2011年12月25日日曜日

☆Various:『The Bridge School Concerts 25th Anniversary Edition』(Reprise/7599399735)DVD

ニール・ヤングと妻が1986年から続けてきた障害児のための学校ブリッジ・スクールへのチャリティー・ライブの25周年を記念したDVDとCDがリリースされた。それぞれ少しずつ選曲が違うのだが、CD版は1997年にリリースされた『The Bridge School Concerts Vol.1』が先行してあるのでS&Gやデビッド・ボウイなどが省かれており、ここではより内容が充実したDVDについて紹介しよう。
ただし、『Vol.1』にはニールの「I Am A Child」、CD版にはCSN&Yの「Deja VU」などそのディスク・オンリーの音源があるので、後に全部揃えられたい。このコンサートはアコースティックが基本なので普段、エレクトリックなアーティストのアンプラグドのライブが見られるのが嬉しい。例えばフーだ。まだジョン・エントウィッスルが生きていた時のライブで、「Won't Get Fooled Again」が見られる。ただ、この曲、シンセサイザーの部分をアコギで代用するのは少々無理があり、ロジャーのシャウトも間が抜けた感じで成功作にはならなかった。同じく残念なのはブライアンン・ウィルソンで、1999年のライブの「Surfin' USA」が見られるが、まだ精神状態がイマイチのようで、能面のような顔、ぎこちない動きが痛々しい。音程も怪しい。『Imagination』の翌年だが、2004年の『Smile』ではほぼ万全に回復してきているので、その過程のライブである。バックコーラスにニール・ヤングは当然としてロジャー・ダルトリーがいたのはちょっと驚きである。こういう歌にロジャーがコーラスを付けるなんて、35年前は想像もできなかった。もともとアコースティックが得意なニール・ヤングやジェームス・テイラーは余裕もあり、ほれぼれする出来だ。大物ではボブ・ディラン、デビッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーンなどがいるが、やはりポール・マッカートニーがベストだ。「Get Back」をアコースティック(ただしポールはカール・ヘフナーのベース)で歌うが、ドライヴ感が抜群で最高の出来。アコギのギターソロもいいね。そしてこのDVDの個人的なハイライトはS&Gの「America」である。やはりポール・サイモンの曲は、アート・ガーファンクルの声が魅力を倍化してくれる。アコギ1本のデュオでこれだけの壮大な世界を生み出せるS&G、そしてこの「America」という曲は本当に偉大だ。感動で何度も見てしまったほど。(佐野)





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