2008年6月14日土曜日

microstar : 『microstar album』 (Vivid Sound/VSCD-3382)

 

完璧なまでに21世紀型のソフトロックと、自信を持って紹介できるアルバムの登場である。
とにかくこのレビューを最後まで読まずとも、即座に購入して聴くことをお勧めしたい。それほど間違いのないガールポップ・アルバムなのだ。

microstar(マイクロスター)は、90年代初期~中期にビクターから4枚のアルバムをリリースしていた、渋谷系テクノユニットのナイスミュージックに所属した佐藤清喜と、そのナイスミュージックのサポートをしていたヴォーカル兼ベーシストの飯泉裕子によって、96年に結成された2人組のユニットだ。
これまでにミニ・アルバムとマキシ・シングルを2枚ずつリリースしており、中でも2001年の2ndマキシの『lovey dovey plus』は一部のポップスマニアに絶賛された傑作であった。その後2枚のコンピレーションとサントラアルバムに参加し、満を持して今回のファースト・アルバムのリリースに至ったようだ。 

この『microstar album』を聴いたファースト・インプレッションは、アルバム所々にフィル・スペクターによるウォール・オブ・サウンドから、BB5やロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズをはじめとする60年代ソフトロック、ポップの様式美と、それを日本で最初に伝導した大滝詠一氏のプールサイド・ジャケットのアルバムを彷彿させるのは容易であった。
ただそれだけではないサムシングも感じていたのは確かだ。 飯泉のあまりクセのないヴォーカルは、ともすれば凝りまくったサウンドに埋没してしまう可能性もあるのだが、聴く者と同じ目線の無垢でイノセントな声の響きが、単なるマニア向けのポップと一線を画す要素なのかも知れない。特に「東京の空から」(プロコル・ハルムの「Pilgrims' Progress」を彷彿させる名曲だ)のような、感動的でエヴァーグリーンな曲では一層引き立つ存在なのだ。
また何よりこの素晴らしいサウンドを、メンバーとサポート・ドラマーの3人だけで作り上げてしまったことに感服してしまう。究極の宅録ソフトロックというか、風流に盆栽箱庭ポップとでも呼びたくなってしまう。 最後にこのレビューを読んだあなたが、『microstar album』を聴かずにはいられなくなることを心の底より願っている。
(ウチタカヒデ)

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