1996年8月27日火曜日

☆Tony Burrows : The Voice Of Tony Burrows (Varese Sarabande/5725)

信じられない!の一言を本 CD に送りたい。
というのもかつて本誌13号で取り上げたトニー・バロウズの歌った曲だけを集めたコンピレーションが本当に出てしまったからだ。なにしろトニー・バロウズはセッション・ヴォーカリストであり、歌った曲はヒットしても本人の名前で出したシングルではほとんどヒットせず、一般的にはほぼ無名に近いヴォーカリストだったからだ。
本誌の特集以降、レコード店での CD のキャプションにこの「トニー・バロウズ」の名前を見るようになったが、ソフト・ロックなどというムーブメントもないアメリカで、このようなコンピが出るとは...。そういえばこの会社の社長は「Melodies Goes On」のシリーズの大ファンだったそうで、日本からの影響と言う事も考えられる。さて、この CD の収録曲で驚かされたのはまずエジソン・ライトハウスのスウェーデン・オンリーのアルバム「Already(Bell/92556)にあの "Baby Take Me In Your Arms" が入っていたという事だ。それもトニー・マコウレイのプロデュースだ。ビートに乗って出来はいいが、これはサウンドにヴォリュームがあるジェファーソンの勝ち。また当時の日本盤のベスト・アルバム「Greatest Hits」に入っていた詳細不明の "In The Bad Bad Old Days" (Bell/45116)が実はトニー・バロウズのソロ名義のシングルという事も分かった。つまり総合してみるとこの日本盤のベストのみに収録されていた "Home Lovin' Man" や完全なソロの "United We Stand" を含め、これらはトニー・マコウレイのもとで製作され結局ボツになったトニー・バロウズの幻のソロ・アルバム用の曲だったのだろう。元々実態のないエジソン・ライトハウスのコンピに都合よくこれらの音源が使われたのではないか。この他では74年のTouch名義のシングル、75年のDomino名義のシングル、76年のトニー・バロウズ名義とMagic Featuring Tony Burrows名義のシングルが初登場、この内頭から3枚はアーノルド=マーティン=モローの作品なのも興味深い。どれもいい曲なのだが、ややキャッチーさに欠け、みなヒットにはなっていない。(佐野)
 



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