2018年4月10日火曜日

Nao☆:『菜の花』(T-Palette Records/TPRC–0199)

 
新潟在住のアイドル・ユニットNegiccoのリーダー、Nao☆の生誕を記念したソロ・シングル『菜の花』が4月11日にリリースされる。 16年5月にここでNegiccoのサード・アルバム『ティー・フォー・スリー』を取り上げた際も同様だったが、シングルとはいえ強力なカップリングなので、WebVANDA読者をはじめとする音楽通も満足させる内容となっているので紹介したい。
 
   
 
タイトル曲「菜の花」は、作詞をNao☆自身、作曲・編曲をROUND TABLEの北川勝利が担当し、カップリング曲「ハッピーエンドをちょうだい」は、作詞を岩里祐穂、作曲・編曲をNegiccoのサウンド・プロダクションではお馴染みのユメトコスメの長谷泰宏が担当している。
09年にROUND TABLEの『FRIDAY I'M IN LOVE』リリース時に長谷はアレンジャーとして参加しており、ここでもインタビュー記事を掲載したので読者も記憶にあるかも知れない。
早くからシティポップ系サウンドをクリエイトしている北川と、ソフトロック・サウンドを研究し尽くしている長谷による楽曲提供は正しく強力なカップリングといえよう。
また80年代から作詞家としてキャリアのある岩里祐穂(いわさと ゆうほ)にも触れておこう。 80年に“いわさきゆうこ”としてシンガーソングライター・デビュー後、女優として活躍していた今井美樹への作詞提供で一躍知られるようになり多くの作品を残している。特に「地上に降りるまでの夜」(『MOCHA』収録・89年)や「瞳がほほえむから」(89年)は日本のニュー・ミュージック(シティポップ)史において後世に残る名作ではないだろうか。
Nao☆自身もウワノソラの「Umbrella Walking」(桶田知道作で後に『陽だまり』収録・17年)をフェイバリット・ソングの1曲に挙げており、Negiccoでは「土曜の夜は」(シングル及び『ティー・フォー・スリー』収録)をウワノソラの角谷博栄にオファーするなど、この手のサウンドを好んでいるのもうなずける。
 
 
では収録曲を解説しよう。タイトル曲の「菜の花」は、北川自身による複数のアコースティック・ギターのカッティングが有機的に絡むファースト・テンポのカントリー・ポップで、流線形にも参加する山之内俊夫のエレキギターのフレーズが随所にちりばめられている。そしてこの曲のパンチラインは2ndフックの「♪伝えきれない想いを 歌に乗せ届け 君のもとへ」にある。この甘美なメロディのたたみ掛けは、ニック・デカロもカバーしたスティーヴィ-・ワンダーの「Happier Than The Morning Sun」(『Music Of My Mind』収録・72年)のそれを彷彿とさせる多幸感を生んでいる。またユーミン(荒井由実時代)の「やさしさに包まれたなら」(『MISSLIM』収録・74年)が好きなシティポップ・ファンは是非聴くべきだろう。

『ティー・フォー・スリー』で「カナールの窓辺」を提供した長谷作の「ハッピーエンドをちょうだい」は、彼が主宰するユメトコスメの「嘘だよ、過去形じゃなくて...!」(14年)に通じるチェンバロの刻みにヴォブラフォンとピチカットのオブリが印象的なソフトロックだ。目眩く縦横無尽な動きをするストリングスのマジックは長谷の得意とするところだが、この曲でも遺憾なく発揮されている。
筆者は彼がストリングス・アレンジを手掛けたNegiccoの「おやすみ(アルバムVer)」(『ティー・フォー・スリー』収録)がいたく好きであり、こっそり16年のベストソングの1曲に挙げた程だった。
 
   
 そして何より重要なのは、神様からのギフトと言っても過言ではない、Nao☆のちょっとハスキーでスウィートな声質にある。80年代アイドルシンガーを彷彿とさせる所謂 “キャンディ・ボイス” ”聖子声” に男性達は虜になること間違いない。興味を持ったシティポップ及びソフトロック・ファン、そして80年代アイドル・ファンは是非入手して聴くべきだ。
 (ウチタカヒデ)


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