2011年11月13日日曜日

ツチヤニボンド:『2』(Analog Pants/004)


土屋貴雅による音楽プロジェクトであるツチヤニボンドが、2007年のデビュー・アルバム『ツチヤニボンド』から4年振りとなる2ndアルバム『2』をリリースした。
そのエクスペリメンタルな音像は手法的にこれまでになかった訳ではないが、日本語ロックとの融合という点では群を抜いて面白い存在であるので紹介したい。

2007年のファーストで、ミルトン・ナシメントの様なファルセットで歌われるオルタナティヴ・ロックという極めて得意な存在感から、「トロピカリズム+はっぴいえんど」とまで称された彼らだが、今作では更に深化したサウンドにより唯一無二の存在となったといえる。
先行リリースされていたシングル「おとなりさん(OTONARISAN)」におけるイントロのアラブ音楽の様な響きや70年代末期ニューウェイヴ・サウンドを彷彿させるエフェクト処理、「メタルポジション」でのローファイ・フィルターを通したリズム・トラック(タイトルとのアンビバレンツさがニクい)と、前作以上にエンジニアリングに徹頭徹尾拘っているのがこの2曲でも理解できる筈である。
特にこの「メタルポジション」の作曲スタイルには、カーティス・メイフィールドなどニュー・ソウルにも通じる感覚も聴き逃さないで欲しい。
今作のリードトラックとなっている「花子はパンク」でも、イントロのキーボードの無国籍なスケール感覚、バースでのディレイをかましたヴォーカルとリズム・セクションとのタイム感がずれていく気持ちよさ、ポリスにも通じるスリー・リズムのタイトなブレークなど聴きどころは多い。
楽曲として個人的に最も惹かれたのは「夜になるまでまって」だろう。黄昏のダブロックというべきこのバラードは多くの音楽ファンに強くお勧めしたい、後年に残る名曲だと確信する。
ただそのサウンドに身を委ねて欲しい。



アルバム全体に感じるのは、エクスペリメンタルという言葉が一番しっくりくるかも知れない。
90年代にプロデューサーのミッチェル・フルームとエンジニアのチャド・ブレイクが手掛けた諸作、ロス・ロボスの『Kiko』(92年)や『Colossal Head』(96年)、そこから派生したユニット、ラテン・プレイボーイズの同名アルバム(94年)、フルームのソロ作『Dopamine』(98年)のサウンドを当時熱中して聴いた筆者にとっては最高の音の贈り物となってしまった。
(ウチタカヒデ)

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