2013年5月26日日曜日

DAVID GATES:『THE EARLY YEARS 1962-1967』(Rare Rockin' Records/RRR SMS 1032)



69年にブレッドとしてファースト・アルバムをリリースする以前、デヴィッド・ゲイツがソングライター、アレンジャー、プロデューサーとして活躍していたことはVANDA読者ならご存知だろう。
そんな彼が62年から67年までにソングライターとして手掛けた作品をコンパイルした作品集がオーストラリアのRare Rockin' Recordsからリリースされた。
この手のコンピレーションでは95年に日本のThe A-Side Recordsリリースの『David Gates  Masterpiece』がマニアの間では知られるが、本作はその収録数21曲を超える33曲で初CDリイシューの楽曲も多く含まれるので紹介したい。

デヴィッド・ゲイツは40年オクラホマ州生まれ、音楽一家の元で育った彼は16歳の時に自身のバンド、David Gates & The Accentsとして音楽活動をスタートさせるがなかなかブレイクには至らず、58年にポップ・シンガーのSammy Salvo(サミー・サルボ)に「Lovin' At Night」が取り上げられソングライターとして注目を浴びる。
その後63年に本作の冒頭を飾るThe Murmaids(ザ・マーメイズ)の「Popsicles and Icicles」 が全米チャート3位のヒットとなり、大手音楽出版社のスクリーン・ジェイムスと専属契約したことで、様々なシンガーに楽曲を提供する機会に恵まれたのだ。
本作はそんなゲイツがソングライティングした曲の魅力を余すことなく収めた画期的なコンピレーションであり、英Ace Recordsのソングライター・シリーズの諸作に匹敵する内容となっている。

ゲイツの作風は「Popsicles and Icicles」やConnie Stevens(コニー・スティーヴンス)の「Lost in Wonderland」(65年)をはじめとするプリティなガール・ポップから、Michael Landon(マイケル・ランドン:『大草原の小さな家』で知られる名俳優)に提供した軽快なビート・ポップの「Without You」(64年)、ハル・ブレインやスティーヴ・ダグラスらが参加したと思しきフィル・スペクター・サウンド・タイプのThe Girlfriends (ガールフレンズ)の「My One and Only Jimmy Boy」(63年)。
またノヴェルティ・テイストのMargaret Mandolph(マーガレット・マンドルフ)の「Silly Little Girl」(64年)やバカラック・サウンド・テイストのJody Miller(ジョディ・ミラー)の「Never Let Him Go」(65年)、Dorothy Berry(ドロシー・ベリー)の「Cryin' on My Pillow」(63年)や「You Better Watch Out」(64年)にはノーザン・ソウルの匂いもしたりと、その音楽性の幅には脱帽するばかりだ。
なお収録曲33曲の内6曲がステレオ・ヴァージョンで、その他27曲はオリジナルのモノで収録され、下記に挙げる13曲は初のCDリイシューではないかと思われる。
表紙を含む30ページに渡るブックレットは、曲毎の解説とオリジナル・レーベルのカラー画像が掲載されており非常に丁寧な作りである。

  5. 「Crying On My Pillow」 Dorothy Berry
  6. 「Pebbles」 Dorsey Burnette
  8. 「Ain't Gonna Cry No More」 Gwen Stacey
11. 「Tears, Rain」 Frankie Fanelli
12. 「If You Ever Need Me」 Margaret Mandolph
16. 「The Fool of The Year」 Johnny Burnette
21. 「Nothing Left to Do But Cry」 Merry Clayton
22. 「Tell Him」 Suzy Wallis
23. 「The Prince of My Dreams」 Dotty & Kathy
26. 「Never Let Him Go」 Jody Miller
28. 「Swingin' Gates」 The Fencemen
29. 「No One Really Loves A Clown」 Johnny Crawford
31. 「How Do You Say Goodbye」 Jody Miller


「Crying On My Pillow」 Dorothy Berry


「Never Let Him Go」 Jody Miller

最後に強力なボーナス・トラックとなるのが、ゲイツ自身による「You'll Be Needin' Me, Baby」のオリジナル・デモ・ヴァージョンだろう。本作にも収録されているスティーヴ・ダグラスのプロデュースで名匠ペリー・ボトキンJr.がアレンジを手掛けたレターメンのヴァージョン(66年)がよく知られるが、このデモはニノ・テンポ&エイプリル・スティーヴンスのヴァージョン(67年)のバック・トラックに非常に近く、コーラスと間奏の木管ソロを男女コーラスに差し替えてクラップを追加するとそのままテンポ&スティーヴンス・ヴァージョンのサウンドである。収録された『All Strung Out』はゴールド・スター録音であることから、スペクター・セッションの常連だったゲイツがここでデモをレコーディングしたのかも知れない。それを耳にしたダグラスがレターメンのシングルとしてボトキンにリアレンジさせ先にリリースしたと推測されなくもないが、興味が尽きない発掘音源である。
(ウチタカヒデ)


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