2019年3月31日日曜日

集団行動:『SUPER MUSIC』 (ビクター/VIZL-1553/VICL-65158)


ハイブリッドなロック・バンドとして知られる集団行動(しゅうだんこうどう)が、昨年2月のセカンドアルバム『充分未来』に続き、4月3日にサードアルバム『SUPER MUSIC』をリリースする。
相対性理論(以降理論)の初期メイン・コンポーザーだった真部脩一が17年1月に結成したこのバンドは、某出版社主宰のアイドル・オーディション・ファイナリストの齋藤里菜をヴォーカリストに迎えるという発想からまず興味を惹く。そして真部の盟友で元理論のドラマー、西浦謙助(mezcolanza(メスコランサ)等にも参加)が合流しバンドはスタートした。
セカンドアルバム・リリース後の昨年8月には、サポート・ベーシストで真部とはVampilliaで同僚のミッチーが正式加入し、現在の4人編成となっている。


理論時代から耳の肥えた音楽通に定評があった真部のソングライティングは、このバンドでもアルバムを重ねる毎にブラッシュアップしており、ナンセンスな歌詞に潜むキッチュな感覚は彼ならではで、追随するソングライターを引き離して唯一無二の“真部ワールド”を展開している。
アルバム先行で限定配信された「ティーチャー?」、「クライム・サスペンス」、「ザ・クレーター」の3曲にしても掴み所の無い独自の世界観を描いており、混沌としたこの平成下を締めくくるに相応しいアルバムなのかも知れない。
ここでは筆者が気になった主な収録曲を解説していこう。

冒頭のアルバム・タイトル曲「SUPER MUSIC」は、ライヴ映えする16ビートのファンキーなパワー・ポップで、齋藤の鼻に掛かったハスキーな声でリフレインされるタイトルが耳から離れない。
続くリード曲の「1999(イチキューキューキュー)」は、ギター・ポップ調の爽やかなメロディを持つバースとサビにサンドイッチされたブリッジが、真部ペンタトニック・スケール(「ふしぎデカルト」等)で歌われ、いいアクセントになっている。詩の世界観と共に曲の構成的にも非常に練られている。

「1999」

ハードなギターリフとタイトルの連呼が強烈なインパクトで迫る「皇居ランナー」もユニークな曲だ。歌詞とメロが同時に浮かんだとしか言えないこのラインにはアイディアには脱帽してしまったが、全体的にリズミックな歌詞のライム感も真部ならではというテクニックを見せている。
「クライム・サスペンス」は集団行動としては珍しいブギから始まり三連符で跳ねるモータウン風ビートが曲を駆り立てる。西浦とミッチーのリズム隊のコンビネーションの素晴らしさやハードボイルドな歌詞を齋藤がキュートに歌うギャップなど聴きどころが多い。

「クライム・サスペンス」

「ザ・クレーター」はUKギター・ポップ好きにはたまらないサウンドで、刹那的で映像が浮かぶ歌詞(新海誠監督の『君の名は』へのオマージュか?)と、性急的なギターのカッティングとアルペジオが実にマッチしている。全体のアレンジ構成的にも緩急あるドラマティックな展開で、筆者的にも本アルバム中ベスト・トラックである。

「ザ・クレーター」

ラストの「チグリス・リバー」は、ネイティブなパーカッション(ロータム?)・パターンにメンバー全員の荘厳なユニゾンのコーラスが乗るというもので、収録曲のどのイメージからも裏切られるサウンドが真部をはじめとする彼等らしいアルバムの着地点ではないか。
またこの曲のイメージは、アルバム・ジャケットで見せるフォトジェニックな齋藤のヘアスタイルや衣装に通じるオリエンタルなムードがあって興味は尽きない。
なお初回限定盤は、ファーストとセカンドからセレクトされた6曲と、未発表曲「タイムリミット」のデモ音源を収録した別CDがセットとなった2枚組なので、初めて彼等に触れる音楽ファンには大いにお勧めするのでチェックして欲しい。

初回限定盤(VICL-65158)
(ウチタカヒデ)

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