2019年8月4日日曜日

◎PIPER:2019summer live(Piper、村田和人、Honey & B-Boysレコ発ライブ!) 2019.07.14.(Sun)@目黒ブルースアレイ・ジャパン

 山下達郎さんが体調不良で7月12、13日の中野サンプラザ公演を中止された翌日となる7月14日、東京目黒ブルースアレイ・ジャパンではPIPERのライヴが予定通り開催された。
 

 このライヴには私の後輩であり、古くからの友人音楽評論家近藤正義氏が前座で出演するとあって、この告知を6月5日に投稿させていただいた。その後、レコードコレクターズ誌でもコンサート情報を掲載、また口コミでもこのライヴが伝わり、この会場にはあふれんばかりのファンが駆けつけ、超満員となり大盛況となった。


 では、遅ればせにはなるが、当日の詳細を会場のスナップも含め紹介しておく。まずオープニング・アクトで登場したのは、村田和人さんとPIPERのコアなファンを自認する音楽評論家近藤正義氏率いる“村田和人トリビュート・バンド/Ready September”。前回の投稿でも紹介したが、このバンドは彼が村田さんにそっくりな声を持つヴォーカリストとの出会いから結成された。なお当日はこれまでの編成をパワー・アップさせたツイン・ドラムという布陣でのステージだった。また村田ファンには、このバンド名を見ただけで、ニヤリとする気の利いたネーミングだということがおわかりいただけるだろう。

  では彼らのセット・リストを紹介しておく。なお( )は収録アルバムになっている。

①Ready September 
 ~近藤正義(Gt.) 、井原正史(Gt.,Vo.)、 山田繁毅(B.)、志間貴志(Kyd.)、池田幸範(Per., Cho.)、小倉睦子(Kyd.)、館野順子(Vo.,Cho.)、堀江誠巳 (Ds.) 

1. 134号ストーリー(1989年7作『太陽の季節』) 
2. Lady September(1982年1作 『また明日』) 
3. Summer Vacation(1984年3作『My Crew』) 
4. April shadow(1985年二名敦子2作『“WINDY”ISLAND』) 
5. Love Has Just Begun(1983年2作『ひとかけらの夏』) 
6. リアルは夏の中(1989年7作『太陽の季節』) 
7. マリンブルーの恋人たち(1986年児島未知瑠2作『MICHILLE』)with児島未散 
8. Lady Typhoon(1993年 9作『HELLO AGAIN』)
9. Travrlin’ Band(1983年2作『ひとかけらの夏』) 


 という他者への提供曲も含め9曲を披露した。そして7.の<マリンブルーの恋人たち>には、オリジナル・シンガーである児島未散(こじまみちる)さんがサプライズで登場している。この曲は彼女が児島未知瑠名義でリリースした1986年セカンド・アルバム『MICHILLE』への村田さん提供曲で、村田さんは2013年に発表した16作となるセルフ・カヴァー・アルバム『Treasures in the Box』に収録されている。



 なお、彼女のライヴ出演は数日前に決まったものだったらしいが、未散さんにあわせ彼女のヴァージョンで演奏され気持ちの良いジョイントとなった。近藤氏もこの出来にかなり満足されていたようで、次回からこの曲は村田さんヴァージョンから、未散さんヴァージョンに変更する予定だと伺った。この曲はかなりコアな村田ファンであっても、彼女の生歌を聴くのは初めてだったのではなかっただろうか。この映像は既に動画でもアップされているので、ファンは要チェック!また当日参加できなかった方には彼女が開催する10月12日に中目黒の「THE楽屋」でのソロ・コンサートをお忘れなく。補足ながら、彼女は俳優宝田明さんのお嬢さんで、あの人気ドラマ『3年B組金八先生』にも出演歴のある女優というプロフィールを加えておく。 


 このようにオープニングから大喝采の中、いよいよ当日の主役である山本佳右さん率いるPIPERが登場。サポートには村田バンドの小板橋博司さんをはじめとする強者が整揃い。そのステージは、<Ⅰ部><Ⅱ部>に加え<Encor>も含め、既発アルバム(1981年ファースト『I'm Not In Love』除く)からまんべんなく16曲を聴かせてくれた。

②PIPER  
~山本佳右(Gt.,Vo.)、山本耕右(B.)、志間貴志(Kyd.)   
 With 小板橋博司(Per., Cho.)、樋口達也(Gt.)、今瀬真朗太(Ds.) 

<Ⅰ部> 
1. Angel Smile(1983年2作『Summer Breeze』) 
2. Starlight Ballet(1985年 5作『LOVERS LOGIC』) 
3. 僕のLove Song(1984年4作『Sunshine Kids』) 
4. 夏はどこかへ(1984年4作『Sunshine Kids』) 
5. Photograph(1985年 5作『LOVERS LOGIC』) 
6. New York, Paris, London, Tokyo(1983年3作『Gentle Breeze』) 
7. Ride On Seaside(1983年3作『Gentle Breeze』) 

<Ⅱ部> 
1. 酒とバラ(1987年Honey & B-Boys『Back To Frisco』) 
2. ふいうちのまなざし(1984年4作『Sunshine Kids』) 
3. ACT3(1985年 5作『LOVERS LOGIC』) 
4. Trade Wind(1985年 5作『LOVERS LOGIC』) 
5. New York Review(1985年 5作『LOVERS LOGIC』) 
6. Time & Tide(1983年3作『Gentle Breeze』) 
7. Ride On Seaside(1983年3作『Gentle Breeze』) 

<Encor> 
1. デイドリーム ビリーヴァー(1984年4作『Sunshine Kids』) 
2. Breezing(1983年3作『Gentle Breeze』) 

 そしてこのライヴのトリとなる<More Encor>では、Ready Septemberに山本佳右さん小板橋博司さんが加わり、村田和人ナンバーを3曲披露している。 


 

③Ready September With 山本佳右、小板橋博司 
<More Encor> 
1. Brand New Day Brand New Song(2014年17作『ピーカン』) 
2. 一本の音楽(1983年村田和人2作『ひとかけらの夏』) 
3. We Love You(1984年村田和人3作『My Crew』) 



 このラスト・ステージでは2016年に村田和人さんが亡くなられた際に、彼の師匠山下達郎さんがこの年のツアーのアンコールで、ギター1本で歌い上げた追悼曲<一本の音楽>がファンの間で評判となった。この曲を本家である山本佳右さんと、彼をこよなく愛する近藤正義氏がツイン・ギター・ソロを響かせ、会場のファンにはたまらないプレゼントとなった。ただこの瞬間を一番楽しみにしていたのは、近藤氏だったのは言うまでもない。 

 また、オーラスとなった<We Love You>は、発表当時「オロナミンC」のCMソングとして一般にもヘビロテ状態のナンバーであり、この共演に最もふさわしい締めくくりのナンバーだった。 この共演は当日会場に詰めかけた多くのファンを楽しませていたが、何よりも永年のPIPERファンだった近藤正義氏には永年の夢が叶った瞬間として一生忘れられないステージになったことと思う。「近藤君、お疲れ様でした。そして共演おめでとう!」長年の友人として、遠方より祝辞を送らせていただく。また今回は近藤正義氏が企画・選曲・キャッチコピーまで全てに関わったコンピ『村田和人/エヴァーグリーン・ワークス~永遠に続く輝く~』の発売にも拍手を送りたい。



 なおこのライヴのリポートは、「レコードコレクターズ」9月発売号に掲載予定で、8月発売号には近藤正義氏によるPIPER特集記事等がかなりの枠で掲載される予定だ。 僭越ながら、私も後方支援としてFMおおつ「音楽の館~Music Note」の6月号ラストで、概要告知をさせていただいた。



 そして、7月27日に放送された7月号では「村田和人さん」と「PIPER」の特集を放送している。当日のプログラムは、村田さんのナンバーも佳右さんのギターにこだわって選曲した。以下はその放送でオンエアされたリストだ。 


1. Morning Selection /Honey & B-Boys (1987.『Back to Frisco』) 
2. 部屋とYシャツと私 /平松愛理(1992.Single;1990.3rd『My Dear』) 
3. 電話しても/村田和人(1983. Single;1st『また明日』) 
4. ファーラ・ウェイ/ PIPER(1982. Single;1st『I’m Not In Love』) 
5. 高気圧ガール/山下達郎(1983.Single;8th『Merodies』) 
6. So Long Mrs. /村田和人(1984. 2nd『ひとかけらの夏』) 
7. Summer Vacation /村田和人(1985. 3rd『My Crew』) 
8. Shine On/ PIPER(1984.2nd『Summer Breeze』) 
9. Ride On Seaside/ PIPER(1984.3rd『Gentle Breeze』) 
10. Sunshine Kiz/ PIPER(1985. Single;4th『Sunshine Kiz』) 
11. We Love You/村田和人(1985. 3rd『My Crew』) 
12. Gimme Rain/村田和人(1985. 3rd『My Crew』) 
13. Boy’ s Life/村田和人(1987. 5th『Boy’s Life』) 
14. 電話しなくても/村田和人(1990. 8th『空を泳ぐ日』) 
15.Imaginaly Lover/村田和人(1993. 9th『Hell Again』) 
16. 太陽の恋人/村田和人(1995. 11th『Sweet Vibration』) 
17. マリンブルーの恋人たち/村田和人(2013. 15th『Treasures In The BOX』) 
18. STARLIGHT BALLET/ PIPER(1985.4th『Lovers Logic』) 
19. 一本の音楽/村田和人(1984. Single;2nd『ひとかけらの夏』) 
20. 夏を忘れた瞳に/村田和人(1994. 10th『evergreen』) 

 このなかで最もメジャーな曲といえば、ブルースアレイ・ジャパンのライブ・レヴューでもふれた<11. We Love You>になるだろう。それはこの曲が1984~5年にかけて読売ジャイアンツの人気選手が登場する大塚製薬「オロナミンC」CMに起用されていたからだ。    

 その映像に出演していたメンバーが全員思い出せなかったので、大塚製薬のカスタマーサービスに問い合わせをしてみた。さすがに即答とはいかなかったが、同世代と思われる担当者に調査していただき、以下の6名が判明した。 まず当時、江川卓(えがわすぐる)投手と並び巨人軍投手三本柱として活躍した定岡正二(さだおかしょうじ)投手と西本聖(にしもとたかし)投手。そして「絶好調!」の連発でお馴染み、数年前までDeNAベイスターズの監督だった中畑清(なかはたきよし)選手。さらに「意外性男」山倉和博(やまくらかずひろ)捕手、河埜和正(こうのかずまさ)内野手、松本匡史(まつもとただし)内野手だった。補足になるが、このCMには「5月編」「ファンレターA・B」「クリケット」の4パターンがあったようだが、さすがの私もそこまで詳しく記憶してはいなかった。


 

 そして最後にFMおおつの告知となるが、「音楽の館~Music Note」8月号のプログラムは、2001年に映画化されその後テレビ・ドラマ化もされた「ウォーターボーイズ」の演技シーンに使用された音源の特集をお届けする予定だ。このシリーズは4作あるが、微妙に選曲を変えており、すべて把握している方はよほどのマニアだけのはずだ。 選曲はかなりベタなナンバーばかりにはなるものの、私の肩書である「レトロカルチャー」に相応しい内容を盛り込んだプログラムでお届けするのでこちらもご期待いただきたい。放送は第4土曜日15:30~、再放送は翌日曜8:00~。 

【FMおおつ公式アプリ】https://fmplapla.com/fmotsu/ 

(鈴木英之)

0 件のコメント:

コメントを投稿