2009年12月25日金曜日

Ray Davies:『The Kinks Choral Collection (including Postcard From London)』(Universal/2724050)

以前紹介したCDのリニューアル版だが、冒頭に「Postcard From London」という超弩級の新曲の名曲が入り、一気に価値が高まった。
キンクスファンなら絶対購入すべき、マストバイアイテムである。メロディもサウンドも歌詞も感動的なこの曲だが、冒頭が女性ヴォーカルなので誰かと思いきや、クリッシー・ハインドではないか!かつてレイ・デービスの恋人で、彼女と一緒に居たかったから、キンクスがプリテンダースと共にやってきて、夢かと思った初来日が実現したのである。私はそこで聴いた即興の「Tokyo」という曲で、「ガールフレンドと一緒に来た」とはっきりと公言して歌ったレイ・デービスは逆にカッコよかったが、その後、別れて、そうしてまた一緒に歌う、なんとも感動的である。とにかく聴いて欲しい。(佐野)
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2009年12月21日月曜日

MUSIC FILE新春放談2010 宮治淳一&濱田高志&佐野邦彦(2010/1/1)

MUSIC FILE新春放談2010  宮治淳一&濱田高志&佐野邦彦

 (2010/1/1放送)

 
(濱田高志セレクション)

 1.DI-GUE-DING-DING...MCHEL LEGRAND

 2.VIVA...MARY ROOS

 
(佐野邦彦セレクション)

 3.LET HIM GO LITTLE HEART...PATTY & THE EMBLEMS

 4.MELODY FAIR (Alternate Mix)...THE BEE GEES

 
(宮治淳一セレクション)

 5.HIT PARADE...WERNER MULLER ORCHESTRA

 6.BACK IN THE USA...CHUCK BERRY


2009年12月18日金曜日

Radio VANDA 第117回放送リスト(2010/1/07)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。



特集:日本のレアカバー集

ゲスト:鈴木英之さん

1.クリムゾンキングの宮殿 / あいざき進也

2.エピタフ / ザ・ピーナッツ

3.プリーズ・プリーズ・ミー / スパイダース

4.ロックンロールミュージック / スパイダース

5.タルカス / 国分弘子

6.サティスファクション / スパイダース

7.セット・ミー・フリー / スパイダース

8.ルック・ホワット・ユーヴ・ダン / アグネス・チャン

9.ブルー・スエード・シューズ / 加山雄三

10.エピタフ / 西城秀樹





2009年12月9日水曜日

☆Various:『Hope For The Holidays』(JDRF)

チェックが甘く「Endless Summer Quarterly」が届いて初めてそのリリースを知ったマイク&ブルースの「ビーチ・ボーイズ」が参加したクリスマス・アルバムがこれ。遅くなってしまって申し訳ない。このCDは「Juvenile Diabetes Research Foundation」へのチャリティ・アルバムで、マイク・ラブ&ブルース・ジョンストンの「ビーチ・ボーイズ」、クリーデンス・クリアーウォーター・リヴィジテッド、ジョン・アンダーソン、ウィーザーらが参加している。
まずマイクは2006年にインターネット配信のみで配信した自作のシングル「Santa's Goin' To Kokomo」を、ブルースもコーラスで参加しているのでビーチ・ボーイズとして収録している。「Kokomo」のフレーズを使った、いかにも商売の匂いが漂うマイクらしい曲で、「ビーチ・ボーイズ」の一員となった息子のクリスチャン・ラブを初め、Ambha(発音分からず)ラブも参加し、ラブ一家総出の代物だ。この「ビーチ・ボーイズ」は商標登録されていることをいいことにメンバーのRandell Kirschと、カウシルズのメンバーだったジョン・カウシルのソロ曲も「...of The Beach Boys」で収録している。いいのか!でもこの二人の曲はそれぞれのオリジナルで、マイクの曲よりはずっと出来がいい。Randell Kirschの「Christmas Love」はフォークタッチのシンプルなサウンドだがハーモニーは精緻で気品がある。ジョン・カウシルの「Christmastime」は兄弟のボブ・カウシルとマリー・カウシル(誰?)の曲で、メロディもハーモニーも美しく実に見事、これぞクリスマス・ソングという出来だ。リード・ヴォーカルはスーザンで、ポール・カウシルも入り、この懐かしい面々が健在ということを示してくれた。マイクとクリスチャンの親子はDr.Lawrenve Davis3人でDavisのオリジナル「Peace And Love」に参加、明らかにマイクと分かるバックコーラスを聴かせていた。曲自体はいい出来だ。冒頭の「Closing Of The Year」でもこの親子の名前がクレジットされているが、こちらはどこにいるのかよく分からない。その他ではCreedence Clearwater Revisitedの「Run Rudolph Run」にビックリだ。おお、ジョン・フォガティのリード・ヴォーカルだ、サウンドもCCRそのものでいいじゃないかと思ってクレジットを良く見るとリード・ヴォーカルはJohn Tristaoなる人物、声から歌いまわしまでそっくりじゃないか!逆にこりゃすげえなと思ってしまった。よく見るとRevivalじゃなくRevisitedだ。スチュとダグのリズム隊二人がいるのでサウンドはまったく変わらない。あとイエスのジョン・アンダーソンの「O Holy Night」だが、往年とまったく変わらないジョンのハイトーンで透明感のある歌声を堪能させてくれた。イエス、好きだったなあ。「危機」までは夢中で聴いていたもの。という訳で買う価値はある。(佐野)





 


2009年11月20日金曜日

Radio VANDA 第116回放送リスト(2009/12/3)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


特集:Arnold.Martin,Morrow


1.Don't You Know...Butterscotch('70)

 2.In This World Of Loving You(...Butterscotch('70)'

 3.Cow...Butterscotch('70)

 4.Things I Do For You...Butterscotch('70)

 5.All On A Summer's Day...Butterscotch('71)

 6.It's Up To You Petula...Edison Lighthouse('71)

 7.That's Julie All Over...Edison Lighthouse('71)

 8.Who In The World...Arnold,Martin,Morrow('71)

 9.I Believe In You...Arnold,Martin,Morrow('71)

 10.Is It Yes Or No...Arnold,Martin,Morrow('72)

 11.Tomorrow's Song...Arnold,Martin,Morrow('74)

 12.Have You Had A Little Happiness Lately...Tony Burrows'('74)

 13.What Ya Gonna Do About Him...Tony Burrows('76)

 14.Look At Us...Original Cast('76)

 15. The Closer To You...Edison Lighthouse ('71)




2009年11月11日水曜日

フラッシュバックあの人:『摩天楼と、蜃気楼』(Coa records/COAR-0055)

 

以前紹介したfrenesiの『キュプラ』を手掛けたプロデューサーの山口洋輔と、Terry&Francisco(テリー・アンド・フランシスコ)のメンバーとして活動中のヴォーカリストの福山輝彦によるポップス・ユニット"フラッシュバックあの人"が、ファーストアルバム『摩天楼と、蜃気楼』をリリースした。 21世紀型のシティポップとしての可能性はもとより、新人離れしたソングライティング・センスは注目に値するクオリティなので、拘り派のポップス・ファンは是非入手して聴いて欲しい。 

彼らは共にソングライティング(歌詞は福山のみ)を担当し、アレンジ及び各種楽器の演奏とプログラミングを山口、ヴォーカルとコーラスのパートを福山が各々受け持ち、合理的役割分担によって、このユニットを構成している。 サウンド的には(例:「恋する惑星」)、プログラミングされたドラムトラックのスネアとキックは、意図的にアタック感を殺し、ハイハットのデイケイもカットするという、まるでヒップホップのそれを思わせ、リミッターを極端に効かせたアコギの刻み(マイキングもかなり接近している)の方が高域ではハイハットより抜けている。また硬質なスラップのアクセントが入る饒舌なベースや、独特なうねりのグルーヴを生んでいるウーリッツアーの刻みなど、細部に渡るビザールな音作りには感心するばかり。
一方、福山のヴォーカルは正統派といったらいいだろうか、バラード系の曲で聴かせるファルセットや独特のこぶしは山下達郎を彷彿させ、シンガーソングライター系にありがちな、所謂"アジ"で逃げるというような、プロ意識の低さを微塵も感じさない安定感を誇っている。つまりその歌唱力は説得力を生み、サウンドの完成度を更に高めている。 

収録曲10曲中2曲は、四つ打ちのキックと八分刻みのベースライン(「「Witch Tai To」~「風の回廊」的)のコンビネーションが面白い、シュガー・ベイブの「DOWN TOWN」(『SONGS』(75年)収録)と、ニュージャックスイング風のリズムトラックで仕上げた、小沢健二の「さよならなんて云えないよ」(95年)のカバー曲であり、原曲を換骨奪胎なアレンジで解釈した感覚には脱帽してしまう。 とはいえ、話題先行的な以上のカバー曲より、個人的にはオリジナル曲のクオリティの高さに興味がいってしまう。アルゾ&ユーディーンの現代的解釈といった「恋する惑星」、タイトなヤングソウルの「夜街チェイス」。「Shooting star」から「シルクロードロマンス」の流れのメロウネスもたまらなく好きだ。「Shooting star」はライトリスナーにも長く聴ける普遍性を持っているし、このユニットの処女作(とは思えない)らしい「シルクロードロマンス」の完成度の高さは、アルバム随一じゃないか。まるでドン・ブラックマンやエリック・タッグが、東横線沿線の団地の一室で、ユーラシア大陸横断を舞台に不毛の恋愛を綴った、宅録ライトメロウ・ソウルの傑作だ。本当に掛け値無しに素晴らしい。



アルバム全体的なイメージとして例えるなら、最近紹介した、流線形と比屋定篤子の『ナチュラル・ウーマン』が、音楽通のミドルクラスが、陽の当たるリビングのスピーカーで聴くシティポップなら、今回の『摩天楼と、蜃気楼』は、拘り派の理系ピープルが、書斎の高性能PCで音源を取り込み、プリアンプを通してヘッドホン(MDR-CD900)で聴いている様なシティポップだろう。 とにかく、いい曲を探しているポップス・ファンを虜にするのは間違いない。
(ウチタカヒデ)


2009年10月27日火曜日

流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.2



流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.1からの続き

ウチタカヒデ(以下U):大貫妙子さんの「何もいらない」(『Sunshower』(77年)収録)のカバーは、オリジナルのクロスオーバー~AOR系サウンドを大切にしたアレンジですね。 因みに、シングル『君の住む街にとんで行きたい』(97年)のカップリングで大貫さんの「街」(『Grey skies』(76年)収録)をカバーされていたことで、瀧口さんは比屋定さんを知るきっかけにもなったということですが、この選曲には彼女の意向もあるのでしょうか?


クニモンド瀧口(以下T):比屋定さんは大貫さんのものまねが得意なんですよ(笑)。普通に歌うとそっくりになってしまうので、この曲は大変でしたね。まぁ、やっぱり似てしまうんですが。 この曲は僕のリクエストでした。『Sunshower』の中で一番好きなんですよ。 言葉が少なかったり、スリリングなアレンジだったり、グルーヴ感があったり、飽きない曲なんですよね。それを自分でやったらどうかな?ということでやってみました。

U:声質の系統が大貫さんと近いんでしょうね。天性の才能だと思います。 今回のカバー・ナンバーの中で異色なのが、八神純子さんの「サマーインサマー ~想い出は、素肌に焼いて~」(82年)だと思うんですが、瀧口さんご自身、思い入れがあるのでしょうか? またオリジナルでは80年代初期のロック・テイスト(ギターは松原正樹、ベースは後藤次利だったかな?)を持ちつつ洗練されたサウンドでしたが、ここではアニー・アイズレー風のリードギターを配しつつ、よりシティポップ的なサウンドにアダプトしていますね? 

T:JAL82年沖縄キャンペーンソングということで(笑)。この曲、当時大好きだったんですよ。 曲もいいんですが、山川啓介さんの歌詞が素晴らしいな〜と。 オリジナルは歌謡曲なんですが(でも、ベースのグルーヴとか凄いですけど)、それをもう少しバンドサウンドにした感じですかね。八神純子さんは素晴らしいシンガーだと思うんですが、比屋定さんがこの曲を歌ったらどんな感じになるんだろう?という実験もありましたね。

U:瀧口さん十代の思い出の曲なんですね。八神さんはメディアへの露出のせいなのか歌謡曲という文脈で語られがちですが、「ポーラースター」や「Mr.ブルー ~私の地球~」など、歌唱力を武器にして後世に残る名曲が多かったですね。 次にオリジナル曲について。アルバムのトップを飾る「ムーンライト・イヴニング」ですが、私個人的にはアルバム中最も好きな曲です(笑)。Dr. Buzzard's Original Savannah Band~サディスティックス(今井裕)的なサウンドが溜まりせんね。この素晴らしいチャーリー・カレロ風のホーン・スコアは瀧口さんが一人で書いたのですか?

T:ウチさんのために作りました(笑)。今井裕さん解釈のDr. Buzzard's Original Savannah Bandの部分と、Elbow Bones & The Racketeersの「Night In New York」(『New York At Down』(83年)収録)のモチーフから作りました。もともとは違うアレンジで存在していた曲なんですが、その時のアレンジがMizel Brothersみたいな感じだったので、大きく変えましたね。 ホーンアレンジは、イメージを伝えてヤマカミさんと島(裕介)君にお願いしました。いい感じになったと思います。今井裕さんの「Cool Evening」(同名アルバム(77年)収録)が目標だったので(笑)、スチールパンも最初から入れる予定でした。 歌詞は安井かずみさん目指したんですけど(笑)。



U:リップサービスとはいえ、恐縮です(笑)。Savannah Bandのオーガスト・ダーネル(=キッド・クレオール)がプロデュースした「Night In New York」もモチーフの一つだったんだ! 大好きな曲です。BPMやリズムトラックの感じは異なるけど納得ですよ。 今回の「ムーンライト・イヴニング」も、多重録音による木管と金管のコントラストが肝ですね。「Cool Evening」のプロトタイプ的な、「Far away(熱い風)」(『SADISTICS』(77年)収録)にも顕著に現れていますが、グレン・ミラーのホーン・アンサンブルをサルソウルでやってしまった感覚にクラクラします。音楽の桃源郷とはこのことですね。 あと歌詞の世界も独特で、なんというか情緒を排除してドライな感じ。舞台はマイアミあたりで、リキュールを小道具に、勝ち気な女性が恋の駆け引きを楽しんでいるみたいな、安井かずみしているパンチラインも見え隠れしていますよ(笑)。 「あたらしい日々に」では、荒井由美時代のユーミン・サウンドの様なエバーグリーンさを感じますが、曲作りやアレンジで特に意識されたポイントは? 

T:ある企業からBGMをお願いされた時にオケを作ったのがこの曲なんです。 ラテンのリズムで作っていたので、比屋定さんの歌を何となく意識して作っていました。今回の制作が始まってから、NOVOと、ユーミンのイメージで仕上げた感じです。ソフトロック好きなところが少し出せたんじゃないかと(笑)。アウトロのフルートはBobbi Humphreyを意識してもらいました。

U:そうか、NOVOだと「白い森」(シングル・ヴァージョン(73年))かな。「やさしさに包まれたなら」(『MISSLIM』(74年)収録)は直ぐに分かったけど、ボッサのリズムを基調にして、グロッケンがトップで鳴っていたりと完璧な和製ソフトロックですよ。アウトロのBobbi Humphrey風のフルート・ソロは、「Blacks and Blues」(同名アルバム(73年)収録)などを彷彿させますね。 しかし、ヒットミー(ヤマカミ)は本当に器用です(笑)。 さて、タイトル曲でラストを飾る「ナチュラル・ウーマン」ですが、アルバム中最もメロウで耳に残ります。黒さが漂うミッドテンポで、サウンド的に『TOKYO SNIPER』に収録されていても違和感がないけど、比屋定さんのヴォーカルによって更に世界観が広がりますね。

T:この位のBPMの曲は、演奏する側は大変なんですよね。ノリによってカッコ良くもなるし、ダサくもなる。Deodatoの『Love Island』(78年)や、Kalimbaプロダクションみたいな感じでやってみた曲です。曲を作った時は、佐藤博さんの声を意識して作りました。 

U:ヒントとなったのは、タイトル曲の「Love Island」や、モーリス・ホワイトとの共作でDeodato 以外のリズム隊をKalimba人脈で固めた「Tahiti Hut」あたりですね。恐らくDeodatoは「That's The Way Of The World」(同名アルバム(75年)収録)みたいな独特のタイム感を目指していたんでしょう。佐藤博さんといえば、「I Can't Wait」(『Awakening』(82年)収録)もこのタイム感を持っていましたね。最近ではLampの「雨降る夜の向こう」(『ランプ幻想』(08年)収録)とか。染谷君も『Love Island』や『Awakening』が好きなんじゃないかな。 今回、アルバム・トータル的に瀧口さんが意図されたサウンド・プロダクションとして、最も心血注いだポイントはなんでしょうか? 

T:制作を始めてから1年半も経ってしまったので、すっかり忘れてしまいました(笑)。 いしだあゆみとティン・パン・アレイ・ファミリー的なコンセプトで始めたので、比屋定さんのバックバンドということは意識していましたね。 

U:『アワー・コネクション』(77年)ですね。実績のあるソロ・アーティスト(シンガー)を、精鋭のロックコンボがプロデュース&バッキングするという、そのコンセプトは成功しているのではないでしょうか。流線形のサードアルバム(1stミニアルバム含む)として、また和製MBPアーティストである比屋定さんのポップス期(?)をフラッシュバックさせる、希有なコラボレーション作品としての二面性をもっていると思います。 素材的には比屋定さんの嘗ての曲のセルフカバーと、瀧口さんのリクエストによる2曲のカバー、そしてオリジナルの3曲とバランス的にもいいです。 レコーディング中のエピソードとして、前作から引き続き参加されたバッキング・ミュージシャンの方々についてのプレイについてはどうでしょうか?

T:ドラムの(北山)ゆう子ちゃんは、女性ならではの繊細さや、歌いながら演奏している感じがいいですね。叩き方はBuddy Richみたいですが(笑)。ベースの小山(晃一)君は、程よい感じで。最後までレコーディングに付き合ってくれた山之内(俊夫)君は、天才なのですがなかなかいいプレイが出ず(笑)。鍵盤の後藤(雅宏)君は、デビュー前の比屋定さんのライヴを観ていたので感無量だったみたいです。というか、リズム隊は1年以上前に録り終わっているので、まだやっていたのかと驚いていると思いますが。 U:皆さん、手練なミュージシャン達で、さすがは瀧口さんの目に適った強者という感じがします。結果的にベーシック・トラック録音完了から1年以上という熟成期間も、俯瞰的にプロデュースする上でプラスに働いたかも知れませんね。 では最後にリリース絡みのライヴ予定についてご紹介をお願いします。

 T:11/14にワンマンライヴがあります。レコ発ではなく、今まで出した3枚からの中からヴォーカリストを変えて、ある意味ベスト的なライヴになるかと思います。 メンバーも元オリラブの宮田(繁男)さんや、キリンジ・バンドの千ヶ崎(学)さん、相対性理論のやくしまる(えつこ)さん、美大を卒業した江口ニカさんなどなど豪華なので、お時間あれば是非!


2009年10月24日土曜日

流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.1

流線形と比屋定篤子:『ナチュラル・ウーマン』(HAPPINESS RECORDS/HRAD-00041)



06年のセカンドアルバム『TOKYO SNIPER』が各方面で話題となり、高い評価とセールスを上げたシティポップ・ユニットの流線形が、今回ヴォーカリストに比屋定篤子を迎えたサードアルバム『ナチュラル・ウーマン』を11月4日にリリースする。
ここではリリースを控え、海外出張から帰国したばかりの多忙なクニモンド瀧口氏へのインタビューを2回に渡ってお送りしたい。

クニモンド瀧口のオウンユニットとなって2作目にあたる本作は、彼一流の審美眼に裏打ちされたプロデュース・センスと前作から定着したバッキング・ミュージシャンによるステディな演奏に、ソロアーティストとして実績のある比屋定篤子のナチュラルなヴォーカルが融合したシティポップの傑作に仕上がった。
今作のラフミックスから最終マスターまでを聴いた筆者個人の率直な感想としても、09年度邦楽ベスト1候補だと確信している。AORやシティポップ・ファンは元より、良質なポップスを追求している音楽ファンも是非入手して聴いて欲しいと願っている。

ウチタカヒデ(以下U):前作『TOKYO SNIPER』が、"ポップ・カルチャー・アワード2006"の「音楽部門BEST1」(次点の『Perfume~Complete Best~』を抑えて)を受賞して、音楽マニア以外の層にもアピールするなど、ファーストの『シティミュージック』以上の評価を得ましたが、その後の創作活動に及ぼした影響などはありましたか?


クニモンド瀧口(以下T):無いです(笑)。Perfumeに先を越されちゃいましたね。サブカル人脈から人気が高いのは嬉しいことです。以前はウチさんのような(笑)、ヘビーリスナーの支持が高かったんですが、『TOKYO SNIPER』は20代の若い方からも支持を得たみたいですね。
Perfumeの足下にも及びませんが・・・。

U:Perfumeは音楽性(「NIGHT FLIGHT」はトニー・マンスフィールド的サウンドだ)もあるけど、一時的な社会現象が後押ししていますからね(笑)。
今回ヴォーカリストに比屋定さんを迎えた訳ですが、そもそものきっかけは? 
またこれまでソロアーティストとして彼女がリリースしていた作品への思い入れなどは?

T:比屋定さんの歌はソニー時代の頃から好きで、まさかアルバムを作るなんて夢にも思っていなかったです。レーベルが一緒になったということもあり、レーベル主催のイベントでご一緒することになったんです。
それがきっかけで、今回の制作に繋がった訳です。比屋定さんがデビューした頃、大貫妙子さんのカバーを聴いたのが初めてだったんですが、その曲を聴いて以来、比屋定さんのファンになりました。中でもアルバム『ささやかれた夢の話』(99年)はよく聴きましたね。

U:ヴォーカリストのタイプとして、比屋定さんと前作の江口ニカさんでは異なる点が多いですよね。なんというかアルバムタイトルそのままに、比屋定さんはナチュナルで透明なイメージ、江口さんは個性的なハスキー・ヴォイスで独特なメロウネスを醸し出していた訳ですが、プロデューサー的視点としてサウンド・アプローチはどの様に変化させましたか?

T:江口さんは大学生の色気というか(笑)、艶がありましたね。そう考えると比屋定さんの歌は違うベクトルにありますね。
今回のサウンドの裏テーマとして"トロピカル"という部分があります。比屋定さんの育った沖縄の明るさだったり、彼女のストレートで飾らない歌を気持ち良く聴きたいということが一番大事でした。流線形でやる以上はシティな楽曲という気持ちはありますが、80年代のトロピカルブームも、僕の中ではシティ感覚なので。

U:確かに前作は、色気(笑)=コケティッシュなヴォーカルというエレメントが、アルバムのカラーにもなって、若い層にも分かり易くアピールしたのだと感じますね。
また今作では、これまでのアルバムと異なり、初めて5曲のカバーを取り上げていますよね。
比屋定さんと組むのを前提にしたことで、生まれたコンセプトでもあったのですか?

T:流線形名義のアルバムの場合、カバーはあまりやりたくないんです。やはりオリジナルって偉大なので。ただ今回は比屋定さんのアルバムという部分もあったので、セルフカバーを大胆に変えてみたり、僕の好きな曲を歌って貰って楽しみたい、というところからカバーを取り上げました。

U:次にアルバム収録曲について、先ずはカバー曲からお聞きしますが、比屋定さんのオリジナルで『ささやかれた夢の話』収録の「まわれ まわれ」は、マッシュアップ(mash up)的手法を生演奏でやった感覚が凄く新鮮でした。
原曲はホーンとストリングスが入っていて、ポップスのアレンジとしては完成されていたのですが、今回のデヴィッド・ペイチ的アプローチは意表を突くものですね。狙っていましたか?

T:こんな質問するのはウチさんだけですよ(笑)。「Low Down」(ボズ・スキャッグス『Silk Degrees』(76年)収録)にするか、「George Porgy」(『TOTO』(78年)収録)にするか迷いましたね(笑)。「まわれ まわれ」はオリジナルがゴージャスなので、音数を減らすことと、それでいて保てるアレンジを考えた時、リズムをベースに考えました。周りは最後まで完成系が見えなかった曲だったと思います。

U:踏み込んだ質問ですみません(笑)。でも「Low Down」も候補に挙がっていたのは興味深いです。同じくペイチが作曲した曲ですが、あのハネ方での「まわれ まわれ」も面白そう。
同じく『ささやかれた夢の話』収録の「メビウス」ですが、アレンジ的には07年9月のライヴイベントで披露したアレンジと同じでしょうか。Deodato系のブラジリアン・フュージョンをベースにしたアレンジは、オリジナルのアルバムヴァージョンにも近い訳ですが、瀧口さんが特に拘ったポイントはありますか?



T:ライブでは、僕がソリーナとアナログシンセを弾いていました。おっしゃるように、オリジナルがDeodatoの「Skyscraper」(『Deodato 2』(73年)収録)をモチーフにしたものだったんですが、これはインパクトが強すぎて、アレンジを変えるにもどうしようもなかった曲です。
というか、「Skyscraper」は僕も大好きなので、ただやりたかっただけなんですが。ベースとかホント気持ちいいですもんね。アルバムでは、弦を使ったことと、ギターの山之内くんにはジョン・トロペイになって貰いました(笑)。

U:「Skyscraper」のベースラインは本当に気持ちいいですね。これってよく聴くと、Archie Bell & The Drellsの「Tighten Up」(68年)的ファンクネスなんですよね。山之内さんのトロペイ風ファズを利かせたギターソロにもにんまりです(笑)。それとやはり「メビウス」はオリジナルから既に名曲でした。
「オレンジ色の午後に」(『ルア・ラランジャ』(99年)収録)はオリジナルのジョビンの「Wave」を思わせるクラウス・オガーマン的サウンドとは異なる、シャッフルを基調にしたコンボバンド系アレンジが新鮮ですね。

T:これはマイケル・フランクスの「Don't Be Blue」(『Sleeping Gypsy』(77年)収録)的なアプローチで考えてみました。小粋な感じにしたかったんです。サックスのヤマカミさんがいい味出していると思います。

U:成る程、ではヒットミー(ヤマカミ)のアルトサックスはサンボーンのあれなんだ。
このアレンジはケニー・ランキンにも通じるし、日本ではシュガー・ベイブ~初期の山下達郎的ピースフル・サウンドで清々しいですね。

以下Vol.2へ続く


2009年10月22日木曜日

Radio VANDA 第115回放送リスト(2009/11/5)


Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

特集:Paul Leka

 
1.Rice Is Nice...Lemon Pipers

2.Green Tambourine...Lemon Pipers

3.Blueberry Blue...Lemon Pipers

4.The Shoemaker Of Leatherwear Square...Lemon Pipers

5.Jelly Jungle...Lemon Pipers

6.I Need Someone...Lemon Pipers

7.Lonely Atmosphere...Lemon Pipers

8.Na,Na,Hey,Hey,Kiss Him Goodbye...Steam

9.Come On Back And Love Me...Steam

10.Summer Symphony...Lesley Gore

11.Don't Love Me Unless It's Forever...Peppermint Rainbow

12.You're The Sound Of Love...Peppermint Rainbow

13.Pink Lemonade...Peppermint Rainbow

14.And I'll Be There...Peppermint Rainbow

15.Rosemary...Peppermint Rainbow

 
オマケ...The Beatles Rarities(not on CD Part3)

16.I'm Only Sleeping...US Stereo Version

17. I'm Only Sleeping...US Mono Version

 

 


2009年9月24日木曜日

☆Beatles:『The Beatles In Mono』(EMI Music Japan/TOCP71043-53)☆Beatles:『The Beatles Box』(EMI Music Japan/TOCP71021-36)

 999日、遂にその待望の日はやってきた。我らがビートルズの最新リマスター盤でステレオ16枚のボックス(CDはバラ売りもあり。DVD付。ただしDVDの内容はイマイチ)と、待望のモノラル13枚のボックス(初回限定。ボックスのみ)、この二つが一気にリリースされたのだ。定価では75600円と高額だが、今回のリイシューは買わないと一生後悔する。特に初CD化の初回限定モノラルボックスは何としても入手すべき。
1980年代にもLPで限定リイシューされたことがあったが、それもすぐにプレミア盤となっており、モノラル盤は昔から人気があった。モノラル盤が作られたのは『The Beatles』(正確にはにせモノの『Yellow Submarine』まで)だが、当時はステレオとモノラルが別々にミキシングされていたので細かい違いが多く、全世界のビートルズ・ファンは血眼になって捜してきた。それがこの金額で揃ってしまうのだから、高いというなかれ。アナログで揃えようとすればモノの『The Beatles』は、その1枚だけでボックスの値段に行ってしまうだろう。
 ビートルズの凄さを改めて思ったのは、NHKの定時ニュースでこのリイシューを取り上げたことだ。それも実際に旧版と聴き比べたり、たっぷりと時間をとって紹介していた。(私がいつもビーチボーイズのリイシューでお世話になっているEMIの阿佐美さんが出ていたのにはビックリ)なんとももう100万枚出荷しているという。解散後40年も経って、リイシューが100万枚なんてそんなミュージシャンが今後、現れるだろうか。間違いなく否であり、ビートルズがワン&オンリーであることを改めて思い知った。
 今回のリマスターは音が素晴らしい。クリアーで、リズム隊もよく表に出ている。今までのイメージを覆してしまうようなリマスターもあるが、そのようにしないで、イメージを崩さずにクリアー度を上げているのがいい。やはり『Yellow Submarine Songtrack』までいじられると素晴らしいけど同じものなのかちょっと戸惑ってしまうので。さて、皆さんはこのリマスター以前のCDは持っていると仮定して話をしたい。音楽ファンの常識だからね。すると『Please Please Me』から『Beatles For Sale』までの4枚はモノラル、『Help』以降のオリジナル・アルバム9枚はステレオとアルバム未収録音源集『Past Masters Vol.1』『Past Masters Vol.2』は原則ステレオとなる。その『Past Masters』シリーズでは「Love Me Do(Original Single Version)」と「She Loves You」「I'll Get You」「You Know My Name」の4曲はステレオが存在しないのでモノラルのみ、モノ用ミックスが存在しない「The Ballad Of John And Yoko」「Old Brown Shoe」「Let It Be」(「Let It Be」のシングルはただステレオをモノにしただけなので除外)の3曲はステレオのみ、ということでこれからのレビューをお読みいただきたい。これらの音源の本当に詳細な違いは、間違いなく次のレココレに出るだろうからそれをもって決定版とするとして、このレビューで紹介するのはどんなリスナーでも簡単に違いが分かるヴァージョンのみである。
Please Please Me...モノラルはお持ちなので検討課題はステレオ音源である。「Please Please Me」はモノとステレオが別テイク。パッと聴いた印象は変わらないが、モノではジョンが歌詞を間違えている。3番でポールとジョージが「I know you ...」と歌っているところをジョンは「Why know I...」と歌ってしまい、その後の「Come on」を笑いながら歌っている。
With The Beatles...I Wanna Be Your Man」のステレオはフェイドアウトが少し長いので、3回目の「I wanna be you man」の「ホッホッ」がよく聴こえ4回目まで突入している。「Money」のステレオは2つのミックスを左右において組み合わせているのでサウンドに厚みがあり迫力がある。イントロにモノではよく聴こえないギターが入っていた。
A Hard Day's Night...A Hard Day's Night」のステレオのエンディングは長く、12弦ギターのリフがモノでは4回でファイドアウトするところ6回まではっきりと聴こえる。「I Should Have Known Better」のステレオのオープニングのハーモニカは4小節目でいったん途切れる。「If I Fell」のステレオでは2回目のサビの「was in vain」でポールの声がかすれてしまっていた。(ハーモニーの手本のようなこの名曲、みなさんもハモッたことがあるでしょうが、ポールのこの部分は高いから、この感じ、よく分かりますよね)「Tell Me Why」のステレオはジョンのリード・ヴォーカルがダブルトラックだ。なお、既にCD化されている『The Capitol Albums Vol.1』で聴くことができるが、『Something New』のモノは「And I Love Her」のポールのリード・ヴォーカルがシングル・トラック、「I'll Cry Instead」が3番の後に1番をもう1回歌うので大幅にロング・ヴァージョン、「Any Time At All」の間奏の最初の部分にピアノが入っていない、「When I Get Home」のサビの「till I walk...」の歌い方が違うなど、米国盤モノは他とは大幅に違っているので要注意だ。
Beatles For Sale...Mr. Moonlight」のステレオはフェイドアウトが長く、3回目の「mr. moonlight」が上昇していくところがはっきり聴こえ、バックのオルガンも聴こえる。「Kansas City/Hey,Hey,Hey,Hey」のステレオはエンディングが長く、モノでは「so long...」でフェイドアウトしてしまうところ、次の「bye bye...」まで聴こえる。逆に「Words Of Love」のステレオはエンディグのコーラスがモノの6回に比べ4回しかなく数秒短い。「Every Little Thing」のステレオはエンディングが少し長く3回目の「every little thing」まで入っているので「little」でポールが高く歌うところがかすかに聴こえる。「I Don't Want Spoil The Party」のステレオは、モノではミックスでよく聴こえないイントロのリードギターがはっきりと聴こえる。
Help...さて、ここからが貴重なモノラルである。まずは「Help」だが、このステレオ-モノの違いは超有名なので詳しくは書かない。最も分かりやすいのは一番の「changed my mind」、ステレオではつめたように「チェモマイン」と歌うが、モノでは普通に「チェンママイン」と歌っている。「The Night Before」のモノはポールのリード・ヴォーカルにエコーがかかっていない。「Ticket To Ride」のモノはフェイドアウトが短く「my baby don't care」がステレオの6回に比べ5回に入ったところで消える。「Yesterday」のモノは最初のサビの「something wrong new I long for yesterday」に突然、エコーがかかる。あと、モノのオマケに入っている1965年時(つまりアナログ)のステレオの「Dizzy Miss Lizzy」はジョンのリード・ヴォーカルにエコーがかかっていない。モノにもエコーは入らず、このエコーはCD化の時にプラスされたことが分かる。
Rubber Soul...モノの「Drive My Car」「You Won't See Me」「Run For Your Life」のフェイドアウトは少し長くそれぞれ「ビービービービーイエー」「ウーラーララ」「ノノーノー」が1回ずつ多く聴こえる。モノの「Norwegian Wood」では1回目のサビの「...sit anywhere」の後に誰かの咳払いが入る(「Wendy」みたい...)モノの「Michelle」のフェイドアウトは数秒短い。モノの「What Goes On」はエンディングのジョージのリードギターが入っていない。モノの「I'm Looking Through You」はエンディングが3秒長いので、ポールのアドリブ・ヴォーカルが聴ける。ちなみに『The Capitol Albums Vol.2』で聴くことができる米国盤の『Rubber Soul』のステレオでは「I'm Looking Through You」のイントロのギターを2回間違えているところがそのまま入ってしまっているし、「The Word」はジョンのヴォーカルがずっとダブルトラックでエンディングも長い。さらに米国盤モノの「Michelle」は逆にステレオよりもフェイドアウトが僅かに長いなど、英米のステレオ、モノでそれぞれ違いがある。なお、今回のモノのオマケに入っている1965年時(アナログのこと)のステレオはヴォーカルの位置が偏っているものが多く、例えば「Nowhere Man」のアカペラは右だけから出ていてその後の演奏は左だけから入るというように極端だった。だからCD化の時に今回のステレオ・リマスターで分かるように修正しているのだが。それは当然のことだろう。
Revolver...Taxman」のモノのカウベルは、2番の「...appear too small」の後からとステレオに比べ早く入っている。問題は「I'm Only Sleeping」で、逆回転ギターがステレオとは違い「...at such a speed」から「...there's no need」の間に入り、「taking my time,lying there」の後からも入ってくる。この位置は米国盤の『Yesterday And Today』のモノとステレオ(ステレオはAppleになってからで2ndプレス以降のもの。『The Beatles Box』にも入っているのでそれが確実)でも位置が異なるので、都合4パターンある。「Love You To」のモノはエンディングが数秒長いが、ただしシタールの演奏部。「Yellow Submarine」のモノはオープニングのギターが入るタイミングがステレオより早く、さらに4番の復唱のコーラスは「life of ease」からとこれも早い。「Got To Get You Into My Life」のモノはエンディングが長い上に最後のアドリブ・ヴォーカルの歌い方が違う。「every single day of my life」とつなげて歌っているのでまったく違う録音だ。「Tomorrow Never Knows」はSEの入る位置がモノとステレオとは細かくかなり違っている。詳しく書くと長くなるので実際に聴いてほしい。ちなみに今回も収録されなかったが、英国盤モノの「マトリックスXEX606-1」のテイクはさらにSEの位置が異なるだけでなく、フェイドアウトが3秒程度長いので、最後のアドリブのピアノの聴いたことのないメロディを聴くことができる。(Radio VANDAで以前、かけたので覚えている方もいるのでは)

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band...Lucy In The Sky With Diamonds」のモノはジョンのヴォーカルにやや強くフェイザーがかけられている。ピッチはステレオに比べて遅いがエンディングのコーラスは1回少ない。最後のコーラスの「アー」というところがエフェクトで「アーワウワウワウ」と聴こえる。「Getting Better」のモノは「me used to be angry man」からのピアノが聴こえない。「Fixing A Hole」のモノはフェイドアウトが僅かに長く、ポールのアドリブ・ヴォーカルで聴いたことがないメロディを聴くことができる。「She's Leaving Home」のモノはピッチが早く10秒早く終わってしまう。「Being For The Benefit Of Mr. Kite」は間奏とエンディングのSEの位置が違うが、元々ずっと鳴り続けるSEなので違いは分かりづらい。「Good Morning Good Morning」のモノのエンディングは使われている動物の鳴き声の順番は同じだが、リフレインの回数が少なく時間は数秒短い。華は「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)」のモノで、エンディングのポールのシャウト・ヴォーカルがくっきりと聴こえるため迫力満点だ。細かい所では「With A Little Help From My Friends」の前のつなぎの部分で、観客の盛り上がる場所が違っていた。
Magical Mystery Tour...Flying」のモノは最後のメロトロンの入る位置が早い。フライング。「Blue Jay Way」のモノはステレオに入る逆回転のコーラスが入らない。「I Am The Walrus」のモノはイントロのリフが4回(ステレオは6回)。ただし、米国盤シングルの「yellow matter custard」の前の1小節の間奏はどちらでも聴くことはできない。「Hello Goodbye」のモノはエンディングが数秒短い。だから最後の2回目の「ッチャッチャ」が聴こえない。「Baby You're A Richman」のモノはエンディングが数秒長いので、アドリブ・ヴォーカルが一部多く聴けるが、「オー」程度。
The Beatles...Back In The USSR」のモノはヴォーカルがオンで非常にカッコいい。間奏のジェット機のSEの位置などが違うし、ステレオに入っている間奏の掛け声を「カモン」以外全面カットしていてタイトな感じだ。「Ob-La-Di,Ob-La-Da」のモノはイントロの手拍子が入っていないし、ポールのリード・ヴォーカルがシングルトラック。「While My Guitar Gentry Weeps」のモノは数秒長いので、エリック・クラプトンのリード・ギターを多く楽しめる。「Blackbird」のモノは間奏の鳥の鳴き声のSEの位置が違い、曲が終わってもしばらくさえずっている。「Piggies」のモノは豚の鳴き声SEがステレオに比べ少ない。「Don't Pass Me By」のモノはピッチが早く、エンディングのフィドルが別演奏で、メロディがまったく違う。「Why Don't We Do It In The Road」のモノはイントロの手拍子がない。「I Will」のモノは1番の終わりまで「口ベース」が入らないので、何か新鮮な印象がある。「Yer Blues」のモノはエンディングが10秒以上長く演奏を長く聴くことができる。歌が小さくミックスされていなかったら良かったのに。「Helter Skelter」のモノはポールのヴォーカルやバックコーラスがオンなので、「チャッチャッチャッチャー」というコーラスがはっきり聴こえ、ステレオほど喧しくない。エンディングはまったく違い、ステレオはフェイドアウトの後、またフェイドインフェイドアウトでリンゴのセリフで終わるが、モノは突然フェイドアウトドラムのロールフェイドインフェイドアウトで50秒近く短い。エンディングはまったく別物だ。「Honey Pie」のモノは、間奏にステレオには入っていないギターのフレーズが聴こえて新鮮。「Good Night」のモノは、イントロのオーケストラが大きく入ってくるので得をした感じ。
Mono Masters...I Call Your Name」のモノはイントロのギターリフのメロディが違う。カウベルもイントロから入っている。「Matchbox」のモノの間奏のギターソロはステレオに比べ後半が違い、貧弱。「I Feel Fine」のモノは4秒長いので、エンディングの「ホッホッ」という掛け声まで入っている。「I'm Down」のモノは4秒長いのでポールの「ダウンダウンダウンダウン」のアドリブ・ヴォーカルの後の「ウーアイムダウン ウー」というアドリブ部まで聴くことができる。「Day Tripper」のモノはほんの少し長いので次のリフレインの頭まで入っている。「Paperback Writer」のモノはエンディング前の「paperback writer」のコーラスに深いエコーがかかり変。エンディングも8秒長くコーラスのリフレインが1回半多い。「Hey Jude」のモノはステレオより7秒長く、リンゴのバスドラが早くなるところまで入っている。ちなみにシングル用ステレオ・ヴァージョンはさらに2秒長いが今回の『Past Masters』には入っていない。あと、アルバム『Yellow Submarine』はモノラル盤があったもののステレオをただモノにしただけで正式なモノ・ミックスが存在していなかったため、本盤では未モノ化の「Only A Northern Song」「All Together Now」「Hey Bulldog」「It's All Too Much」の4曲のモノラル・ミックスが収録された。この中で「Hey Bulldog」はステレオより2秒長く、最後のジョンとポールの「ヘーイブールドック」のハモリが1回多く楽しめる。
Past Masters...こちらはステレオ集。「From Me To You」のステレオは、イントロにハーモニカが入らない。「Thank You Girl」のステレオは、サビの「way that you do」と「good to be true」の2ヶ所の繰り返しでハーモニカが追加され、エンディングにも追加された。「The Ballad Of John And Yoko」はきちんとドラムが終わるテイクに戻された。(佐野)






Radio VANDA 第114回放送リスト(2009/10/1)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。



特集:Frankie Valli



1.Can't Take My Eyes Off You

2.The Proud One

3.Make The Music Play

4.I Make A Fool Of Myself

5.The Girl I'll Never Know

6.He Sure Blessed You

7.My Eyes Adored You

8.You Can Bet(I Ain't Goin' Nowhere)

9.Easily

10.We're All Alone

11.With You

12.Fallen Angel

13.Swearin' To God

Hollies:『The Nash Years』(Main Street)DVD

イギリスのamazonで買ったこのDVD、ピンボケのジャケ、レーベル、そして番号が書かれていないなど、限りなくブートに近い気がするが、内容は最高である。グラハム・ナッシュが在籍した時代のホリーズの映像全35曲、初めて見るものも多く、この当時の映像集としてはブートレベルと比較しれば画質と音質も文句をつけようがない。これは絶対に「買い」である。
中古扱いだが送料込みでこの時の換算レートで1510円と安い。最初はどこかの映画に出演していた時の初期のホリーズ(1964年だろう)の「Now's The Time」、続いてイギリスのTV番組で「Baby That's All」「Here I Go Again」を歌う。ナッシュとトニー・ヒックスのセットされた髪型が時代を感じさせる。1964年のシングルのAB面だが、みな嬉しいカラー。『Top Of The Pops』の「Just One Look」は画質がイマイチだが、音はいい。続いてNMEでのライブ「Rockin' Robin」「Just One Look」で、リアル・ライブなのが嬉しい。ヒックスのギターとベースのからみがいい感じ。続いて本DVDの目玉、ドイツの番組でのリアル・スタジオ・ライブ(1965年)だ。「Look Through Any Window」「Very Last Day」「I Can't Let Go」(この曲のみジャケからクレジット漏れ)の3曲を歌うが、ハーモニーは完璧、演奏はタイトだし、ホリーズっていいバンドだったと痛感させられる。個人的にヒックスのギターが好き。ヒックスは曲中にリフを入れながら間奏も巧みにこなし、典型的な60年代のギターながらセンスがいい。コードしか弾かないナッシュは演奏的には貢献していないため、演奏面はヒックスが引っ張っているといえる。そしてベースとドラムのリズム隊がいい。逆にコーラス面を引っ張っているのが、ナッシュである。あのファルセットではない高音域のハーモニーがホリーズの生命線である。ちょっと画質のよくない「I'm Alive」をはさみ、タイトな演奏が堪能できる『Shindig』での「Too Much Monkey Business」がまた目玉だ。アラン・クラーク、ヒックス、ナッシュが順にヴォーカルを取るが、ナッシュは途中ビートルズの「I Feel Fine」の出だしをわざと歌って、みんなにブーイングされる。これはリアル・ライブならではの楽しい演出だ。その後は『Hulabaloo』の「I'm Alive」「Look Through Any Window」のリアル・ライブで、歌はもちろんながら、ベース・ランニングがとてもよく、実に締まった演奏になっていて、聴きこんでしまった。続く『Shindig』ではライアン・オニールの呼び出しでメンバーがアメリカン・フットボールのバーの下を走りながら順にくぐってくるという珍しいシーンがあった。こうしてみるとナッシュ、ヒックスの二人はルックスがいい。(二人はジョージとポールにそっくり!)クラークはどうしても峰岸徹に見えてしまうのは私だけだろうか...。口パクながら「Yes I Will」は珍しい。その後のどこかのTVショーの「Just One Look」はリアル・ライブ。ここからはプロモ・フィルムが多く、主に野外で「Jennifer Eccles」(2ヴァージョン)「Carrie Anne」「Stop Stop Stop」「I Can't Let Go」「Mickey's Monkey」(注目!)「Very Last Day」「Dear Eloise」「Wings」を歌う。髭を生やしたナッシュはカッコ良さが増すね。やはりジョージと同じだ。以前、このコーナーで紹介したドイツの番組『Beat Beat Beat』での「On A Carousel」「Bus Stop」「Stop Stop Stop」という内容的に最高のリアル・ライブが登場するが、これは完全版(ラストの「Insutrumental」のみ未収録)をそのDVD『Beat Beat Beat』で買うこと。内容はこのHPのhttp://www.webvanda.com/2008/11/post_04171821.htmlまで。『The Smothers Brothers Show』はカラーで「Carrie Anne」「Dear Eloise」を披露するが、口パク。クラークのチャンチャンコのような衣装が気になる...。珍しい『The Hollywood Palace』でのカラーの「Jennifer Eccles」。メンバーの衣装が女物っぽくなっている所が1968年というこの時代らしい。司会のタバコを手に持った中年のオヤジが、どうにも音楽番組にはそぐわない。後は例のつまらないカメラワークの『Beat Club』の「Listen To Me」「Do The Best You Can」と「Sorry Suzanne」。「Sorry Suzanne」は我らがトニー・マコウレイの作品だが、おや?ナッシュがいない。テリー・シルベスターじゃないかな。(ソロのテリー・シルベスターは大好き!どこかでソロの映像を見たい!)最後はナッシュ脱退のきっかけとも言われる「Blowin' In The Wind」の変なカバー。これじゃあ嫌になってしまうのが分かる。なおNTSCでオール・リージョン、日本で見られます。(佐野)
The Hollies - The Nash Years [DVD]