2005年7月4日月曜日

Brian Wilson:『Brian Wilson Presents Smile(With Bonus CD)』(from LSL) DVD


 もうとっくに発売されたスマイルの DVD だが、LSL からの通販のみに2500枚限定のシリアル・ナンバー入りボーナス CD が付くので、それが届くのを待って一緒に紹介しようと思っていたら、LSLの配送ミス(ほぼ全員が遅れた)で、1カ月以上経った7月になってようやく届くハメになった。
 まずこの DVD の紹介だが、1枚は『Smile』のライブ。小規模な会場に観客を入れて収録してあり、歌、ハーモニー、演奏共に完璧。このライブで初めて『Smile』を聴いたら、どれだけ感動したことだろう。満面の笑みを浮かべながら歌うブライアンがとても印象的だ。  そしてもう1枚がブライアンと『Smile』との関係を描いたドキュメンタリー『Beautiful Dreamer』である。このDVDは前半がブライアンがビーチ・ボーイズ時代に『Smile』を作りそして放棄するまでを、後半が現在の『Smile』を作ると決意してから実際のライブまでに至るまでのブライアンをカメラが追い続けた。  まず前半だが、当時の友人やスタジオ・ミュージシャン、そしてヴァン・ダイク・パークスの証言で浮かび上がったのは、今までのドラッグが原因でブライアンが『Smile』をほうり出してしまったという定説が誤りだったというだ。  ブライアンが誰よりもエネルギッシュに『Smile』に取り組み、かなり長い間、正常な状態で制作に没頭していた。しかしビーチ・ボーイズ抜きで作った『Smile』はメンバーに全面否定され、ビートルズとのクリエイティビティのトップ争いの中にいたブライアンは不安、苛立ち、焦燥に悩まされ、そして遂に断念してしまう。『Smile』放棄の原因はマイク・ラヴが (Smile』を) 嫌いだったからと、ブライアンは断言していた。全能のミュージシャンでありながら、自分の思うようにさせてくれないグループ、父親、レコード会社に、ブライアンは一人で闘い続けることはできなかった。  そして精神が崩壊してしまう。  後半は30年にも続いた長い鬱からようやく脱出できたブライアンが再び『Smile』へ挑むドキュメンタリーで、録画テープは50時間にも及んだという。  ヴァン・ダイク・パークスが再び呼び寄せられブライアンの自宅へ来た時のやり取りまで入っているのには驚かされた。ブライアンの自宅で行われた最初のリハーサルでのブライアンの苦悶の表情は見るのが辛い。ブライアンの心は常に病気を表裏一体で、いつ、また鬱に落ち込んでしまうかもしれない。ダリアンやバンドのメンバーの献身的な励ましと、リンダ夫人の的確なフォローで、ブライアンは過去の『Smile』への恐怖を乗り越えていく。  そしてロンドンでのプレミア・ライブ。『Smile』が終わった時の大喚声、スタンディング・オベーションで迎える観客の中にはポール・マッカートニーやジョージ・マーティンもいた。放心状態で座り込んでいたヴァン・ダイク・パークスの姿に誰もが感動を覚えただろう。  このDVDのブライアンの最後のコメント、「僕の中から悪魔が去った。とても癒された。」という言葉はあまりに重い。  この『Beautiful Dreamer』は『The Beach Boys An American Band』と並ぶ最高のドキュメンタリーになった。ブライアン自身が見て涙が出そうだったという迫真の真実が、その価値を高めている。ライブとドキュメンタリー、これだけ充実したDVDは他にはないだろう。  全ての音楽ファンなら必ず見るべき。  そして最後にLSLの限定CDだが、ブライアンの会話やインタビューも入っているが、その価値はこれでしか聴くことができない「Surf's Up」のカラオケにある。昔、「Child Is The Father Of The Man」と言われていた前奏のインスト部分から収録されていた。  これで様々な形でリリースされた『Smile』のカラオケは計7曲、今のうちに集めておこう。(佐野)
もうとっくに発売されたスマイルの DVD だが、LSL からの通販のみに2500枚限定のシリアル・ナンバー入りボーナス CD が付くので、それが届くのを待って一緒に紹介しようと思っていたら、LSLの配送ミス(ほぼ全員が遅れた)で、1カ月以上経った7月になってようやく届くハメになった。
まずこの DVD の紹介だが、1枚は『Smile』のライブ。小規模な会場に観客を入れて収録してあり、歌、ハーモニー、演奏共に完璧。このライブで初めて『Smile』を聴いたら、どれだけ感動したことだろう。満面の笑みを浮かべながら歌うブライアンがとても印象的だ。  そしてもう1枚がブライアンと『Smile』との関係を描いたドキュメンタリー『Beautiful Dreamer』である。このDVDは前半がブライアンがビーチ・ボーイズ時代に『Smile』を作りそして放棄するまでを、後半が現在の『Smile』を作ると決意してから実際のライブまでに至るまでのブライアンをカメラが追い続けた。  まず前半だが、当時の友人やスタジオ・ミュージシャン、そしてヴァン・ダイク・パークスの証言で浮かび上がったのは、今までのドラッグが原因でブライアンが『Smile』をほうり出してしまったという定説が誤りだったというだ。  ブライアンが誰よりもエネルギッシュに『Smile』に取り組み、かなり長い間、正常な状態で制作に没頭していた。しかしビーチ・ボーイズ抜きで作った『Smile』はメンバーに全面否定され、ビートルズとのクリエイティビティのトップ争いの中にいたブライアンは不安、苛立ち、焦燥に悩まされ、そして遂に断念してしまう。『Smile』放棄の原因はマイク・ラヴが (Smile』を) 嫌いだったからと、ブライアンは断言していた。全能のミュージシャンでありながら、自分の思うようにさせてくれないグループ、父親、レコード会社に、ブライアンは一人で闘い続けることはできなかった。  そして精神が崩壊してしまう。  後半は30年にも続いた長い鬱からようやく脱出できたブライアンが再び『Smile』へ挑むドキュメンタリーで、録画テープは50時間にも及んだという。  ヴァン・ダイク・パークスが再び呼び寄せられブライアンの自宅へ来た時のやり取りまで入っているのには驚かされた。ブライアンの自宅で行われた最初のリハーサルでのブライアンの苦悶の表情は見るのが辛い。ブライアンの心は常に病気を表裏一体で、いつ、また鬱に落ち込んでしまうかもしれない。ダリアンやバンドのメンバーの献身的な励ましと、リンダ夫人の的確なフォローで、ブライアンは過去の『Smile』への恐怖を乗り越えていく。  そしてロンドンでのプレミア・ライブ。『Smile』が終わった時の大喚声、スタンディング・オベーションで迎える観客の中にはポール・マッカートニーやジョージ・マーティンもいた。放心状態で座り込んでいたヴァン・ダイク・パークスの姿に誰もが感動を覚えただろう。  このDVDのブライアンの最後のコメント、「僕の中から悪魔が去った。とても癒された。」という言葉はあまりに重い。  この『Beautiful Dreamer』は『The Beach Boys An American Band』と並ぶ最高のドキュメンタリーになった。ブライアン自身が見て涙が出そうだったという迫真の真実が、その価値を高めている。ライブとドキュメンタリー、これだけ充実したDVDは他にはないだろう。  全ての音楽ファンなら必ず見るべき。  そして最後にLSLの限定CDだが、ブライアンの会話やインタビューも入っているが、その価値はこれでしか聴くことができない「Surf's Up」のカラオケにある。昔、「Child Is The Father Of The Man」と言われていた前奏のインスト部分から収録されていた。  これで様々な形でリリースされた『Smile』のカラオケは計7曲、今のうちに集めておこう。(佐野)



 




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