2016年8月13日土曜日

Best Buyでビーチ・ボーイズの『Pet Sounds(50th Anniversary 2CD)』を購入するとオレンジワックスのイタリア盤「God Only Knows/Wouldn’t It Be Nice」の7 inch Singleがもらえる

アメリカのBest Buyでは時折、Best Buy購入者のみの特典盤を出してくれる。有名な所はブライアン・ウィルソンの『The Lucky Old Sun』にはBonus Trackとして「Good Kind Of Love(Featuring Carol King)」「I’m Into Something Good(Featuring Carol King)」「Just Like Me And You」が追加されていてこのCDでしか聴くことができない。フーの『The BBC Sessions』にもBonus Discが付けられ長く他では聞けなかった。そして今回、ビーチボーイズの『Pet Sounds(50th Anniversary 2CD)』に7inchシングルをBonusで付けたのだ。大きさ的に無理があるので封入されたカードのクーポンコードを打ち込むと後で送ってもらえるそうだ。内容は「God Only Knows/Wouldn’t It Be Nice」のイタリア盤シングルで、オレンジワックスである。音源的には違いがあるかチェックしたが、私の耳では同じモノ盤だと思う。伊藤博通さんから送ってもらった情報なので下記の画像が伊藤さんから送付してもらったもの。音源が同じなので私に購入予定はないが、Best Buyのサイトでは$21.99と安いので、マテリアル派の方は是非。(佐野邦彦)

55年前に絶滅したと思われたグロスミシェル種のバナナは奇跡的に生き残り、食べたお年寄りは涙ぐむ。そして絶海の孤島、南大東島のサワラの漬けの大東寿司は10貫550円と激安ながら美味さはピカイチ。

このHPのサブカル用に興味深くおススメの食べ物を2つ紹介しよう。

先日、日本テレビの「沸騰ワード10」という番組で、「お年寄りが泣いてしまうバナナ」というコーナーが衝撃だった。戦後1950年代から輸入されたバナナは高級品で、特別な時か病気の時しか食べられなかった。現在価格で12000円という時もあり、私もバナナは高級品という記憶がある。その頃のバナナは我々が今食べているバナナとはまったく別の「グロスミシェル」という品種だった。クリーミーで上品な控えめな甘さが特徴だったが、50年代後半からパナマ病というカビの病気が猛威をふるい、全滅してしまったのだ。以降この病気に強い「キャベンディッシュ」という品種がとってかわり我々が食べているバナナのほとんどはこの品種である。しかし「グロスミシェル」は東南アジアで密かに生き延びていた。TVではそれを輸入して巣鴨のお年寄りに食べていただいたら、みな「ああ、これだよ。この味だ」「甘さが控えめところが美味しいんだよ」と大絶賛。食べて涙ぐんでしまうお年寄りも多く「戦後の苦労していた時代を思い出してしまって」「いつも優しかった母親が自分の病気の時に食べさせてくれた」「高級品だったからお金を貯めて父親に食べてもらったことを思い出した」と絶句し、涙を流していた。いったいこれはどういう事なんだ?そんなに味が違うのか?わが家だけでなく親に食べさせたいと「グロスミシェル」を通販してくれるタイの「ホムトンバナナ」という卸のショップでひと月10箱までというサンプル品を送ってもらった。1014200円。高いバナナになってしまったが、これは絶対に食べたかったので迷いはない。届くと大きな箱に数房入っていたので、ウチの分以外に実家、母がお世話になっている方達、妻の実家、訪問医の先生、そして訪問リハビリのPTさん、妻が退職した職場と、年配の方とお世話になっている方に、「グロスミシェル」の由来のコピーを添えて、妻に配ってもらった。さて肝心な味だが、美味しい。確かに少しクリーミーで、甘いがやや酸味もあるので、飽きない感じだ。私と妻は今の「キャベンディッシュ」より気に入った。ただあまりに小さい子供の時の話なので懐かしいという感情は蘇ってはこない。それよりもこのもっと上の世代である母や義母はよりストレートに美味しい、これが好きだと、とても気に入ってもらえた。ただ20代の子供達はああバナナだというそっけない回答。このバナナ、成城のスーパーなどでは売っているそうなので、是非一度ご賞味いただきたい

さてもうひとつ。まだ歩くことができた昨年9月、沖縄の南大東島で食べた大東寿司が気に入って何度も食べた。この大東寿司はサワラを醤油ベースの特製ダレで漬け込んだものを甘めのシャリに乗せた寿司である。評判がいいようで那覇空港の空弁で大量に売られるようになっていた。開けると種類はこの1種類だけ。漬けなので醤油は必要なく、そのまま食べられるのも便利。ご飯がもっちりとしていて食べごたえもある。サワラの漬け具合と甘めの酢飯のマッチングが最高であっという間に完食だ。漬けなので少し日持ちがするのもいい。歩けなくなってもう食べられないと諦めていたら、この前のHPで書いた石垣島の宮良に行ったPTさんがお土産に買ってきてくれた。嬉しい嬉しい、久々の大東寿司、こんな美味しいものがなぜ東京には入ってこないのだろう。東京はまだまだ味音痴の巣窟だな。高級寿司や1個数百円のパンを有り難がってFBやインスタで自慢しているのはアホ。原価が高けりゃうまいのは当たり前でそんなものは知りたくもない。安くて美味しいものベストなのにそれが手に入らなくてどーする?南大東島の大東寿司、伊良部島のうずまきパン(銀座のわしたショップで売っている宮古島で作っているものはまったくダメ!騙されないように)はその両横綱だ。大東寿司はは南大東空港ではなんと10550円、うずまきパン1個で150円。この安さ、東京では倍払ってもかなわない。いや大東寿司は3倍払っても江戸前は負けるな。那覇空港でお土産で売っているものは、サワラは南大東島直送だが那覇で作っているため運送費がかかるのか6個入り税込772円とちょっと高い。味はかなり南大東島のものに近いので、那覇空港で是非買って賞味してほしい。南大東島で食べてもらいたいところだが、南大東島は沖縄から400㎞も東に離れた孤島で飛行機で約1時間、片道25600円もかかるからな。ただし南大東島はビーチがないかわりに周囲が水深数千mの海なので、太平洋の見たこともない紺碧のブルーの海に囲まれ、島には今は廃線になったがサトウキビを運ぶ日本最南端の鉄道シュガートレインの跡(車両だけでなく道路に残った線路を探すのも楽しみ)が見られるなど他の沖縄の島とはまったく別の魅力が満載だ。島の寿司屋では他では一切食べられない深海魚のインガンダルマの寿司も食べられるよ。是非一度は行くべき。大東ソバも美味しいよ。(佐野邦彦)

 

何度もこのHPの旅行記の中で紹介した、撮影・録音・メモ全て禁止、アカマタ神クロマタ神が現れる秘祭が、石垣島の宮良で行われた。自分はもう歩けないが興味を持って行ってくれたPTさんからの新情報である。

さて私のライフワークだ。アカマタ神クロマタ神が現れる石垣島宮良の豊年祭は730日に行われた。八重山の4島の4部落だけで行われるこの秘祭中の秘祭は昭和30年代に撮影された2神の写真と、荘厳なその儀式の一部について書かれた本を読んで感激し、どうしてもこの目でみたいと調べに調べて、2011年に石垣島の宮良で見た。すべてが非日常の異世界で感動的だが、音楽の力で涙が出たのは、この豊年祭の歌のみ。パワフルでソウルフル、構成はコール&レスポンス、踊りながらのその洗練された歌は日本(ヤマト)でも沖縄のものでもない。毎週3回来てくれるPTの方にこの儀式について話したらすっかり魅了され今年の豊年祭に奥さん帯同で行き、あまりの素晴らしさに夫婦で泣いたという。奥さんは沖縄本島の方だが歌などすべてが沖縄のものではないという。こうやって書いているだけでもゾクゾクしてしまう。その感動を思い出すからだ。しかしいつどこで行われるかは全ての旅行ガイドにも、石垣市役所のホームページを見ても一切載っていない。タブー中のタブーだからだ。この宮良だけは歓迎はしていないが来てしまった人まで追い出すことがない唯一の存在。島の人は口を閉ざすが石垣市役所に直接聞けば日程は教えてもらえる。市長も来賓で参加しているからだろう。私が調べてPTさんに日程を報告、八重山に行っている間、訪問リハビリを休んでけっこうだから、どうだったか教えてねと心配するPTさんを送り出した。過去、隠れて撮影して袋叩きにあったのは何件もあり、新城島で行われたものを撮影しようとしたTVクルーは捕まってTVカメラごと海に放り込まれた…という記事を読んだことがあるからだ。そのためこのインターネットの時代でも見た感想を書く人が少数いるくらいでそういう人は私と同じ「掟」は絶対に守るので一切の写真も録音も流すことがなく、興味本位で乗せる人も前述の本のコピー写真を載せるのみ。You Tubeにもない。不届き者がいないのは本当にほっとする。帰ってきたPTさんの情報では、自分が行った時にはなかった「受付」が出来、その中に20人くらいいて来場者をチェックするようになったこと。沖縄の人である奥さんはためらいもなく受付へいき、寸志を包んで渡したそうだ。写真はお土産にもらった寸志のお返しの袋の表紙で、中はお菓子だった。そして宮良公民館長からのアカマタ・クロマタの儀式の後の挨拶で「これからは部外者の人は出て行ってください」と言ったそうでこれも前にはなかった。儀式の細かい雰囲気は、下記に私が2011年に行った時の感想文があるのでそれを是非読んでもらいたいが、広場の儀式のあと、2神と歌の人達が部落を一軒一軒回ってそれが朝まで続くわけで、禁止前なので私は運よく2軒見ることができたのだが、今回は儀式を守るムチのような棒をもった「なみだ」(新城島ではシンカと呼ぶので下記の文ではシンカと書いてある)に追っ払われ、絶対に来られないように厳重に道路という道路を封鎖していたそうだ。ただ、私も見た国道に面した神社は見られるよ(ここには警官がいてなんと信号も消している。だからだろう)と教えてくれたそうだが、怖くてウソだと思っていかなかったとか。ウソではなかったのにね。この豊年祭はすべての電気を落としてあるので道路はほぼ真っ暗、そのまま来場者用の駐車場へ向かうしかなかったという。それでもあまりも感動したので、来年も是非また行きたいと決意を固めていた。私は行った翌年の2012年に病気になってしまったので悔しいことにもう行けなくなってしまったが、それほどものすごい儀式なのである。ここはいったい日本か、いや沖縄か、完全な異世界に舞い込んでしまったほどのインパクトがある。PTさんからの新しい情報では男性神であるアカマタの前を先導するのぼりには亀が、女性神であるクロマタの方は鶴が描かれていたという。私が国会図書館で調べた古い写真では新城島ではアカマタののぼりには太陽、クロマタには月の絵だったのでこれは驚きだった。ただ意味はなんとなくわかる。自分はあまりに興奮していたのでのぼりの絵まで目に入っていなかった。また2神とも飛び上がるように踊っていた気がしたがそれは男神のアカマタだけで、女神のクロマタはじっとしていたそうだ。さらに歌のコール&レスポンスを受け持つハチマキを締めたたくさんの歌い手は白いハチマキがクロマタ側、赤いハチマキがアカマタ側ということが分かった。そして噂される盗撮した人間への制裁では死者が出たと地元の方は語っていたそうだ。まあ私はそういう掟破りをする人間は殺されても仕方がないと思うのが自分の意見。何でも「人権」を盾にする人がいるが「絶対ダメ」というルールを知りながら自分の利益のためにそれを破る人間に人権などない。そして新城島はもともと宿泊施設がないのでその間は船を全てストップして旧島民だけがチャーター船で参加するのみとなる。10人しか住んでいない島に数百人が戻ってくるというのだから島民の思いは深い。「はいむるぶし」など高級リゾートがひしめく小浜島は何の情報もなかったが、今回宮良と同日程だそうで、なんとその日は一日十数便もある定期船をほとんど止め、儀式が行われる集落に来られないようレンタル自転車もレンタカーも全て貸し出しを止めているという。もちろんホテルでは外へ出ないように警告しているだろうし、それでも見に行こうという不届き者は、道路に配置された「なみだ」に怒鳴られ追い払われたことだろう。4島で残る西表島の古見はもともと閑散としている西表のひなびた部落なので、ここは容易に近づけないことが推測される。このアカマタ・クロマタは時の琉球王府から「異様な姿で神の真似事をする者たちがいてこれは誤った風習なので禁止する」と何度も禁止令が出された。この原初の宗教は、米の伝来の感謝と豊作の祈りを歌っており、仏教が伝わる前のもので、度重なる弾圧を生き延びてきたので外部の者に対して極めて厳しくなったことはよく分かる。琉球王国は平和な国みたいなイメージがあるが先島諸島から奄美群島まで次々武力侵略で支配していく覇権国家で、過酷な税制を強いたので、ここ石垣島では琉球王府に対して反乱を起こしたオヤケアカハチは英雄扱い、銅像が立ちその名前の泡盛もあるほどだ。八重山でのアカマタ・クロマタが生き延びてきたのはこういう琉球王府の弾圧の歴史を克服してきたからだ。そしてこの石垣島の宮良にアカマタ・クロマタが残るのも、琉球王府による何度も行われた八重山の島民に強いた強制移住で、小浜島から強制移住されられた人達の部落だからだ。道路の右と左の違いだけで強制移住されられたので「野底マーペー」などその悲しさを歌った歌がいくつも残されているほど。さてあとは私が書いたかつてのレポートでその雰囲気を感じてもらいたい。

沖縄県八重山地方のみ、それも4つの部落だけで、非公開で行われる豊年祭がある。この豊年祭にはアカマタ、クロマタという来訪神が現れるのだが、この4つの部落全てで写真、ビデオ、録音、携帯電話、さらにはメモも取ることも禁止しているため、詳細は不明で、このインターネットの時代においても1枚の写真も見ることができず、完全な秘祭といえよう。

私はこのWeb VANDAの旅行記でもその存在について折に触れ書いてきた。行われているのは新城島(パナリ)、小浜島、西表島の古見、そして石垣島の宮良。パナリのアカマタ、クロマタは昭和30年代に撮影された写真が一部の本に掲載されていて、実は私はその異形な姿を見てすっかり心を奪われてしまったのだが、そのパナリはここ3年、島に住む方に頼んでいたものの、今年も一切、非公開と告げられ、断念せざると得なかった。小浜島と西表島の豊年祭の情報は非常に乏しい。(ただし古見の豊年祭は、古い雑誌にその写真が掲載されていた。アカマタ、クロマタに加え、シロマタも現れる古見は、これらの部落の豊年祭の原型と言われているが、その姿かたちはパナリのそれと大きく異なっていて、祭りでの行動もかなり違う)その中、石垣島の宮良部落の豊年祭は、石垣市の中心から車で30分くらいの場所にあり、公開は一切していないものの、来る人をチェックし排除するまでには至らないようだ。これは脈がありそうだ。石垣市では宮良の豊年祭の日程をオープンにしている。2日のうち、後半の夜のムラプールに現れることは知っているので、その日は728日。もう7回目の八重山といいながら石垣島に友達がいるわけではないので、あてはまったくない。

しかし日程だけ分かれば、あとはすべてぶっつけ本番で、人に尋ねればなんとかなるのではと、飛行機の予約を入れてしまった。妻にも見に行かないかと声をかけたが、木曜日なので職場がそんなに休めない、また私のように魅入られているわけではないので、行かないという。それじゃあ豊年祭が終わった翌日、金曜の夜から合流しようと話がまとまった。まずは頼れるのは地元の人と、宿泊するホテル、使用するレンタカーの会社に、ダメもとで宮良の豊年祭の情報を求めておいた。すると宿泊先のホテルの方が親切にも当日の時間、会場の場所などを、石垣市役所に尋ねて聞いてくださっていた。このホテルアイランドリゾート石垣島イン八島は、各部屋の中に洗濯機と乾燥機が置いてあるスグレもの。沖縄県八重山地方のみ、それも4つの部落だけで、非公開で行われる豊年祭がある。この豊年祭にはアカマタ、クロマタという来訪神が現れるのだが、この4つの部落全てで写真、ビデオ、録音、携帯電話、さらにはメモも取ることも禁止しているため、詳細は不明で、このインターネットの時代においても1枚の写真も見ることができず、完全な秘祭といえよう。

さて、話は戻るが、会場の情報は「宮良の知念商会の近くの広場」というだけだ。駐車場があるかどうかは分からない。タクシーで...と勧められたが、東京と違って流しはないので帰りの保障がない。まずはとにかく下見と、車で宮良部落へ向かった。宮良川が出てきたので近い。ドキドキしてきた。すると道端の「ビデオ・写真・携帯電話 撮影・録音絶対ダメ!!」の看板が目に飛び込む。
やはりな。大丈夫かなと思ったがその横に「一般駐車場」の矢印が。一般...では部落の人以外でも大丈夫そうだ。さっそくそちらに車を進めて停車する。停まっていたのは他に1台のみ。まだ開始時間までには2時間もあるが、早くに行こうと思い、まずは道端にある知念商会を探す。店はほどなく見つかったが、その商店の周りに広場らしいものがなく、人気もなく、途方にくれる。これはこの店の人に聞くしかない。ジュースを1本買ってレジで聞いてみたが、若い人だったので、こっちの方だと思います、というアバウトな返事。これじゃ分からないなと思ったら、奥から中年の主婦の方が出てきてくれて、この道を登っていけば広場が出てくるからと具体的におしえてくれた。

会場の向こうの森からはドンドンドンという3連の太鼓の音がずっと聞こえている。あの森が、アカマタクロマタが生まれるというナビンドゥなのだろうか。夜の帳がおりてくると会場はいつしか500人くらいの人で埋まっていた。太鼓の音が聞こえる森からは女性や年配の男性達が列を作って会場へ集まり始め、赤い鉢巻、白い鉢巻の集団がそれぞれ100人くらいずつ、広場に分かれて座った。

夜の7時からは来賓の挨拶が続き、7時半に宮良公民館長から「聖地ナビンドゥより我々のニイル(ニイルピィトゥ=来訪神か?)の神様がやってこられます。その時は皆様、ご起立願います」とのアナウンスが入る。すると森の方からのぼりが2本現れ、その後ろのシンカの隊列の向こうに巨大な影が2つ見えてきた。

アカマタクロマタに違いない!この日は部落中の照明を落としているので、見えるのはほとんどシルエットだけ。これだけで凄い迫力だ。すると太鼓の音が突然ドドドドドドドンと連打に変わった瞬間、アカマタクロマタが広場に飛び込んできた。

でかい!高さは2.5m、横は2mはあるだろう。体中が草で覆われ、それぞれ赤と黒の巨大な面をつけているが夜光貝の目だけが夜の帳の中でキラキラ光り、その迫力はとても言葉では表現できない。子供が一斉に泣き出したという事実だけでもその衝撃が伝わるだろう。

すると鉢巻姿の村民が一斉に歌い始めた。歌は掛け合いで歌われ、みな声を限りに大声で歌っている。歌詞は一切分からないが沖縄でも本土でもない音階で、そのキーは高く、全身全霊をかけて歌う。歌に合わせてアカマタクロマタは上下に体を揺すり、2本の幟を持つ旗手は旗を互いクロスさせながら飛び上がるように踊る。そして後半、歌い手は一斉にアカマタクロマタを取り囲み、手を叩き、踊りながら、出会えた喜びを爆発させた。歌はユニゾンになり、宮良の夜を歌で覆い尽くした。演出の見事さ、歌の素晴らしさに私は感動して涙ぐんでしまった。祭りには出店のひとつもないが、この豊年祭をみな心から待っていたことが伝わってくる。畏敬の念にあふれ、これこそが祭りの本来の姿なのではないか。

ここでいったん、広場での儀式は終わる。この後、2つの神は、シンカと歌い手と共に部落を一晩中、朝までかけて一軒一軒めぐり、祝福を与えていくのだ。もうこれだけ見られれば十分だと思い、一般駐車場の方向へ向かうが、なにしろ暗いので人の後を付いていくしかない。

すると突然、あの太鼓の音が聞こえてきた。見ると脇の家に人が集まっている。集まった人の間をぬって前へ出ると、ちょうどアカマタクロマタが民家を訪れているところだった。アカマタクロマタは広場さながらにかけあいの歌に合わせて上下に体をゆすっている。歌は広場でのテンションを保ち実に見事だ。広場では正面にいながら暗くてよく見えなかったので、アカマタクロマタの顔をよく見たかったが、ちょうど横からだったので見られたのは横顔だけ。歌が終わるとシンカはアカマタクロマタをさっと取り囲み、慌ただしく移動していく。ここでも見られたのはよかった。

でもこの暗さではいったん国道へ出るしかない。一般駐車場は国道から入ったので、正確な曲がり角を知るにはそれしかないと、国道方面へ行こうとすると、シンカが道を封鎖し、通らせてくれない。この先で儀式をやるんだな。仕方がない。横道を回って国道へ出ると、警察が国道の車を止めている。道路は異様に暗い。

すると国道に面した神社にアカマタクロマタが入ろうとしていた。迎える家は全ての戸を全開にしてお迎えしている。家の中には20人以上いただろうか、アカマタクロマタが敷地に入ってくると全員が満面の笑顔になり、いかに待ちわびたか伝わってきた。国道側は人垣なのでよく見るために神社の横の脇道へ行き、低い塀越しに歌と踊りを眺めていた。

後日、石垣島で何回かタクシーで移動した時に運転手さんに聞いたのだが、この歌、昔から部落に住んでいる人、移住してきた人など、それぞれみな違うのだそうだ。ただ同じ石垣の人でも歌の内容は分からず、宮良の人に、いくら内容を教えてくれといっても絶対に教えてくれないし、せめて由来だけでも懇願してもそれもダメ。あそこの人にとっては神様だからさ、と苦笑していた。

今回も位置が横なのでアカマタクロマタの顔がよく分からない。こっち向かないかなと思っていたら、シンカの中でもリーダー格と思われる手に杖を持っている人がやってきて、血相を変えながら、ここはダメだ、あっちへ行けと、手で押してくる。「早く早く!」と口走りながら押すので、道路の奥へ押し出されていくと、シンカの一団が小走りにやってきた。するとアカマタクロマタが自分のすぐ横を疾風のように通り過ぎていった。目の前で見られたし、意図せずに何度も儀式が見られたなんてなんてラッキーなんだろう。長年、恋焦がれていたから、神様がそうさせてくれたのかな。でもやっぱり横顔しか見られなかった。

駐車場へ行く道を見つけ、真っ暗な夜道を見上げると、空には降るほどの星。アカマタクロマタに出会えた喜びと、素晴らしい音楽に出会えた喜びではち切れてしまいそうな胸を、満天の星空がそっと包んでくれた。(佐野邦彦)
 

2016年8月11日木曜日

RYUTist 『日本海夕日ライン』(RYUTO RECORDS/RR-012)












5月末にここで掲載したNegicco 『ティー・フォー・スリー』のレビューへの反響は意外に大きく、恐縮ながら某SNSでORIGINAL LOVEの田島貴男氏にも触れて頂いた。
 こういった状況も踏まえて考察すると、過去こういった傾向が無かった訳ではないが、メジャー系に比べて様々な制約が少ないと思われる、ローカル発信のインディー系アイドル・グループへの楽曲提供は、マニアックな音楽趣向を持つミュージシャンやクリエイターにとって、オマージュの場となりつつあるのだ。
今回紹介するRYUTist(りゅーてぃすと)が8月2日にリリースした、セカンド・アルバム『日本海夕日ライン』もそんな1枚であり、所謂J-POP(あまり使いたくないカテゴリーだ)と呼ばれる表舞台で展開されているアイドル・アルバムとは一線を画し、WebVANDA読者をはじめ音楽通の音楽ファンも満足させる内容となっている。

 RYUTistは11年にオーディションにより結成され、新潟県新潟市中央区古町を拠点として活動する女性アイドル・グループで、現在のメンバーは、五十嵐夢羽、宇野友恵、佐藤乃々子、横山実郁の4名から構成されている。
これまでに4枚の公式シングル、『RYUTist HOME LIVE』というタイトルのオリジナル・アルバムをリリースしており、今年4月に学業専念のため卒業した大石若奈に代わり、最年少メンバーとなる横山を加えて発表したのが、この『日本海夕日ライン』なのだ。
日本海を南北に縦貫する新潟の海岸線”日本海夕日ライン”をテーマにしたという本作から、シティポップやフィレス~ナイアガラ・サウンド、ビーチ・ボーイズからウェストコーストロックのエッセンスを感じ取ることは音楽通にとっては容易だと思う。
なるほど楽曲提供をしたミュージシャンやクリエイター達もその筋に精通した強者揃いで興味深い。
まずはWebVANDAではお馴染みのThe Pen Friend Clubのリーダーである平川雄一、伝説のシュガー・ベイブ~山下達郎フォロワーで、79年にリリースした自主制作アルバム『LOVE』が、オークションでプレミアム・レア盤となり一躍注目され活動を再開したso niceを率いる鎌倉克行。
この2人をはじめ、新潟県柏崎市出身で音楽プロデューサー、作編曲家、シンガー、ラジオ・パーソナリティ-など多彩な顔を持ち、今年4月に『HOMMAGE』(USM JAPAN/ UICZ-4349)をリリースしたばかりのカンケこと柏崎三十郎、また新潟市在住で鈴木恵TRIOやEXTENSION58のヴォーカリストとして活動する鈴木恵(さとし)といったマニアに知られるミュージシャン達に加え、職業作家としてメジャー系アイドル・グループに多く曲を提供している永井ルイやKOJI obaこと大場康司などが脇を固めている。

ではアルバム収録曲から筆者が気になった曲を解説していこう。
 「Morning light Sunshine」は、CHAGE&ASKAやスキマスイッチのディレクターとして長年アーティスト達を支え続けた、むらたつとむの作編曲によるシティポップだ。イントロのギター・カッティングから80年代感覚溢れるサウンドは最早アイドル・ソングとは一線を画している。 続く「piece of life(socond piece)」は、70年代ファンクをルーツとするダンス・ミュージック・サウンドだが、魅力的なサビのリフレインは往年のモータウン・スタイルというか、H=D=H作品に通じる大場康司の作だ。
 「フレンド・オブ・マイン」は現役バンドマンの鈴木恵の提供曲で、明らかに冒頭2曲の職業系クリエイターの作風とは異なる。The Zombiesの名盤『Odessey And Oracle』(68年)収録の同名異曲であり影響下にあるとは思えないが、こちらは70年代後半のパワー・ポップの匂いがする。


   

「海岸ROADでオトナッTunes!」はカンケこと柏崎三十朗の作編曲で、シックスティーズ感覚にナイアガラ風味(大瀧詠一が手掛けた「うなずきマーチ」(82年))を加味している。懐かしさもあるファニーなアイドル・ソングであるが、4月にリリースされたカンケのソロ・アルバム『HOMMAGE』(16年)で展開される、もっとメロディックな曲を期待していただけに少し残念だ。


   

「日曜日のサマートレイン」は、鎌倉克行の作曲で編曲は大場康司によるシティポップ。ダンサンブルなアレンジングによってso niceをイメージさせることは難しいが、山下達郎サウンドを彷彿させる間奏のサックス・ソロは鎌倉のアイディアなのかも知れない。 

そして特に贔屓している訳では無いが、サウンド的にWebVANDA読者に最もアピールするのが、平川雄一の作詞と作編曲による「ふたりの夕日ライン」だろう。The Pen Friend Clubの「I Like You」(『Spirit Of The Pen Friend Club』収録 15年)と「街のアンサンブル」(『Season Of The Pen Friend Club』収録 16年)の魅力を1曲にとじ込めたような名曲である。 バッキング編成やコーラスを聴く限りThe Pen Friend Clubが全面的に参加しているようだ。

聴きどころが多い本作の中でも筆者がベストに挙げたいのが、実質ラスト曲の「金色の海と七色のDays」(作編曲:永井ルイ)である。中高音域を中心としたホーン・アレンジ(シベリウス的)、70年代のデッドなドラムのチューニングやバロック風のフレーズを多用する鍵盤はシカゴ(ジェームズ・パンコウのホーン・アレンジがミソ)を彷彿させるし、キング・ハーベストの「Dancing In the Moonlight」(73年)みたいな左チャンネルのエレピのリフが印象的だ。 オーヴァーダビングした間奏の無垢なコーラスはThe Third Waveに通じるし、ソフトロック・ファンも魅了するだろう。
最後になるが本作『日本海夕日ライン』は、Negiccoの 『ティー・フォー・スリー』と比較しても色褪せないアルバムだと思うので、興味を持ったポップス・ファンは是非入手して聴いて欲しい。
 (ウチタカヒデ)

 

2016年7月31日日曜日

☆吾妻ひでおの同人誌「産直あづまマガジン⑤スクラップ学園特集」は豪華版

吾妻ひでお先生から、「産直あづまマガジン⑤スクラップ学園特集」を、出版社を通していただいた。この「産直あづまマガジン」は先生自身が作った同人誌で、2001年から2004年までの間に4冊出し、通販で既に売れきれ、その後は2004年に産直あづまマガジン増刊で「うつうつひでお日記」、間を置いて2010年、2012年に増刊の続編が出てこれも売り切れていた。久々の「本編」の方、さっそく読み始めてみたら思わずニヤリ、この中の「スクラップ学園」の3編は、角川書店が出していたマンガ誌「ドラゴンHG」の2002年に書いたもので、単行本未収録だったため、『ワンダーAZUMA HIDEOランド』用にピックアップしたところ、「他に使用予定あり」でNGになっていた経緯があった。そのNGとはこの事だったのか。その他にも書下ろし1編と「ななこSOS」も書下ろし1編が入ったので、これまでにない豪華版となった。発行もいつもの「アズママガジン社」名義なので、もう通販開始しているだろうと調べたら、まったく出てこない。どうやら通販ではなく、コミケで販売するようだ。全国のアズマニアのみなさん、おススメだ。(夏コミなんてとても行けないというみなさん、必ずその後で「まんだらけ」の通販とかヤフオクなどで売っているので要チェック)

最後にアズママガジン社(先生の事務所のこと)の発行リストでおしまい。

2001/7 産直あづまマガジン①(前説/ななこSOS ACT57/ななこ写真集/スクラップ学園 -2001-4コマ編/ひでお日記)

2002/7 産直あづまマガジン②(前説/ななこSOS ACT58/ななこ写真集mur mur Ⅱ/呪いの壱万円札/めるMELU/まじかるミステリーまおちゃん/ひでお日記)

2003/7 産直あづまマガジン③(前説/ななこSOS ACT59/ななこ写真集mur mur Ⅲ/アル中探偵モット/辺土リンボ/めるMELU/スクラップ学園シークレット・フィルムの巻/ひでお日記)

2004/7 産直あづまマガジン④(前説/ななこSOS ACT60/銀河放浪 神々の星/スクラップ学園/メル/ひでお日記)

2004/12 産直あづまマガジン増刊うつうつひでお日記(前説/うつうつひでお日記/後書き)

2010/11 産直あづまマガジン増刊ふらふらひでお絵日記(まえせつ/ふらふらひでお絵日記/あとがき)

2012/12 産直あづまマガジン増刊ぐだぐだひでお絵日記(前説/ぐだぐだひでお絵日記/あとがき)

2016/7 産直あづまマガジン⑤(前説/スクラップ学園ガラクタ強化防護服の巻/スクラップ学園午後の風船の巻/スクラップ学園海辺のマグリットの巻/スクラップ学園ラッキー・ビーの巻/ななこSOSキメラの巻/あとがき)

(佐野邦彦)
 

☆DVD『クレイジージャーニー第1集・第2集』(よしもとアール・アンド・シー)

昔からおススメしている深夜番組「クレイジージャーニー」は2015年の元旦の特番から見たが、それは後追い保存、ちゃんとしたDR録画はこの番組の存在に気付いた第4回からだ。しかし世の中には私のような辺境・冒険・危険地帯好きが多いとみえ「クレイジージャーニー」はDVDソフトが現在第2集まで出て大ヒット、番組未放送部分があるというので、40回目の化学療法入院用に買って持って行った。
「クレイジージャーニー」は特番、先日のSPの他、レギュラー放送は730日現在53回あり、それまで全部の放送回数は55回。

まず第1集は納得の内容で、「世界奇界遺産」で知られる佐藤健寿の放送回でもハイライトと言える「世界四大廃墟巡礼の旅」の前後編が入った。特にブルガリアの山にそびえたつ巨大な共産党ホール、イギリスのテムズ川に浮かぶマンセル要塞は最大級のインパクトがあった。前者はとにかく巨大な建物を作って、国民を威圧しようとするソ連そのものの権威的な悪趣味さには言葉もない。建物内部のモザイク画もソ連的な気味の悪い人物画が並んでいたが、今や風雨で多くは木っ端みじん、ソ連崩壊がいかに世界に朗報だったか思い知らされる。後者は、ナチスドイツの爆撃機を落とすためもう海といってもいい広い河口に作られていた居住スペース付の巨大な高射砲郡だが、形がまさに「スターウォーズ」のAT-ATで、これは前者と違って異様なカッコよさがあった。後半のベルギーのパワープラントIMというSF映画に登場しても不思議ではない超巨大な冷却塔(半年後に取り壊し予定)と、今でも強い放射能が残るチェルノブイリの捨てられた中核都市プリピャチに残る巨大なソ連が作ったレーダーが、実は西側の旅客機の計器も狂わして墜落させる機能も持っていたなど、こちらもさすが4大の2つだが、前半が強烈すぎた。そしてこの「クレイジージャーニー」のもう一人の人気者、危険地帯ばかり歩く丸山ゴンザレスの放送回でも最もインパクトがあった「マンホールタウンに潜入」が入ったのも嬉しい。東欧のルーマニアは貧富の差が激しいが、その中でも棄民ともいえる最低限の人間(ジャンキーばかり)は暖かい下水管が通る狭いマンホールの中に大勢住んでいて、その保護者が「ブルース・リー」と呼ばれる体中チェーンと金属をぶら下げ腰にはナイフ、おまけにはだしというマッドマックスもびっくりの迫力満点の男だった。そのマンホールにブルース・リーとの交渉で許可をもらって潜入…という回。この危なさは。NHKはもちろん報道番組も無理だ。他は洞窟探検家の吉田勝次の「恐怖と神秘の洞窟探検」。落盤があったら一瞬で終わりなのに頭と肩がなんとか入る僅かな隙間があれば体をねじってどんどん入っていき、水没部分の洞窟はその先に空気がある場所があるか試しに素潜りで潜っていってしまう。いつ死んでも不思議がないのに、稀に信じられない地底の絶景を見ることができるので止められないという。事実、身近な奄美列島の沖永良部島の神殿のような景色は荘厳。(先日「マツコ&有吉の怒り新党」の日本の三大美味しい水でも吉田氏の案内で登場した。NHKでも洞窟と言えばこの人)そして毎年厳寒のアラスカのマッキンリーの麓に飛行機で降ろしてもらって50日間手作りの巨大かまくらで暮らしてオーロラを撮影(ただし滞在中1回も出ないこともあるとか。)、夏にもテントを張ってヒグマやカリブー、クジラを撮影する「アラスカに取り憑かれた男」松本紀生もいいチョイス。最後の「マサイ戦士の妻」永松真紀は、カルチャーショックに驚くがインパクトは薄い。このDVDシリーズのいわば「女枠」。本放送とDVDには細かい編集の違いはあるそうだが、はっきり未公開映像として出てくるのは「マンホールタウンに潜入」でブルース・リーが面倒みている連中の為に作っている地上の家を見せてくれるシーン。まだ未完成だったが、ちゃんとした家で立派な生活空間があった。ただしこの3か月後にブルース・リーは麻薬取引で逮捕され、マンホールの家も地上の家もみな取り壊されたという。あの大勢の子分たちはどうなったのだろう。

そして第2集。ここもやはり目玉は丸山と佐藤の2トップ。丸山ゴンザレスはフィリピンのマニラにある東洋最大のトンドスラムを取材、料理店の残飯肉を煮直したパクパクという得体のしれない肉など食い、入院費が払えず医者にすすめられて30万円で臓器を売った男に雑な傷口を見せてもらう。その後は拳銃やサブマシンガンを手作りしているセブ島密造村へ行く。当然ながらみな警戒心が強いので取材だとNGになるのでガンマニアという体でテンションをあげて「Take a picture OK?」で短く撮影、この2つを合わせた「東洋一のスラム街&銃密造村へ先入」がまず衝撃的。続く佐藤はインドネシアのジャワ島のイジェン火山を取材した「奇界遺産×神秘の青く光る山」。この山は硫黄と火山ガスが噴出し、ガスの方向しだいでは命も危ないというので防毒マスク着用だ。夜は硫黄の火山ガスが燃焼し、山一面が青く光るので実に幻想的だ。その中、地元民は防毒マスクもなく100キロ近い硫黄の塊を天秤棒で担いで往復し、わずかな利益を得ているから哀れだ。この映像はNHKのBSプレミアムの「グレートネイチャー」でも見た。佐藤の人工物ではない奇界遺産シリーズはよくここなどと重複する。1回分はなく、佐藤×丸山のDVD発売記念トークショーだが、これはボーナスで済ますべき。後半はミクロネシアへ行き、戦争の悲しい爪痕である旧日本軍の沈没船探索をするダイバー鍵井靖章の「神秘とロマンの沈船探索」だ。ここには日本海軍の基地がありかつてトラック大空襲とか激戦があり、多くの船が沈没した、そこには日本の輸送船だけでなくゼロ戦、一式陸攻撃もあり、魚の住みかとなった沈没船には当時の新聞まで残っていたほど。よくある反戦ものは説教臭さが嫌いだが、ダイバーは目いっぱい明るいし、画像だけで戦争は嫌だなと思わせてくれる。そして「女性枠」のキラー、女カメラマン、ヨシダナギによる「アフリカの少数民族を愛する女性写真家」のスリ族の女性撮影だ。彼女は心底アフリカが好きでアフリカ人の美しさに惚れぬいて何度もアフリカに取材旅行に行っている。彼女の凄いのは丸山と同じく現地の人の食べ物はなんでも食べる。よだれ味のお酒や芋虫であろうが躊躇しない。そして最も凄いのは今でも裸族を続ける部族の女性と打ち解けるため、まずは同じメイクをしてもらい自ら胸も晒す。ここで女性は初めてみな笑顔になり、自分とは違う色の胸をみな触って(時々男も触りに来るが…)一気に心を開くのだ。裸族の女性達は、白人のカメラマンによる見下した姿勢を嫌悪しており、そういう白人には笑わず、嫌がらせに高い撮影料をふっかけるのだという。少数民族は不便で暮らしであっても、不潔と思われる生活であっても、誇りを持っていて幸せなのだ。一回同じ姿になった彼女は次の日からは普段の姿に戻るが、もう打ち解けているので、スリ族の男女が目いっぱいの装飾を施して彼女の気に入った場所で注文されたポーズで堂々と撮影に応じてくれる。ああ彼らは、自分達の美に自信があったんだなと分かる一瞬だ。前後編の2枠を使う。未公開映像は「トンドスラム」で、非常に暗い商店街のような通路をディレクターにやめましょうと言われても無視して進んだ丸山がその先にある海辺のスラムを取材するシーン。床下は海で隙間が見えるどころか板がボコボコで危険だが仕方がないと笑う。トイレもそのまま海の上で、海の衛生状態も極めて悪い。ここがはっきりと表記されたメインの未公開映像だった。今回もこれだけ?という感じ。ただしこのスラムは本当に危険で殺人など日常茶飯事、やめましょうといっていたディレクターの方が正しいようだ。

このDVDは大好評なので824日には第3巻発売予定。内容は丸山がメインでアフリカのケニアにある東京ドーム50個分というスラム街を取材する「世界最大級規模のキベラスラムに潜入する」が前編。少し先の首都ナイロビとの所得格差は10数倍、インフラはなく、トイレも外で済ますというので、町中に汚い水が流れている。ここでもゴンザレスは都市の人は食べないという牛の足などを煮込んだスープを食べるが、ハエがたかったそのスープは腐敗臭がするそうだ。住民はナイロビからの17回通るという電車の線路の上でも商売をしていて、電車が通ると分かるとあわれて片付け、通り過ぎると何事もなかったかのようにまた元通りにするのだ。そして続いてアフリカ産大の湖であるビクトリア湖に浮かぶミギンゴ島へ行く「世界一危険&島まるごとスラムのミギンゴ島に潜入」。このビクトリア湖は琵琶湖の100倍の広さを持ち、漁獲したナイルパーチは「スズキ」として日本のファミレスや弁当の白身魚で輸入されお馴染みの魚だ。ただこの湖は広く天候が急変、粗末な船で救命胴衣も持たない漁民は毎年5000人も命を落としているという。その湖に浮かぶミギンゴ島はサッカー場の1/4しかないのになんと1000人が住み、島全体がバラックの屋根で覆われそのインパクトは軍艦島に迫るほど。男はみな漁業で暮らし島には自治があるが、ケニアとウガンダの双方が領有を主張しているため、収入の60%を税金や島の維持費に取られるがそれでも収入は沿岸で暮らすよりいいという。丸山はケニアの許可で島へ渡るが、そこにウガンダの警察がきていて、無許可だと丸山は島の一室に投獄され島を出なければいけない3時間前になってやっと釈放され取材を開始する。帰りもボロ船のエンジンが壊れ、散々な目で夜中に陸までたどり着くのだが…ただこのミギンゴ島は日本テレビの「世界仰天ニュース」で特集されていて、その時行き帰りの船も快調、許可も問題なく、きれいに取材されていた。ミギンゴ島の目の前にはもっと広い島があるのだが、その中でも一番大きな島は魔女が済んでいるとされ誰も移り住まないのだそうだ。今でもアフリカの人は魔女、魔術を真剣に信じているので、他人は意見を言えない。そして佐藤はアイスランドの氷の中にある一面が青い光に包まれる神の洞窟と、クジラから人間のペニスまで世界のありとあらゆるペニスを標本にした「ペニス博物館」を取材した「世界奇界遺産×ペニス博物館&神の洞窟」。佐藤をこの回でお茶を濁さすのはもったいない。エチオピアの2回シリーズをなぜ入れない。これは灼熱の砂漠に色鮮やかな硫黄が噴き出すダロル火山のあと、ハイライトである3時間の真夜中の登山のあと地獄の釜のように溶岩が噴き出すエルタ・アレ火山へ移る。地面から溶岩がとびちっているのに柵など当然なく5mまで近づいて撮影するなんて凄すぎる。ただしこの2か所もNHKのBSプレミアムで放送していた。違うのは予算のないこの番組なので、前日は現地の遊牧民の木だけで組んだ掘っ立て小屋で、現地の人が作ってくれた得体のしれないスープと持ち込んだパンで食事する。寝床もいつ崩壊しても不思議ではない簡素なものだ。ディレクターが「大丈夫ですか?」と心配ばかりしているのにかまわず食べて寝る佐藤がカッコいい。大名旅行のNHKは生活感が欠落している。さらにNHKでは対象外になるハイエナマンがいい。家畜が食べられないように肉を用意して夜中にハイエナの群れに餌を食べさせている老人のことだ。佐藤がこの老人の横へ行くとハイエナが背中に乗り、肉と勘違いしカメラをかじられるシーンはツボ。他ではイスラムの迫害を逃れるため険しい山に教会を作って一生神に仕えて暮らすエチオピアのキリスト教徒はよくTVで取り上げられるが、ここでは50年間一人で岩山を手彫りで削ってアリの巣のように広がった協会を作った老人にスポットを当てたところがいい。この老人はこれだけのものを作ったのに聖書の勉強をしたこともなくただお祈りだけする毎日。この老人の存在も強烈だった。この2編は第4巻に是非入れてもらいたいもの。他では深海探索のための深海艇にのって年間100日も海にいるという「世界中の深海に潜り続ける熱い研究者」高井研。素晴らしい深海映像を見せてくれるが、この「クレイジージャーニー」に登場する人は、既婚者でもだいたい年の半分は日本にいない。こういう自分の好きな事で家庭などなんのその、世界をまたにする日本人の存在は嬉しいね。「女性枠」は幻のカカオを求めてゲリラの地域であろうが、片道5時間の歩きなどまったく平気で、最高のチョコレートを作ろうとする「カカオハンター」小沢真弓の話。5編しかないがこの第3集は第2集と同じく、その前の第2集発売記念イベントの実況で1枠使ってしまう。番組MC3人の豪華版だが、減らさずにボーナスで入れるべき。その番組のMCは松本人志、設楽統、小池栄子という最高の3人で、深夜枠なのがもったいない布陣だ。(この松本、設楽、そしてマツコ、有吉に、今田、東野、宮迫、後藤、大御所のタモリ、タケシ、さんま、所の12人が自分の最も好きなMC)

でも今までこの番組に登場したのに、「クレイジージャーニー」の前のテレビと著書で見て自分のFBで大推薦した4人が誰もDVDに入っていない。あの人類の起源の旅「グレートジャーニー」を成し遂げ、私の大好きなギアナ高地の第一人者でもある冒険界の本物のレジェンド関野吉晴。この回はインドネシアのスウェラジ島から石垣島へ、かつて黒潮に乗ってやってきた太古の人の同じ航海をというので一切既存のものを使わず、斧すら砂から砂鉄を集め鍛錬して作る徹底ぶり、丸太を削った船でもちろんコンパスも何も持たず、食べ物も釣った魚で4700㎞を見事航海した。そしてシーカヤックだけでGPSもコンパスを持たずに日本からアジアへ渡り歩く八幡暁、この人も釣った魚を陸へ寄って焼いて食べながら旅を続けるという凄い人。そして陸では米と味噌、あとはルアー釣りだけでやはり携帯もコンパスも持たずに山中を踏破するサバイバル登山家の服部文祥、そしてアメリカの凶悪犯ばかり集まる刑務所で10年以上服役しながらチカーノ(アメリカのメキシコ系移民)の一員として生き抜いたKEIもまだ。アメリカの刑務所では殺人は日常茶飯事、看守も時に殺されるというアメリカの刑務所には驚かされるが、自由さも半端なく、金さえあれば刑務所内のスーパーで好きなものを毎日買って食べ、看守に頼めばタバコも酒も入手でき、女性看守の多くは囚人と売春、面会に来た家族とは看守に見張りをさせトイレで××…ともう好き放題。携帯電話も持っている囚人もいたというのだから、始終監視され厳しい規則で縛られ日々は懲役を科され(アメリカの刑務所は自由)その代わり安全だけは完璧な日本の刑務所とはまったく別物と考えた方がいい。そしてあの丸山も尊敬してやまないという高野秀行はもう同行取材など決して不可能なジャーナリスト。世界で最も危険なミャンマー奥地のゴールデントライアングルにはゲリラのアジトにとミャンマー語を習いたいと長期間通いつめ信頼を得て最も危険というワ族の村でケシの種まきから収穫まで生活を共にし、一緒にアヘンを吸って、現地の本当の生活を知る。崩壊国家ソマリアは、南部ソマリアでは政府軍の装甲車の中でイスラム過激派の銃撃を10分間浴び続け、プントランドでは国家ぐるみで実は非常に効率的にみんな投資目的で海賊誘拐ビジネスをしているという話(ただし護衛なしでは5分も外にいられない危険国家)、平和で銃を持ち歩く人もいない安定しているソマリランドは楽園のようNHKでも紹介されていたが、実は問題をおこせばすぐに拉致され、それぞれの氏族の長老同士で人殺しだったらラクダ100頭とかで決着するある意味平和なシステムで機能していると聞いて驚いた。長くソマリアにいた彼は難解なソマリ語を話せる数少ない外国人で、日本人では彼しかいないので、米軍が捕らえたソマリアの海賊を日本の拘置所にいったん収監した時(そういうシステムだとか)には通訳に呼ばれるとか。ともかく危険な場所へ行っても現地の人と一緒に暮らし同じものを食べて本音を聞き出す高野は本当に凄い。写真が大半でもこれほど息を飲む回はなかった。早稲田大学探検部出身なので語学習得能力も高く、いわば知的なタイプだ。高野とは違い、語学力もないのに、平気で危険な世界に飛び込んでしまう、もう一人凄い若きカメラマンがいた。彼も被写体の人達と何か月も一緒に住んで同じものを食べて心を許した奇跡のショットを取る。はじめはアメリカの「スクワッター」と呼ばれるヒッピーの生活をしているヘロイン・ジャンキーの写真だが、彼はなんと19歳の時に英語もしゃべれないのにこの危険な集団に空気のような存在になって(本人談)撮影している。そのあとはフィリピンのスモーキーマウンテンと呼ばれる不潔極まるゴミ山でゴミや牛の骨など拾って最低の暮らしをしている家庭の子供の笑顔を取る。臭いもハエの量も半端ない場所なのに子供だけは笑顔だ。こんな場所でも彼は一緒に寝泊まりする。最後はKEIの紹介でアメリカのメキシコ系ギャング「チカーノ」のボス邸まで移り住む。最後のエピドードで皆が出かけた時に仲間が裏切って家の中のものをごっそり盗み、彼のカメラも盗まれるのだが、後に仲間達から電話があり犯人の裏切り者を捕まえたから今お前が殺せと言えば殺すけど…と言われ、殺さなくてもいいといったそうだが、後に犯人と仲間と警官を殺して首を並べていたそうですと、それまでとまったく変わらぬ笑顔で話すカメラマン、名越啓介も凄い。彼も素晴らしい写真とトークだけで驚くべき世界の実態をおしえてくれた。この名越さんも高野さんと並んで同行不可能な方だ。丸山の他の取材では、メキシコ麻薬戦争前後編などあり、確かに射殺体などに出食わすが、丸山の場合は「報道特集」当たりの取材と被る。NHKが特集を組んでも同じく被るだろう。丸山は同行可能な場所へ短期間行くのだから、有名な抗争に首を突っ込むのは「浅く」なる。英語もできないので、スタッフ頼りになるとしようがない。それよりも先日のバングラデシュで大型船の解体を、ヘルメットも安全靴など何もないTシャツ姿の労働者がガスバーナーとあとは人力で引き倒すだけで解体を安価で請け負う現場取材の方がはるかに素晴らしかった。安全など何も考えていない現場なので手足を切断してしまう人も多いのだとか。その他では日本人でただ一人世界の8000m超えの14山を制覇しながら驚くほど淡々としている登山界のレジェンド竹内洋岳、北極点単独無補給踏破に挑む荻田泰永は当然ながらクソみたいに重い荷物を引きずって乱氷帯や危険なクレバスを超え、ブリザードに耐え、遭遇するシロクマは自ら花火で追い散らすという旅をしたがこれは途中で断念、その後の回ではカナダ最北の村から凍った海を渡ってグリーンランドのイヌイットの村まで渡りこれは成功、イヌイットの話では今まで渡ってきた人はいないというので思いがけず世界初の偉業となった。こういう凄い人が並ぶ中、その中でも特に高邁な目的があるわけでもなく、自分の行きたい所へ行って、どんな悪路でも砂漠でも生活道具を積み込んだリアカーを一人で引っ張って47000㎞を走破した「リアカーマン」永瀬忠志が究極。(撮影のために自分でカメラをセットして移動。撮影後、カメラを回収に戻って…を繰り返す)この人も冒険界ではレジェンドとなっている人で、その放送回はギャラクシー賞を受賞したので必ずDVD化されるだろう。エピソードなら世界の少数民族の取材の専門家の千葉岳稲は4民族について話すが、その中でもピクミー族のエピソードが、アフリカで横行してニュースになっている「アルビノ狩り」以上に怖く、それはピグミー族の肉が滋養強壮にいいという呪術師の言葉によってコンゴで政府側、反政府ゲリラの間で捕まって食べられていて、「食べられるのが一番怖い」という言葉は最も強烈だった。そしてパプアニューギニア取材の専門家の山口由美によるペイバックと呼ばれる自分の仲間が殺されれば、犯人と同じ言葉を話す誰かを殺すという習慣が、今も首都でも起きるという言葉も衝撃だった。日本人も例外でないというのが怖い。諸星大二郎の「マッドメン」は現在でも生きているんだとちょっと感動的でもあったのは、自分がマンガファンだからかな。このようにDVD化すべき作品は山ほどある。いくらでも出してほしい、いや出すべき作品である。(佐野邦彦)

PS 「クレイジージャーニー」と並んで最も楽しみにしている「ブラタモリ」も、第1シリーズから今の第4シリーズまで欠かさず録画したが、高い評価に加え高視聴率シリーズとして知られるのになぜかNHKDVD化しない。いったい何が裏にあるのか?
 

2016年7月18日月曜日

Analogue Productionsから発売されたBeach Boysの『Holland』は、CDとLPともにシークレット・トラックの形で「We Got Love」のLong Versionが収録されている。


Beach Boys:Holland』(Analogue Productions/CAPP071SA)※SACD

Beach Boys:Holland』(Analogue Productions/APP071)※LP2

当初予定では「Sail On Sailor」がなくA面終わりが「We Got Love」だった『Holland』。このテストプレスのマスターは、西ドイツで間違えて250枚だけプレスされ(レーベルは差替え済なので針を落とさないと分からない)超レア盤になっていた。まずは配信のみで「We Got Love」のLong Version(リフレインが4回多く50秒長い)がボーナストラックに入り、その後アメリカのみで上記レーベルでSACD200gLPの両方の仕様で発売するとアナウンスされたが、4か月発売が遅れようやく届いた。しかしCDLPともに「We Got Love」のクレジットがなく、一瞬騙されたかと焦ったが、両方ともシークレット・トラックのような形でしっかり入っていた。Analogue ProductionsHPでは「We Got Love」の存在や曲順まで載っているのにこのCD$30LP$40という高額商品の最大の売りである「We Got Love」のクレジットを出さない理由はよく分からない。4か月の遅れはビーチ・ボーイズ側ともめて強硬で入れたのかもなど色々推測してしまう。ではまずCDから。歌詞カードからバックインレイまで「We Got Love」のクレジットはなかったが、CDiTunesに入れるとCDのクレジットは15曲で終わりなのに、「16曲目」に「We Got Love」が出てきた!やっぱり入っていたんだ。続いてLP。昔のLP+EPの仕様が曲目を増やすためなのか、はじめからLP2枚仕様になっていた。やはりLPのクレジット、さらにレーベルにも「We Got Love」の名前はない。ディスク4は45回転の「Sail On Sailor」だが、尺かミックスに差があるかと思ったが目立った違いはない。いったいどこに?と探したらディスク3のEP部分の最後に隠されて入っていた。やはりここまで隠すのは何かあるとしか思えない。普通ならディスク3はEPのみにして、ボーナス部分であるディスク4に入れるはず。どちらにせよこのCDLPの両方に「We Got Love」のLong Versionが入っていることは確認できたのでビーチ・ボーイズ・ファンにはマスト・バイ・アイテムになった。私の記憶違いかもしれないが、Analogue ProductionsHPで予約発売当初には、LPの方には「Sail On Sailor」の45回転がボーナスで入っているとは書かれてなかった気がする。もともとこの曲は、当初予定の『Holland』では内容があまりに弱いとワーナーの上層部からリジェクトされ、急遽ブライアンらが書いた曲で、シングル用でもあったので45回転は既に存在している。シングルとアルバムが違うという指摘もないので、この曲を45回転で1曲だけディスク4に入れる必要などないのだ。当初はディスク4に「We Got Love」を入れるはずだったが、表にさせなくなったので、ディスク4がノンクレジットというのは無理があるので、「Sail On Sailor」をディスク4用に再登場させて、肝心な「We Got Love」はディスク3の終わりにノンクレジットでひそませた…というのはどうだろうか?ちなみに私は西ドイツで間違えて発売されてしまったファーストプレス盤を持っているが、レーベルは現行のものなので「Sail On Sailor」ではなく2曲目の「Steamboat」から登場、6曲目に「We Got Love」が入っていた。見分け方は曲の尺が長いので、オリジナルと並べてみると溝幅が長い。今回もディスク3の最後の溝幅が長く、もしや?と思ったらやはり「We Got Love」だった。(佐野邦彦)


Beach Boys:Holland』(Analogue Productions/CAPP071SA)※SACD

Beach Boys:Holland』(Analogue Productions/APP071)※LP2

当初予定では「Sail On Sailor」がなくA面終わりが「We Got Love」だった『Holland』。このテストプレスのマスターは、西ドイツで間違えて250枚だけプレスされ(レーベルは差替え済なので針を落とさないと分からない)超レア盤になっていた。まずは配信のみで「We Got Love」のLong Version(リフレインが4回多く50秒長い)がボーナストラックに入り、その後アメリカのみで上記レーベルでSACD200gLPの両方の仕様で発売するとアナウンスされたが、4か月発売が遅れようやく届いた。しかしCDLPともに「We Got Love」のクレジットがなく、一瞬騙されたかと焦ったが、両方ともシークレット・トラックのような形でしっかり入っていた。Analogue ProductionsHPでは「We Got Love」の存在や曲順まで載っているのにこのCD$30LP$40という高額商品の最大の売りである「We Got Love」のクレジットを出さない理由はよく分からない。4か月の遅れはビーチ・ボーイズ側ともめて強硬で入れたのかもなど色々推測してしまう。ではまずCDから。歌詞カードからバックインレイまで「We Got Love」のクレジットはなかったが、CDiTunesに入れるとCDのクレジットは15曲で終わりなのに、「16曲目」に「We Got Love」が出てきた!やっぱり入っていたんだ。続いてLP。昔のLP+EPの仕様が曲目を増やすためなのか、はじめからLP2枚仕様になっていた。やはりLPのクレジット、さらにレーベルにも「We Got Love」の名前はない。ディスク4は45回転の「Sail On Sailor」だが、尺かミックスに差があるかと思ったが目立った違いはない。いったいどこに?と探したらディスク3のEP部分の最後に隠されて入っていた。やはりここまで隠すのは何かあるとしか思えない。普通ならディスク3はEPのみにして、ボーナス部分であるディスク4に入れるはず。どちらにせよこのCDLPの両方に「We Got Love」のLong Versionが入っていることは確認できたのでビーチ・ボーイズ・ファンにはマスト・バイ・アイテムになった。私の記憶違いかもしれないが、Analogue ProductionsHPで予約発売当初には、LPの方には「Sail On Sailor」の45回転がボーナスで入っているとは書かれてなかった気がする。もともとこの曲は、当初予定の『Holland』では内容があまりに弱いとワーナーの上層部からリジェクトされ、急遽ブライアンらが書いた曲で、シングル用でもあったので45回転は既に存在している。シングルとアルバムが違うという指摘もないので、この曲を45回転で1曲だけディスク4に入れる必要などないのだ。当初はディスク4に「We Got Love」を入れるはずだったが、表にさせなくなったので、ディスク4がノンクレジットというのは無理があるので、「Sail On Sailor」をディスク4用に再登場させて、肝心な「We Got Love」はディスク3の終わりにノンクレジットでひそませた…というのはどうだろうか?ちなみに私は西ドイツで間違えて発売されてしまったファーストプレス盤を持っているが、レーベルは現行のものなので「Sail On Sailor」ではなく2曲目の「Steamboat」から登場、6曲目に「We Got Love」が入っていた。見分け方は曲の尺が長いので、オリジナルと並べてみると溝幅が長い。今回もディスク3の最後の溝幅が長く、もしや?と思ったらやはり「We Got Love」だった。(佐野邦彦)