2019年10月31日木曜日

FMおおつ 音楽の館/Music Note 2019年10月号「My Favorites」

 本日1曲目はPuffyの<これが私の生きる道>。この曲は1996年10月7日私の厄年42歳の誕生日にリリースされた彼女たちの2曲目で初1位、私がこの曲をどのように楽しんだのかは後ほど。 Puffyのデビュー曲<アジアの純真>ではElectric Light Orchestra風のサウンド、仕掛け人奥田民生さんのセンスに脱帽。また井上陽水さんのユニークな歌詞「アジアなのに北京の次の詞がダブリン、ベルリン」や「白のパンダを~」にもはまりまくり。この歌詞に嘉門達夫さんは「新・替え歌メドレー」で、「北京原人、クロマニヨン人」、「白のパンダは白くま」とつっこんでる。

  そして、<これが私の生きる道>ではThe Beatlesのフレーズが散りばめられ、その明細は「Ticket To Ride(涙の乗車券)~From Me To You ~All My Loving ~She Love You ~Day Tripper ~Mr.Moonlight ~Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)~From Me To You ~Please Please Me ~Twist And Shout ~She Loves You」の9種11曲と言われている。またこの曲のタイトルはクレイジー・キャッツの「これが男の生きる道」を意識していたのは笑わせどころで、またタイトルの漢字を合わせるとCMを依頼した「私生道(しせいどう)」になるなど、1曲で何曲も楽しめる仕掛けがたまらない。
 そんなPuffyですが、私は彼女たちのファンになったことで、大きな勘違いをしてあるグループに夢中になったことがあります。それは「2008.Rock In Japan」の中継で、「Puffy」を録画したつもりが、留守録されていた「Perfume」。仕方なく見たパフォーマンスが私の琴線にふれ、Perfumeにはまっている。

  その当時のPerfumeはメンバー全員が10代で、前年リリースの<ポリリズム>でブレイク直後の最も勢いがあった時期。 このフェスでの登場は2番目に大きなステージ(当時;現在は3番目)Lake Stageで8:00スタートというポジションながら、開始1時間前に1万人以上が詰めかけ入場規制がかかる。当時のPerfumeの主戦場はライヴ・ハウスだったので一番驚いたのはメンバーだったと。その人気ぶりに翌年からは60000人収容の最大キャパ「Grass Stage」に昇格、出場6年目の2013年には最終日の大トリを務めるまでに。私はさすがにフェスまでには遠征していないが、2009年から2014年まで全てのツアーに参戦。

 と私のPerfume遍歴はこれくらいにして、次はサザンオールスターズのネタ。彼らは私が大学4年だった41年前に<勝手にシンドバッド>でデビュー、当時は「コミック・バンド」とみなされていた。それは彼らを有名にした曲<女呼んでブギ>は、「女呼んでもんで抱いていい気持ち~」でしたから。またそれを耳にしたドリフのいかりや長介さんが桑田さんをメンバーに狙っていたという話もあったほど。それが今や彼らの解散報道で所属事務所の株価を揺るがすほどの「国民的バンド」に。

  そんな桑田さんが初めて作ったオリジナルは<茅ヶ崎に背を向けて>(『熱い胸さわぎ』収録)で、この曲は1976年に『Frampton Comes Alive』が大ブレイクしたPeter Framptonの<Show Me The Way>をお手本に書き上げた曲。そして、この曲はEagles初の全米1位<Best Of My Love(我が愛の至上)>がベースに。そのEaglesはこれを機にトップ・バンドへの道を邁進。ただ、この曲は<If>のヒットで知られるBreadの1970年全米1位<Make It With You(二人の架け橋)>のコード違い(CとD)といった感じ。このBreadは1960年代に裏方で大活躍したスタジオ・ミュージシャンによって1969年に結成、ヒットを連発するもメンバーのソロ活動のため1973年活動を停止。一説にはEaglesが全米を制覇できたのは、Breadが活動を休止したからとも言われている。Richard Carpentersは「BeatlesやBeach BoysそしてBacharach並みにリスペクトする」と公言するほどの存在。

 ということで、次は1970年代以降日本の音楽をリードした巨匠筒美京平先生。まず日本初のアイドル歌手とも言われる南沙織さんのヒット曲から、その1971年のデビュー曲<17歳>はLynn Andersonの<Rose Garden>(1970年)、セカンド・シングル<潮風のメロディー>はThe Seekersの代表曲<Georgy Girl>(1966年)そのもの。 私が初めて意識したのは1972年6月の第4作<純潔>。この曲を始めて聴いたのは私が高校生の頃でロック調ナンバー。ある時、友人から借りたレコードに収録のVan Morrisonの<Wild Night>(1971年、全米28位)にそっくりで唖然。メロディー自体は日本で大ヒットしたThe Messengers<That’s A Way A Woman Is(気になる女の子)>風で、見事なミクスチュアぶりに感心。

 ところが1972年に全米5位を記録したAlbert Hammondの<It Never Rains In California(カリフォルニアの青い空)>は、彼が1971年に書いた堺正章さんの<さらば恋人>によく似ていることに気が付いた。実際にネタにされたかは不明だが、雰囲気はよく似ていてそれまでにも増して彼の追っかけに。 

 ただ、私のように意識しないでも、自然にネタを当てる人もいた。それはある飲み屋で、有線から流れてきたNeil Sedakaの<The Dairy(恋の日記)>に、一緒に飲んでいた友人がその曲にあわせて細川たかしさんの<心のこり>を歌いだし、それがすんなりはまっていた。なお最初のタイトルは<私バカよね>だった。ただ、このタイトルでは挨拶周りで「この度、<私バカよね>でデビューしました~」と言わざる得なく、あまりに間抜けと感じて、この<心のこり>というタイトルに変更したという。

 続いては、洋楽でネタの宝庫にされた曲The Doobie Brothersの<What A Fool Believes>から。この曲は1979年に全米1位となり、1980年に開催された第22回グラミー賞の“ソング・オブ・イヤー(Song Of The Year)”を受賞した彼らの代表作とも言われているナンバー。ただ古くからのDoobieファンからは、「????」と戸惑わせる曲だった。それは元々このバンドの魅力は豪快で男性的な野性味あふれるサウンドだったから。そんな彼らはこの曲を発表した直後に初来日しており、この曲も披露しているも、いまいち盛り上がらなかった印象がある。それはこの曲の特徴である「変拍子」がそれまでに聴いたことのない革命的なリズムだったから。ところがその後続々とこのリズムをネタにした曲が登場し、この曲の影響のすさまじさを思い知らされた。

 まずはRobbie Dupreeで<Steal Away(ふたりだけの夜)>、この曲は全米6位を記録した彼のデビュー曲で日本でも大ヒット。とても良い曲だが、雰囲気は元ネタそのもので、当時作者から訴訟を起こされている。
 そして日本でも大量発生、私自身が最初に感じた曲は竹内まりやさんの<二人のバカンス>。この曲は1980年7月にリリースした5作目のシングルで、彼女の詞が初めてシングルに採用された曲。なお、最近デビュー40周年としてリリースされた『Turntable』にも収録。そんな彼女はデビュー40周年を記念したファン・ミーティングを来年東京と大阪で開催予定。参加するには、このアルバムとニュー・シングル<旅のつづき>に封印されている応募券で抽選。これらの曲はほんのさわりで、1980年代には山ほど登場しており、例をあげたらきりがない。

  続いては、“BOSS”ことBruce Springsteenが1975年に発表した代表作<明日なき暴走(Born To Run)>。この曲はBrouceにとって5作目のシングルで全米23位にとどまるものの、これ以降彼は全米において“カリスマ”として扱われるように。Bruceはこの曲でブレイクした後のライヴではこの曲をトップで歌うという「アンコールをトップにしたセット・リスト」で、「この曲目当ての奴は、もう帰ってもいいぜ!」と言わんばかり。この姿勢は多くのミュージシャンが取り入れるようになり、Eaglesは<Hotel Calfornia>をオープニング・ナンバーで演奏。日本でも、さだまさしさんや松山千春さんがこの手法でライヴをやっていた時期があったほど。 

 このナンバーは日本でも後に“カリスマ”となったシンガーたちに衝撃を与えた。まずは佐野元春さんは1980年3月にリリースのデビュー曲<アンジェリーナ>。印象的なイントロからしてそのままだが、彼の持つ「言葉」の魅力に引き込まれた人は多かったはず。そんな彼に魅せられたひとりが沢田研二さん。彼はこの年に発表した16作アルバム『G.S. I LOVE YOU』に曲を依頼(3曲)したほど。なお佐野さんの言葉には印象的なものが多く、同年発表の<ガラスのジェネレーション>に登場する、「つまんない大人にはなりたくない!」はその代表。この歌詞は昨年放送のNHK連ドラ『半分、青い。』で「ボクテ」を演じる志尊淳さんのセリフにも登場。

 そして二人目はハマショーこと浜田省吾さんが1980年7月に発表した<明日なき世代>。「ロック・シンガー」に変貌した記念碑的作品『Home Bound』からの先行シングル。このタイトルを見た瞬間にBruceの曲を連想し、聴いてみるとまさにそのままでした。なお彼はこの時期以降、大したヒット曲もないのにもかかわらず、「スタジアム級」のシンガーに躍進。 

 三人目は今の50代世代には圧倒的支持を誇る尾崎豊さんの<十七歳の地図>。この曲は1983年12月に発表のデビュー・アルバムのタイトル曲で、その生々しい言葉は同世代に大きな衝撃を与えた。この曲以外でも彼の書き下ろした「盗んだバイクで走りだす、行く先もわからぬまま~」(「15の夜」)や「夜の校舎、窓ガラス壊して回った」(「卒業」)という歌詞は実際に行動を起こす事件が多々発生し、社会問題にもなったほど。



 ラストは「ブーメラン現象」を起こした曲からElton Johnで<Bennie And The Jets(ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高))>。この曲はEltonの全盛期1973年に発表した第7作『Goodbye Yellow Brick Road』の収録曲で全米1位。 
 まずこの曲をお手本にしたのが、ユーミンの<まぶしい草野球>。この曲は1980年12月に発表した第10作『SURF & SNOW』の収録曲。 さらにこのリズムのアレンジで原田知世さんが松田聖子さんの<秘密の花園>をカヴァー。この曲は彼女が2016年5月に発表した4作目のカヴァー・アルバム『恋愛小説 2 』の収録曲で、アレンジを担当したのは伊藤ゴローさん。

 このアレンジのベースになっているのは、Eltonのみならず清水ミチコさんのある曲のアイデアも加わっていたのでさらにびっくり。それは「時計」の音で始まる清水ミチコさんの<イェル・ケ・クク>。この曲は彼女が2005年に発表した第 6作『歌のアルバム』の収録曲で、1968年にFrançoise Hardyが歌った<Comment Te Dire Adieu (It hurts to say good bye)(さよならを教えて)>のカヴァー。清水さんはこの曲をそのポイントはパーカッションの音が時計の秒針が奏でるカチカチ音に聞こえるところタイトルを「九九」のデタラメ・フランス語風に仕上げている。デタラメ・フランス語は例えば「麻布十番」を「アザブジュボ~ン」と発音するような「遊び」。それをフランス語で「九九」に当てはめた清水さんには脱帽。 

 と、2曲のカヴァーを聴き較べた時、私はこの<秘密の花園>がお気に入りだったが、「良い曲なんだけど、どこかで聴いたことのあるような気がする」という謎が解明

 ただこの曲は元々財津和夫さんが担当することになっていたが、彼の曲をプロデューサーが納得せず降板。その非常事態に作詞担当の松本隆さんが当時ツアー中のユーミンを拝み倒して3日で完成させた曲。 元々財津さんが書く予定だった余韻は、B面の<レンガの小径>が財津作品のままというところ。それは第8作の<赤いスイートピー>以降のシングルはAB面共に同じライターが担当していたから。なおこのお蔵入りした未発表の財津版<秘密の花園>は、松田聖子コピー・バンド“Sweet Dreams”が<“誰も知らない”秘密の花園>として演奏している動画あり。 


1. これが私の生きる道/ Puffy 
~B.G: Doc / Earl Klugh 

2. 茅ヶ崎に背を向けて/ サザンオールスターズ (『熱い胸さわぎ』収録)
3. Show Me The Way / Peter Frampton 
4. Best Of My Love(我が愛の至上) / Eagles 
5. Make It With You(二人の架け橋) / Bread 
~B.G: Lahaina Luna / Dan Fogelberg & Tim Weisberg 

6. 純潔 / 南沙織 
7. That’s A Way A Woman Is(気になる女の子)/ The Messengers 
8. Wild Night / Van Morrison 
~B.G: SENTIMENTAL AVENUE/ CASIOPEA 
  9. さらば恋人 / 堺正章 
10. It Never Rains In California(カリフォルニアの青い空)/ Albert Hammond 
~B.G: Catherine / Earl Klugh 

11. The Dairy(恋の日記)/ Neil Sedaka 
12. 心のこり / 細川たかし 
~B.G: Guitar Etude No. 3 / Dan Fogelberg & Tim Weisberg 

13. What A Fool Believes / The Doobie Brothers 
14. Steal Away(ふたりだけの夜) / Robbie Dupree 
15.二人のバカンス / 竹内まりや
 ~B.G: Brighton By The Sea(ブライトンの海辺) / Bob James 

16. Born To Run(明日なき暴走) / Bruce Springsteen 
17.アンジェリーナ / 佐野元春 
18.明日なき世代 / 浜田省吾 
19.十七歳の地図 / 尾崎豊 
~B.G: SWEAR / CASIOPEA 

20. Bennie And The Jets(ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高)) / Elton John 
21. まぶしい草野球 / 松任谷由実 (『SURF & SNOW』収録
22.秘密の花園 / 原田知世 (『恋愛小説 2』収録)
21.イェル・ケ・クク / 清水ミチコ (『歌のアルバム』収録)
22.秘密の花園 / 松田聖子 
~B.G: Midnight Motion / Kenny G 

次回11月号は「ジャニーズ特集」をお届けします。

本放送:第四土曜日10/26(土)15:30~18:00 
再放送:第四日曜日10/27(日)8:00~10:30 

【FMおおつ公式アプリ】https://fmplapla.com/fmotsu/                           (鈴木英之)

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