2018年8月11日土曜日

hajimepop:『Good-Melody Records』 (GMRD-0002/STEREO) リリース・インタビュー


















シンガー・ソングライターのhajimepopが、ファースト・アルバム『Good-Melody Records』を5月31日にリリースした。
07年に「hajimepop」名義でSNS上にてデモ音源を発表することで音楽活動をスタートした。同時期Sony Musicのプロジェクトで出会った作曲家の仁科亜弓達と共に、クラブ系ユニット「Btype Qualia」を結成し、12年にはサマーソニック出演を果たすまでになる。同年にはソロとして配信アルバム『Melodies』をリリースする。
その後は、平山大介(invisible manners)と武藤直哉によるファンク・ユニット「ネンドウズ」にヴォーカリストとして参加、更にジャミーメローのナカムラタカノリとポップ追求型・作曲ユニット「パグトーンズ」を結成している。
その他彼はアーティストのバック・コーラスとしてレコーディングへの参加や劇伴の作曲、CMでの歌唱なども行なっているのでどこかでその声を耳にしているかも知れない。
ここでは、VANDA監修書籍の愛読者で筆者とも交流のある彼に『Good-Melody Records』について聞いてみた。


●仲間内のミュージシャン達の間ではいつ出るの?いつ出るんだ?という感じでしたが、満を持してのファースト・アルバムのリリースについての率直な感想を聞かせて下さい。

hajimepop(以下H):はい、とても時間が掛かってしまいました(笑)。 "Special Thanks" には、とても書ききれなかったんですけど、個人の感慨よりも「皆さんのお陰です!」という気持ちが大きいですね。まだ小規模リリースながら予想以上の反応を頂いているので、とてもありがたく思っています。

12年に、それまでに溜まったデモ音源をブラッシュアップした配信アルバムを出したんですが、それ以降の4年くらいは病気で体調を崩して、自分の音楽にも全く自信が持てないような精神状態になっていました。このアルバムに4曲収録しているパグトーンズのCDをリリースする話もあったんですけど、僕のそういった問題で流れてしまって。

●アルバム作りでは多くのミュージシャンや音楽関係者の手助けもあったとか。

H:そうなんです。今回、制作などで関わってくれたジャミーメロー(ナカムラタカノリとMEMIcreamによるエレクトロ・ユニット)の二人には、精神面や音楽的なフィジカル面でかなり助けてもらいました。MEMIちゃんは歌唱だけでなく、かなり凝ったジャケットとパッケージのアート・ワークも担当してくれました。 

そして、いつもデモを聴いて意見をくれた友人、今作にコメントをくださったエンジニア/プロデューサーの寺田康彦さんと森達彦さん、その他の音楽家の皆さんにも大変お世話になりました。
また、ネットで気に入ってくださって「CDは出ないの?」と声を掛けてくれた方々にも。やっと皆さんに届けられて嬉しいです。

●hajime君の人柄が滲み出ているコメントですね(笑)。リスナーの方々からの声ほど励みになることはないですよね?

H:ここ2年くらい、人生で一番体調が良いと思っているんですけど(笑)、そういった方々の存在が本当に大きかったですね。「自分が良いと思っているメロディは、本当は全然良くないんじゃないか?」と疑っていた時期が長かったので。 
それと、1年前からピアノの弾き語りを始めたんですが(8月16日には岩本町Eggmanに出演)、作り込んだ音源とのギャップが大きいので、そこを埋めてライブでも楽しんで頂けるようになるのが当面の目標です。



●アルバム・コンセプトは「架空のレコード・ショップ」をイメージしたそうですが、具体的に説明して下さい。

H:先ほど少し話に出た、パグトーンズ(ナカムラタカノリとのユニット)のアルバムを制作する予定だったんですけど、僕個人のSoundCloudでソロの曲を好きになってくれる人も増えてきて、「ソフトロック風のhajimepopも、シティポップ寄りのパグトーンズの曲も混ぜてしまおう」と考えました。
その時点で様々なサウンドの曲が揃っていたので、『架空のレコード・ショップの店主がセレクトした (仮想)コンピレーション・アルバム』というコンセプトが、既に浮かんでいました。であれば、ジャミーメローがカヴァーしてくれた僕の曲「マシンガントーカー 」も入れたら多様性があって面白いかな、と。

"架空のレコード・ショップ" のモデルは、現在タワーレコード渋谷店・5階にある「パイドパイパーハウス」で、"店主" は長門芳郎さんのイメージです。 でも最近気づいたんですけど、土橋一夫さんと長門さんのラジオ番組『ようこそ夢街名曲堂へ!』も全く同じ設定なんですよね。
6月の末に、その番組で長門さんが「Dear Brian」を掛けてくださって大感激だったんですが、そのとき初めて番組のオープニングを聴いて、文言までそっくりなので冷や汗がダラーっと出ました。それまでradikoプレミアムにしてなかったんで…という言い訳を(笑)。 

●「Dear Brian」は僕も初めてデモ(当時「God made him write」というタイトルだった)を聴かせてもらった時から素晴らしい曲だと思いました。『ザ・ビーチ・ボーイズ・コンプリート revised edition』(佐野邦彦氏監修/12年)を愛読して、ブライアン・ウィルソンの熱烈なファンであるhajime君として、この曲を作った経緯を教えて下さい。

H:あの本はバイブルになっていて、今も何かとお世話になっています。 曲名はクリス・レインボウから拝借してしまったわけですが…(笑)。 ブライアンを描いた映画『ラブ&マーシー』(15年公開)を観て、途轍もなく感動して「これは曲を書かねば!」と、一週間くらいで現状に近いデモを作りました。 文献レベルで知っていたことが軒並み映像化されていたんで、興奮しましたね…。でもメリンダとの話は殆ど知らなくて。歌詞は二人のことがテーマになっています。

Bメロの転調は、自分の作った曲の中でも「上手く書けた!」と気に入っています。サビ直前のメロディは何となく(ペット・サウンズ収録の)「Don't Talk」ぽいな、とニンマリしていたんですけど、この辺りは細か過ぎて伝わらないかもしれません(笑)。 フィル・スペクターとかナイアガラっぽいと言われることがあったんで、最後の最後でカスタネットを加えました。

●レコーディングの期間を教えて下さい。またレコーディング中のエピソードをお聞かせ下さい。

H:「ここ5年間のベスト・アルバム」と言えば解りやすいかもしれません。一番古い曲はパグトーンズの「Happy Sleep」で、13年の年末くらいにデモが出来ていました。 この後にリズムを組み直したり、シンセを差し替えたりして、ディスコ寄りのアレンジにしています。武藤直哉さんのファンキー・ベースは寺田さんも絶賛されていました。
他は今年の4月くらいまでにレコーディングしたもので、「Happy Sleep」以外のパグトーンズの3曲は、CDプレス直前まで作業していて、かなりテンパってましたね(笑)。


 左から武藤直哉、hajimepop、仁科亜弓、ナカムラタカノリ


●「Happy Sleep」での元Clownfish武藤君のプレイは大きいですね。この手のファンクでは音数を削ぐ傾向のアレンジが多いけど、ナカムラ君のギターが妙に主張していて面白いですよ。
他の曲ではどうですか?

H:「半額のカニちらし」では、作曲家でトイミュージック演奏家の仁科亜弓さんにトイピアノを弾いてもらいました。が、予想していたものと全然違う感じのテイクが来て、かなり盛り上がりました。トラックは一人で作り込んだものなのですが、彼女の演奏が加わっただけで曲全体が遊園地のようにキラキラしてきて。 
パグトーンズもそうなんですけど、(ナカムラ)タカノリ君のギターが乗ると、自分のイメージを軽く超えて感動できるというか…10曲目の「Mellow Jam」(Spotify、Apple Musicなどで配信中)はその最たるもので、これはもうコラボレーションの楽しさですね。 
タカノリ君とはルーツで被っている所があまり無いんですが、とにかく引き出しが多い。マジカル且つカラフルで、僕の大好きなやつなんです(笑)。 さっきの「Happy Sleep」にしても、たぶん彼があまり通ってないジャンルで、「おぉ、こう来るのか!」って感じで新鮮でした。

レコーディング終盤のバラード「Right by Your Side」では、音数をかなり抑えたギターで泣かせてくれます。 この曲、トラック数が多くなり過ぎていたせいか、あるとき曲のプロジェクト・ファイル自体が開かなくなってしまって、作業が続けられず「終わった…」と諦めかけたんですが、奇跡的に何とかやり切りました(笑)。一番好きな曲だと言ってくれる人が多いので、収録できて良かったです。
その他、オープニングを飾るエレクトロニカ的な「Galaxy」では、女性シンガーの碧(みどり)さんのユニット・Fluffy Toy Boxがコーラスを、「RARA Song」はインドネシア人の友達 Joph(ジョップ)と、詞・曲ともに共作しました。

●Jophと出会ったきっかけやどんなミュージシャンなのか教えて下さい。

H:Jophとはインターネットで、JellyfishやThe Sonic Executive Session好きのサークルで繋がりました。その後の彼は AKB48にハマって、いつのまにか日本語を話せるようになっていました(笑)。バンドでベースを弾いたりもしながら、現地のインディー・レーベルでスタッフとして関わっていたようです。日本でも人気のikkubaruのギター・ヴォーカルのイッ君とはご近所友達で、よく遊んでいます。
80年代のシティポップやアイドル、90年代の渋谷系、最近の日本のバンドも… 大体は僕より詳しいですね(笑)。 WebVANDAでお馴染みのアーティストの中ではLamp、microstar、ウワノソラ、その他ではシンリズムなどを特に熱心に聴いています。 5月に彼が来日したときは、Lampの染谷さんに会えてとても感激していました。日本とインドネシアの架け橋になってくれる気がしています。



●Jophは日本の音楽贔屓なんですね。今後も彼の活躍に期待しますよ。
「マシンガントーカー」のリメイクでは、ジャミーメローのMEMIさんのヴォーカルをフィーチャーしていますが、以前のヴァージョンからこの曲が持つモータウン(ジャクソン5)的ムードに非常に合っていると思いました。この曲のレコーディング中のエピソードはないでしょうか?

H:トラック自体は、16年にリリースされたジャミ―メローのアルバム『左右』に収録されたものと同じですが、今回は他の曲に合わせて、マスタリングの段階でだいぶバランスを変えています。
実は、僕が歌う元のヴァージョンだと、コードが4つしか出てこないんです。有名曲で言うとミニ・リパートンの「Lovin’ You」とか、サイモン&ガーファンクル「59番街橋の歌」のアレ(所謂 ”4・3・2・1”)です。 そのコード進行のトラックを流しながら、RBを意識しつつ自由にメロディを作っていった曲でした。
ですから、MEMIちゃんがこの曲をカヴァーしたいと言ったときは驚きました。作った僕でさえ歌いづらいメロディなので、「歌えるの?」って(笑)。
でも彼女のウィスパー・ヴォイスが凄く良い感じでしたね。タカノリ君のアレンジも、テンション・コードを入れてジャズっぽくしたり、ファンキーなセクションを入れたりで、渋谷系寄りのかなりお洒落なガールポップになりました。 ちなみにブラスのサンプルは、(仁科)亜弓さんと同じくBtype Qualiaで一緒のアベちゃん(阿部道子)が手掛けたもので、「オザケンの『LIFE』みたいな雰囲気に出来る?」なんて言いながら、作ってもらいました。


(左から hajimepop、MEMIcream)



(「マシンガントーカー」オリジナルVer)

●リリースに合わせたライブ・イベントがあればお知らせ下さい。

H:リリースに関連したライブは無いんですけども、全国発売時には何か出来ればと考えています。 それと…まだお伝えできないのですが、あるダンス系トラックメーカーの楽曲のフィーチャリングで、ヴォーカリストとして参加しました。岡村靖幸や筒美京平を思わせる良い曲なので、そのCDのリリース情報も追ってお伝えしたいです。

●では最後にこのアルバムのピーアールをお願いします。

H:ソフトロックやシティポップ、エレクトロニカや渋谷系など音楽好きな皆さんは勿論、普段はJ-POPしか聴かないという方々にも、聴きやすいポップ・アルバムになったんじゃないかと思っています。カラフルなサウンドと、タイトル通りのグッド・メロディに拘った作品です。
友人の協力によって海外で気に入ってくれている方も増えているので、より多くの方々に聴いて頂けたらなぁ、と思っています。

今のところ、タワーレコードの渋谷店(3階・5階パイドパイパーハウス)と新宿店、ヴィレッジヴァンガード渋谷本店で発売中です。 まだ全国発売になっていないのですが、オンラインストアでも販売しています。現在、パイドパイパーハウスでは試聴機に入れて頂いていますので、お立ち寄りの際には是非よろしくお願いします。

オンラインストア
https://good-melody.stores.jp/items/5b28942d50bbc326570003fd

(インタビュー設問作成/文:ウチタカヒデ)

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