2016年12月4日日曜日

Diane Renay:『Navy Blue』 (Universal Music / UICY-15577)

 
フォー・シーズンズの黄金期を支えた名プロデューサー、ボブ・クルーが手掛けた女性歌手で最も成功を収めたダイアン・リネイ。彼女の唯一のオリジナル・アルバムとされる『Navy Blue』(64年)が国内初CDリイシューされた。
嬉しいことに今回のリマスター盤は本年度最新で、全収録12曲のステレオとモノ・ミックスに3曲のボーナス・トラックが付き、しかもSHM-CDの高音質仕様ということで文句なしのリイシューである。
因みにこのアルバム『Navy Blue』は、98年に米Collectables RecordsからCD化されていたが、現在は中古市場で高騰しているのでやや入手困難であり、昨年自主レーベルのオールデイズ・レコードから紙ジャケでリイシューされたので既に手にしたコレクターもいると思うが、高音質やミックス違いに拘りたいポップス・マニアには本盤をお勧めしたい。

ダイアン・リネイのプロフィールについては付属の解説に詳しいので少し省略するが、45年ペンシルバニア州南フィラデルフィア生まれ。62年にアトコ・レコード(アトランティック・レコード系列)のプロデューサー兼ソングライターのピート・デ・アンジェリスに認められ、シングル「Little White Lies」でデビューするがチャート的には振るわなかった。翌63年セカンド・シングル「Tender」をボブ・クルーが手掛けたことが転機となり、同年20世紀フォックスへ移籍する。
そして再びクルーの元、シンガーソングライターのエディ・ランボーにバド・レハークを加えた3名の共作とチャーリー・カレロのアレンジで制作されたのが、本アルバムのタイトル曲となるシングル「Navy Blue」なのである。
この曲は64年の全米チャートで6位の大ヒットとなり、続く「Kiss Me, Sailor」も同29位のスマッシュ・ヒットを記録する。このダブル・ヒットの経緯から本アルバムが誕生するわけだ。

かの大滝詠一氏もフェイバリット・アルバムの1枚に挙げていただけに、多くのフォロワーやポップス・マニアは聴かない訳にはいかないと思う。
おりしも05年の初演後ロングラン・ヒットしたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は、14年に名匠クリント・イーストウッド監督の手で映画化され、一気にフォー・シーズンズが再注目される。 またその年の初頭には御大フランキー・ヴァリが初来日公演を果たす。蛇足だが筆者は日比谷公会堂で湯川れい子先生や亀昭信氏のほぼ後列という良席で素晴らしいステージを堪能した。
思えば日本においてフォー・シーズンズ・サウンドは、大滝氏や山下達郎氏の楽曲やラジオ・プログラムを通じて、多くのポップス・ファンの心に植え付けられたと感じる。

『Navy Blue』はそんなポップス・ファンにとって打って付けのアルバムなのだ。 このような名盤ゆえ、僭越ではあるが筆者なりに主な収録曲を解説していきたい。
冒頭の「Kiss Me, Sailor」は前出の通り、64年に全米29位となったエディ・ランボウとバド・リハックのソングライティングによる作品だ。ノンクレジットながらボブ・クルー・プロダクションではお馴染みのミュージシャンが参加していると思われるが、バディー・サルツマンのプレイらしきスネアからタムを連打するフィルのアクセントが印象的だ。
また熱心なナイアガラーにはよく知られているが、イントロから繋がるサビ(この曲はヴァースより先にサビから始まる)のパートは、松田聖子の「風立ちぬ」(81年・作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一)でオマージュされているのがよく分かる。
当然ながらモノ・ミックスは定位の関係で、ヴォーカルに対してホーンとコーラスの音量レベルを高く感じるが、リネイのパンチの効いた歌声の醍醐味はモノに軍配が上がる。

   
続く「Soft - Spoken Guy」、こういうセンシティヴなマナーを持った曲がヒット・ソングの次に控えていることにこのアルバムの価値を見出せる。フィメール・コーラスのスタイルなど後のダスティ・スプリングフィールドにも通じるブルーアイドソウル感が堪らない。クルーとエディ・ランボウにリハックの共作によるこの曲、導入部の印象的なヴィブラフォン(エレピ?)はデイヴ・カレイのプレイだろうか。
ハンドクラップとシェイカーが8分で刻まれる「Please Forget Me」は、典型的なフォー・シーズンズ・サウンドであるが、サビからの展開がベン・E・キングの「Stand By Me」(61年)にも通じる普遍性を感じさせる。ステレオ・ミックスの左チャンネルでイントロから聴ける印象的なエレキ・ギターはヴィニー・ベルだろう。
唯一カレロがアレンジにタッチしていない「Hello Heartaches」は、クルーとシド・ベースの共作でベースがアレンジも手掛けている典型的なハチロクのガール・ポップである。

そしてタイトル曲で全米6位の先行シングル曲「Navy Blue」だが、この曲もフォー・シーズンズ・サウンドの流れを感じさせる。余談だが歌詞には海軍の水兵である彼氏から東京消印の手紙とお土産が届いたと出てくる。そのお土産はしゃべるチャイナドールということで、中華街を経由して東京へアクセスすることが可能な横須賀基地に勤務という設定なのかも知れない。
オブリガートや間奏で聴けるクラヴィオライン(後にビートルズの「Baby, You're A Rich Man」(67年)でも聞ける初期アナログ・シンセ)は、フォー・シーズンズの「Little Angel」(65年)でも似たトーンを耳にすることが出来るが、ボブ・クルー・プロダクション・セッションの常連キーボーディストで後にHot Butterにも参加するスタン・フリーのプレイだろうか。
日本ではダニー飯田とパラダイス・キング(フューチャリング九重佑三子)や伊東ゆかり、浅田美代子までがカバーしており、パラキンと浅田ヴァージョンの訳詞は漣健児、伊東ヴァージョンは安井かずみがそれぞれ担当している。
     

アルバム後半には、ザ・シュレルズが61年にリリースして翌62年に全米1位となった「Soldier Boy」のカバーをしている。原曲はカントリー風味のスローなドゥーワップだが、ここでのアレンジは「Dawn (Go Away)」(64年)を思わせるドラマティックな展開で原曲より魅力あるサウンドに仕上げている。さすがチャーリー・カレロのいい仕事というしかない。リネイの表現力も素晴らしいの一言に尽きる。
その「Dawn (Go Away)」や「Let's Hang On!」等多くのフォー・シーズンズ・ナンバーを手掛け、デニー・ランデルとのコンビで知られるサンディー・リンザーとクルーの共作による「He Promised Me Forevermore」はアレンジ的にも面白い。
古いディズニー映画のサントラを思わせる仕掛けがちりばめられていて飽きさせず、カレロの音楽的引き出しを垣間見られて興味深い。

ボーナス・トラックは『Navy Blue』後にリリースされたシングル「Growin' Up Too Fast」(64年)、「Waitin' For Joey」(64年、「Growin' Up Too Fast」のB面)、「It's In Your Hands」(64年)の3曲を収録している。 「Growin' Up Too Fast」はフォー・シーズンズの音楽的リーダーであるボブ・ゴーディオとクルーの共作で、アレンジ的にもチューブラーベルでメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を引用してカレロのセンスを感じさせるがヒットに結びつかなかった。
続く「It's In Your Hands」もマーケットを意識したカントリー風味のロッカバラードだがヒットせず、リネイのよさも引き出されていないようで残念だ。
ともあれアルバム『Navy Blue』が、半世紀以上過ぎた今でも聴き継がれるべきガール・ポップのクラシックであることを心より信じている。
興味を持ったWebVANDA読者やポップス・ファンは是非入手して聴いて欲しいと願うばかりだ。
(ウチタカヒデ)


2016年12月3日土曜日

☆『劇場版エースをねらえ!総音楽集』(サウンドトラックラボラトリー/STLC009-009)☆『劇場版エースをねらえ!』(バンダイビジュアル/BCXA1134)Blu-ray



宮崎駿に匹敵する作品を作ったアニメーション監督は、故・出崎統だけだった。TVアニメの「ガンバの冒険」「宝島」、そしてこの「劇場版エースをねらえ!」である。この3作でどれが最高傑作か選べと言われれば、「劇場版エースをねらえ!」を選ぶ。ただしマンガとTVアニメの「エースをねらえ!」は嫌いだ。べたな少女漫画にあるあるの、いじめや妬みなどがイライラして見ていられないからだ。しかし出崎は劇場版だからこそ、そういう余分な部分をそぎ落とし、テニスへの努力、主人公の心の繊細な描写を織り込みながら、スポ根でも恋愛ものでもなく、ドラマティックながらトータルでは胸を焦がすほどの爽やさを残してくれる奇跡の傑作に仕上げた。上映当時は、ずうとるびのメンバーの実写映画との抱き合わせというひどい扱いだったが、あまりの素晴らしさに上映後は口を開くのも惜しいほど。これだけの感動は「太陽の王子ホルスの大冒険」や「2001年宇宙の旅」「七人の侍」を見た後などほんの少しの映画以外得られない。しかし手塚治虫は上映された1979年のベストアニメーションは質問に、この抱き合わせの悪さもあってヒット作にならなかった「劇場版エースをねらえ!」とまだ一般的に無名に近い宮崎駿の初映画監督の「ルパン三世カリオストロの城」を選び、我々コアなアニメーションファンからさすが手塚、審美眼はあると唸らせてくれたもの。宮崎は監督でもあり超一流のアニメーターなので、誰も真似が出来ない風をつかむ動き、そして実写ではありえないがアニメーションでこそ楽しめる超人的な動きなど、「動き」の宮崎演出に比べ、出崎統は「止め」を駆使し、光と影のコントラスト、早いカット割りなど全く別の手法のシャープな演出で、見事なアニメーションを作り上げた。これは宮崎が、東映動画長編アニメーションという多くの作画枚数をかけて作品を作れた環境下で育ったのに対し、出崎は手塚の虫プロダクションで極度に作画枚数を減らしてコストダウンしないといけない演出家だった出身の違いもあったように思える。演出から作画、動画、背景、そして脚本までできるスーパーマンの宮崎は作る作品はみな傑作だったが、出崎は極端な話冒頭、冒頭に書いた3作が宮崎に匹敵する作品で、あとは少しレベルが落ちる。でも「ガンバの冒険」「宝島」で描かれる友情と、男が惚れる男が描けるのは出崎の真骨頂と言えるだろう。実はこういうものは自分は苦手なのだが、出崎演出では、「七人の侍」を見た時のような、そういうものを信じる熱い思いをたぎらせてくれたのだ。「宝島」の最終回は今でも思い出すだけで涙が出てくるほど、大人の男の美学を見せてくれたもの。前提が長くなったが、「劇場版エースをねらえ!」は主人公・友人・ライバルもみな女子校生、男性は、主人公を見出した鬼コーチ、淡い恋心を抱くテニス部の上級生、あとその友人くらいだ。いつも熱い男の話を演出していた出崎だが、本作では主人公とその親友の描き方は、当時の女子高生そのもので違和感がなかった。その普通の明るい、一介の一年生のテニス部員が、新任の鬼コーチが女子テニス部全員に対してマシンによる最速の打球を打ち返すように指示、その中、無理な体勢から強烈なレシーブを1球だけ返すことができた主人公にそのコーチは将来性を見込み、1年生なのにレギュラーを指名する。そこでの主人公の当惑やテニス部の圧倒的なエース選手のコーチの選任への懐疑はテンポよく進むことで重くなくなり、特に原作やテレビアニメでげんなりさせられたレギュラーの座を奪われた上級生の執拗ないじめはスッパリ切り捨てていた。時間の関係によってもたらされた大胆なシナリオが実に効果的だったといえる。他の重要なファクターである鬼コーチが隠していた重病と残された時間への思いなどもテンポよく進めたためウェットな部分が少なく、主人公がついにテニス部のエース選手を破るまでを小気味よく描いた。ただそこをスポ根にしなかったのは、親友との心温まる交流や、合宿で偶然起きた憧れの先輩男子部員(もちろんエース)との実にプラトニックな、お互いの気持ちが通い合う出来事などを織り込んだので、汗と根性にまみれたストーリーにならず、一女子高生の部分もきちんと表現されていた。自分は「青春」という言葉が気恥ずかしくて嫌いだが、この映画は数少ないいい意味で青春映画にもなっている。そして演出の出崎の力を最も発揮できる作画監督の杉野昭夫の作画力、素晴らしい曲とBGMを書いて作品を爽やかに彩った馬飼野康二の力も非常に大きかった。声優の人選も見事。全てが揃った奇跡の傑作がこの『劇場版エースをねらえ!』だった。この作品は時がたつたびに評価が高まり、2001年にはDVDBGMを集めたCDをセットにしたDVDボックスが発売された。写真右だ。映画の主題歌は少年探偵団というグループが担当、とても爽やかな傑作だったが、長くCD化されず、前述のボックスに少年探偵団の歌声はなかった。(当時ドラマ編LPがリリースされたが、レーベルがキング、シングルはCBSソニーだったのでなんと主題歌をパルというグループのリレコになってしまっていた)DVDになっても歌を入れられなかった理由は不明だが、その後、主題歌はコンピCDにようやく収録され、今回ついにその主題歌とBGM2枚組のCDに入れた『劇場版エースをねらえ!総音楽集』(サウンドトラックラボラトリー)が遂にリリースされた。ここにはシングルの主題歌AB面とそのカラオケも入り、主題歌の「まぶしい季節に」のカラオケはなんと嬉しいコーラスパート入り。そしてCDはオリジナル・サウンドトラックとオリジナル・トラックに分けて収録、前述のボックスとの比較を検証してみた。まずいえることはDVDボックスのCDのトラックはみな収録されていることだ。その中の「ある日のゴエモン」の中のアクセントM-5 T2はこのCDのみの気がするが1秒程度のピチカートで、長さの違うものは他でも聴けるので全部入っていると言っていいだろう。「総音楽集」で初登場のトラックは6曲目のM2111曲目のM3913曲目のM4521曲目のM-65で、M39 以外は劇中の少年探偵団の劇場サイズの歌だった。タイトルを書かないのは、CDで曲名が異なるからだ。もう1枚のオリジナル・スコアに関しては初登場は前述の主題歌のカラオケAB面と、BGMではトラック5,7,10,16,17,20,22,23,36,30,33,35,3737は少年探偵団の劇場サイズの歌。CDには馬飼野康二のインタビューや完璧なトラックリスト、出崎統のコメントがある。この少し前にBlu-ray版の『劇場版エースをねらえ!』がリリースされたが、2008年に初めてBlu-ray化されたものに2005年のDVDに収録された出崎統へのロング・インタビュー(音声のみ)がプラスされた充実したもの。ジャケットの絵だけは最近描いたものでイメージが違うのが残念だが…。でも昔持っていたDVDボックスは手放さない方がいい。というのもブックレットが付いていて、そこには設定集と出崎統のロング・インタビュー、そして庵野秀明監督が1P寄稿していてこの作品を絶賛している。これらはDVDボックスのみだ。まだ見たことのない人はまずBlu-rayを買って見て欲しい。絶対保障、自分がショップなら気に入らなければ返金する…と書き添えるほどの傑作だ。(佐野邦彦)



2016年11月29日火曜日

☆『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』(日本コロムビア/COCX39821-5)5CD ☆『冨田勲映画音楽の世界』(松竹レコード/SOST3025)


CD5枚組の『冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集』はおススメだ。作品や曲のセレクションに少しクエスチョンマークはあるが、90点あげてもいい。というのも私は昔から「シンセサイザー時代より前の子供番組の曲を作っていた冨田勲」の熱烈なファンだからだ。宮崎駿らのアニメーションが好きな自分は、マンガと180度逆でアニメの手塚治虫にはまったく興味がないのだが、冨田は手塚アニメの音楽を多く担当しているので、自分の冨田コレクションに手塚作品は多い。こうして音だけあればいいのでDVDは不要で大変助かる。この時代の冨田作品は今のなお、他を寄せ付けないハイセンスで優美、荘厳、そして高揚感のある曲が作れる第一人者だった。山下毅雄、宇野誠一郎という日本のトップ3の作曲家の中でこの時代の冨田はずば抜けている。私はこの時代の冨田の音楽は全てコレクションしているので、本ボックスの素晴らしい点と惜しい点がよく分かるのでそこを紹介しよう。もちろん素晴らしい点の方が遥かに多い事は保障する。CD5枚組。ディスク1は『ジャングル大帝』。冒頭はあの平野忠彦(シングルは三浦弘名義)による壮大なオープニングテーマ。放送は1965年、日本最初のカラーTVアニメで、家に届いた、まだ珍しい(1968年でも普及率4.4%。ただし1971年には85.8%と急増)到着したカラーテレビで、「ジャングル大帝」のオープニングを見た時の感激は覚えている。この頃のカラーテレビは相当な高額だったが、それだけのお金を払ってもカラーでTVを見たい!という気持ちを大きく助長したのがこの『ジャングル大帝』だったという。知らない方に話しておきたいのはこの『ジャングル大帝』と『リボンの騎士』は、マンガで超売れっ子だった手塚治虫が、自分のマンガの儲けをアニメーション作りに回して、その潤沢な資金で、TVシリーズなのにフィルムを先にアップしてそれを見ながら冨田勲がその都度曲を作って録音するという贅沢な方法で作られたことだ。クラシック好きの手塚は、壮大なスケール感のある冨田を高くかっていて多くのアニメの音楽を冨田に依頼した。手塚の虫プロダクションが満を持して制作したカラーTVシリーズの第1弾第2弾はこうして冨田にまかされ、その期待をはるかに超える音楽を作った。

ディスク1のジャングル大帝の音楽は、その当時LPが出て後にCD化された、リレコされた『ジャングル大帝ヒットパレード』というアルバムがあったがTVシリーズの音楽とは雰囲気が大きく違ってこれを除外したのは正解だ。ようやく当時の曲を集めたのが1998年の『懐かしのミュージッククリップ35ジャングル大帝』(東芝EMI)で、歌の入った部分の曲が22曲(「ジャングル大帝進めレオ」のタイトル曲含む)収められた。そして2007年にCD4枚組の『ジャングル大帝』(Emotion)では先のミュージッククリップの内容を含みつつ(2曲少ないが、別の2曲が入った。歌は21曲)遂に当時のBGM88曲を中心に109曲が収録されたが、冨田勲がこの頃の音質が満足いくものではないということで回収騒ぎとなり一部にしか出回らなかった。それで今度のディスク1は60曲、内歌が入っているものは既発表の12曲でBGMが中心、ようやく万人に『ジャングル大帝』のBGMの素晴らしさを誰でも味わってもらうことができた。この48曲のBGMは、先のCD4枚組のBGM88曲とダブりがたった2曲!特に「きちがい雲」3曲、「さすらいの死神」7曲は本作のみで、美しいバイオリン中心のストリングスで彩られる曲や、冨田の真骨頂の金管楽器が響く曲など、素晴らしい曲ばかりを堪能できた。おしむらくは、この『ジャングル大帝』と『リボンの騎士』のテーマソングは、TVサントラとは別ヴァージョンのフルコーラスだが、演奏の緻密さはこのレコード・ヴァージョンが群を抜いていいので、他のCDで聴けるとはいえ収録してほしかった。またミュージッククリップ収録の挿入歌で落ちた弘田三枝子が歌う「たまごの赤ちゃん」は美しいメロディと優しい歌声の名作なのでこれは落とすべきではなかった。続けて放送された「ジャングル大帝進めレオ」のBGMは初収録で貴重でありここに記すことにする。「大草原の対決」6曲のうち進めレオのフレーズも一部入れた荘厳なM-13M-14、「月光石の秘密」1曲のあとは「密猟者の森」2曲で勇壮なM-1,M-4が光る。「石のとりで」2曲のうちM-7は心惹かれるパートがあり。6曲の「王城に陽は昇る」はM-14が金管のメロディが光っていていい出来だった。ただこの主題歌は三木鶏郎が担当したが壮大なオープニングは冨田のアレンジで、ミュージッククリップには2ヴァージョン入っていたがここには収録されず。

ディスク2は嬉しい1967年『リボンの騎士』のほぼ初といってもいいBGM集。昔1997年に『懐かしのミュージッククリップ28リボンの騎士』で31曲収録、歌が入ったものが12曲で残りはBGM、しかしセリフが入っているものもあった。今回はディスク2全部とディスク56曲で計72曲収録、主題歌「リボンの騎士」のインスト版と歌入り王女編、「リボンのマーチ」のTVサイズはダブったが、王女編インストルメンタルは初収録、「リボンのマーチ」もTVサイズの別ヴァージョンが加わった。BGMでコーラス付3曲があったが、ミュージッククリップの挿入歌の「囚人のうた」「チンクのうた」「使用人たちのうた」「うれしいたいかん式」「王子入場」「サファイヤのうた」「リボンの騎士はチャンピオン」とTVで使われたセリフ入りの王子編歌入り「リボンの騎士」とTVサイズより30秒長い(しかしレコードよりは1分短い)「リボンのマーチ」の9曲は落ちた。特にスティールギターを使った愛らしい「チンクのうた」は傑作だったので惜しい。さてBGM68曲もあり壮大な「王子と天使M-4‘’」と美しいワルツを使った「踊れフランツM-4」、そして本作のハイライトBGMであるサファイヤとフランツがカーニバルで踊るときのバイオリンによるあまりに甘く美しいワルツの「サファイヤのカーニバルM-7」、王宮の宮廷音楽のように華麗な「サファイヤのカーニバルM-10」はBGMのレベルをはるかに超え、まさにクラシック。楽しいカーニバル音楽「サファイヤのカーニバルM-13M-13‘」、あのワルツをさらにゆったりと演奏した「サファイヤのカーニバルM-15」も後半が素晴らしい。牧歌的でストリングスが美しい「七匹の仔やぎM-15」、BGMの中に華麗さがちらつく「王様バンザイ!!M-6」と荘厳な「王様バンザイ!!M-21」、前述のワルツをアレンジした美しい「燃えるシルバーランドM-14」、後半の新しいワルツが魅力的な「シルバーランド幸せにM-2’」、バイオリンの高音の旋律に心を奪われる「シルバーランド幸せにM-2’’」、後半が荘厳でかつワルツのメロディも使った「シルバーランド幸せにM-10」、まるで「キエフの大門」かのような荘厳な「シルバーランド幸せにM-11’」と名曲BGMがズラリ。ディスク5ではアコーディオンがフランスをイメージさせる美しい「ふしぎなカガミ」、壮大なイメージの「おちゃめなテッピーM-18」が光る。ここで手塚作品での冨田は頂点を迎えた。

ディスク3は初登場の手塚アニメの快作1969年「どろろ」のBGM集なんと68曲。コアな手塚ファン、そして映画音楽まで好きなコアな冨田ファンにはここは一番待ち望んだディスクだろう。マンガは手妻作品の中でもベスト5に入れる大好きな作品だ。これをアニメで表現するとビワの音と低い男性コーラスのハミングで、応仁の乱で乱れた世の中、妖怪と戦って妖怪に奪われた自分の体を取り戻していく百鬼丸を描こうとすればこういう重く陰鬱なサウンドのBGMになるのは当然の帰結であり、こういう曲は冨田が映画音楽で得意とするサウンドである。しかし私は残念ながらこの手の曲はあまり好きではない。コミカルながら歌の裏のコーラスがその異様な世界に誘ってくれる主題歌の「どろろ」は大好きだが。その中、美しいメロディを持つ「みおの章2M-78」、「ばんもんの章2M-79」、哀愁漂う「どろろの歌ヴァリエーション3M-28T2」、浮き浮き感もある「二人旅の章3M-5T5」、日本的な哀調を帯びたメロディが美しい「妖怪かじりんこんの章 3M-1」、どろろの主題歌をスローなインストにした「妖馬みどろの章 3M-30 T2」が個人的には気に入っている。メインテーマは「メインテーマ2 (百鬼丸のテーマ) (1M-1 T2)」の方が重々しさがあって雰囲気が出ているが、この作りはまさに後述の時代劇の映画音楽の冨田そのもの。ディスク5にもパイロット版用BGM6曲と葵交彦が歌う「百鬼丸の歌(別ヴァージョン)」があり後者はどこが違うか聴き比べたがイントロでレコード版は13秒過ぎにコーラスが入って21秒から始まるのに対してこの別ヴァージョンは13秒から歌が始まっていた。

ディスク4は映画1969年の『千夜一夜物語』のサントラだ。当時、この映画はサントラ盤LPが出ていたが、12曲中A2曲目の「アルディンのテーマ」のオリジナル・ヴァージョンではなく別ヴァージョンが収録されたが、もう1曲を除いて他は全曲収録された。入れなかった理由はレコード用のマスターが見つからなかったというが、盤おこしをすればいいだけで、本ディスクではマスターでも盤おこし以下の音質のものもあり、こういう変なこだわりは迷惑だけという事が分かっていない。14曲がヘルプフル・ソウル、1曲はヘルプフル・ソウル+フール・サンズ、フール・サンズは24曲で39曲の構成だ。ヘルプフル・ソウルはあのチャーリイ・コーセイ(宮崎駿・大塚康生・高畑勲の名作『旧ルパン三世』のオープニング・エンディングを歌ったヴォーカリスト)がいた伝説のブルース・ロック・バンドで、冨田に気に入られ本アルバムは8曲とアルバムのメイン、そしてオリジナル・アルバム1枚をリリースしてたった2年で解散した。冨田色が出るのはフール・サンズ(オーケストラ)が担当した曲で、アラビアン・ナイトの世界を彷彿とさせるエキゾチックで荘厳な「メイン・タイトル」「エンド・タイトル」、用いられたのは濡れ場のシーンだが、美しいバイオリンによる「魅惑の夜」とコーラスが入った「いとしのミリアム」がアルバム曲ではいい。ただし今回マスターで収録された映画用の「ミリアムのテーマ」の方が、後半がストリングスで出来は上。ミリアムの娘のジャリスの曲は3曲あるが、対位法のコーラスが耳障りなので初音盤化の短いシンプルな「ジャリスの竪琴」がベスト。ヘルプフル・ソウルの曲は「アルディンのテーマ」のようなベースのリフガカッコいい曲が多いがアルバム曲の「モーレツ男」は歌の入ったVocal Mix Versionに変えられているのでこれも注意。余談だが、この映画は1969年でこの年にヘルプフル・ソウルは解散したが、翌1970年に大阪万博の東芝IHI館のための曲で、非売品EPで作られた12分の大作「東芝IHI館グローバル・ビジョンのためのマルチプル・サウンズ」には壮大なフール・サウンズ・オーケストラの演奏の後、六文銭の演奏、そして中盤からチャーリー・コーセイ(当時はチェイ光星と名乗っていた)の歌が入ったバンド演奏で、この大作がCD化されないのはあまりに惜しい。

ディスク5はまず1962年東映動画長編アニメーションの『アラビアン・ナイト シンドバッドの冒険』から4曲入っているが、これは1996年リリースの『東映動画長編アニメ音楽大全集』に23曲入っていてそこからのセレクション。エキゾチックで転調が見事な「サミール姫のうた」がないのは納得いかない。この10枚組の『東映動画長編アニメ音楽大全集』には、まず宮崎駿・高畑勲・大塚康生の3人が初めて中心になって作った1968年の日本アニメーション史上に輝く最高傑作『太陽の王子ホルスの大冒険』、この作品のヒルダを描いた森康二の奇跡のアニメーションが見どころで間宮芳生の一世一代の音楽の美しい音楽のもほぼ全体が収録されていた。さらに宮崎駿がアイデアの中心の担い森康二が作画監督を担当した傑作1969年の『長靴をはいた猫』と1971年の『どうぶつ宝島』、さらに森康二が中心となり大塚康生、月岡貞夫が持てる力を発揮、音楽が伊福部昭という1962年の『わんぱく王子の大蛇退治』という東映動画長編アニメーション4大作品を含む全ての音楽が収録された最重要CDボックスだったが、長く廃盤なのがあまりに惜しい。本ボックスには冨田が音楽を担当した1965年の『ガリバーの宇宙旅行』のBGMも入っていてこちらの方が魅力的な曲を書いていたが、坂本九が主人公で歌を歌っていたからか一切歌が入っていないセレクトだった。ほとんどの作品はTVサイズ&劇場サイズの方が耳に馴染んでいるし出来もいいのだが、冨田の場合タイトル曲はシングルになるので気合が違うというか、レコード用のヴァージョンの方がステレオで広がりがあって出来がずっと良かった。『ジャングル大帝』『リボンの騎士』がそうであったように、この主題歌の「ガリバー号マーチ」もレコード・ヴァージョンの方がはるかに上(ただし気合が入っているのはA面のみ。必ずTV・劇場と同じ歌い手を使うのがポイント)で、1991年の『オリジナルアニメ原盤によるアニメ主題歌メモリアル1』にはその金管の広がりが素晴らしく高揚感に溢れたレコード・ヴァージョンと、カップリングの劇場版とは違う本間千代子&高橋元太郎が歌う「遊園地のうた」が収録されていた。でも実は1998年の『東映動画アンソロジー劇場編1958-1971』(日本クラウン)では劇場版サイズの「ガリバー号マーチ」と「遊園地のうた」をコロムビアのレコードのクレジットを付けて入れたのは確信犯?というのも後者の歌はサントラなので歌は坂本九…。まあどちらにしてもDVDでは坂本九の歌は全て聴けるがCDは全て廃盤だ。本ボックスになぜ『シンドバッド…』だけ入れて『ガリバー…』を入れなかったのは全く納得できない。次いでこれも嬉しい1964年の『ビッグX』、かつて1997年にリリースされた『懐かしのミュージッククリップ22ビッグX』(東芝EMI)からの抜粋でオープニングとエンディングの歌とBGMを細かく分けて14曲にしていれた。M-7M-9のような西部劇調のBGMが魅力的だがBGMは全部で14分ちょっと。それに比べミュージッククリップは40分もあり、ここを手抜きにしたのはもったいない。ミュージッククリップにはあの胸の高鳴るテーマ曲の色々なアレンジを集めたインストルメンタル集やBMG集2の金管を生かした勇壮なマーチもあったのに収録せず惜しいことばかり。ここでも出来のいい主題歌のレコード・ヴァージョンを落としていた。初収録は手塚のデビュー作を劇場作にした1965年『新宝島』から「タイトル~出航」。曲ではなくBGMで特に胸躍るものではない。同じく劇場作の1966年『展覧会の絵』から「プロムナード」と「キエフの大門」。もちろんムソルグスキーの傑作で、後者の方が、出来がいい。その後の『ジャングル大帝進めレオ』『リボンの騎士』の補遺、『どろろ』の補遺は前述のとおりで、最後は『千夜一夜物語』に次ぐアニメラマ、1970年『クレオパトラ』より主題歌の由紀さおりが歌うエキゾチックな「クレオパトラの涙」が収録されていた。かつて1991年の『ぼくらのテレビ探偵団Vol.4』だけに入っていた曲なので未入手の方には貴重だ。

続いて『冨田勲映画音楽の世界』(松竹レコード/SOST3025)を紹介しよう。まず重厚で重々しい1965年の『飢餓海峡』より2曲、1968年の美輪(丸山)明宏主演の『黒蜥蜴』からはサスペンス風の2曲、1970年「座頭市あばれ火祭り」1971年「新座頭市・破れ!唐人剣」は1曲づつでこれぞ『どろろ』のBGM(この2作品は『座頭市音楽旅其之参』(キング)に8曲、7曲収録)1972年の『びっくり武士道』はコミカルな作品に合わせてシンセサイザーを使ったコミカルなものを2曲、1973年の『しなの川』は作品世界に合わせて哀調溢れる2曲、これが入ったおかげで『しなの川』のDVDを処分できた。『同棲時代』との2枚組、どちらも由美かおるのヌードが売りのDVDセットだったが、病気で既に女性への煩悩が消滅した自分にはまったく興味がなくなり瞬時に処分、まあ楽で良いともいえる。1974年の怪作『ノストラダムスの大予言』はシンセサイザーも使った大袈裟な感じの曲だった。残りはもうどっぷりシンセサイザー時代以降の1990年以降なので『学校』4作、『たそがれ清兵衛』『隠し剣鬼の爪』『武士の一分』『母べえ』『おとうと』『おかえり、はやぶさ』などあるが調査担当外なのでこれまで(佐野邦彦)

 
 
 
 
 

2016年11月28日月曜日

PlayStationVRを自宅で体験、ゲームの革命が起きた!ヘッドセットで見える画像は左右も完全な3D、自分の首や手の動きでバーチャル空間を操作できる。夢の実現だ。


PlayStation VRは自分で予約して10月に届いていた。発売時のゲームは、サード・パーティーはクソゲーがほとんど、まずはバーチャルリアリティーが確実に体験できる、ソニー(SIE)本体が発売した「PlayStation VR World」も買った。届いて驚いたのは息子2人だ。「お父さん良く手に入れられたねー」そりゃそうだ。こんな久々に現れたゲーム革命を体験しないなんてアホだ。でも自分はベッド上で動けないのでいつもの事だが息子達へのプレゼント。ゲーム機のセットが大変だが先ほどベッドまで持ってきて接続してくれた。スゲー。最初は海中、目の前の全てが立体空間、前後左右に目を動かしても魚や他の探査艇、母艦の影が見え、首の動きに合わせてヘッドライトがその位置の手すりを照らし出す。途中、ホオジロザメに何回か襲われるが、その巨大さに度肝を抜かれた。続いて公道レーシング。ハンドルはなく自分の首の傾きをカメラがとらえてそれでハンドルが回る。もの凄いスピードで急カーブに突っ込むが小さな車からトラックまで車線にいるのでノーブレーキでかわしても別車両が目の前に!何度も衝突したが特に構わず続行する(笑)コース取りを正確に覚えてもかわせるか不明だが、バーチャルだと迫力十分。次のゲームはシューティングで目の前に浮かぶ銃を、コントローラーを持った手を伸ばせば掴めてボタンでシューティングできたのだが、介護用のベッドのオーバーテーブルの上のテレビに付けたカメラ(自分の動きを捉えるカメラ)の調整に少し手こずっていたのでもういいよ、十分VRの凄さを体験できたからと終わりにした。VRで、ゲームの世界は一変する。最近はスマホのゲームなんていう原始的なゲームでお茶を濁すライトユーザーが増えていたが、これでコアなゲーマーは一気にVRへ戻る。まだ体験型のVRだが、来年1月には「バイオハザードVR」が出る。バーチャル空間で逃げも隠れもできない世界でのゾンビとの戦いは考えただけでもあまりのリアリティに冷や汗が出てくる。武器はゾンビの奥にある。その横をすり抜けて行かないと倒せない。その武器は自分の手を伸ばして掴みすかさず振り向いて脳天を撃ちぬくのだ。バーチャルといいながらいわば現実空間での戦いは今までのゲームを陳腐なものにしてしまうだろう。PlayStation4はオンラインで世界中のゲーマーとタッグを組めるので、戦争ゲームもほどなく出る。完全な三次元空間での戦闘だ。味方に右と左に旋回の指令を出して敵を発見し倒す。しかし敵もチーム、どこに隠れているか分からず弾は前後左右から突然飛んでくるだろう。ドキドキ感はmax、こんな面白いゲームはあるだろうか。最初はコントローラーを振動させるぐらいだろうが、振動マットのようなものが出て、着弾の衝撃が受けられるとますますリアリティが増す。子供の頃に空き地で、銀玉鉄砲で遊んでいた自分としては、こんなゲームができる子供が羨ましい。外を走り回れないなんて可哀そう?そういう部分もあるが、一番好きだったのはコンバット・ゲームだったので、VRの圧勝だ。スーパーファミコンからの世代なので(ファミコンは後から買ったがセーブが酷いのであまりやらず)、ゲームの世界が劇的に変わったと思ったのは1996年のNINTENDO64の「スーパーマリオ64」だった。ゲームが初めて3Dなったのだ。子供達がマリオを画面の奥にひたすら自由自在に走らせているのを見て「ゲームの革命が起きた」とみんなで感激したもの。そして2016年のVRはそれ以上の革命になる。自分はもうゲームはやらないがゲームを見るのが好き。子供が幼稚園の時に肺炎で入院した時、隣のベッドの子のゲームボーイのマリオを借りて夢中になっているのを見て、退院した時に買ってあげたのが最初。あの分厚い、コントラストが悪くて明るいと良く見えない初代ゲームボーイだ。それからスーパーファミコン、1994PlayStation、セガサターン、1996NINTENDO641998年ドリームキャスト(いいゲーム機だったがセガは販売力が乏しく惜しい機種)、2000年にPlayStation2、2001年ゲームキューブ、X Box2005X Box3602006年にPlayStation3、Wii2013PlayStation4、X Box Oneで遂に2016年にPlayStationVRが出現した。携帯ゲームもゲームボーイから1998年ゲームボーイカラー、2001年ゲームボーイアドバンス、2004年ニンテンドーDSPlayStation Portable2011年ニンテンドー3DSPlayStation Vitaとまあ揃えたものだ。ハードの大半は自分が買ってきた。Wiiの時は高校生の息子2人と妻も入れた4人で真冬に2時間交代でゲーム屋の前に徹夜で並んで入手した時もあった。残念ながらWiiはそれほどの価値はなかったが(笑)ゲームの最新テクノロジーを見たい、テクノロジーの進化を見たい、その一心だ。自分は大分前からやっていないので息子2人はゲームがメチャクチャ上手い。その腕前を見ているだけで十分満足なのだ。(佐野邦彦)

2016年11月25日金曜日

☆『宇野誠一郎ソングブックⅡ』(TV AGE/UNOCD1002)


1年遅い紹介だが、宇野誠一郎の遺した膨大な楽曲から、「江草啓太と彼のグループ」による再録音の第2弾だ。2014年にⅠ,2015年にⅡ、そして今月Ⅲが出るが、Ⅲはまだ聴いていないのでⅡの紹介である。今回の収録曲は20曲。前作は「ムーミン」「ふしぎなメルモ」「長靴をはいた猫」「チロリン村とクルミの木」「さるとびエッちゃん」「一休さん」「ネコジャラ市の11人」「アンデルセン物語」「山ネズミロッキーチャック」などの主題歌・挿入歌16曲で構成されていたが、今回は20曲、「W3」「悟空の大冒険」「ひょっこりひょうたん島」「さるとびエッちゃん」「ネコジャラ市の11人」「アンデルセン物語」という有名曲だけでなく、ラジオドラマでは初期で有名な「一丁目一番地」や初音盤化の「渥美清のドン・キホーテ」の「うちのドン・キホーテ」、これも初音盤化の人形劇「大どろぼうホッツェンプロッツ」、あの「ブンとフン」の挿入歌「悪魔ソング」、少年ドラマシリーズの「暁はただ銀色」、さらに舞台曲から小学校の校歌まで幅広い選曲ながら、腕利きのミュージシャンにかかると宇野メロディーがいかに美しく、温かく、素晴らしいか思い知らされる。歌は増山江威子、熊倉一雄、宮本貞子などが担当し9曲が歌入り、11曲はインストルメンタルで、実に軽快に楽しめる。時代がまちまちだと音質に大きな差があり、またスコアしかないものなどは再演するしかないのだが、こういう素晴らしいミュージシャンの手にかかると、統一性があって実に素晴らしい。今、朝この紹介文を書いているが、BGMにこれほど爽やかなものはない。慶応出身では冨田勲、山下毅雄、小林亜星が知られているが、早稲田には宇野誠一郎、中村八大&永六輔、大滝詠一がいて一歩も引けをとらない。洒落た曲を得意とする慶応グループに対して、早稲田グループは心が開けていくような開放感のある美しい曲を得意とする。宇野さんの素晴らしい楽曲を再び蘇らせてくれる江草さん達の演奏と歌がさえるⅢも是非。(佐野邦彦)
 

 

2016年11月24日木曜日

☆Frankie Valli:『‘Tis The Seasons』(Rhino/081227943127)


フランキー・ヴァリのクリスマス・アルバムだ。なんと御年82歳!あの魅惑のハイトーン・ヴォイスはさすがにどうなのかと心配したが、まったくの杞憂、フォー・シーズンズで1962年にリリースした『The 4 Seasons Greetings』に、本作の「The Christmas Song」も入っていたので妻に両方聴かせてみたら、なんと本作の声の方が若く聴こえるというのだ。今から54年前、28歳の時より、82歳の方が若々しいという奇跡のヴォーカリスト、フランキー・ヴァリ、ソロとしては初のクリスマス・アルバムを聴いてみよう。まず紹介の前に書いておきたいのが、プロデュースがボブ・ゴーディオということだ。これだけでファンなら期待値maxである。冒頭は「Joy To The WorldDo You Hear What I Hear?」のメドレー。「Joy To The World」はダンサブルなビートに乗せて歌われるが気づかないほど自然に「Do You Hear What I Hear?」が織り込まれこちらはハーモニーが美しく素晴らしい出来栄え。特に後半でサビのようにビートをいったん消し、その後両方の曲がハーモニーで重なる美しさはボブ・ゴーディオならでは、アルバムのハイライトの1曲だ。前者は『The 4 Seasons Greetings』で「Joy To The World Medley」の最後で、ハーモニーとビートのフォー・シーズンズ・スタイルで歌われていた。この時のプロデュースはもちろんボブ・クリュー。「The Christmas Song」はピアノとストリングス(打ち込み)でしっとりと歌われ、うっとりしてしまう。『The 4 Seasons Greetings』ではアコースティック・ギターとストリングスでやはりしっとりアレンジされていた。「Winter Wonderland」はハッピーなアレンジでハーモニーが絶妙で見事。「Merry Christmas BabyFeaturing Jeff Beck)」は、唯一余り好きではない。というのはジェフ・ベックを起用したことに合わせてR&B調のアレンジにしたので、本作の中で浮いて聴こえるからだ。「Frosty The Snowman」のアレンジはまさにフィリップス、黄金時代のフォー・シーズンズの思わせるキャッチーなビートに乗せて浮き浮きしてしまう。さすがにハンドクラップではなく鈴だったが(笑)「Have Yourself A Merry Little Christmas」は打ち込みのビートで始まるが、途中からゴージャスなハーモニーに彩られ、ああフォー・シーズンズだと嬉しくなる。そしてメドレーのように「リボンの騎士」頃の冨田勲を彷彿とさせる美しいバイオリンに導かれ「Jingle Bell Rock」がスタート。数あるクリスマス・ソングの中でも最も浮き浮きさせてくれるこのナンバー、軽快なロック・ビートで仕上げている。「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」もハッピーな曲だがこちらはジャズ・タッチでアレンジだ。そして「Blue Christmas」はピアノのバッキングでしっとりと歌い上げる。中間で女性コーラスを挟んでモータウン時代のフォー・シーズンズのような重量感あるドラムの後にアレンジを変えていくのがまさにボブ・ゴーディオのセンスそのもの、アルバムのハイライトのひとつ。「What Are You Doing New Year’s Eve」は軽快なビートの佳曲。「White Christmas」はアコースティック・ギターのリフに乗せてしっとりと歌う。バッキングの一部のように溶け込んでいるハーモニーのセンスが素晴らしい。『The 4 Seasons Greetings』ではバック・コーラスが対位法で重なった高度なアレンジでこれも忘れられない。「O Come All Ye FaithfullAngels We Have Heard On High」は最も讃美歌風の曲なので、逆にビートを付けてメドレーにしている。「Angels We Have Heard On High」と書くと何の曲か分かりづらいがあの「Gloria」、知らない人などいない有名な讃美歌だ。『The 4 Seasons Greetings』では「The Excelsis Deo Medley」の一部で逆の「The Excelsis Deo= Angels We Have Heard On High)」~「O Come All Ye Faithfull」の順で讃美歌風に歌われた。ちなみに私の通っていた幼稚園はキリスト教の幼稚園だったので、コーラス部分はラテン語で「グローリア イン エクセルシス デオ」と歌っていたのを思い出した。もう一曲、冒頭の「Joy To The World」もよく覚えていて、「もろびとこぞりて」のタイトルだったが幼稚園児には「モロビトコゾリテ…シュワキマセリ」もラテン語みたいなものだった。ラストは「We Wish You A Merry Christmas」は子供達のコーラスから始まるのでしっとりと讃美歌風と思いきや、ビートに乗せて転調を繰り返すなどやはりボブ・ゴーディオ。全曲、フランキー・ヴァリの美しいハイ・トーン・ヴォイスと、ボブ・ゴーディオの巧みなアレンジで綴られた快作である。今年のクリスマスはこのアルバムで是非。『Phil Spector:A Christmas Gift For You』『The Beach Boys' Christmas Album』『The Ventures' Christmas Album』という名作と是非一緒に。(佐野邦彦)
 

2016年11月20日日曜日

☆Who:『My Generation(Super Deluxe Edition)』(Polydor/5372740)5CD


さあいよいよフーの『My Generation』のSuper Deluxe Editionだ。CD5枚組、これでコンプリートが期待できるかも。なにしろ『My Generation』はステレオ化が始まってからでも2002年の『Deluxe Edition』と『Collectors Edition』、そしてパートが不足した部分を完全化した2014年のiTunesのみの配信があったので、今回のBOXで細大漏らさず入ったと期待値はmax。ラインナップを見るとiTunes配信のCD化を除いても15曲の未発表トラックに9曲のデモ、その中には大好きな『Sell Out』の「Sunrise」のデモ(なんと64!)もあるというのだからもう待ちきれない。さて結果は。買う価値は十分。絶対購入すべき。でもFull Lengthと書いてあってFade Outだったり、完奏があるのに入れなかったり、Deluxe Edition等にあるのに落としたり、納得いかないものもあり、結局は前述の盤はひとつも処分できないのでご注意を。ではまずメリットから順に紹介。ディスク1はオリジナル盤のモノなのでパス。

ディスク2はオリジナル盤のステレオ。Deluxe Editionでの問題点はiTunes版『My GenerationStereo)』で改善されていたので、以下の部分がiTunes版のとおりになり、初CD化となる。「My Generation」の1分後の欠落していたカウンターのギターが入り、リード・ヴォーカルがシングル・トラックになっていた「La-La-La Lie」「The Kids Are Alright」「The Good’s Gone」はダブル・トラックに戻る。「A Legal Matter」も欠落していた43秒、27秒のリード・ギターのリフが復活した。「Im A Man」は大きすぎたパーカッションを抑えてミックス、「The Ox」はバカでかいリード・ギターをセーブし聴きやすくなったが前のステレオより6秒短く、ファイドアウトになった。Deluxe Editionでは完奏していたのに、オリジナルがそうだしiTunes版通りとはいえ、それならFull Length版としてディスク4にも入れるべきだった。

 ディスク3は同時期のモノ作品を集めたもの。12曲目まではオリジナルと同じとあるが「Instant Party Mixture」はiTunesの『My GenerationMono)』で初登場したものでリード・ギターがやや大きく、エンディングのアドリブのギターなど5秒長い。「Circles」は『My GenerationCollector’s Edition)』で初めて登場した「Circles(Alternate Version)」の方で、通常のモノはずっとジョンのホルンが全面で鳴っているが、こちらはやや控えめで一緒に入っているコーラスも聴こえる。続くフランス盤EP(トップは「I Cant Explain」)のみ収録の、リード・ヴォーカルのメロディ・ラインが違う「Anyway Anyhow AnywhereFrench EP Version)」は、オリジナル・モノは初CD化。このEPは€200くらいするレア盤なので今回の目玉のひとつ。ただ残念なのはカウンター・コーラスが欠落したステレオが『My Generation: Collector's Edition』にAlternate Versionとして入っていたのにカットされていて非常に残念だ。付け加えておくとDeluxe Editionのア・カペラの「Anytime You Want MeA Cappella)」もカットされている。「Out In The Street (Alternative Guitar Break Version)」は134秒からのリード・ギターがスウィッチングなど使わず全く違うコードを弾く。「Out In The Street (Alternative Early Vocal Version)」はバック・コーラスが無い。続いてDeluxe Editionで、ステレオで収録済みだがモノは初なのがまず1分38秒長い「I Dont Mind(Full Length Version)」と30秒長い「The Goods Gone(Full Length Version) 」で自然終止するまで入っている。「My Generation (Alternative Version)」は5秒のスタジオ・チャットが入り、13秒からのリード・ギターは欠落、最後にキースの激しいドラムに部分に単音のリード・ギターが加わっている。「I'm A Man (Version 2 / Early Vocal Version)」は中盤の歌詞stand up in a big longlineのあとの57秒からの歌詞が違い、15秒で歌をやめてしまい、115秒までの絶叫するI tell you baby you did nothin wrongの歌が無く、歌の最後で盛り上がる部分で歌うTell all you women Dont do me no wrong Now Im a manの歌もまったく無い。「Daddy Rolling Stone (Alternative Take)」はイントロが長く、バック・コーラスが無く、58秒からのカウンター・コーラス部分にリード・ギターが入るなどギターパートが全く違い、さらに完奏するのでオリジナル・モノより20秒長い。「Lubie (Come Back Home) (Alternative Mix)」はギターがクリアにミックスされている。「Shout And Shimmy (Alternative Mix)」はカウンターのコーラスが欠落している。「Circles (Alternative Mix)」は6秒スタジオ・チャットが入り、ホーンが本ボックスには収録されなかった通常モノよりホルンがさらに大きくにフィーチャーされ、曲のメインのように鳴り続ける。ちなみにシングルの「Circles(Instant Party)」ははるかにスピードが速く、演奏からまったく違いロック色が強い。曲も約1分早く終わる。

ディスク4は同時期のステレオ集。17曲目までは既発表とあるが補足説明がかなり必要だ。一番問題は「The Good's Gone (Full Length Version)」。ヴォーカルがダブル・トラックになったもののDeluxe Editionでは同じステレオで完奏するのになぜかフェイドアウトしてしまう。よって5秒短い。これは最大のミスだろう。Deluxe Editionから改善されたのは「I Cant Explain」に欠落していたタンバリンが入った。中間のハーモニカがデカすぎる「Bald Headed Woman」は普通の音量になり長さはモノより22秒長いまま。「Daddy Rolling Stone」はカウンターで入るリード・ギターがはっきり聴こえるようにミックスされた。144秒でモノにはない「ワー」のコーラスが入り、148秒から26秒までのカウンターのコーラスが欠落するのはDeluxe Editionと同じだが微かに聴こえる部分もある。「Daddy Rolling Stone (Alternative Version)」はディスク3の同タイトルのStereo Versionだが頭に2秒スタジオ・チャット入り。「Leaving Here」はディスク3や『Whos Missing』のステレオ・ヴァージョンと違って127秒後の間奏のギターのカウンターの「アー」のコーラスが入っていない。「Motoring」はリズムギターがクリアに聴こえるようにミックスを変えた。「Anyway Anyhow Anywhere」はこれしか書いていないが、これはディスク3French EP Versionのステレオで、Deluxe Editionと同じもの。きちんとクレジットしないとダメだ。初登場は「CirclesNew Mix)」で、Deluxe Editionではイントロ以外ジョンのホルンが欠落し、リード・ヴォーカルがシングル・トラックだったが、ここではダブル・トラックになってジョンのホルンが全面にフィーチャーされた。ただし、iTunes版の「Circles(Stereo)」はホルンがもっと控えめで、こちらは未CD化のまま。「Daddy Rolling Stone (Alternate Take B.)」はtwoのカウントからスタート、「Daddy Rolling Stone (Alternative Version)」は1分の時に通常ならカウンター・コーラスの部分にギターを入れていたが、このテイクではそれがなく自然であり、エンディングは終止するがきちんとした終わり方ではなく終わる。「Out In The Street (Alternate Take 2)」は134秒でリード・ギターがスイッチングなどしないでコードを弾くヴァージョン。「I'm A Man (Alternate Version)」はディスク3の「I'm A Man (Version 2 / Early Vocal Version)」とまったく同じで前半の歌が短く、最後の歌が無い。

ディスク5は1曲を除き1965年のピート・タウンゼンドのデモである。トップの「My Generation (Version 3 )」は1982年の書籍「Maximum R&B」に封入されていたソノシートで、エコーがビンビンなるデモ、これでしか聴けなかったので朗報だ。四角のソノシートで針を落とすのが大変だったからだ。「My Generation (Version 2 )」はハンドクラップも入ってより完成したデモ。「The Girls I Could've Had 」はまるでボイス&ハートが書きそうな軽快なロックンロール・ナンバーだ。「Its Not True」「A Legal Matter」「Much Too Much」のアルバム収録曲は非常に完成度が高くまさにもうフーのヴァージョンが出来上がっている。デビュー期からピートはここまで作っていたのだ。「As Children We Grew」は、洒落た感じの曲だが、もうひとひねりピートはしたかったのだろう。これも初めて聴く。そして個人的に本ボックスの目玉、「SunriseVersion 1)」だ。フーの1967年の傑作アルバム『The Who Sell Out』の中でもひと際輝くピートの弾き語りの美しいアコースティック・ナンバーだが、この曲はなんと1964年に書いていて、ピートの最も早いデモだという。ジャズ・コードを知らなければ書けない洒落たコード進行とギタリストとしての上手さ、そして類まれな美しいメロディ・ライン、まだフーとしてデビューする前にこれだけ高度な曲を書いていたことにピートの底知れぬ才能の凄さを思い知らされた。「My Own Love」は牧歌的でキャッチーなナンバーで、お蔵入りにしていたのが惜しいナンバー。もう1曲は『Scoop』収録曲、この10曲だけでもこのボックスを買う価値がある。最後にCDの入っているブックレットの写真は見ているだけでこの時代のイギリスを感じられるので、それも楽しみに。(佐野邦彦)