ボーナス・トラック付きでフリー・デザインの全アルバムのリイシューを続けるLight In The Atticレーベルの第2回のリイシューは、フリー・デザインにしては軽いサウンドの曲が多い2枚目の『You Could Be Born Again』と、フリー・デザインの最高傑作と押す人が多い4枚目の『Stars/Time/Bubbles/Love』である。
まず前者だが、有名曲のカバー曲が多いため、親しみやすさがある反面、シャープさが押さえられてしまった感がある。
肝心なボーナス・トラックはフリー・デザイン唯一のアルバム未収録シングルの "Close Your Mouth(It's Christmas)/Christmas Is The Day" の2曲だ。
テイチクからのリイシューの際にどちらもボーナス・トラックで収録されたものだが、マスターが見つからず盤おこしだったテイチク版と違って、これはマスターからのものと思われる。
さすがフリー・デザイン、これだけ取っ付きづらいクリスマス・ソングは珍しい。一緒に歌えないし。
後者は、冒頭のグルーヴ感溢れる "Bubbles" に代表されるクールなジャズ・タッチのサウンドと、リード・メロディが分からなくなるほどの高度で緻密なハーモニーが組合わさった驚異のアルバムである。
ここには、何と言ってもアルバムと同じ70 年にリリースさえた未発表曲 "To A Black Boy" が目玉だ。ここまでの4枚のリイシューで、初めての未発表曲の登場である。クリス・デドリックの曲で、ハーモニクスを効果的に使ったバッキングに親しみやすいメロディの歌が付けられ、曲の後半はジャズ風にアレンジされた演奏が続いていく佳曲。そして "Butterflies Are Free" はシングル・ヴァージョンが収録されていた。
これはアルバムのものより50秒短く編集され、間奏の部分などカットされたもの。
今年の終わりには5枚目から7枚目のアルバムまで一気にリイシューされるそうで、ボーナス・トラックが本当に楽しみだ。(佐野)
続いてクラシックスIV。こちらもインペルアル、リバティでヒットした9曲に、シングル曲、アルバム収録曲の傑作を合わせた20曲を私がセレクトした。
選曲のポイントは、デニス・ヨストの魅惑のヴォーカルを堪能できる曲という1点に絞った。
デニス・ヨストは、ハスキーというだけでなく声に色艶があり、色気がある。この色気はファンキーなナンバーよりもバラード、特にブルージーな曲で魅力が炸裂する。
全米3位となった出世作 "Spooky" もいいし、メロウな全米2位のヒット作 "Traces" もいい。緊張感のある "24 Hours Of Loneliness" も捨て難い。
しかしなんといっても憂いを帯びたイントロから引き込まれてしまう全米5位のヒット・チュ-ン "Stormy" と、哀調と切迫した曲想がサビで解放される "Midnight" の2曲が最高だろう。
これがクラシックスIVと、まず人に聴かせる傑作で、この曲を聴いて、気に入らない人がいたら私はその人とはもう音楽の話はしない。それほど魅力溢れる傑作だ。
クラシックスIVのサウンドの中心は、作曲を行うコンポーザー・チームの、プロデューサーのバディ・ビューイとリード・ギタリストのジェームス・コッブ。この二人は後にアトランタ・リズム・セクションを結成し、ヒットを放ち続けた才人だが、メロディアスで、少し憂いを帯びた曲を、巧みに書くことができる。
そしてジェームス・コッブのアタックの効いた独特のギターが、クラシックスIVのサウンドを特徴付けた。ここまでお膳立てができて、そこにデニス・ヨストのヴォーカルなのだからたまらない。
ヒット曲以外で個人的なお勧めは夢見るように美しく穏やかな "The Comic" 、寄せては返す潮騒のようなサウンドでムードたっぷりの "Rainy Day" 、お洒落でスキップしたくなるような弾むサウンドの "Traffic Jam" 。
ジェームス・コッブのギター・リフをフィーチャーし、緊張感が心地いい "Free" も素晴らしい。クラシックスIVはTaragonとRavenでそれぞれ充実したベスト盤がリリースされているが、なぜかその中に前述の "The Comic" と "Free" は未収録で、都合 4 曲が初CD化となっている。
もちろん全曲、歌詞カードと対訳付き、これも買うっきゃないでしょう。(佐野)
東芝EMIの廉価盤1200円シリーズの一環でリリース(7月22日発売)されたゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズとクラシックスIVだが、この2枚だけは他のシリーズとは違う日本独自選曲で、全てのヒット曲プラス彼らの隠れた名曲をセレクトした、従来盤とは決定的に違う究極のベスト盤に仕上がった。
というのも私が選曲したので、そんな事が言えるのだが、手前みそではなく、この両ディスクの内容は素晴らしい。両グループをずっと愛し続けていた私が、これなら納得できる。
歌詞カードに対訳まであるし、この内容で1200円はあまりに安い。
すぐに購入すべき、最重要盤と断言しておこう。
さて、まずはゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズだが、スナッフ・ギャレットとレオン・ラッセルというポップスの達人がタッグを組んだ、最強・最高のワークスが、このゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズだった。
役割としては曲をセレクトするのが黄金の耳を持つスナッフ・ギャレット、実際のレコーディングでアレンジを決め、全ての楽器まで弾きこなしてしまう実質的なボスが、レオン・ラッセルだった。
放ったヒットは7曲の全米トップ10、さらにトップ40が5曲と、十分な商業的な成功も収めている。
曲はどれも軽快で華やか、楽しくて、ポップスの理想がここに結実している。
日本の名だたるミュージシャンの多くが、このゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのファンと公言しているのは、このサウンドこそ求めるポップの姿であり、実は玄人受けするサウンドでもある。
冒頭の "This Diamond Ring" から15曲目までは、彼らのトップ100入りした全てのヒット曲が並ぶ。
どれも名曲揃いだが、美しいストリングスにハープシコードのリフが絶妙にからむ "My Heart's
Symphony" 、同じくハープシコードの浮き浮きするリフがポイントのロジャー・クック=ロジャー・グリーナウェイ作の "Green Grass" 、誰でもどこかで聴いたことがあるはずの親しみやすいメロディを持つ "Everybody Loves A Clown" が特にお勧めかな。
でも "She's Just My Style" もいいし、14、15のカバー以外は、どれもが名曲。
さらに今回はきちんとシングル・ヴァージョンを選んでおり、特に "Sure Gonna Miss
Her" を聴いて欲しい。シンコペーションを効かせたキーボードが全面に入り、今までお馴染みのアルバム・ヴァージョンとは段違いの出来栄え。
やはり60年代はシングル曲はシングル・ヴァージョンで聴かないと、その良さは伝わってこない。どのテイクもメリハリが効いていて、きっと驚くはず。そして独自選曲の5曲へ移ろう。どれもがアルバム曲だが、シングル以上のクオリティを持つナンバーだ。まずはゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのナンバーでもこれがベスト1という人も多い "We'll Work It Out" 。
ゴージャスなイントロのピアノでもうノックアウト、華麗なメロディとサウンドを持ち、どうしてこんな名曲がアルバム曲だったのか今でも不思議だ。
そしてソルト・ウォーター・タフィーのファンなら嬉しい "Let's Be More Than
Friends" 。この曲はロッド・マクブライエンが、イースタン・シーン、ペブルス&シェルスとして2回もシングル化した親しみやすい佳曲で、ゲイリー・ルイスも同じアレンジでレコーディングしていた。
そしてゲイリー・ルイスのアルバムで最高作と言える『Listen』からは、余韻の残る名バラード "Young And Carefree" 。アレンジがジャック・ニッチェなので注目だ。
そしてこの次作でスナッフ・ギャレットの最後の仕事となった『Gary Lewis Now!』からは、ボブ・リンド作の弾むような "Elusive Butterfly" と、スモーキー・ロバーズ=マレイ・マクレオド=スチュワート・マーゴリン、つまりパレードのメンバー達が作った隠れた傑作 "How Can I Thank You" を収録した。
このアルバムで、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズの魅力の全てが分かると言っても過言ではない。(佐野)
