2005年11月1日火曜日

☆Cowsills:『We Can Fly』(ウルトラヴァイヴ/CDSOL7141)

カウシルズと言えば「We Can Fly」、決して「雨に消えた初恋」ではない。確かに「雨に消えた初恋」は名曲中の名曲だったが、「We Can Fly」は桁違いの、超弩級の名曲だったからだ。私は、名刺代わりによく自分で作ったポップス名曲集のCDRを渡すのだが、その冒頭は常に「We Can Fly」だった。華やかで、高揚感があって、ビートも、ハーモニーもあって、ソフトロックの理想の形が結実したのがこの曲だったからだ。特に管楽器のイントロの後のアコースティックギターのコードストロークが泣ける。チャートは21位止まりだったが、そんな事は関係ない、ポップスファンなら未来に語り継ぐべき最高の曲だろう。このアルバムは「We Can Fly」をフィーチャーした68年にリリースされたカウシルズのセカンドアルバムで、元々ガレージ出身のカウシルズは、「雨に消えた初恋」と「We Can Fly」の両方を書いたプロデューサーのアーティー・コーンフェルドから離れて自分達の力を試したいという思いがあったようで、本作では全11曲中9曲の作曲に参加し、内3曲が完全なオリジナルと、オリジナル色の強いアルバムになった。しかしアーティー・コーンフェルドの実力は段違いで、オリジナルはキャッチーさが乏しく、全体的に地味な印象はぬぐえない。しかしそのオリジナルの中ではサビに工夫がある「Mister Flynn」がいいし、フィショフとの共作だが、心引かれる解放感のあるメロディを持つ「One Man Show」は素晴らしい快作だった。この後にカウシルズはコーンフェルドとは離れつつ、外部ライターを多く起用して最高作『Captain Sad And His Ship Of Fools』をリリースするのだが、成功は収められなかった。この後は是非、この未CD化のサードアルバムを出して欲しいものだが...。なお、このCDを作ったCollector's Choice Musicはもともと雑なリイシューをする会社だったが、このCDに至っては表から見えるバックインレイの曲順がメチャクチャで、だいたい11曲入っているのに10曲しか表記していない。正しい曲目と曲順は、実際のバックジャケットを縮小したものがジャケット裏にあるので、そちらを参照して欲しい。(佐野)
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