2017年10月14日土曜日

ウィキペディアの間違い情報発見!甲本ヒロトの1996年の参加CDだが、そのコピペが流布され、間違いが全体に広がっている。ここで正しい参加CDを紹介しよう。曲はあの「The Weight」


先の729日に更新した「Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第2回ソロの真島昌利と甲本ヒロト」だが、ウィキペディアを見てみたら、自分が作った参加作品リストより抜けが多くスカスカの内容だったが、逆に持っていないCDが数点あり、さっそくamazonとヤフオクに注文をかけて聴いてみた。自分は自分の耳で聴いてみないと信用しないので、その中の1枚で、1996年リリースのライブ盤『Lightning Blues Guitar Live Lightning Vol.2』(発売元江戸屋レコード・販売元BMGビクター/EDCR20003)の「The Weight」に甲本ヒロト参加とあるのでまずは、多数参加のライブ盤なのでライナーにあたる部分にヒロトの名前を捜したが、最後のSpecial thanks toまで一切のクレジットが見られなかった。そこで曲を聴けばバックコーラスでもヒロトの声は分かるので、再生してみる。CD上のクレジットは「The Weight-石田長生,西慎嗣,仲井戸“CHABO”麗市,CHAR」でやはりヒロトの名前はなく、3回聴いたがまったくヒロトの声はなかった。そこで同じ1996年のザ・バンドのカバーの「The Weight」が入ったCDを調べると、石田長生の『Juke Box』(Meldac/MECR25043)に「The Weight」があり、そこでヒロトがリード・ヴォーカルを取っていると書いてある記事を見つけ、amazonに注文して今日届いたので聴いてみたらこのCDが該当品だったのだ!1、2、5番を石田長生、3番を三宅伸治、4番を甲本ヒロトが歌っていて、5番では高いパートで藤井裕も参加していた。ヒロトはいつものパワフルなヴォーカルで最高。<br />

どちらにも石田長生が入っているので勘違いした人が確認無しにこの護情報を載せ(おまけに古いCDなので位置が目立つトップ)、他のサイトはこのウィキペディアを丸ごとコピペするので、間違った情報だらけが広まった。ウィキは便利で自分も良く見るけど、確認作業を行わないと怖いので、丸ごとコピペはやめよう。なお、この修正後の729日に更新した「Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第2回ソロの真島昌利と甲本ヒロト」はその日の管理で中身だけを修正、ついでに727日に更新した「Favorite Musician 全音源コレクティング邦楽編第1THE BLUE HEARTSTHE HIGH-LOWS~ザ・クロマニヨンズ」には、他のアーティストには入れたアルバム・シングルのオリコン・チャートが抜けていたのに気づいたので記入したので是非、再度ご覧いただきたい。ブルーハーツからクロマニヨンズの最新アルバムまで25枚連続アルバムがトップ10入りしているのには驚いた。さすがだね。(佐野邦彦)

与論島では本名で呼び合わず、生まれた時に父方・母方の祖父母から自動的にもらったヤーナー(童名)でずっと呼び合う。役場の職員もヤーナーで。素敵な習俗だ。


与論島には素晴らしい文化があるので紹介しよう。沖縄本島ではヤーナー(童名)は名付けられても使い道がなく廃れているが、与論島では本名は呼ばずにみな大人になってもヤーナー(童名)で呼ぶのが当たり前、長男・長女だったら父方の祖父・祖母のヤーナーをそのまま、二男・二女だったら母方の祖父・祖母のヤーナーをそのままもらって、家族はそのヤーナーでしか呼ばない。友人・知人もだ。だから家族が多ければ同じヤーナーが何人も被るのだがそんなのは関係ない。先祖のヤーナーの誇りを抱いているので愛着がある。幼稚園でも本名とヤーナーは必ず一緒に書かれていて幼児はみな自分の名前は二つあると知っている。インタビューアーが「おじさんには名前がひとつしかない」と言ったら幼稚園児にみな驚かれていた。さらに驚いたことに与論町役場の上司まで職員はヤーナーの「ジャーヤカさん」と呼んでいて、インタビューアーがこの方の本名は?と聞いたら誰も答えられなかった。役場の中の話であるから特に凄い。沖縄の風習でこのヤーナーが最も好き。ちなみに与論は沖縄本島から22㎞ですぐ近くても鹿児島県。でも琉球文化圏だ。これらはNHKの番組「日本人のお名前っ」で紹介された。

次の「屋号」は①同じ苗字の家ばかりなので、昔、その家の特徴で決められた。赤い木が生えたいたから「赤木」のように。苗字はみな同じなので例えばサトウキビの刈順の表は屋号で掲載され、屋号の方が大事という。②苗字は別々でも先代の職業が屋号になる集落もある。同じブリキ屋でも鎌や鍬を作っていれば「カンザイクヌヤー」、ジョロとか作っていれば「ブリキーヤ」というように。③先祖の宗教儀式の「神人」での役割で屋号が決まっている集落がある。ひしゃくで水をあげる人はひしゃくを意味する「ニブヤー」となり、今でも役目はあり先祖の誇りを感じるとか。

沖縄で最も定着しているのは「門中」だろう。昔、中国との交易で中国風の名前が必要だったので「唐名(からな)」を決めたという。例えば「麻」のように。苗字はバラバラでも「麻」の門中の一族で結束は非常に硬い。漁師の町で知られる糸満で、沖縄伝統の船の競争のハーレーは門中単位で行われるので門中ごと同じTシャツを着て一体感を深めていた。門中とは「始祖と同じとする父方の血族一縁」を言うのだ。この番組とは別に、宮古島と橋でつながる池間島では3つの「ムトウ」と呼ばれる門中があり、島の人間はこの3つのどれかに属しているという。自分が読んだ記憶では60歳になった男性は、それぞれの「ムトウ」の集会所というか家があり、そこで長期間共同生活を送り、女性は食べ物を届けるだけで、同じ門中の仲間どうしで親交を深めるのだそうだ。しかし今は池間島も移住者が増え、移住者のための4つ目のムトウができたのだとか。新参者は先祖伝来のムトウには決して入れないという伝統が伝わってくる。しかしこのある意味厳しい門中だが、糸満の門中はこのハーリーの集まりで、同じ門中の遥か年上のおじーなどと交流が出来て、つながりは家族だけでないと実感できてとても嬉しいと語っていた。

このようにとても祖先を大事にする沖縄では、結婚式も葬式も数百人単位、そして家の位牌であるトートーメーを守るのは長男と決まっていて、長男は他の子より昔から特別扱いを受ける。今は法律があるので遺産分割できるが、古代より「長男総取り文化」が続き、長男が親の面倒を見て墓守もするからということでみな許容してきた。ただ長男はトートーメーがあるので沖縄から離れることはできないなど、制約を受け自由がない。いい事も悪い事もあるので、沖縄の習俗が羨ましいとは言えないだろう。でも自分は「家」への帰属意識は失うべきではないと思うし、これからの少子化に合わせて、実家の二子玉川にあるお墓には弟一家も入れるように訪ねお寺には問題ないと言われ弟に伝えてある。(弟の家は娘1人だ)もちろん自分の息子二人も共同で使う。長男だけで使う墓などいずれ継承が困難になるのは必須。祖父は自分が墓を作った時は瀬田の高台にあるので多摩川が見え、それで決めたと聞いたけど、今は建物がたくさん建って多摩川は見えないなあ。多摩川の花火大会は見えるけど、夜お寺には入れないから、すぐ近くの玉川教会の敷地内で見たけど、蚊に刺されまくってそれ以来行っていない。10mくらい手前に巨人の藤田監督のお墓と、その隣に主がいない原前監督のお墓がある。よっぽと慕っているんだねえ。(佐野邦彦)

☆竹迫倫太郎:『UNION』(K&T/KTRE2001)12月6日発売予定


Facebookでもお馴染みの竹迫倫太郎さんが、2015年から1年のロンドン生活を経て、満を持して本作、『Union』が126日にK&Tレコードより発売される。「マスター・オブ・シティポップ」と呼ばれる竹迫さん、ご存知と思うが医師である。抗インフルエンザ薬のタミフルの原料の「八角」を栽培し、いつか来る危険なパンデミックのためのジェネリック薬品の準備と合わせ、政治・経済的に不安定なミャンマーの復興支援のための「八角平和計画」を歌にした「すべては愛のために(Theme Of S.A.P.P)」も収録して完成させた。ご本人も今までの最高傑作というだけあり、全10曲、高いクオリティの曲ばかりで驚かされた。ご本人は今までBeach BoysBrian Wilsonの影響を受けた曲が多かったが、今回はイギリスでの一年間の生活も含め、音楽を始めるきっかけとなったPaul McCartneyを意識して音楽原点のひとつであるブリティッシュ・ロックを意識したアルバムを作ったという。まさにPaulBrian、自分も含め、多くのロックファン(ポップファンとは言わない。「ロック至上主義者」の罠にはまるから。ロックが上でポップが下、ロックでも○○ロックとか勝手な見下したネーミングを付けるヘンなのと一緒になってはいけない)の最も好きな組み合わせで、どちらも意識してサウンド作りをしてくれることは嬉しい。ここで11曲、どこが何の影響で…などという聴き方は逆に全体に制約をかけてしまうので良く無い。だからアルバム全体を聴いたトータルな感想を書かせてもらいたい。曲はみなポップでメリハリがあり、日本的なウェットな感覚は感じらないのがいい。コーラスは全曲に非常に精緻に付けられていて、「Brian風」というものではなく、Brian Wilsonのようなハーモニーの技術でセンス良く曲にハーモニーが施されていた。リード・ヴォーカルは、あくまでも個人的感想だが、クセのまったくない桑田佳祐と言う感じでなかなかいいがどうだろうか。何よりも本作は竹迫さんが狙ったブリティッシュ・ロックへアプローチした曲作りだ。ビートルズ風のコードや歌のこぶしなど直接的なものはない。ただ、冒頭の「SUNDANCE」ようにアコースティックのパワフルなコードにギターが入るとブリティッシュの色が強く立ち上る。カッコいい曲だ。また「すべては愛のために (Theme Of S.A.P.P)」もただ歯切れがよくポップなだけではなく、ギターをリフ風に弾くなど細かいこだわりを見せてくれる。他の曲でPaul McCartney的なアプローチを感じるのは「星堕つ時代を越えて」ぐらいで、それよりもギターの音圧や音色が明瞭で力強く、メリハリの効いたキーボードのバッキング、いくつも織り込まれた様々なパーカッション、鉄琴など、従来のサウンドからブリティッシュも超えた竹迫ワールドが完成されている。シングルカットされる「Master Of Xmas」は、さらにアレンジ、コーラスが凝っていて、歌声と合わせて山下達郎が歌っているように聴こえたがどうだろうか。ご本人が最もBrian Wilson色が出ているという「Humoresque ~父と子の絆~」は最もコーラスワークが聴きものになっているが、間奏で一瞬弾かれる「雨雨降れ降れ」を入れるセンスもさすがだ。(佐野邦彦)

2017年10月9日月曜日

☆Favorite Musician全音源コレクティング邦楽編第12回:L-R


1991年にレコード・デビューしたL-Rは、グループのほとんどの曲を書きリードヴォーカルも担当していた黒沢健一、その弟の黒沢秀樹、ベースの木下裕晴の3人がメンバーで、92年から2年間、嶺川貴子がキーボードで参加していた時期をはさみ、97年までに9枚のアルバム、13枚のシングルを残して、正式ではないが事実上解散している。
メンバーはそれぞれその後、ソロ活動をはじめ、旧メンバーどうしのユニットもあったが、音楽的中心である天才、黒沢健一は2016年に病気のため僅か48歳で他界してしまった。そのためL-Rは永遠にもう再結成することはない。

デビューのミニアルバム『L』は9111月にリリースされた。冒頭の「Bye Bye Popsicle」で度肝を抜かれた。小手先だけのバンドが多い中、これだけ力強くポップなチューンで、中間部のオルガンの遊びの高度なセンスなど、いったい彼らは何者と驚くばかりだった。この曲は健一、秀樹兄弟の共作で、デビューシングルB面に配された。(A面は次作の「Lazy Day」)そして全編ファルセットの幻想的な「Love Is Real」を聴き、L-Rの音楽は黒沢健一という優れたミュージシャンでシンガーが生み出したものと分かった。
924月にすぐにフル・アルバム『Lefty In The Right~左利きの真実』がリリースされる。3曲は『L』から引っ張ってきたが、冒頭の「Lazy Girl」の冒頭のフィリップス時代のフォー・シーズンズのような雷鳴のようなドラムからスタート、曲は遊び心たっぷりで、ファルセットのハーモニーも素晴らしく聴き込んでいたら次の曲へのつなぎが、私がフーのアルバムでも3本の指に入るほど好きな『Sell Out』の曲のつなぎにつかった~wonderful radio London~が出てきて、もう泣けた。このポップセンスはまったく自分の好みと同じ、いやこれから自分でソフトロックと名付けていった音楽をいち早く送り出していたのだ。そして山下達郎、大滝詠一という我々も最も好きな日本のミュージシャンを目指すというだけあってア・カペラで「With Lots Of Love Signed All Of Us」を残すなど、意欲的である。
そして9211月はサードのフル・アルバム『Laugh+Rough』をリリース、冒頭の「Laugh So Rough」は持ち前の完璧なハーモニーを生かして、ホリーズのようなアコギでスタートした「Laugh So Rough」でまたやるなと心を掴まされる。続く「Younger Than Yesterday」は、また明快なポップ・ナンバーで、ファルセットのリードも素晴らしい。
Rights And Dues」はその流暢な英語と凝りに凝ったメロディ、ハーモニーで日本のレコードに見えないくらい。ただ私はポップな曲が好きなのでやはりセカンドシングルになった「(I WannaBe With You」がポップでハーモニーに溢れ爽快そのもの、ラストを飾るに相応しい。
なおこのアルバムから2年、女性メンバーの嶺川貴子が加わっている。936月にリリースした『Lost Rarities』は『L』に未発表曲をプラスした11曲仕様で、大滝のナイアガラの影響か、イントロの曲は英語のジングルで、その後に黒沢秀樹作のキャッチーな快作「Tumbling Down恋のタンブリングダウン」で、秀樹のベスト作品が登場する。この曲はL-Rのシングルで唯一の黒沢健一ではないA面曲だ。
以降は次の曲間に必ず20秒くらいの英語での様々なパターンのジングルが入る。英語なので大滝のナイアガラ時代よりセンスが上。自分は黒沢のポップな曲な大好きなので、アルバムにはロックナンバーも多くあるのだがそれは飛ばさせてもらい、アルバムのハイライトの「Raindrop Traces君に虹が降りた」の登場だ。この流麗なメロディとオシャレな感覚は、黒沢健一のセンスの凄さが溢れる傑作。中間のオルガンの間奏のアレンジが牧歌的でいいスパイスになっていてセンスがいつもいい。
9312月に時間を置いて2枚組の大作『Land Of Riches』をリリース、2曲目の「Now That Summer’s Is Here-君と僕と夏のブルージーン」はビーチボーイズ風と言われるが、曲自体はL-Rの曲の中でも最上級のポップチューンであり、ビーチボーイズ風は間奏での遊びのみであり、『Pet Sounds』風のベースとキーボードからみと「Good Vibrations」をワンフレーズ入れただけなのにそう書いてしまうライターが低レベル。4枚目のシングルとしてカットされている。
「American Dance」はジャズタッチのポップチューンでアルバム曲ではもったいない。ミディアムのバラードの「Rad & Blue」は、黒沢のヴォーカルの上手さが際立つ。メロディもいいし、聴き惚れた。

ディスク2では「Equinox」が素晴らしいゴージャスなバラードに仕上がっているなとうっとり聴いていたらオーケストラアレンジがDavid Campbellだった。
アコギをバンドのビートサウンドへの乗せ方が巧みだった「Telephone Craze」もいい出来だ。作曲は黒沢健一と木下裕晴の共作。このアルバムで嶺川は脱退し、L-Rはデビュー時の男3人に戻る。
9410月にリリースされた『Lack Of Reason』はやはり5枚目のシングルとしてヒットした「Remember」が、L-Rマジックというか、黒沢健一マジックというか、ビートが効いていてこれほどキャッチーというのが本当に見事。そして個人的な好みなのがギターのリフがカッコいい「It’s Only Love Song」。ハーモニーもいいし、もっともリフを生かしたアレンジにすればさらに良かったが…。健一&秀樹兄弟の共作だ。エンディングはビートルズお得意のコードで締める。
アップビートで快調な「Seventeen」もアルバム曲として気分よく聴けるが、間奏がオルガンが少しダサい。ラストは大ヒットした6枚目のシングル「Hello It’s Me」で、明快でポジティブなメロディ、メリハリが付いたサウンドと、L-Rの王道シングルで文句なし。9512月にリリースされた『Let Me Roll It』は、7枚目のシングルでなんとミリオンセラーを記録した「Knockin’ On Your Door」がやはり素晴らしい。キャッチー、パワフルなシングル用L-Rサウンドに、バックにリフが潜んでいたり、雷鳴のようなドラムを入れたり、総集編のような曲だ。このアルバムは11曲中、黒沢秀樹の単独作が1曲、木下裕晴の単独作が2曲収録される。しかし実際には黒沢健一の曲がその他3枚シングルカットされた。
8枚目のシングル「Bye」は歯切れのいいビートに載せたポップチューンでシングルとしては合格、9枚目のシングル「Day By Day」はアコースティック感を生かしたサウンドに、サビで厚くキャッチーに盛り上がっていく構成が良く、アソシエイション風のコーラスを織り込んだりさすが。10枚目のシングル「Game」は、最もキャッチーなサビを頭に持ってきた構成が良く、これも合格点と、ポップで質の高い黒沢健一のナンバーが並んだ。
974月リリースの『Doubt』は12曲中、黒沢秀樹が2曲、木下裕晴が3曲作曲し、黒沢健一の曲は6曲となる。他の2人の曲作りの能力はアップしたものの、黒沢健一のレベルにはやはり遠く及ばず、11枚目のシングルは健一の「Nice To Meet You」で、インド音楽の楽器のようなギターを使いながらポップな曲で快調そのもの、12枚目のシングルも健一の「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」で、今までのL-Rのシングルと違ってビートが強く歌もR&B調だった。
13枚目のラストシングル「Stand」は、ポップなビート・ナンバーで、サビスタートのイントロの後のAメロの展開とパーカッションの使い方が面白い。この曲は前作よりよりシングル向け。
結局、この最後のアルバム2枚は他のメンバーの曲の比率が大きく増したがシングルは7枚全て黒沢健一で、アルバム曲でも、いいフックがあっていいなと思った「First Step」やトロピカルな異色作で面白いなと思った「Couch」は黒沢健一の曲で、L-Rの音楽的中心は変わらないということを逆に証明してしまった。
7年間の活動だが、これだけのクオリティの楽曲を作り続けた日本のバンドは例を見ない。今になってその思いはさらに強くなった。
(佐野邦彦)
LR


☆オリジナル・アルバム

1991  L』※5曲入りミニアルバム

1992 『Lefty In The Right』(ポリスター)84

1992  Laugh+Rough』(ポリスター)※嶺川含むメンバー4人。97

1993 『Lost Rarities』(ポリスター)54

1993 『Land Of Riches』(ポリスター)※嶺川含むメンバー4人。47

1994 『Land Of Riches Reverse』※前作のアウトテイク「Telephone Craze」「Equinox」「Red Blue」「Land Of Riches-2」の4曲のみ。※嶺川含むメンバー4人(ポリスター)

1994 『Lack Of Reason(ポニーキャニオン)14

1995 『Let Me Roll It(ポニーキャニオン)5

1997 『Doubt(ポニーキャニオン)9

1997 『Live Recordings 1994-1997』※4枚組のライブ(ポニーキャニオン)


☆必要なコンピレーション

1994 『Singles & More(ポニーキャニオン)※「Laugh So Rough」は『Laugh+Rough』収録のものに比べ歌が始まる前のドラムの2拍がない。「Younger Than Yesterday」は『Laugh+Rough』収録のものは前の曲の「Laugh So Rough」のエンディングがイントロと被るようにつながっていたため、0.5秒くらいイントロが長い。そしてバッキングのドラムの大きくミックスされ、特に後半はかなり曲にメリハリが出ている。40

1995 『四姉妹物語』(ポニーキャニオン)※同名映画のOSTL-R4曲参加。L-Rの「Dream On」はこれのみ。「Hello It’s MePiano Version)」も収録され、ピアノはMasahiro Hayashiでクレジットされている。ちなみに「Hello It’s Me」はSingle Versionで収録されている。

1997 『L+R』(プロモ盤『R』(「Lazy Girl」「Motion Picture」「7Voice」「I Love To Jam」「With Lots Of Love Signed All Of Love」「Dounuts Dreams」)とセット。初回限定盤には「Paperback Writer」「Both Sides Now」のCDシングル付でリリースした。ビートルズのカバー「Paperback Writer」は他では聴けない。「Both Sides Now」は4枚目のシングル「君と夏と僕のブルージーン」に収録)

1997 『Singles & More Vol.2(ポニーキャニオン)※「Knockin’ On Your DoorSingle Version)」は17秒から33秒までのホーンのミックスが大きい。「ByeSingle Version)」はイントロのギター、エンディングのピアノが大きく間奏のオルガンが小さい。「Day By DaySingle Version)」は1分から15秒くらいの間のオルガンがほとんど聴こえない。「GameSingle Version)」はギターが大きくミックスされているがアルバムより11秒短い。「Nice To Meet YouSingle Version)」は歌のAメロなど電気処理したようなミックス。その他「DaysAlternate Mix)」「僕は電話をかけない(Alternate Mix)」収録。なお「Hello It’s M」はAlbum Versionだった。

2012  Who Is The Stars? Wits+Z Compilation Vol.2-20th Anniversary Edition(ウルトラ・ヴァイヴ)93年のライブ6曲収録


☆必要なシングル ※重要なのは★の14

1992 ★「Bye Bye Popsicle[Version]Single Version)」※最後が『Lefty In The Right』収録のものと同じエンディングがシンフォニックなアレンジのヴァージョンだが、ドラムが『Lefty In The Right』は左なのに比べ、シングルは右。そして15秒から21秒までの間奏のドラムが僅かに大きくミックスされた。(ポリスター)

1992 ★「Passin’ ThroughSingle Version)」※314秒以降のエンディング部分はこのシングルのみ。A面の「(I WannaBe With You」は222秒から53秒までと、310秒から33秒までをEditしたSingle Version。(ポリスター)

1993 「恋のタンブリングダウン」のシングル:「恋のタンブリングダウン(Edit)」※『Lost Rarities』よりフェイドアウトが16秒短く、その後、間をおいての24秒のジングルがない。「君に虹が降りた(Edit)」※『Lost Rarities』でのフェイドアウト後、間をおいての14秒のジングルがない。★「恋のタンブリングダウン(Reprise)」は1分の後の「素直になれたなら君のそばに届く笑顔を見せておくれ」の歌詞の部分はこのシングルのみ(ポリスター)

1994 ★「夜を撃ちぬこう」※アルバム未収録。A面は「Remember(ポリスター)

1994 ★「Hyper Belly Dance」★「Hello It’s MeInstrumental Version)」※2曲ともアルバム未収録。A面は「Hello It’s MeSingle Version)」で2017年版『Lack Of Reason』にもボーナス収録。シングルは『Lack Of Reason』収録のものに比べヴォーカルにエコーがかかっておらず310秒から30秒弱く続くシンバルが小さくミックスされている。(ポリスター)

1995 ★「Music Jamboree ‘95」※アルバム未収録。★「It's Only A Love Song」は『Lack Of Reason』収録のものと比べ曲が終わった後に8秒、アナログのプツンプツンという針音が加えられている。A面は「Knockin’ On Your DoorSingle Version)」で『Singles & More Vol.2』にもボーナス収録。(ポニーキャニオン)

1995 ★「Chinese Surfin‘」※アルバム未収録。A面は「ByeSingle Version)」で『Singles & More Vol.2』にもボーナス収録。(ポニーキャニオン)

1995 ★「Cowlick(Bad Hair Day)」※アルバム未収録。A面は「Day By DaySingle Version)」で『Singles & More Vol.2』にもボーナス収録。(ポニーキャニオン)

1996 ★「Good Morning Tonight」※アルバム未収録。A面は「GameSingle Version)」で『Singles & More Vol.2』にもボーナス収録。(ポニーキャニオン)

1996 ★「Game(Live Version)」※1994年のライブでアルバム未収録。A面は「Nice To Meet You」の5インチシングルに収録。「Nice To Meet YouSingle Version)」は『Singles & More Vol.2』にもボーナス収録。(ポニーキャニオン)

1997 ★「そんな気分じゃない ("JAM TASTE" Version)」※『Doubt』収録のものとはまったくの別ヴァージョン。演奏もアレンジも別物で、例えば間奏がブルースハープではなくボトルネックギターであったり、アルバムのヴァージョンは完奏するがこちらは37秒短くフェイドアウトする。

1997 ★「Stranded(Single Version)」※『Doubt』収録のものは冒頭9秒間にスタジオチャット的なギターが聴こえたがシングルではそれがなく、シングルのエンディングは逆に演奏が3秒長いが、パッと終わる演奏の後のカセットのスイッチを切るような音がカットされている。そしてシングルのみ312秒から32秒までのギターにジェットマシーンのようなシュワシュワした音がかかっている。A面は「Stand」。(ポニーキャニオン)


参考チャート・イン・シングル

94 Remember 42位、Hello It’s Me 10位、95 Knockin’ On Your Door 1位、Bye 6位、Day By Day 15位、96 Game 10位、Nice To Meet You 14位、97 Stand 26


●参考:サンプル盤のみ

1992 『Rough And Rough』(ポリスター)※「What "P" Sez?Long Version)」「Laugh So RoughRough Version)」

1993 『Land Of Riches Edit Sampler』(ポリスター)※「Both Sides Now(Long Version)」「Telephone Craze(Alternate Mix)

1994 『Listen To The Disc(ポニーキャニオン) ※『Lack Of Reason』より。「Easy Answers(Out Take)」「It’s Only A Love Song(Out Take)

1995 『Hello It’s Me Rare Tracks(ポニーキャニオン)※グリコの抽選でもらえる『四姉妹物語映画先取り缶』に入っていたCD。「Hello It’s Me(Strings Version)」「Hello It’s Me(Alternate Piano Version)」「Making Of Hello It’s Me(ナレーション入りだがDemo Track)

1997 『Doubt Promotion Sampler(ポニーキャニオン)※「僕は君から離れてくだけ(Alternate Version)」「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック(Alternate Mix)」「そんな気分じゃない(Alternate Mix)」


(作成:佐野邦彦)


2017年10月1日日曜日

ウワノソラ:『陽だまり』(UWAN-003)

2014年にバンド名をタイトルにしたファースト・アルバムでインディーズ・デビューしたウワノソラが、満を持してセカンド・アルバム『陽だまり』を10月11日にリリースする。
サイド・プロジェクトとしては、15年6月にいえもとめぐみと角谷博栄が"ウワノソラ'67"として『Portrait in Rock'n'Roll』、今年5月には桶田知道がソロ・アルバム『丁酉目録』をそれぞれリリースしていたが、バンド本体のニュー・アルバムを待ち望んでいた、ポップ・ファンも多かったと思う。

ミュージックビデオ「チャンネルNo.1」(『丁酉目録』収録)のレビューでも触れたが、桶田が今年の7月末日をもってバンドを脱退し、角谷といえもとの二人だけになってしまったのは残念であるが、基本的なサウンド・アプローチやスタイルに違いは感じられない。
それはプロデュースからアレンジ、エンジニアリングまでを担当する角谷がこのバンドの柱だったからだろう。
いえもとは初の試みとして、角谷と共作で「ときめきのブルー」の作詞に挑戦しており、今後も作詞面でも活躍してくれるかも知れない。
また桶田は置き土産として、初期の名作と言われる「Umbrella Walking」(アイドル・グループNegiccoのメンバーも好きらしい)と「打ち水」(曲は角谷との共作)のソングライティングを手掛けている。
リリース資料の角谷の文によると、この桶田作の「Umbrella Walking」を軸にアルバムは制作されたという。そこからアルバム・タイトルとなる『陽だまり』という架空映画のサントラのコンセプトが練られており、冒頭の「陽だまり -Prelude-」と「俄雨 -Interlude-」、「夕刻-Interlude-」が同じメロディを持つ変奏曲となっているのはそのためだ。

今回のレコーディングに参加した主なミュージシャンは、ファーストとウワノソラ'67の『Portrait in Rock'n'Roll』を通して関わっている面子が多く、キーボードの宮脇翔平、ベースの熊代崇人、バッキング・ヴォーカルとシンセサイザーに深町仰。新たにドラムには木村恵太、アデショナル・ギターとして西本諭史が参加している。
また初の試みとして、「遅梅雨のパレード」にゲストでカンバス(彼等は最近RYUTistの「想い出はプロローグ」にアレンジと演奏で参加していた)の小川タカシがリード・ヴォーカルを取っているのも興味深い。


では主な収録曲の解説しよう。
アルバムは本作のテーマといえる「陽だまり-Prelude-」から静かに始まる。弦楽五重奏の編成にハープと木管を加えたオケにいえもとのスキャットがリードを取る。アルマンド・トロヴァヨーリやピエロ・ピッチオーニなど60年代末期のイタリア映画のサントラを想起させて麗しい。
続く「画家と絵画」は、Love Generationの「Love Is A Rainy Sunday」やButterscotchの「Don't You Know (She Said Hello)」などソフトロックとブルーアイド・ソウルの良さを融合したような曲で、WebVANDA読者に最もお勧めしたい。筆者もファースト・インプレッションでは、本アルバムのベスト・トラックと感じた。
そして「Umbrella Walking」だが、シティポップ然とした曲調ながらTender Leafの「Countryside Beauty」(『TENDER LEAF』収録 82年)などハワイアンAORの匂いもする。Aメロはシュガーベイブもレパートリーにしていた、伊藤銀次の「こぬか雨」(『DEADLY DRIVE』収録 77年)を想起させる音符を詰め込んだ感じが初々しい。
『丁酉目録』のインタビューで作者の桶田も語っているが、ファースト収録の「摩天楼」同様に紆余曲折あったこの曲を角谷がアレンジで手助けしたのがよく理解出来る。



角谷がリード・ヴォーカルを取る「プールサイドにて」は、70年代初期のニューソウル系シャッフルのグルーヴをキープしながら、マイケル・マクドナル加入後のThe Doobie Brothersが持つブルーアイド・ソウルのエッセンスを加味している。角谷のヴォーカルには北園みなみのそれを彷彿とさせる瞬間があり、控えめながらいい味を出しているのだ。横山貴生のアルトサックス・ソロも非常に効果的で曲を演出している。
ラテン・フレイバー漂う「エメラルド日和」は、Aメロはムーンライダーズの「週末の恋人」(『イスタンブール・マンボ』収録 77年)のテイストを醸しつつ、70年代末期のCRUSADERSに通じるラテン・フュージョンのエッセンスも感じさせる。曲の全編で玉田和平による各種ラテン・パーカッションが活躍しているのも聴き逃せない。
続く「パールブリッジを渡ったら」は70年代初期のブラス・ロックとフュージョン・ロックの色が濃く、西本諭史のギター・ソロと横尾昌二郎のトランペット・ソロもそちらのテイストでプレイされている。
アルバム・リリース前に先行でMVが公開された「夏の客船」は、ジノ・ヴァネリの「I Just Wanna Stop」(『Brother to Brother』収録 78年)にも通じるソフティなAOR感覚が漂うサウンドだが、歌詞の世界観は松任谷由実の影響大で、ひと夏の不毛な愛を綴った青春の1ページを現している。理屈抜きに純粋に良い曲である。


「鳥になったようだ」は完全なソフトロック・サウンドで、ブルース・ジョンストンの名作「Disney Girls (1957)」(『Surf's Up』収録 71年)に通じるメロディ感覚やサビのクローズド・ヴォイシングのハーモニーに打ちひしがれるだろう。儚く甘い微睡みが心地よい。
ミナス・サウンドの影響下にある「渚まで」はウワノソラとしては新境地だ。交流があるLamp染谷の作風にも近く、横山貴生のフルート・ソロはベベート(タンバ・トリオ)のそれを想起させる、繊細ながら野性味のあるプレイで聴き応えがある。
ラストの「ときめきのブルー」は、角谷のクラシック・ギターで奏でられるボッサのリズムにいえものとの美しい歌唱が聴く者の心を掴んで離さないだろう。


『Portrait in Rock'n'Roll』やNegiccoに提供した「土曜の夜は」での試みが本作での向上に繋がったのかも知れないが、ファースト・アルバムより数段クオリティが高くなったアレンジやサウンドと、ヴォーカリストとしてのいえもとの表現力は、Lampの『ゆめ』(14年)にも通じる2010年代を代表する「音楽通のためのポップス・アルバム」に仕上がっている。
なお本作は自主制作アルバムなので初回プレス枚数は少ないと予想されるので、興味を持った読者の方は下記のリンクから早急に予約して入手して欲しい。

(ウチタカヒデ)

2017年9月28日木曜日

桶田知道が「チャンネルNo.1」のMVを公開


5月31日にファースト・ソロ・アルバム『丁酉目録(ていゆうもくろく) 』をリリースした元ウワノソラの桶田知道が、同アルバムのリードトラック「チャンネルNo.1」のMVを公開した。
元ウワノソラと紹介したが、本アルバムをリリースしたことで自らが志向するスタイルが明確化し7月末日をもって彼はバンドを脱退し、ソロ活動へ移行することになったのだ。
そのウワノソラもセカンド・アルバム『陽だまり』を10月11日にリリースすることが決定しているので、後日レビューを掲載する予定である。





Cast:Tomomichi Oketa
Director:Keisuke Sugano
Director of Photography:Shunta Ishizuka
Special Effect:Masaki Numata
Special Thanks:Yoshikazu Homura/Tetsuya Yamabe/Kosaku Ando
Produced by:bacter

さてアルバム・リリースから4ヶ月をも経て完成したMVを先行で観させてもらったが、映画界の巨匠スタンリー・キューブリック監督を彷彿とさせるカメラワークとシンメトリーなコンポジションが非常に鮮烈で、観る者の心を掴んで離さない。
監督は菅野圭亮で、これまでもウワノソラの「Umbrella Walking」や「恋するドレス」、ウワノソラ'67の「シェリーに首ったけ」のMVを手掛けている。
 このMVで「チャンネルNo.1」の世界観を堪能し、改めてアルバム『丁酉目録』を聴き直して欲しいと願うばかりだ。

桶田知道:『丁酉目録』(UWAN-002) 桶田知道インタビュー 
「考槃堂商店」オンラインストア

(ウチタカヒデ)

2017年9月27日水曜日

☆Brian Wilson:『The Brian Wilson Anthology』(ワーナー/WPCR17877)


ブライアン・ウィルソン初のレーベルをまたいだベスト盤がリリースされた。アルバム9枚からセレクトされ、プラス未発表の2曲で全18曲という構成だった。最も多くセレクトされたのがファースト・ソロの『Brian Wilson』から4曲で、後半の4枚のアルバムは1曲ずつのみ。なぜかライブ盤の『Live At The Roxy Theater』から2曲入っている。肝心な未発表曲は「Some Sweet Day」で、共作者がアンディ・パレイなので、2000年代前半の録音か。全体的にはホーンを多く使ったハッピーな曲で、印象はオールドタイミーな佳曲。「Run James Run」はあの『Pet Sounds』時代とは無関係の曲で、共作はジョー・トーマス。重ね合うハーモニーを生かしているが、コーラスのミックスがかなり大きく、中間のギターソロは60年代そのもの。歌詞の内容とは異なるアップテンポのハッピーなサウンドの曲で、アルの息子のマットのファルセットが大きくフィーチャーされている。その他、収録曲で僅かに異なる曲が2曲あった。1曲は「Heroes And Villains」で、アルバムではイントロにホーンが被るが、このアルバムでは被らずに歌からすっきり始まる。もう1曲は「Midnight’s Another Day」で、アルバムでは歌の後のピアノのリフレインが1回だが、本CDでは2回入るので7秒長い。この2トラックもコレクターには見逃せない。(佐野邦彦)