2004年3月25日木曜日

Various : a Smiley Smile compilation volume two 『Younger Than Yesterday and Today』 (TEENAGE SYNPHONY / MUCT-1008) 近藤健太郎対談レビュー

  

 昨年7月に新世代のポップス・アーティストを多く紹介した画期的コンピレーション『The Many Moods of Smiley Smile』(思えばジャケット・デザインは『SOFTROCK AtoZ』の装丁モチーフにもなっていた、『The Many Moods Of Murry Wilson』をもじっていた)をリリースした、TEENAGE SYNPHONYからその第二段が届いた。今回はバーズの『Younger Than Yesterday(昨日より若く)』からもじったのか? 参加アーティストの世代も幅広いことであるし。
 下手な詮索は止めにして、ここでは先月『pictures』をリリースした、新鋭ポップス・グループのthe Sweet Onionsの近藤健太郎氏と聴いてみた。 

ウチタカヒデ(以下 U):先ず今回このコンピレーションを聴いて気が付いたのは、全体的な流れから取り残された様な異空間を醸し出している、小川美潮 の「弁天システム」が最も耳に残ったのね。イントロとパート・チェンジのきっかけとして出てくるクロスオーヴァー的なコード進行等特殊なスタイルにかなりはまっています。
前作でのトルネード竜巻やRemixテイクで参加したbonobos的なバランスなのかな?とにかく面白いと思いました。 現役でギター主体のバンドをやっている近藤君は、特に気になったアーティストや曲はありましたか? 

近藤健太郎(以下 K):どのアーティストも各々素晴らしくて、同じく音楽を作っている身としては大変いい刺激になるコンピでした。その中でもとくに気になった曲を僭越ながら選ばせて頂くと、まず不思議な雰囲気を醸し出しているカンガルーノートの「椅子とニュース」。この曲、アレンジ、サウンドがポール・マッカートニーの『Long Haired Lady』(『RAM』収録)や『Bip Bop』(『WILD LIFE』収録)あたりの世界観に通ずるものを感じました。あの頃のポールって、遊び心に溢れていて自分の信じた道をひた走る(笑)みたいな時期でしたけど、僕は大好きなんですよね。 続いて、櫛引彩香featuring増淵謙司の「チョコレート」。この曲はPOPSの楽しさを素直に再認識させてくれる好ナンバーですね。歌詞にあるように、まさに一緒になって口ずさみたくなるような。 さらにウチさんと同じく小川美潮さんの「弁天システム」。曲の展開もさることながら、歌詞も独特ですよね。最後に、南風の「忘れる季節」。このグループ、資料を見たらコラボレーションのようですが、すごく一体感があるし伸びやかなメロディーも気持ちいいですね。

U:カンガルーノートの「椅子とニュース」は同じビートルズでもジョンの「Dear Prudence」(『White Album』収録)なんかも彷彿させるね。フィンガーピッキングやポール風のベースラインなんてモロですね。かなりビートルズ好きなんだろうね。 「チョコレート」は正統派なのかな。曲調も加味して、櫛引のヴォーカルは一瞬エディ・リーダー風になるところが良いですね。今度は日本語歌詞のも聴いてみたいです。 南風は残像カフェとビューティフル・ハミングバードの合体ユニットですか、やはり小池光子のヴォーカルは素晴らしいですね。この声なら何曲でも聴けそう(笑)。本当に反則的にジョニ・ミッチェルしていますよ日本にも居たか!?みたいな。 近藤君は同じヴォーカリストとして気になるシンガーはいますか? 

K:いや、ホント小池さんのヴォーカルは堂々としていて、包容力も兼ね備えているので、思わず聞き入ってしまいますね。櫛引さんの、エディ・リーダー風っていうのも納得。僕は基本的にはこういう雰囲気の声が好きだったりするんですよね。 で、今回男性のヴォーカリストで印象的だったのは、神森徹也さんです。わりと起伏の激しい遊び心のあるメロディーを、さらっと軽快に、なおかつ個性的に歌いあげているところがさすがだなぁと思いました。スタンダードな作品なんかをカバーしたら、どんな風に表現するんだろうと興味が湧きますね。 

U:神森徹也は一人多重録音で凄く独特な音作りをしているんだけど、ヴォーカルがそれに負けていないよねヴォーカルもサウンドの一部であるということを凄く理解してますよ。だからこそSmiley Smileの審議でも残る訳ですね。 さて、最後にこの様な画期的なコンピレーションによって、今後の日本のポップスがいかに活性化していくと考えますか?
ご自分の活動も含め展望を聞きたいですね。

K:キャリアや世代・レーベルを超えて集められた、こういうコンピレーションがこれからもどんどん増えていけば面白いなぁと思います。実際、僕が日本のポップスを聞くようになったのも、その昔、杉真理さんがPOPS ALL STARSという名のもとに、様々な世代のポップミュージシャンの曲を集めた、今でいうコンピレーションアルバムを後追いで知って、聞いたのがきっかけでした。だから今回のSmiley Smileのコンピを通じて、自然にリスナーの幅が広がって、少しでもポップスを愛する人が増えてくれればホントに嬉しく思いますね。
僕らですか?これからも楽しく遊び心を忘れず、でも真面目に愛すべきポップミュージックを作り続けていければと思います。ホント、ただそれだけです。
(近藤健太郎、ウチタカヒデ)

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