2019年11月10日日曜日

『11月のフィリアパーティVol.3』のご紹介

9月に13年振りの新曲『夏のシンフォニー』を配信リリースしたthe Sweet Onions(スウィート・オニオンズ)の近藤健太郎と高口大輔が主宰するインディーズ・レーベルphilia records(フィリア・レコード)が、今月16日にライヴ・イベントを開催するので紹介したい。
今回で3回目ということで出演はスウィート・オニオンズをはじめ、レーベルメイトで9月に配信リリースした「SUNSET」が好評のKNIT RED RUM。
先日紹介したクリスマス・コンピレーション・アルバム『Natale ai mirtilli』に収録でイケミズマユミのThree Berry Icecreamの楽曲に参加した奥田英貴が率いる京都を中心に活動する男女ユニットSucrette、ヴォーカル兼ヴァイオリニストの梶山織江を配するガール・ギターポップのswiss cameraMiki NishidaとKoichi Nishidaによるユニットthe vegetablesとバラエティーな面々である。
11月のアフタヌーンを有意義に過ごしたい音楽ファンは是非足を運んでみては。


【11月のフィリアパーティVol.3】 
11/16(土)開場 12:45 開演 13:15
 @早稲田RiNen
https://waseda-rinen.com/ 

前売 2500円+1drink / 当日 3000円+1drink
 (小学生迄のお子様入場無料)
出演 : the Sweet Onions / KNIT RED RUM / Sucrette /
swiss camera / the vegetables
DJ : tarai(Happy Day,Happy Time!)
お菓子 : milky pop.

the Sweet Onions

KNIT RED RUM

milky pop.によるスイーツ

興味を持った読者はphilia recordsの下記サイトからチケットを予約してほしい。
(テキスト:ウチタカヒデ)


2019年11月4日月曜日

VA:『Natale ai mirtilli』(*blue-very label* / blvd-006)


クリスマスを前に素敵なコンピレーション・アルバムの音源を入手したので紹介したい。
弊サイトで紹介している多くのアーティスト達も度々プロモーションで訪れる杉並区高円寺のDISQUES BLUE-VERY(ディスクブルーベリー)。このレコード・ショップの中村慶店長が立ち上げたレーベル【*blue-very label*】から11月13日にクリスマス・コンピレーション・アルバム『Natale ai mirtilli』がリリースされる。


楽曲を提供しているアーティストは、昨年弊サイトでも高評価した小林しのの「人魚の夜」を手掛けた元melting holidaysのササキアツシのポプリをはじめ、元BRIDGE(ブリッジ)のイケミズマユミ(キーボーディスト)のソロプロジェクトThree Berry Icecream、ドイツのミュージシャンBrent Kenji(ブレント・ケンジ)によるTime Between。


元ARCHの中村大を中心としたvacation Three(ヴァケーション・スリー)、マルチ・プレイヤーの小園兼一郎のソロ・ユニットsmall garden(スモールガーデン)、女性シンガー・ソングライターsugar meと作曲家エンドウシンゴとのコラボレーション、The Laundriesの木村孝之とネオアコ・ユニットalvysingerによるデュオ・ユニットDiogenes Club(ディオゲネス・クラブ)。


フランス人ミュージシャンのジェローム・ディドゥロによるOrwell(オーウェル)、そのOrwellと交流のあるanoneのキーボーディスト松岡奈津紀によるソロ・ユニットSweet Port.、そして9月25日に13年振りの新曲を配信リリースしたthe Sweet Onions(スウィート・オニオンズ)という多彩な10組である。 
ジャケットの写真には元Dream Academyのリーダーであるニック・ライアード・クロウズ!の作品が使用されているというから、嘗ての英国ギターポップ・ファンも気になるところだろう。

 

では弊サイトでも過去取り上げたアーティストを中心に、気になった収録曲を解説していこう。
冒頭の「初雪が降った日」はポプリの曲でササキによるソングライティングだ。melting holidays時代を思わせる生楽器と打ち込みによる「Up, Up and Away」(The 5th Dimension)系ソフトロックで、ヴォーカルのreinaの個性的な声質とマッチしている。reinaはコンピの最終曲のソングライティングも手掛けている。 
続く「christmas snow dome」はイケミズの作曲センスが滲み出ているThree Berry Icecreamの曲で、パート毎に異なるアレンジが配置され凝っていて聴き飽きない。この曲にはCM音楽でも知られるSucretsの奥田英貴がギターとプログラミングで参加しており、作詞はRed Go-Cartのmiki hiroseが手掛けているなど、交友の幅広さはイケミズの人徳ゆえといえる。

vacation Threeの「christmas time again」はこれまでの彼等のカラーとは異なる凝ったアレンジで、トット・テイラー経由のブライアン・ウィルソンと言うべきスケールの大きい曲調でティンパニー以外にパンデイロやクイッカがアクセントになっていて新鮮だ。 続く「blue very x’mas!!」はsmall gardenの新曲で、The Bookmarcsの「雲の柱」(2018年)に通じるR&B系のシャッフル・リズムが心地よく、唐突に入る三連符のアクセントも違和感なく聴ける。弊サイトの「名手達のベストプレイ」シリーズでも執筆参加してくれている小園の巧みなベースのプレイも細かく聴いて欲しい。なお彼はコンピ全体のマスタリングも手掛けているというから貢献度は大きい。

そしてこのコンピの中でも出色なのが、diogenes clubによるNRBQカバーの「christmas wish」だろう。オリジナルはアコースティック・スイングのアレンジだが、ここではThe Laundries木村のヴォーカルをフューチャーしたアカペラ・ヴァージョンで、alvysingerこと小野剛志の多重コーラスとの絡みがとにかく素晴らしい。両者ともインディーズ・シーンにおける歌唱力はトップに位置する実力を持っているのが理解出来る。
またバーバーショップ・スタイルのアカペラなので、出だしを聴いて、嘗てのThe Housemartinsの「Caravan Of Love」(86年/ Isley-Jasper-Isleyのカバー)を想起するギターポップ・ファンもいるだろう。筆者的にはこの曲をコンピのベストとして挙げたい。
the Sweet Onionsの「a place of love」も触れぬ訳にはいかない名曲だ。
近藤健太郎によるポール・マッカートニー系譜の新曲で、バースにはダン・フォーゲルバーグの匂いもする、まさしくこの時期にピッタリのウィンター・バラードなのである。近藤のギターとヴォーカルに、マルチ・プレイヤーの高口大輔が残りの全パートをプレイしている。

楽曲提供アーティストのカラーの違いを楽しみながら、一足先にクリスマス気分を味わいたい読者や音楽ファンは是非チェックしてほしい。 
(ウチタカヒデ)


2019年10月31日木曜日

FMおおつ 音楽の館/Music Note 2019年10月号「My Favorites」

 本日1曲目はPuffyの<これが私の生きる道>。この曲は1996年10月7日私の厄年42歳の誕生日にリリースされた彼女たちの2曲目で初1位、私がこの曲をどのように楽しんだのかは後ほど。 Puffyのデビュー曲<アジアの純真>ではElectric Light Orchestra風のサウンド、仕掛け人奥田民生さんのセンスに脱帽。また井上陽水さんのユニークな歌詞「アジアなのに北京の次の詞がダブリン、ベルリン」や「白のパンダを~」にもはまりまくり。この歌詞に嘉門達夫さんは「新・替え歌メドレー」で、「北京原人、クロマニヨン人」、「白のパンダは白くま」とつっこんでる。

  そして、<これが私の生きる道>ではThe Beatlesのフレーズが散りばめられ、その明細は「Ticket To Ride(涙の乗車券)~From Me To You ~All My Loving ~She Love You ~Day Tripper ~Mr.Moonlight ~Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)~From Me To You ~Please Please Me ~Twist And Shout ~She Loves You」の9種11曲と言われている。またこの曲のタイトルはクレイジー・キャッツの「これが男の生きる道」を意識していたのは笑わせどころで、またタイトルの漢字を合わせるとCMを依頼した「私生道(しせいどう)」になるなど、1曲で何曲も楽しめる仕掛けがたまらない。
 そんなPuffyですが、私は彼女たちのファンになったことで、大きな勘違いをしてあるグループに夢中になったことがあります。それは「2008.Rock In Japan」の中継で、「Puffy」を録画したつもりが、留守録されていた「Perfume」。仕方なく見たパフォーマンスが私の琴線にふれ、Perfumeにはまっている。

  その当時のPerfumeはメンバー全員が10代で、前年リリースの<ポリリズム>でブレイク直後の最も勢いがあった時期。 このフェスでの登場は2番目に大きなステージ(当時;現在は3番目)Lake Stageで8:00スタートというポジションながら、開始1時間前に1万人以上が詰めかけ入場規制がかかる。当時のPerfumeの主戦場はライヴ・ハウスだったので一番驚いたのはメンバーだったと。その人気ぶりに翌年からは60000人収容の最大キャパ「Grass Stage」に昇格、出場6年目の2013年には最終日の大トリを務めるまでに。私はさすがにフェスまでには遠征していないが、2009年から2014年まで全てのツアーに参戦。

 と私のPerfume遍歴はこれくらいにして、次はサザンオールスターズのネタ。彼らは私が大学4年だった41年前に<勝手にシンドバッド>でデビュー、当時は「コミック・バンド」とみなされていた。それは彼らを有名にした曲<女呼んでブギ>は、「女呼んでもんで抱いていい気持ち~」でしたから。またそれを耳にしたドリフのいかりや長介さんが桑田さんをメンバーに狙っていたという話もあったほど。それが今や彼らの解散報道で所属事務所の株価を揺るがすほどの「国民的バンド」に。

  そんな桑田さんが初めて作ったオリジナルは<茅ヶ崎に背を向けて>(『熱い胸さわぎ』収録)で、この曲は1976年に『Frampton Comes Alive』が大ブレイクしたPeter Framptonの<Show Me The Way>をお手本に書き上げた曲。そして、この曲はEagles初の全米1位<Best Of My Love(我が愛の至上)>がベースに。そのEaglesはこれを機にトップ・バンドへの道を邁進。ただ、この曲は<If>のヒットで知られるBreadの1970年全米1位<Make It With You(二人の架け橋)>のコード違い(CとD)といった感じ。このBreadは1960年代に裏方で大活躍したスタジオ・ミュージシャンによって1969年に結成、ヒットを連発するもメンバーのソロ活動のため1973年活動を停止。一説にはEaglesが全米を制覇できたのは、Breadが活動を休止したからとも言われている。Richard Carpentersは「BeatlesやBeach BoysそしてBacharach並みにリスペクトする」と公言するほどの存在。

 ということで、次は1970年代以降日本の音楽をリードした巨匠筒美京平先生。まず日本初のアイドル歌手とも言われる南沙織さんのヒット曲から、その1971年のデビュー曲<17歳>はLynn Andersonの<Rose Garden>(1970年)、セカンド・シングル<潮風のメロディー>はThe Seekersの代表曲<Georgy Girl>(1966年)そのもの。 私が初めて意識したのは1972年6月の第4作<純潔>。この曲を始めて聴いたのは私が高校生の頃でロック調ナンバー。ある時、友人から借りたレコードに収録のVan Morrisonの<Wild Night>(1971年、全米28位)にそっくりで唖然。メロディー自体は日本で大ヒットしたThe Messengers<That’s A Way A Woman Is(気になる女の子)>風で、見事なミクスチュアぶりに感心。

 ところが1972年に全米5位を記録したAlbert Hammondの<It Never Rains In California(カリフォルニアの青い空)>は、彼が1971年に書いた堺正章さんの<さらば恋人>によく似ていることに気が付いた。実際にネタにされたかは不明だが、雰囲気はよく似ていてそれまでにも増して彼の追っかけに。 

 ただ、私のように意識しないでも、自然にネタを当てる人もいた。それはある飲み屋で、有線から流れてきたNeil Sedakaの<The Dairy(恋の日記)>に、一緒に飲んでいた友人がその曲にあわせて細川たかしさんの<心のこり>を歌いだし、それがすんなりはまっていた。なお最初のタイトルは<私バカよね>だった。ただ、このタイトルでは挨拶周りで「この度、<私バカよね>でデビューしました~」と言わざる得なく、あまりに間抜けと感じて、この<心のこり>というタイトルに変更したという。

 続いては、洋楽でネタの宝庫にされた曲The Doobie Brothersの<What A Fool Believes>から。この曲は1979年に全米1位となり、1980年に開催された第22回グラミー賞の“ソング・オブ・イヤー(Song Of The Year)”を受賞した彼らの代表作とも言われているナンバー。ただ古くからのDoobieファンからは、「????」と戸惑わせる曲だった。それは元々このバンドの魅力は豪快で男性的な野性味あふれるサウンドだったから。そんな彼らはこの曲を発表した直後に初来日しており、この曲も披露しているも、いまいち盛り上がらなかった印象がある。それはこの曲の特徴である「変拍子」がそれまでに聴いたことのない革命的なリズムだったから。ところがその後続々とこのリズムをネタにした曲が登場し、この曲の影響のすさまじさを思い知らされた。

 まずはRobbie Dupreeで<Steal Away(ふたりだけの夜)>、この曲は全米6位を記録した彼のデビュー曲で日本でも大ヒット。とても良い曲だが、雰囲気は元ネタそのもので、当時作者から訴訟を起こされている。
 そして日本でも大量発生、私自身が最初に感じた曲は竹内まりやさんの<二人のバカンス>。この曲は1980年7月にリリースした5作目のシングルで、彼女の詞が初めてシングルに採用された曲。なお、最近デビュー40周年としてリリースされた『Turntable』にも収録。そんな彼女はデビュー40周年を記念したファン・ミーティングを来年東京と大阪で開催予定。参加するには、このアルバムとニュー・シングル<旅のつづき>に封印されている応募券で抽選。これらの曲はほんのさわりで、1980年代には山ほど登場しており、例をあげたらきりがない。

  続いては、“BOSS”ことBruce Springsteenが1975年に発表した代表作<明日なき暴走(Born To Run)>。この曲はBrouceにとって5作目のシングルで全米23位にとどまるものの、これ以降彼は全米において“カリスマ”として扱われるように。Bruceはこの曲でブレイクした後のライヴではこの曲をトップで歌うという「アンコールをトップにしたセット・リスト」で、「この曲目当ての奴は、もう帰ってもいいぜ!」と言わんばかり。この姿勢は多くのミュージシャンが取り入れるようになり、Eaglesは<Hotel Calfornia>をオープニング・ナンバーで演奏。日本でも、さだまさしさんや松山千春さんがこの手法でライヴをやっていた時期があったほど。 

 このナンバーは日本でも後に“カリスマ”となったシンガーたちに衝撃を与えた。まずは佐野元春さんは1980年3月にリリースのデビュー曲<アンジェリーナ>。印象的なイントロからしてそのままだが、彼の持つ「言葉」の魅力に引き込まれた人は多かったはず。そんな彼に魅せられたひとりが沢田研二さん。彼はこの年に発表した16作アルバム『G.S. I LOVE YOU』に曲を依頼(3曲)したほど。なお佐野さんの言葉には印象的なものが多く、同年発表の<ガラスのジェネレーション>に登場する、「つまんない大人にはなりたくない!」はその代表。この歌詞は昨年放送のNHK連ドラ『半分、青い。』で「ボクテ」を演じる志尊淳さんのセリフにも登場。

 そして二人目はハマショーこと浜田省吾さんが1980年7月に発表した<明日なき世代>。「ロック・シンガー」に変貌した記念碑的作品『Home Bound』からの先行シングル。このタイトルを見た瞬間にBruceの曲を連想し、聴いてみるとまさにそのままでした。なお彼はこの時期以降、大したヒット曲もないのにもかかわらず、「スタジアム級」のシンガーに躍進。 

 三人目は今の50代世代には圧倒的支持を誇る尾崎豊さんの<十七歳の地図>。この曲は1983年12月に発表のデビュー・アルバムのタイトル曲で、その生々しい言葉は同世代に大きな衝撃を与えた。この曲以外でも彼の書き下ろした「盗んだバイクで走りだす、行く先もわからぬまま~」(「15の夜」)や「夜の校舎、窓ガラス壊して回った」(「卒業」)という歌詞は実際に行動を起こす事件が多々発生し、社会問題にもなったほど。



 ラストは「ブーメラン現象」を起こした曲からElton Johnで<Bennie And The Jets(ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高))>。この曲はEltonの全盛期1973年に発表した第7作『Goodbye Yellow Brick Road』の収録曲で全米1位。 
 まずこの曲をお手本にしたのが、ユーミンの<まぶしい草野球>。この曲は1980年12月に発表した第10作『SURF & SNOW』の収録曲。 さらにこのリズムのアレンジで原田知世さんが松田聖子さんの<秘密の花園>をカヴァー。この曲は彼女が2016年5月に発表した4作目のカヴァー・アルバム『恋愛小説 2 』の収録曲で、アレンジを担当したのは伊藤ゴローさん。

 このアレンジのベースになっているのは、Eltonのみならず清水ミチコさんのある曲のアイデアも加わっていたのでさらにびっくり。それは「時計」の音で始まる清水ミチコさんの<イェル・ケ・クク>。この曲は彼女が2005年に発表した第 6作『歌のアルバム』の収録曲で、1968年にFrançoise Hardyが歌った<Comment Te Dire Adieu (It hurts to say good bye)(さよならを教えて)>のカヴァー。清水さんはこの曲をそのポイントはパーカッションの音が時計の秒針が奏でるカチカチ音に聞こえるところタイトルを「九九」のデタラメ・フランス語風に仕上げている。デタラメ・フランス語は例えば「麻布十番」を「アザブジュボ~ン」と発音するような「遊び」。それをフランス語で「九九」に当てはめた清水さんには脱帽。 

 と、2曲のカヴァーを聴き較べた時、私はこの<秘密の花園>がお気に入りだったが、「良い曲なんだけど、どこかで聴いたことのあるような気がする」という謎が解明

 ただこの曲は元々財津和夫さんが担当することになっていたが、彼の曲をプロデューサーが納得せず降板。その非常事態に作詞担当の松本隆さんが当時ツアー中のユーミンを拝み倒して3日で完成させた曲。 元々財津さんが書く予定だった余韻は、B面の<レンガの小径>が財津作品のままというところ。それは第8作の<赤いスイートピー>以降のシングルはAB面共に同じライターが担当していたから。なおこのお蔵入りした未発表の財津版<秘密の花園>は、松田聖子コピー・バンド“Sweet Dreams”が<“誰も知らない”秘密の花園>として演奏している動画あり。 


1. これが私の生きる道/ Puffy 
~B.G: Doc / Earl Klugh 

2. 茅ヶ崎に背を向けて/ サザンオールスターズ (『熱い胸さわぎ』収録)
3. Show Me The Way / Peter Frampton 
4. Best Of My Love(我が愛の至上) / Eagles 
5. Make It With You(二人の架け橋) / Bread 
~B.G: Lahaina Luna / Dan Fogelberg & Tim Weisberg 

6. 純潔 / 南沙織 
7. That’s A Way A Woman Is(気になる女の子)/ The Messengers 
8. Wild Night / Van Morrison 
~B.G: SENTIMENTAL AVENUE/ CASIOPEA 
  9. さらば恋人 / 堺正章 
10. It Never Rains In California(カリフォルニアの青い空)/ Albert Hammond 
~B.G: Catherine / Earl Klugh 

11. The Dairy(恋の日記)/ Neil Sedaka 
12. 心のこり / 細川たかし 
~B.G: Guitar Etude No. 3 / Dan Fogelberg & Tim Weisberg 

13. What A Fool Believes / The Doobie Brothers 
14. Steal Away(ふたりだけの夜) / Robbie Dupree 
15.二人のバカンス / 竹内まりや
 ~B.G: Brighton By The Sea(ブライトンの海辺) / Bob James 

16. Born To Run(明日なき暴走) / Bruce Springsteen 
17.アンジェリーナ / 佐野元春 
18.明日なき世代 / 浜田省吾 
19.十七歳の地図 / 尾崎豊 
~B.G: SWEAR / CASIOPEA 

20. Bennie And The Jets(ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高)) / Elton John 
21. まぶしい草野球 / 松任谷由実 (『SURF & SNOW』収録
22.秘密の花園 / 原田知世 (『恋愛小説 2』収録)
21.イェル・ケ・クク / 清水ミチコ (『歌のアルバム』収録)
22.秘密の花園 / 松田聖子 
~B.G: Midnight Motion / Kenny G 

次回11月号は「ジャニーズ特集」をお届けします。

本放送:第四土曜日10/26(土)15:30~18:00 
再放送:第四日曜日10/27(日)8:00~10:30 

【FMおおつ公式アプリ】https://fmplapla.com/fmotsu/                           (鈴木英之)

2019年10月26日土曜日

RYUTist:『きっと、はじまりの季節』(PENGUIN DISC / PGDC-0011)


アルドル・ヴォーカル・グループRYUTist(リューティスト)が、前作『センシティブサイン』(PGDC-0010)に続いてニュー・シングル『きっと、はじまりの季節』を10月29日にリリースする。
RYUTistのメンバーはリーダーの佐藤乃々子をはじめ、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁の4 人で、全員が新潟で生まれ育ったことでご当地を中心に活動しており、素晴らしいヴォーカル・ワークを誇っているのが特徴である。
また今月アルバム・レビューしたばかりの鈴木恵TRIOの鈴木恵が楽曲提供しているなどソングライター陣の層が厚く、音楽通を唸らせるそのサウンドとプロダクションは数多存在するアイドル・グループとは一線を画している。  


前作は若きシンガー・ソングライターのシンリズム『柳都芸妓』(PGDC-0005)から参加している佐藤望(Orangeade他)、microstarの飯泉裕子と佐藤清喜が楽曲提供していたが、本作ではシンガー・ソングライター兼ギタリストで、2013年からはKIRINJI (キリンジ)のメンバーとして活躍している弓木英梨乃がタイトル曲「きっと、はじまりの季節」を提供しており、大きな注目を集めるだろう。この曲のアレンジはsugarbeansことキーボーディストの佐藤友亮によるものだ。
カップリングの「Never let me back」は、リリース元であるPENGUIN DISCのレーベルヘッドを努める音楽ライターの南波一海が作詞し、作編曲はEspeciaのサウンド・プロデュースで知られる東新レゾナント(=Schtein & Longer)が担当している。
もう1曲「愛のナンバー」は、今年7月にライヴ会場で限定発売した7インチ・シングル『Majimeに恋して』のB面の既出カバー曲で、いずれもMagic, Drums & Loveのキーボーディストでシンガー・ソングライターの℃-want you!(シー・ウォンチュ!)のソングライティングである。アレンジは多くのメジャー作品で知られる武藤星児、コーラス・アレンジはRYUTistのプロダクションではお馴染みのカンケこと柏崎三十郎がそれぞれ手掛けていて音楽マニアの心をくすぐるだろう。

きっと、はじまりの季節

ではこのシングル収録曲について解説していこう。
「きっと、はじまりの季節」は、スチュワート・コープランド(元ポリス)が叩きそうな独特でタイトなドラミングがリズムを引き締めたドラマティックなポップスで、複数のギターでサウンド・ウォールしたオケをバックにRYUTistのコーラス・ワークの見事さを引き出している。またパーソナル・クレジットが手元にないので定かでは無いが、メロディックで流れるような運指から間奏のギター・ソロはこの曲の作者である弓木自身ではないだろうか。
「Never let me back」は所謂R&B歌謡サウンドではあるが、クレシェンドしていくホーン・セクションやベンディングを多用したシンセ・ベース、トーク・ボックスのアクセントなど80年代初期ファンクのエッセンスが感じられて面白く、また嘗てのSPEED等も想起させた。


そして弊サイト読者に最もアピールするのは、ラストのカバー曲「愛のナンバー」かも知れない。オリジナルは昨年4月に℃-want you!がリリースしたサード・シングルで、イラストレーター兼漫画家の本秀康氏が主宰する“雷音レコード”から7インチでリリースされた。レコードコレクターズ誌ではお馴染みだが、国内随一のジョージ・ハリスン・マニアとして著名な本氏のレーベルということもあり、あの3枚組をこよなく愛するビートル・マニアから強く支持され直ぐにソールド・アウトした。

ここでのRYUTistヴァージョンは、これまたラジオ番組を持つほどのビートルズ研究家として知られるカンケ氏のコーラス・アレンジにより、多彩でスウィートなハーモニーがフューチャーされて、この曲が持っていたポテンシャルを更に高めたサウンドになったといえよう。
「My Sweet Lord」(70年)や「All Things Must Pass」(70年)のオマージュとされるソングライティングもさることながら、様々なアイディアを忍ばせたコーラスにビートル・マニアは唸ると思う。そしてフックの「いつの間にか、コーラはお酒に変わったけれど」のパンチラインが耳に残って離れない。
ニール・ヤングの「After The Gold Rush」(70年)を英国フォーク・トリオのプレリュードが美しいハーモニーでアカペラ・カバー(73年)したヴァージョンを引き合いに出したら褒めすぎかも知れないが、とにかく筆者はこのRYUTistのカバー・ヴァージョンが最近のお気に入りになっているのだ。
 (ウチタカヒデ)


2019年10月13日日曜日

名手達のベストプレイ第6回~ニック・デカロ


ニック・デカロことNicholas De Caroは、1938年6月3日オハイオ州のクリーヴランドで生まれた。
幼い頃からアコーディオンを演奏して弟フランクとアマチュア・バンドを組んでいたニックは、十代半ばになると当時テナー・サックス奏者だったトミー・リプーマ(1936年7月5日生まれ)と運命的出会いをしてバンド・メンバーに加える。トミーは直ぐにニックのアコーディオンのプレイに魅了され、お互い影響し合うようになった。

その後ニックは陸軍に徴兵され、トミーはクリーヴランドのレコード・ディストリビューターからLiberty Recordsのプロモーターとなりそれぞれ別の道を進んだが連絡は常に取り合っていたという。
64年めでたく陸軍を除隊したニックは、トミーの推薦でアレンジャーとしてLiberty Recordsと契約する。スタッフ・ソングライターのジャッキー・デシャノンやランディ・ニューマンなどのスコア仕事から信頼を得て、プロデューサーのスナフ・ギャレットを紹介され彼のプロジェクトと、自身でプロデュースしたメル・カーターのシングル「Hold Me, Thrill Me, Kiss Me」のヒットで初めての成功を手にした。
65年トミーはハーブ・アルパートとジェリー・モスにより創設されたA&Mレコードに移籍したことで、ニックもLiberty Recordsを離れフリーのアレンジャーとなる。同時期トミーの同僚でLiberty Records会長のサイモン・ワロンカーの息子であるレニー・ワロンカーも66年にワーナーブラザーズに移籍している。
この二人の名プロデューサーの元でニックは数々のシンガーやグループのアレンジを手掛けていくことは、VANDAの熱心な読者ならご存じの通りだろう。

ハーブをリーダーとしたスタジオ・バンドであるティファナ・ブラスをはじめ、アンディ・ウィリアムズ、当時アンディの妻だったクロディーヌ・ロンジェ、クリス・モンテス、サンドパイパーズ、そしてロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ、ハーパース・ビザール等と、弊誌が監修した『ソフトロックA to Z』で取り上げたアルバム収録曲の多くのアレンジを彼が手掛けているのだ。60年代中期から70年代をピークにポップス、ロック名盤の影にこの人ありといわれた名アレンジャーとしてまず挙げるのは彼をおいて他にいないだろう。
また自らボーカルを取ったソロ・アルバム『Italian Graffiti』(74年)は、日本ではAORの原点としても評価が高く、今でも熱く聴き続けられている。
92年3月4日、ニックは心臓疾患で惜しくも亡くなる。53歳だった。 彼の葬儀はカリフォルニア州ウェストレイクと、故郷のオハイオ州クリーヴランドで執り行われたという。

筆者は常々ソフトロックをはじめポップスは「アレンジャーの音楽」と考えていたので、ニックの存在の重要さに早くから注目しており、こうして取り上げられることが非常に嬉しい。
そんなニック・デカロ氏が手掛けた楽曲に大きく魅了されたミュージシャン達と、彼のベスト・アレンジ曲を挙げてその偉業を振り返ってみたい。
是非サブスクリプションの試聴プレイリストを聴きながら読んで欲しい。
参考出典元:http://www.spectropop.com/NickDeCaro/




 【ニック・デカロのベストアレンジ5】 
●曲目 / ミュージシャン名
 (収録アルバムまたはシングル / リリース年度)
◎選出曲についてのコメント


GROOVE UNCHANT(グルーヴあんちゃん)
https://groove-unchant.jimdo.com/ 



●Time After Time / Chris Montez 
(『Time After Time』/ 66年)
◎ごぞんじ、Tommy LipumaプロデュースNick DeCaroアレンジという 「 A&M 」 鉄壁の布陣によるFrank Sinatraのカバー。
これぞソフトロックといえる曲の1つなのでは? 
”ソフトロックの定義がいまいちわからない”という方も、この曲をオリジナルと聴き比べるとその魅力が理解し易いはずです。

●Kinda Wasted Without You / The Parade
(『The Parade』/ 発表67年 収録アルバム:88年)
◎Web VANDAをご覧のみなさまには説明不要の超名曲。
Roger Nichols & The Small Circle Of Friendsのバージョンと、テンポも含めアレンジはほぼ一緒なのですが、The Pradeのバージョンはアコースティックギターが主張していてフルートのアレンジもいなたくなっており、こちらもおすすめです!

●Music to Watch Girls By / Andy Williams 
(7”『Music to Watch Girls By』/ 67年)
◎Bob CrewedのオリジナルバージョンではTijuana Brassを意識したアレンジになっており、 このAndy WilliamsのバージョンではもちろんTijuana Brass感を残しつつも、際立ったリズムセクション、メロディアスなストリングス・アレンジ、さらには女性コーラスをブラスしユニゾンさせることによって、本家の面目躍如とも言えるNick DeCaroの仕事ぶりが堪能できます。

●Come Saturday Morning / The Sandpipers 
(7”『 Come Saturday Morning』/ 69年)
◎Liza Minnelli主演の映画「くちづけ(1969)」 原題「The Sterile Cuckoo」のサウンドトラックに収録。
The Sandpipersの華麗なコーラスハーモニーに織り重なるようなNick DeCaroのハープ、ストリングス、ブラスアレンジは至福。

●Midnight At The Oasis / Maria Muldaur
(『Maria Muldaur』/ 74年)
◎Maria Muldaurといえば間違いなくこの曲。
40年以上経ってもこの曲が色褪せないのは、カントリーミュージックという枠に囚われない複雑で華麗なコード進行はもちろんのこと、地味過ぎず派手すぎないストリングス・アレンジをほどこしているNick DeCaroによる功績も大きいと思います。
   
Kinda Wasted Without You / The Parade


小園兼一郎(small garden)
サックス吹きでもありベーシストでもあります。 https://twitter.com/sgs_kozonohttps://smallgardenstudio.jimdo.com/ 



●Tea For Two / Nick DeCaro 
(『Italian Graffiti』/ 74年)
◎ニック・デカロ本人のリーダーアルバムから。
 原曲の美しさを全く損なわず、そして自分の色をはっきりと提示した上で更により良いものへと楽曲を昇華させている。特徴的なのはやはりニック自身によるコーラスワークだろう。
いわゆる往年の映画音楽アレンジこそがニックだという人もいるだろうが同アルバムの楽曲「Wailing Wall」にもあるようなスローなバラードと美しいコーラスがニック・デカロの魅力ではないかと僕は思っている。

●Lady Of The Night / Helen Reddy 
(『We'll Sing In The Sunshine』 / 78年) 
◎AORらしいしっとりとした質感を保ちながらポップスらしさをしっかり残すこの曲は作曲陣が3人という豪華さ。
ニックの堅実なアレンジ、ボーカル・アレンジもしっかり効いており安心して聴くことが出来る。この後紹介する曲もそうなのだが僕の好きな冨田恵一さんもニックのアレンジはかなり参考にしているのではないかと思われる節が多く、聴き比べてみるのも一興だと思います。

●Better Off Alone / Shirley Bassey
(『The Magic Is You』 / 79年)
◎プロデュース、アレンジメントを行っているアルバムからの一曲。
非常に美しい構成で原曲を綺麗に昇華させるお手本のようなアレンジ。 楽曲の途中からエレキピアノが被ってくるところが80年代の始まりを予感させる。またクレジットには、ニックがボーカル・アレンジを行っているとされており、彼の音楽に対するこだわりを感じる。

●On Saturday Afternoons In 1963 / Rickie Lee Jones 
(『Rickie Lee Jones』/ 79年) 
◎同アルバムの中ではあまり目立たないこの曲ではあるが同氏のアレンジはここでも手腕を発揮している。
何でもないようなオーケストラアレンジのように聴こえてしまうかもしれないがその構成力は原曲を全く壊しておらず、むしろはじめからこの編成で曲が作られたのではないかと思う程である。カウンターメロディ、リフの構築力にニックの実力を汲み取れる。

●I Have Ev'rything but You / Randy Crawford 
(『Windsong』/ 82年)
◎この時代らしい爽やかでポップなナンバー。
Randy Crawfordの前作でもニックはストリングス・アレンジを担当していたが今作ではより音に激しさを持たせている。シンセサイザーのパッドのように歌の後ろの隙間をただ埋めるように鳴っていた前作に比べてフレーズに幅を持たせ、かつアクションが大きくなってきた印象がある。ニックも時代に合わせてそのスタイルを上手に使い分けてきた名手だといえると思う。


Tea For Two / Nick DeCaro


鈴木恵(スズキサトシ)
作詞/作曲/編曲家。 ボーカル、ギター、サックスを担当。 自身のクループ「鈴木恵TRIO」「EXTENSION58」の他、アイドルグループ「RYUTist」への楽曲提供、作家「大塚いちお」氏との共同楽曲の制作等を行う。
Official HP https://suzukisatoshi.com 



 ●Me, Japanese Boy / Harpers Bizarre
(『The Secret Life』/ 68年) 
Caroline No / The Beach Boysを彷彿とさせるようなサウンド。オリエンタル=日本への限りなき誤解。
何を隠そうこの曲のデカロアレンジ、自分の管弦アレンジにかなり影響受けています。ので、素直にベスト5にあげました。

●Feel Your Groove / Ben Sidran 
(『Feel Your Groove』/ 71年) 
◎個人的にこういう味のあるボーカルが大好き。
歌が終わると壮大なインストのインプロビゼーションに入るが、長い曲全体をデカロのストリングスで覆い包んでいる雰囲気がただのインプロだけで終わらせない物語を感じる。ウェザー・リポート的な雰囲気は時代性か。

●Butterfly / Goldie Hawn
(『GOLDIE』/ 72年) 
◎S&G的トラディショナルなサウンドと子供達のコーラス、そこに乗っかるフレンチポップ的な味わいのボーカル、と聞けばまず誰しもアンマッチでは。と思いきや、なぜが見事に融合して見せるのは、デカロの隠し味のストリングの仕業。最後にだけ出てくるペニーレイン風ラッパの対旋律がまた良いですね。

●Getting Mighty Crowded / Nick De Caro 
(『ITALIAN GRAFFITI』/ 74年)
◎BETTY EVERETTのカバー。格好良さでは圧倒的にコステロだけど、デカロの絶妙なタイム感と頼りなさげなボーカルが好き。
僕が子供の頃、よくテレビで観ていた日本の歌謡曲バックのオーケストラアレンジに何となくニュアンスがよく似ています。

●I Don't Know Why I'm So Happy I'm Sad / Michael Franks
(『The Art of Tea』/ 75年) 
◎声が魅力的なんですよね。ボーカルとかイケてない方がメロウ度増す気がするのは僕の気のせいか。
最高にメロウはエレピとボーカルにこれぞバックグラウンドって言うくらいの主張しないストリングスはデカロマジック。実は、歌とストリングスの関係って密接なんですよね。

Getting Mighty Crowded / Nick De Caro 


【TOMMY (VIVIAN BOYS)】
オフィシャルサイト: https://twitter.com/VIVIAN_BOYS 



●My Love Grows Deeper / Clydie King 
(7”『Missin' My Baby』B面/ 65年)
◎フィレスの影武者プロデューサーを務めたジェリー・リオペルと、デカロによる音壁イミテーション作品には、このノーザン/モータウン風楽曲のような、本家スペクター作品では聴けないアプローチも。
シャングリラス的なボニー&ザ・トレジャーズ「Home of the Brave」(65年)とか。リオペルは、ロジャニコのマレイ・マクリオードらとの、自身やデカロらが手掛けた、ザ・パレードのメンバーとしても名を残す。

●Stage Door / The Grads 
(7”『Everything in the Garden』B面/ 66年) 
◎ゴフィン/キング作。「スパニッシュ・ハーレム」「ビー・マイ・ベイビー」の系譜たるスパニッシュ・スペクター風味、二拍三連キメ、付点8分ピアノを配すポップス王道編曲。
リピューマ、ボトニックとの制作チームは、改名、再出発したザ・サンドパイパーズに移行。スパニッシュ風味ならば、同グループの1stアルバムには、デカロがブルース&テリーに書いた「Carmen」(65年)の、より内省的なデカロ編曲のカバーも。

●For A Little While / Del Shannon
(7”『For A Little While』/ 66年)
◎リバティ/インペリアル周辺からキャリアが始まったデカロの、同社のヒット・メイカー、スナッフ・ギャレットとの最良の仕事の一つ。
デカロのアレンジは、ポップ・チューンを極上のソフトロックに、ソウル/ジャズ・テイストを蕩けるようなライト・メロウに変換するが、ロックン・ロールと融合すれば、このような多幸感溢れるパワーポップ・チューンを生み出す。

●All My Love’s Laughter / Jennifer Warnes 
(『Jennifer』/ 72年)
◎ジャック・ニッチェ(82年のジェニファーの大ヒット「愛と青春の旅立ち」の作者でもある)の仲介で、ジョン・ケイルがプロデュースした『Jennifer』(72年)に収録のジミー・ウェッブ作品(同じく「P.F.スローン」に捧げられた同名曲の、デカロ編曲による好カバーも収録)。
本作収録の「Needle And Thread」(編曲はジェリー・ピータース)を、後にデカロは『Italian Graffiti』で採り上げる。

●Tapestry / Nick DeCaro 
(『Italian Graffiti』/ 74年) 
◎チェット・ベイカー的な自身の歌唱を初めて起用した、先行初シングル「Caroline,No」や「I’m Gonna Make You Love Me」のカバーを含む、名義1st作『Happy Heart』(69年)。
イージーリスニングの規範とジャズ/ソウルとの交配編曲は、後のこの『Italian Graffiti』の雛形に。A&Mサウンド構築を経て、両作品を手掛けた、デカロとトミー・リピューマ。ラテン・ルーツの両名タッグ、初リリースの「Angelita di Anzio」のカヴァー(64年)に回帰するかの、イタリア繋がりの本作タイトルや、最後のHot Love→ジェニファー・ウォーンズ経由のこのカバーの収録経緯は、文字通り音楽史の「つづれ織り」たる物語を体現する。

All My Love’s Laughter / Jennifer Warnes 






 ⚫Our Last Goodbye / Andy Williams
 (『Honey』/ 68年 )
◎プロコル・ハルムの名曲「青い影」を思わせるイントロ、ダブル・トラックで録音された内省的なボーカル。
全盛期の華やかなウィリアムスのイメージとはかなり掛け離れているが、1968年・アメリカの退廃感を感じさせる中毒性のある曲だ。

●Drifter / Harpers Bizarre
(『The Secret Life of Harpers Bizarre』/ 68年) 
◎黄金コンビによる名曲で、多数のカバーが存在するが、このハーパース・ビザール版をベストに挙げる音楽ファンは多い。
デカロの編曲はドリーミーでカラフル、まさにポップスの魔法が散りばめられたサウンドであり、僕の "生涯ベスト5" の一曲にも選びたい素晴らしいトラックだ…!

●All in Love is Fair / Barbra Streisand
(『The Way We Were』/ 74年 ) 
◎こちらはスティーヴィー・ワンダーの名曲カバー。
すべてを優しく包み込むような泣きのストリングスは、彼女の伸びやかな歌唱を一層引き立てていて、非常に感動的だ。間違いなく、デカロの名仕事の一つに挙げられるだろう。

●Somewhere in the Night / Helen Reddy
(『No Way to Treat a Lady』/ 75年) 
◎個人的にはバリー・マニロウ版(78年)の方が馴染み深いが、先のリリースはヘレン・レディで、その編曲がニック・デカロ。
愛らしいイントロから、淡々と美しいメロディを引き立てていくアレンジは、マニロウと比べれば薄味だが、聴くほどに味わい深い。

●Here You Come Again / Dolly Parton
(『Here You Come Again』/ 77年 )
◎アメリカでは、様々な意味で大御所/成功者として知られるドリー・パートンの代表曲。
彼女がカントリーからポップ路線に進出した頃の作品で、バリー・マンの卓越した作曲センスと、デカロのさり気ないストリングス・アレンジはかなり相性が良い。

Drifter / Harpers Bizarre 




●(I Want A) True, True Love / Irma Thomas
(7”『(I Want A) True, True Love』/ 64年)
◎リバティでの若きニック・デカロの初期ワークスの中の大好きな一曲。シングル”He's My Guy” のB面。
いわゆるノーザン的バラードだが、当時のモータウンとはちょっと風味が違う奥ゆかしさがあります。この曲はちょっと個性的なサビのコード感が抜群なんです。両面ともストリングスは出てこないのだけど、不思議と聴こえてくるのが不思議。コーラスがほとんどオーケストレーションの役目を果たしているようです。弦アレンジで有名なニック・デカロですが、どうやったら曲が良くなるかの才能、まさにこんなことからにじみ出ているようです。

●Meditation / Claudine Longet
(『Claudine』/ 67年) 
◎サイケ人間として、予備知識なくレコード屋で見つけ、こんなジャケの人がまさかサイケっぽいことをしているのか?と期待が高まり、購入。だけど良い意味で裏切られた思い出の曲です。
オリジナルがジョビン作の有名曲であることは後から知りました。ゆったりまったりしたテンション低めのボサノバポップの傑作。昔のテレビで流れていたようなモノクロームなイージーリスニング的フルートが、最後の最後に16ビートに乗って盛り上がりつつ、クロディーヌ・ロンジェのSE的笑い声も加わってフェイドアウトする部分には、サイケ感とともにオルタナ感まで感じてしまいます。きっとそう狙っていたと信じたい。 この曲にサイケな映像つければハマる!

●All Strung Out / Nino Tempo & April Stevens
(『All Strung Out』/ 67年) 
◎90年代に『ソフトロックA to Z』(VANDA監修)で知り、ソフトロック全盛期にも比較的このレコードは見つかりやすかったように思います。
まさにフィル・スペクターなサウンドですが、発売年を見てしまうとオーケストレーションがすごく天然サイケっぽく聴こえてしまうんですよね。このストリングスのちょっとメロトロンぽい質感が大好きです。たまに気がつくとサビを口ずさんでしまっている一曲。

●Beautiful / Gordon Lightfoot
(『Don Quixote』/ 72年) 
◎カナダのシンガーソングライターで、ガールポップ期イミディエイト時代のNICOがカバーした ” I’m Not Sayin ’” のオリジナルシンガーということから知った。
ちょっとアシッドっぽさも感じてしまう60年代から、70年代前半はニック・デカロと組んで結構ヒットを飛ばしています。この曲はまず初っ端のコードからやられます。白玉系のストリングスとアコギの絡みがまさにビューティフルな一曲。

●Tattler / Ry cooder
(『Paradaise and lunch』/ 74年) 
◎チキン・スキン・ミュージックと並ぶ、70年代中期のライ・クーダーの言わずと知れた名盤の中の一曲。
自分も高校性のころからの愛聴盤です。クーダーの土臭さとアクの強さも、さりげなくも大変効果的なニック・デカロのストリングスでまろやかに仕上がってしまうという、ストリングス・アレンジの魔法のお手本のような曲だと思います。

(I Want A) True, True Love / Irma Thomas





●I Love How You Love Me / Claudine Longet 
(『The Look of Love』/ 67年)
◎クロディーヌロンジュのボーカルを最大限に引き立てて音域を邪魔にしないアレンジ。
キーボードアルペジオから始まる8分の6拍子バラードパターンにバカンスの終わりを 感じます。邦題は「わすれたいのに」。

●Chances Are / Ben Sidran
(『 I Lead A Life』/ 72年)
◎程よく軽く洒脱なアレンジが気持ち良い。
途中から入ってくるストリングスと少し唐 突な女性コーラスの広がりがこの上なく気持ち良い。後半の各楽器が押したり引いたりし てフレーズを奏でる展開も爽快!ニック・デカロはストリングス・アレンジで参加。

●Can't Take My Eyes Off You / Andy Williams
(『Love, Andy』/ 67年)
◎言わずと知れたフランキー・ヴァリの歌唱での大ヒット曲だが、ニック・デカロのアレン ジでほぼ同時期にリリースされている。
フランキーのバージョンより4つもキーが下な 分、サビのブラスアレンジがどっしりと派手でゴージャスに聴こえてこちらのバージョ ンがむしろ好き。

●Honeysuckle Magic / Mac Davis
(『Burnin' Thing』/ 75年)
◎右チャンの乾いたギターの音がいい。シンプルな構成で最後までしっかり聴かせるア レンジはさすが。
こういった、いなたいカントリーロック調なアレンジもするんだなぁ 。キャリアに奥域が感じられます。

●Wait For Me / Alessi Brothers
(『Words and Music』/ 79年)
◎往年のAORの匂いがイントロからプンプンしてくる。
ハイトーンボイスのボーカルラ インとバックのサウンドが見事に溶け合っている。ニック・デカロはプロデューサーとし ても参加。


Chances Are / Ben Sidran 



 【ウチタカヒデ(WebVANDA管理人)

●Just Beyond Your Smile / Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
(『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』/ 68年)
◎ソフトロックの聖典とされるこのアルバムでニックは半数に当たる6曲のアレンジを手掛けている。特にこの曲でのオーケストレーションは白眉の完成度だ。
左チャンネルのスライド・ギターのリフと対位する右チャンネルで駆け上がるストリングスのトリル、またセンターでたたみ掛けるホーンのフレージングなど巧みなスコアが僅か2分19秒に詰まっている。プロデューサーの盟友トミー・リピューマとの信頼関係ゆえの傑作といえる。

●Knock On Wood / Harpers Bizarre 
(『Harpers Bizarre 4』/ 69年)
◎初期スタックスを代表するエディ・フロイドのサザン・ソウル名曲をバーバンク・サウンドでやるとこうなる。
総帥レニー・ワロンカーからニックにどんなオファーがあったのか興味は尽きないが、ポルタメントが利いたストリングスの展開とフランジャーのエフェクティブな効果により幻想的なサイケデリック・ソフトロックに変貌させた。永遠の名曲「Witchi Tai To」の導入曲としてもこれ以上の演出はないだろう。

●I Was A Fool To Care / James Taylor 
(『Gorilla』/ 75年)
◎ピーター・アッシャーが手掛けた初期アルバム群とNY録音の前作を経て、ワロンカーと組んだジェームス・テイラー(以降JT)の6作目から。
ニックはアコーディオンとアルバム全体のストリングス・アレンジで参加しており、この曲ではジェントリーなJTの歌声に叙情的なストリングスを添えて、よりエバーグリーンなものに仕上げている。飽き性の筆者も30年以上愛聴しているマジックは、このニックのアレンジにあるんだな。

●Nightmoves / Michael Franks 
(『The Art Of Tea』/ 75年)
◎AOR名盤としてよく取り上げられる本作は、トミー・リピューマがマイケル・フランクスを売り出すために当時のジャズ・フュージョン系のベスト・スタッフでバックアップしたのはよく知られているが、ニックもストリングス・アレンジで全面的に参加している。
特に冒頭を飾るこの曲はセカンド・ヴァースから入るニックによる弦がないとこの曲のムード(世界観)にならないほど重要なエレメントになっていることが理解出来ると思う。

●Take Me To The Bridge / Crackin' 
(『Makings Of A Dream』/ 77年)
◎後年プロデューサー・チームとして成功するバネッタ&チューダコフが在籍した白人黒人混成のファンク・バンドの3作目から。
プロデューサーはラス・タイトルマンなので旧知のニックがストリングス・アレンジを担当している。これまでの4曲を選曲した理由も同じなのだが、彼のアレンジが曲にもたらす必然性という点が重要なのだ。この曲でもテンションで鳴っているシングル・ノートから一転して全体を覆う弦のヴォイシングの見事さに耳を奪われる。

Take Me To The Bridge / Crackin' 



 (企画 / 編集:ウチタカヒデ)