2003年10月29日水曜日

☆Neil Sedaka『Oh Carol』(Bear Family/BCD16535HK)

2003年のリイシュー大賞は、ベア・ファミリーからリリースされたこのニール・セダカの8枚組 CD ボックスで決定だ。
そう断言できるほどの究極の仕様であり、日本のレコード会社では実現不可能な、不滅の仕事が私の手元にある。
ここ数年の中でも最高のリイシューだろう。ニール・セダカ・ファンはもとより、全てのポップス・ファンは必ず入手すべきボックスだ。ただしこのボックスは私が愛してやまない70年代のワークスではなく、60年代、それも1956年から66年までのRCA時代の全音源集である。
しかし素晴らしい内容の曲が多く、ニールのソングライティングのセンスの良さに驚嘆させられっぱなしで、ここというポイントでの華麗なメロディの展開は、ポップスの醍醐味を十二分に味わせてくれた。
まずディスク1からディスク4までは、アメリカでリリースされた、英語で歌われた通常のディスコグラフィーに掲載される全音源+未発表音源集。
特にディスク4は64年から66年のRCA後期の作品集で、ソフト・ロック・タッチの、オールディーズを脱却した曲が並び、個人的にはこのボックスのハイライトだ。
フィリップス時代のフォー・シーズンズを意識した "Sunny"からスタート、モータウン風の "I Hope He Breaks Your Heart"、ボサノヴァを使った "Blue Boy"、フラワーポップの傑作 "The Answer Lies Within"、ラテンビートを導入した "We Can Make It If We Try"とニールは時代の風を読みながら様々なタイプの曲を作り出していた。
中には後の69年のアルバム『Sound Of Sedaka』に収録された流麗な "Cellophane Disguise"の、未発表の66年ヴァージョンも聴くことができ、これは嬉しい収穫。
そしてディスク5から8までは、各国で出された、いわば「外国語ヴァージョン集」。イタリア語で歌われたものが圧倒的に多いが、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ヘブライ語、そして日本語の曲も、未発表も含め全曲網羅してある。凄いの一語。
英語ヴァージョンでは聴けない曲もあるし、特に驚いたのは日本語の未発表ヴァージョンだった。
それは "High On The Mountain"で、ニールは "涙の小径(=The World Through The Tear)"と同じく達者な発音で歌っていた。ニールの日本語の発音は、シカゴの日本語に次ぐ、トップ・クラスの実力があるね。
特に "涙の小径"は、曲自体の華麗な展開もあり、私の愛聴曲。
ディスク8は映画で使われた初 CD 化の曲が6曲あり、他にもTVショーのものや、オーケストラヴァージョン集から、当時の来日公演へのメッセージまでも収録された、コレクタブルなものだ。
CD 8枚になんと216曲、220トラックもある脱帽の仕様だ。
アートワークも、ハードカバーのLPサイズのオールカラーのブックレットが119P、フォトだけでなく、各国のジャケットの数も多いし、レコーディング・データも完備されていてほぼ完璧。
CD の曲順に合わせたクレジットがどこかに載っていれば文句のつけようがなかったが…。
ともかく、ベア・ファミリーの実力を思い知らされたボックス・セットだった。(佐野)
oh carol-the complete

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