2010年3月10日水曜日

The Goggles:『Music From The Original Soundtrack And More』(BIG PINK MUSIC/BIGPINK 056)



VANDA読者にはお馴染みのクリエイター、ロッド・マクブライエンが70年に米NBC系テレビ番組の企画で結成したグループ、The Goggles(ゴーグルズ)の唯一のアルバム『The Goggles』(71年)が、韓国のBIG PINK MUSICから世界初CDリイシューされたので早速紹介したい。

そもそもSalt Water Taffy解散後のロッド・マクブライエンがThe Goggles結成に関わる経緯だが、『NBC Children's Theatre』(63~73年)という土曜の朝に放送していたファミリー向け番組のシリーズ、"Looking Through Super Plastic Elastic Goggles"(70年)の企画によるものだという。この辺りについては、本誌佐野編集長によるマクブライエンへのインタビュー記事に詳しいのでそちらを参照して頂きたい。
The Gogglesはマクブライエンと彼の友人でNYのセッションギタリストとして知られるデヴィッド・スピノザの他、テレビ番組出演を考慮して男女それぞれ1名の俳優が参加しており、実際のレコーディングで彼らは、ヴォーカルやコーラス・パートのみに参加していると考えるべきだろう。後に映画『ファントム・オブ・パラダイス』(74年)などに出演する女優のジェシカ・ハーパーがリードを取る曲は3曲のみだ。
本作は"Looking Through・・・"にミュージカルディレクター?的立場で関わっていたとされる、Audio Fidelity Records(以下AFR)のA&Rマンであったエディ・ニューマークがプロデュースとアルバムの10曲中6曲(内4曲は共作)のソングライティングを手掛け、マクブライエンはスピノザとの共作で1曲のみ提供している。その「The Start Of A New Day」は70年代初期BB5というかブルース・ジョンストン風のミディアムなサンシャインポップで、美しいコーラスを含む音数少ないサウンドに身を委ねたい。
ニューマークが手掛けた楽曲はバラエティに富み、60年代バブルガム・ミュージックの名残を彷彿とさせるアップテンポのテーマ曲「Super Plastic Elastic Goggles」、プロコル・ハルム風のパートを持った「The Colors Of The Mind」、フィフス・アヴェニュー・バンド的なプレ・ブルーアイドソウル感漂う「Looking At The World Through Goggles」など歌モノ・テレビサウンドトラックの域に留まらない充実したものが多い。


アルバムを通して最も完成度が高いのは、ヘレン・ミラーとエステル・レヴィット(昨年『Is It Lonely Together』(74年)が世界初CDリイシューされた!)のソングライティングにより、シングルとして先行リリースされた「Don't Say You Don't Remember」ではないだろうか。複雑な転回にコール・ポーター風のフックが止めを刺す、実にドラマティックな名曲なのだ。ジャズ・ピープルの素養を持ったピアニストとドラマーの演奏やオーケストレーションなど、全てが完璧でクラシックと呼べるクオリティだ。翌72年に女優兼シンガーソングライターのビバリー・ブレマーズがオーソドックスなアレンジながら、全米でロングヒットさせ曲の完成度が証明される。

昨年英Now Soundsから世界初CDリイシューされたThe Golden Gateの『Year One』(69年)と同様に、AFRの数少ないポップス系アルバムとして、オリジナル・アナログ盤がレアとされる本作の初CD化を喜びたい。ただし今回のリイシューには当時のデータや当事者か評論家の解説、リマスターに関してのクレジットがブックレットに一切記載されていないのが気になった。一応AFRの現在のカタログを持つMilestone Recordsのライセンスを明記しているので公式リイシューと受け取っていいだろう。(エビデンスはないので念のため)
音質的には単純にデジタルコンバートしたというものなのか、特段向上しているとは思えないが、一般的なオーディオで聴く分には申し分ない。
コレクター心をくすぐるオリジナル盤のデザインを再現した、丸形特殊ジャケット(三つ折り)や帯に価値観を見出すのもいいだろう。
6月にVIVID SOUNDからのリリースが決定したようなので興味をもったソフトロックファンは早速予約しよう。
(ウチタカヒデ)




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