2012年5月27日日曜日

☆EMIミュージックジャパンよりサーフィン&ホットロッドの名盤10枚リイシュー

ビーチ・ボーイズ・リユニオンに合わせ、本家本元のEMIミュージックが、キャピトル/リバティ音源の、ビーチ・ボーイズと同時期に活躍したジャン&ディーンやファンタスティック・バギーズなどのCD10タイトル、リリースした。

まずジャン&ディーンは6タイトル。ジャン&ディーンは書きだすと長くなるのでブライアンがらみだけで紹介しよう。『Take Linda Surfin'(71302)と『Drag City(71304)にはビーチ・ボーイズがバッキングとコーラスを担当した「Surfin'」「Surfin' Safari」と「Little Deuce Coupe」が収録されていて、ビーチ・ボーイズのヴァージョンを聴いているかのようで要注目。『Drag City』には他にブライアンが書いた曲が3曲あり、まず全米10位となったポップな「Drag City」、そしてリフを生かしたホットロッドの快作「Surf Route 101」があり、さらにブライアンとゲイリー・アッシャーがコーラスを付けた「Dead Man's Curve」が収録されていた。「Dead Man's Curve」はシンプルなバッキングが功を奏し非常にいい出来だが、後にジャン&ディーンはブライアンらのコーラスを自分たちのコーラスに差し替え、SEなどを追加してシングル・カット、8位とヒットにするが、出来は明らかにこのアルバム・ヴァージョンが上だった。ちなみにジャン&ディーンのブライアンがらみの曲ばかりで構成したCD『Take Brian Surfin'』以前リリースされていたが、残念ながら「Dead Man's Curve」はシングル・ヴァージョンだった。このシングルの「Dead Man's Curve」は、ブライアンが「Gonna Hustle You」のタイトルで曲を書いたものの内容が卑猥だというので歌詞を変えた「The New Girl In School」とカップリングでリリースし、こちらも37位とヒット、2曲とも『Dead Man's Curve/The New Girl In School』(71305)に収められた。ブライアンが書いた最初のナンバー1ソング「Surf City」はスタジオに遊びに来ていたジャン&ディーンにせがまれブライアンがプレゼントした曲だったが、同じくブライアンが書いた「She's My Summer Girl」と共に『Surf City』(71303)に収められている。さらにブライアンが書いた快作であるシングル「Ride The Wild Surf」は16位とヒットとなり、「Catch A Wave」の歌詞を変えた「Sidewalk Surfin'」と、「Surfin' Wild」なるブライアンのいかにもやっつけ仕事の曲と共に『Ride The Wild Surf(71306)に収録されている。なおこのアルバムにはイエロー・バルーンのゲイリー・ゼクリー作「The Restless Surfer」も収録されているのでここにも注目して欲しい。もう1枚、『The Little Old Lady From Pasadena』(71307)にはブライアンが書いた「Move Out Little Mustang」や前述の「Sidewalk Surfin'」が収められている。

Shut Down』(71301)はビーチ・ボーイズの「Shut Down」「409」をはじめスーパー・ストックスやチアーズなどの曲を入れたホットロッドのコンピレーション・アルバムで、このアルバムが先行していたので、ビーチ・ボーイズのアルバムが『Shut Down Vol.2』になった経緯がある。本盤収録の「Shut Down」はイントロにカーレースの豪快なエキゾースト・ノートが被り、いつものヴァージョンより数段カッコいい。ちなみに本盤はモノながら「409」は通常の長さ。オリジナルモノLP盤『Shut Down』収録の「409」は10秒近くロング・ヴァージョンだったが、今は『Good Vibrations Box』で聴ける。スーパー・ストックスの4曲は本盤のみ収録のもの。
そのゲイリー・アッシャー率いるスーパー・ストックスはサーフィン&ホットロッド・ファンに根強い人気があるグループ。『Surf Route 101』(71308)のタイトル曲はブライアンの曲だが、同タイトルながらジャン&ディーンで紹介した曲とは違いずっとポップな仕上がりだった。他のブライアン作はフランキー・アヴァロンが歌ったタフな「Muscle Beach Party」があり、変わったメロディラインを持つ「My First Love」はこのアルバム以外で聴くことはできない。なおスーパー・ストックスの残り2枚のアルバムは第2期でまとめてリリースされる。蛇足だが、このジャケット、オリジナルはオマケのシングルがくっついていたのでそこがポケットになっているのでジャケットの絵はかなり欠けていた。今から20年くらい前にM&Mというリイシューメーカーがあり、そこの担当者がこの欠けた部分をデザイナーに依頼してコンピューターで欠けた部分を想像で補ってジャケットを作っていた。そのジャケットがその後、延々と使われているのは面白い。
名ソングライティング・チームのフィル・スローンとスティーブ・バリが自作自演で勝負していたのがファンタスティック・バギーズ、唯一のアルバム『Tell 'Em I'm Surfin'(71309)は名盤として名高いので知らない人はいないだろう。当時はヒットしなかったが、メロディが流麗で、スカが非常に多いサーフィン&ホットロッドのアルバムで光り輝いていた。少し残念なのはシングルのみの曲は非常に出来がいいので収録して欲しかったが...内容的にはこの10枚のリイシューでベストだろう。。残る1枚は64年に制作し66年に公開されたサーフィンのドキュメンタリー映画「エンドレス・サマー」のサウンドトラックであるサーフ・インスト・グループのサンダルスの『The Endless Summer』(71310)である。
なお、このシリーズは999円と激安。(佐野)


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