2000年7月24日月曜日

☆Beckley-Lamm-Wilson:『Like A Brother』(Transparentmusic/500022)

 アメリカのジェリー・バックレイ、シカゴのロバート・ラム、そしてビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンの3人で作ったこのアルバムは、カールの遺作となった。全10曲中、5曲がカールがリード・ヴォーカルを取り、内4曲はカールの書き下ろしと、追悼アルバムの体は施されていないが、カールへの最大限の弔意を感じることができる。曲はミディアムのバラード系で、ロックというよりシンセサイザーと深いエコーが印象的なAOR作品というべき仕上がりになっている。しかしこの3人の中でカールのヴォーカルの美しさ、表現力は群を抜いている。こんな歌のうまいメンバーを失ってしまったビーチ・ボーイズが、新作を生み出せないのは当然だろう。ブライアンはヴォーカル面が不安定でサポートがないと努められず、カールがいなくなったことでビーチ・ボーイズの新作はなくなった、そういう思いを痛感したアルバムだ。(佐野)
Like a Brother

Radio VANDA 第 4 回選曲リスト(2000/8/3)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 第一特集Teddy Randazzo 作曲/プロデュース集

1. Better Use Your Head...Anthony & The Imperials('66)
2. Gettin' Through To Me...Royalettes('66)
3. Trick Or Treat...Teddy Randazzo & All 6('67)
4. My Love Is Rainbow...Anthony & The Imperials('67)
5. A Man And A Woman...Anthony & The Imperials('67)
6. Let Me Dream...Georgia Gibbs('68)
7. I Look At You...Little Anthony & The Imperials('69)
8. Happiness...Georgie Fame('71)

第二特集夏だ Summer ミニ特集
              9. Acapulco Girls...Sol De Mexico With The Beach Boys('98)
             10. Music Music Music...California('76)
             11. (Just To Let You Know
I Love You So...California('76)
             12. Thru Spray Colored Glasses...Dino.Desi & Billy('69)
             13. South American(A Cappella Version)...Brian Wilson('98


☆『アニメソング大全ミレニアムボックス』(東芝EMI/TOCT24381-6)




このCD6枚組のボックスは63年から70年にかけてのTVアニメの主題歌を集めたもの。なんだそんなの珍しくもないと思われるだろうが、このボックスはオープニング、エンディングというパターンだけでなく、実際番組で使われたオリジナル・テイク(企業名入り)を出来る限り集めているのがミソ。要は当時の実際の「音」に出会えるという優れものなのだ。この中で光るのはやはり富田勲の書いたテーマ・ソングの数々だ。Radio VANDAの7月号で、富田勲ミニ特集をやり、「マイティ・ジャック」「ガリバーの宇宙旅行」「銀河少年隊」などをかけたのだが、Web VANDAのBBS上で大反響、やはり洋楽ファンは富田の日本人離れした壮大な曲想にシンパシーが合うんだと、我ながら嬉しくなってしまった。「ジャングル大帝」「リボンの騎士」はもちろん、Radio VANDAでもかけた転調が抜群の「戦え!オスパー」があるし、中間の哀愁漂うメロディが魅力の「どろろ」、イントロにセンスがある「ビッグX」、さらにアレンジのみを担当した「ジャングル大帝進めレオ!」は曲を押しのけて壮大なアレンジが光り輝いていた。さすが富田という作品が並ぶ。そして山下毅雄作品の「スーパージェッター」「冒険ガボテン島」「佐武と市捕物控」は、口笛とラテンのリズムが冴えわたる。萩原哲晶の最高のアレンジが楽しめる「エイトマン」、服部公一の素晴らしい主題歌が4曲作られた「レインボー戦隊ロビン」、水原弘がヴォーカルをとった「忍風カムイ外伝」など聴きどころは十分。土龍団による巨匠・宇野誠一郎のインタビューや、ボーカル・ショップ、ハニー・ナイツのインタビューも目からうろこ、これは絶対「買い」である。ただ、オリジナル・テイクということで今までTVヴァージョンに比べてまったく違うシングルテイクが収められていた「ゲゲゲの鬼太郎」や「佐武と市」や、馴染みではない方の主題歌が入っていた「おそ松くん」が聴きなれたテイクや主題歌に戻ったのはよかったが、富田勲の主題歌はレコード・ヴァージョンの方が音がいいし、アレンジもより練られているので、こちらは両方入れて欲しかった。ぜいたくかな? (佐野)
21世紀に遺したいアニメソング大全 ミレニアムボックス