2001年4月9日月曜日

☆Beach Boys:『Goodbye Surfing,Hello God!』(Vigotone/238/242)

『Unsurpassed Masters』シリーズが終了して、沈黙していたVigotoneが動き出した。この5枚組のブートはLPサイズの箱に入り、カラーブックレットもついた豪華な仕様だ。そして全164トラックの内、3/4は初登場なので、これはファンは買い逃す訳にはいかない。このボックスの中での目玉は67年11月19日のワシントン公演のライブ13曲と、"Wouldn't It Be Nice"のみが公式で発表された70年10月3日のビック・サー・フォーク・フェスティヴァルのライブ9曲だ。もちろんライン録音。前者ははっきり言って歌も演奏もイマイチ。その中で注目はこの時の新曲の"Wild Honey"で、なかなかソウルフル。後者はデニスが参加していないが、この時期、ライブ・グループとして評価が高まっていたということを実感させる充実した歌と演奏で、前者をはるかに凌駕した内容だ。"Their Hearts Were Full Of Spring"のアカぺラなんて『Live In London』と比べても完璧。セッションも多く収められたが『Unsurpassed』のような曲の完成まで追ったものはなく、編集中のテープを集めたといった印象で、完奏していないものも多い。まずデニスの名曲"Little Bird"は、オフィシャルに近いが、聴いたことのないパートのハーモニーが入っている。ブルースの"The Nearest Faraway Place"はストリングス抜き。"Braek Away"の演奏のみも収録。その他のセッションでは"Bluebirds Over The Mountain"はイントロが長かったり、"Time To Get Alone"はストリングスのミキシングが薄かったり、"Never Learn Not To Love"はエコー処理が違っていたりするがブツ切りも多く、驚くほどの違いがあるものはない。その中でこれはというのは歌入れも終わった"Help Me Rhonda"にオーバーダブをしているセッションで、カールのまったく聴いたことのない間奏のギターが入ったり、ピアノの低音を加えてみたり試行錯誤している様が非常に興味深い。これがセッションでは文句なしのベスト。(佐野)

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