2003年12月2日火曜日

☆Tokens:『Intercourse』(ディスクユニオン/DR0002)

今、トーケンズを「 "ライオンは寝ている" のオールディーズ・グループ」という認識でしか見られないポップ・ミュージック・ファンは少なくなっているはずだ。
しかししばらく前まではほとんどの音楽ファンはこういう認識だったように思う。
ワーナーから『Portrait Of My Love』がリリースされ、ユニヴァーサルからも『Both Sides Now』と、トーケンズが洗練されたポップ・グループとしての実力を発揮した67年以降のアルバムがCD化されて、その巨大な氷河のような固定化された認識が溶けていった訳だが、何と言ってもその氷解の決定盤は、この未発表に終わった68年の『Intercourse』だった。
当時のワーナーは、コマーシャル性がないといったような理由でこのアルバムを発売拒否した訳だが、曲間をアカペラなどのジングルでつなぎ、美しいメロディ、考え抜かれたアレンジ、次々変わる巧みな展開、ソフト・ロックからヘヴィなR&Bまで、様々な表情を持つ曲が凝縮したプログレッシヴなポップ・アルバムが『Intercourse』だった。
まさにロック・レヴォリューションの時代にふさわしい傑作だったにもかかわらず、当時のワーナーのエクゼクティヴには理解が出来なかったし、トーケンズにそんな役割を望んでいなかった。
このアルバム、95年にトーケンズ自身の会社のB.T.Puppy よりひっそりとリリースされ、私はすぐに『ソフト・ロックA to Z』の名盤選に選んだのだが、このリリース以降、リスナーのトーケンズへの認識は大きく変わっていった。
ただ、自主レーベルからのリリースだったため、すぐに入手困難になり、以降新しいリスナーは聴く機会を持てなかっただけに、今回の再リリースは朗報である。
そして今回はメンバーのコメントが1曲ごとに付いているなど、前のリリースより充実している。
ポップ・ミュージック・ファンのマスト・バイ・アイテムである。(佐野)
INTERCOURSE -expanded edition- mono mix+stereo mix+bonus tracks


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