2002年4月30日火曜日

☆Classics IV:『The Best Of Dennis Yost And The Classics IV』(Taragon/1091)



今まで廉価盤のような CD しかリリースされていなかったクラシックスIVだが、待望のきちんとしたベスト盤が登場した。ジャケットを見てビックリ、これは Legendary Masters Series ではないか。
かつて Gary Lewis & The Playboys や Jan & Dean, Ventures など、EMI/Capitol系のアーティストは、レア・トラックを含むこのシリーズでマニアをうならせていた言わば「信頼のブランド」だったのである。
しかしアメリカの EMI 本体がこのシリーズを出していたのは10年くらい前の話で、その後、EMI/Capitol 系のリイシューをやっていた Collectable がこのシリーズを引き継くが、同じものをリリースしても Collectable はピントが甘くボケた写真で同じものを出したり、なにしろ評判が悪かった。この Collectable は通常のリイシューだと作曲者のクレジットを入れないなんてことは日常茶飯事、とにかく雑、ソニー系の Sundazed やワーナー系のRhinoの丁寧な仕事とは雲泥の差だったので、ついに見切りを付けられたようである。
リリースは少ないものの Taragon は Spiral Starecase や Arbors で見事な仕事をしていた信頼あるメーカーである。
さて、冒頭から6曲目までがまずコレクターにとっての目玉。
というのは内4曲が、Imperial へ移る前に Capitol からリリースした2枚のシングル、これはもちろんアルバム未収録で CD 化も "Pollyanna" 以外初。(東芝EMIの『Traces:Soft Rock Collection』に収録されていた)
フォーシーズンズのコピーの "Pollyanna" 、ホワイト・ドゥ・ワップの "Little Darlin'" 、スペクター・サウンドの "Nothing To Lose" などクラシックスIVの試行錯誤の過程が分かる。そして残りの2曲が同時期の未発表曲 "Dancing By Myself" "Laugh It Off" だ。どちらも貴重なテイクだが、未発表で終わったのが分かる中途半端な曲。
7曲目に "Spooky" が登場、以降27曲目で終わるまでは都会的で洗練され、どこかブルーなクラシックスIVのサウンドが楽しめる。
デニス・ヨストの魅惑のハスキー・ヴォイス、ジェームス・コッブ=バディ・ビューイの卓抜したソングライティングと、独特なアタックのギターリフに代表されるシャープなサウンド作りは今聴いてもその輝きを失っていない。ヒットした "Spooky" 、 "Stormy" 、 "Traces" 、 "Everyday With You Girl" 、 "Change Of Heart" 、 "Midnight" 、 "The Funniest Thing" の素晴らしさには言葉を失うほど。音はリマスタリングされてるので、特に "Stormy" は歌のバックのボンゴが大きく聴こえビックリさせられた。
この時代の曲で "Change Of Heart" と "It's Time For Love" はアリバム未収録、特に後者は初 CD 化なのでこれも要チェックだ。
なお、MGM South の音源ははともかくとして、Imperial~Liberty 時代の曲でとろけるように美しい "Rainy Day" と "The Comic" 、とってもお洒落な "Traffic Jam" が入っていないのはなぜ?外人の選曲でも理解に苦しむなあ。趣味の相違。
曲がいいし、歌もうまいクラシックスIV、いまだ1枚もオリジナル・アルバムがリイシューされないのは謎だが、とりあえずこのコンピでまずはその魅力に触れてもらいたい。(佐野)

Best of Dennis Yost & The Classics 4

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