.4.11.(23歳)自動車事故からの復帰作だった。日本では1969.1.に 16作として発表されるも不発で、1970.11.5.に21作で再発され大ヒット(Jp.18位  11.8万枚)。なお余談ながら、ウルトラマンに登場するバルタン星人は彼女から付けられたというのはかなり有名なエピソードだ。

 日本の夏の風物詩のひとつとなったThe Venturesの<Diamond Head>。全米でのリリースは1965年で70位程度だったが、日本では最も人気のあるナンバー。作曲者のDanny Hamiltonは、1971年にHamilton, Joe Frank & Reynoldsを結成して<恋のかけひき(Don’t Pull Your Love)>を大ヒットさせ、1975年にはPlayboyに移籍し<Fall in Love>で全米1位を獲得している。

 3曲目はPuffy<愛のしるし>、1998.3.14.に発表された 6枚目のシングル。この曲の作者はスピッツの草野正宗さん、アレンジは奥田民生さんだった。エンディングにBay City Rollers<Satuday Night>のフレーズを拝借するという民生風隠し味が付いている。そのスピッツの最新シングル<優しいあの子>は現在放映中のNHK連ドラ『なつぞら』の主題歌になっている。

 
4曲目は青江三奈さん<伊勢佐木町ブルース>、1968.1.5に発表された彼女の代表曲で、1960年代の演歌を代表する1曲。彼女はこの曲で『第19回NHK紅白歌合戦』に出場するも、イントロの“吐息”に「Stop」がかかり、カズーに差替えられてる。なお彼女がこの曲を歌ったのは27歳で、先日元AKBの大島優子が30歳になったと聞き、その貫禄には驚きだ。
 そして最後のフィンガー・ファイブの<学園天国>、全盛期1974年の第5作シングル。この曲は後にキョンキョンのカヴァーで1989年にも大ヒット、ちなみに彼女版のバックは野村義男率いる「三喜屋・野村モーター’s BAND」。



 続いては2003年7.1.から始まったテレビ版『WATER BOYS』(CX系)。この作品は映画版から2年後の同じ唯野高校水泳部が舞台で、二代目主人公新藤勘九郎役には山田孝之さん、そしてその相棒立松憲男役には森山未來さん。山田さんは「ちゅらさん」出演後のひ弱な感じで、その後の『闇金ウシジマくん』(2012年~)の強面雰囲気は微塵の欠片も感じられない。そして森山さんも『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004年)で大ブレイクする直前だった。


 このテレビ版のシンクロ演技シーンに使われた曲から、Dick Dale & His Deltones<MISIRLOU>。この曲は1962年のヒットだが、有名にしたのは1994年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』への起用。なおこの作品はジョン・トラボルタがダークな役を演じた作品としても有名だ。

 2曲目は山本リンダさんで<狙いうち>、1973.2.25.に発表された 23th Singleで 14位止まりだが、リンダさんの大胆な振り付けで子供たちにもオオウケ、さくらももこさんは「ちびまるこちゃん」に度々登場させている。なお今では「応援ソング」の定番で、甲子園でも頻繁に演奏され続けている。
 3曲目のThe Rubettes<Sugar Baby Love>、1974.1. に発表された彼らのデビュー曲で全英4週1位、欧州各国でも1位という大ヒット、全世界で800万枚以上セール。この曲はスタジオ・ミュージシャンによる製作からグループが結成されているも、発売前にヴォーカリストが脱退し、ヒットした時点では別のメンバーだった。
 
 4曲目は松浦亜弥さん<♡桃色片想い♡>、2002.2.6.にリリースした第5作で2位を記録、この時期はあややの全盛期で曲が選ばれたのは当然の成行きだった。
 そして5曲目のMichel Polnareffで<シェリーに口づけ(Tout, Tout Pour Ma Cherie)>、この曲は本国フランスで1969.5.に<追わないで(後に、「渚の想い出」と改題)>のB面曲でリリース。日本では1969.9. にCBS/Sonyからフランス同様B面扱いで<可愛いシェリーのために>のタイトルで発売された。その後1971年にCBS/Sony がEpicレーベルをスタートした際に <シェリーに口づけ>として発売し大ヒット。当時のPolnareff人気は青森で「来日要請署名」活動が起こったほどだった。




 次は2004.7.6.から始まった『WATER BOYS 2』(CX系)、名目上前作の続編だが、前作と直接的なかかわりはほとんどなかった。舞台は3年前まで女子高で、9割以上が女子生徒の姫乃高校。そこには男子の運動部がなく、「シンクロ部」創設しようという活動が始まり。三代目主人公水嶋泳吉役には市原隼人さん、そしてその相棒山本洋介役には中尾明慶さん。市原さんは2009年の『ROOKIES』『猿ロック』でブレイク、中尾さんと言えば奥様が仲里依紗さんで、タレント以外に2016年には小説家としても活動している。なおヒロイン矢沢栞役には石原さとみさんが起用された。



 ではこの作品のシンクロ演技シーンに使われた曲から、まず布袋寅泰さんで<バンビーナ>、彼は元BOOWYのギタリストで、吉川晃司と組んだCOMPLEXでもお馴染み。彼が1999.4.16.にリリースした 18作で 2位を記録した大ヒット曲。
 続いて<Mickey>、番組ではB*Witchedのヴァージョンだったが、一般には全米1位のTony Bazil版が有名。彼女は振付師で、その振り付けしたこの曲は“世界で最も有名なチアリーディング曲”になっている。また日本では『ワンナイR&R』(CX系)でゴリ(ガレッジセール)扮する松浦ゴリエのパフォーマンスでも大ブレイク。

 
3曲目は松谷祐子さんの<ラムのラブソング>、アニメ「うる星やつら」の主題歌だが、もはやアニソンの域を超えた名曲。なおアニメ放映期間は4年半にもおよび、劇場版も6本という大ヒット作で、関連商品の売り上げも100億円を超え。原作は「犬夜叉」でも有名な高橋留美子先生で、故佐野へさん同様に私も彼女の生みだす“想像を超えたナンセンス”の大ファンだ。
 ラストはDuran Duranで<The Reflex>1、980年代に一世を風靡したニューロマンティックの代表的グループ。この曲は世界中で1位を獲得した彼らの代表曲。そんな彼らの人気は日本でも絶大で、1982年から2017年まで10回を数える。


 そして最後に『WATER BOYS 2005夏』(CX系)、この作品は二夜連続作で、シリーズの完結作にもなっていた。



 このドラマの舞台は架空の島で、東京の大学生になった元・唯野高校シンクロ部員の田中晶俊が、島の夏祭りイベントで「シンクロ公演」を成功させるもの。四代目主人公田中晶俊役には瑛太さん、そしてその相棒上原賢作役には小出恵介さん。なおヒロイン垣原玲奈には2007年にL’Arc~en~Cielのベーシストtetsuyaさんと結婚した酒井彩名さんを起用。

 
ではこの作品のシンクロ演技シーンに使われた曲から、まず野際陽子さん<非情のライセンス>。この曲は人気TV.ドラマ『キーハンター』のテーマ。当時の彼女はハイセンスな大人の女性の代表的存在。現在は1992年の『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さんの母親、桂田悦子、1994年『ガラスの仮面』の月影先生役のほうが馴染み深いかと。
 Starship<シスコはロック・シティ(We Built This City)>、1960年代にデビューしたサンフランシスコを代表するバンドJefferson Starship初の全米1位曲。バンドは結成以来、数々のメンバー・チェンジを経て1985年にバンド名をStarshipに変更、その後の大ヒット。また翌年には、映画『マネキン』の主題歌<愛は止まらない(Nothing’s Gonna Stop Us Now)>も全米1位を記録。

 またまた登場、あややの<ね~え?>。この曲は2003.3.12.発表の第 9作で最高位3位、不思議なことに彼女には1位曲が無く、“シルバー・ホールダー”のアイドルといえる。なおこのタイトルは他にもドリカム(2010.6.30.46th)やPerfume(201011/10.12th)のヒット曲にもあり、人気タイトルだった。
  “ゴッドねぇちゃん”和田アキ子さんで<古い日記>、この曲は1974.2.25.リリースの第 18作で最高位44位止まり。ただ曲中の印象的なシャウト「はぁ!」は彼女のトレードマークになっている。今回は2013.6.12にリリースされた『AKIKO WADA 45TH ANNIVERSARY ESSENTIAL COLLECTION』に収録された(Dynamite Soul Mix)。
 そしてOlivia Newton-John と ELOの夢の共演で<Xanadu>、これはOlivia主演の同名ミュージカル映画の主題歌。映画はコケたものの、曲は全米8位全英をはじめ世界5か国で1位に輝いた大ヒット曲。

<オンエア曲>
1. ロック・アラウンド・ザ・クロック(We're Gonna Rock Around The Clock)
  /Bill Haley & The Comets
2.さくらんぼ /大塚愛
3.真夏の夜の夢 /松任谷由実
 ~20190年「ウォーターボーイズのモデル、知らざれる苦労、高校生の今」

4.あなたのとりこ /Sylvie Vartan
5. Diamond Head  /The Ventures
6.愛のしるし /Puffy
7.伊勢佐木町ブルース /青江三奈
8.学園天国 /フィンガーファイブ
  ~映画『ウォーターボーイズ』

9. MISIRLOU /Dick Dale & His Deltones
10.狙いうち/山本リンダ
11.Sugar Baby Love /The Rubettes
12.♡桃色片想い♡/松浦亜弥
13.シェリーに口づけ/ Michel Polnareff
  ~2003年テレビ『WATER BOYS』

14.バンビーナ/布袋寅泰
15.Mickey/Tony Bazil
16.ラムのラブソング/松谷祐子
17.The Reflex/ Duran Duran
  ~2004年テレビ『WATER BOYS 2』

18.非情のライセンス/野際陽子
19.シスコはロック・シティ(We Built This City)/ Starship
20.ね~え?/松浦亜弥
21.古い日記(Dynamite Soul Mix)/和田アキ子
22.Xanadu/ Olivia Newton-John & ELO
  ~2005年テレビ『WATER BOYS 2005夏』

次回9月号は「9月&秋ソング特集」をお届けする予定です。

本放送:第四土曜日9/28(土)15:30~18:00
再放送:第四日曜日9/29(日)8:00~10:30

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                          (鈴木英之)

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