ついにというか、やっとというか、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの全曲集が実現した。正確にはAVAでリリースされたロジャー・ニコルス・トリオ名義の "St.Bernie
The Sno-Dog" で全曲なのだが、こちらは彼らがアルバイトでやったどうでもいいレコードなのでその範疇にいれてはいけない存在、よってこの CD でコンプリートと言って間違いない。(厳密には"Snow Queen"のSingle Mixも残っているが)"I'll Be Back" / "Just Beyond Your Smile" のシングルはアレンジャーがロジャー・ニコルス本人でアルバムとは異なるアレンジが施されていたことは本誌11号で宮治氏の記事により明らかになったのだが、5曲のアルバム未収録曲だけではなく、その2曲の別ヴァージョンも含めた事が素晴らしい。音質もいい。加えて今まで "The Drifter" のステレオは CD で発表されていたのだが、 "Let's Ride" "Trust" もステレオで収録された。ということはこの3曲のマスターはもともとステレオで、シングル化の際にモノにされていたのだろう。内容については本誌の読者ならもはや耳タコだろうから別に書かないが、このアルバムを聴かない人は VANDA の読者ではないと断言しておこう。(佐野)

1997年8月6日水曜日
1997年7月31日木曜日
「THE BEACH BOYS COMPLETE」(VANDA編/シンコーミュージック刊)
まずカラー・ページには日米の全シングル盤と EP 盤、そしてヨーロッパ盤のピクチャー・スリーブとプロモ、レア盤189枚のジェケットがずらりと並んで眺めているだけでも楽しい。全385曲の紹介、全アルバムをヒストリーを追いながらの紹介、パーフェクト・ディスコグラフィー(ソロや参加曲も含む)、過去3回の来日の会場・曲目まで網羅したレポート、レア・トラック分析、「Pet Sounds」と「Smile」、ソロ活動徹底紹介、関連人物のWho's Who、ビーチ・ボーイズ・フォロワーの膨大な紹介、ステレオとモノの違い、使用楽器紹介、オフィシャル映像紹介、プロモ盤紹介、日本盤の違い紹介など、これい以上ないと思われるほどの研究を行った。ライターは私を含め本誌でおなじみの小林さん、鰐部さん、藤本さん、伊藤さん、江村さん、竹内さん、中原さん、マンガ家のとり・みきさんに加え、森さん、山崎さんにご協力いただいた。どれも一騎当千のビーチ・ボーイズ・フリークばかりの構成だ。日本ではビーチ・ボーイズについて資料面を充実させてまとめた事は一度もなく、音楽誌のビーチ・ボーイズ特集は不満足なものばかりだったし、単行本はスキャンダラスな暴露本的な内容のもの中心というお寒い日本のビーチ・ボーイズ事情をこの1冊で打破出来たと自負している。日本のビーチ・ボーイズ・フリークを増やす一助となれれば幸いだ。(佐野)
1997年7月29日火曜日
☆Various : Sunshine Days/Pop Classics Of The 60's Volume1~3(Varese Sarabande/5801~3)
こと音楽の選曲に関してアメリカが日本から影響を受けることは、そうそうあるものではない。しかしこのVarese
Sarabandeの作ったコンピレーション3枚は、日本でのソフト・ロック人気を意識して作られたもので、はっきり言ってコピーと言っていいほど本誌の影響が大だった。
というのも3枚合わせた計42曲の内、34曲が本誌と音楽之友社より出した「ソフト・ロックA To Z」で紹介したもの、アメリカ人でもほとんど知らなかったサンダウナーズの "Always You" (収録のものはシングル・ヴァージョンで必聴)やフリー・デザインの "Kites Are Fun" なんていう選曲は、本誌の影響以外考えられないだろう。ライナーの中では "Soft Pop" と言っているが、ラインナップがHappenings、Classics IV、Buckinghams、Yellow Balloon、Tommy Roe、5th Dimension、Critters、Keith、Spanky & Our Gang、Mama Cass、Love Generation、Innocense、Trade Winds、Chad & Jeremy、Sagittarius、Brooklyn Bridge、Strawberry Alarm ClockなどからRonnie & The Daytonas、Hondells、Arborsまでこの範疇に入れてしまうのはまったく同じ、ここまでそっくりだともう苦笑するしかない。このVarese Sarabandeの社長にかつて会った人から、この社長はM&Mから出ていた「Melodies Goes On : Soft Rock」シリーズの大ファンという話を聞いてはいたが、その後も VANDA をよく読んでいらっしゃるらしい。まあそういういきさつはともかくとして、こういう内容だけに曲のグレードは極めて高い。購入する価値は十分だ。(佐野)

登録:
投稿 (Atom)