2014年9月19日金曜日

☆Various:『Woodstock 40th Anniversary Revisited Director's Cut』Blu-ray

2009年にリリースされたウッドストックの40周年記念DVDにさらに初登場の10曲のライブ映像を加えた総時間9時間を超えるドキュメンタリー・ライブだ。新しく加わった10曲の目玉はまずフーの「Pinball Wizard」。自家薬篭中の出来の曲だが、この頃のピートはギラギラしていてカッコいいし、ロジャーもしっかり高音が出て、そしてキースのドラムと言う事はない。そしてクロスビー・スティルス&ナッシュの「Helplessly Hoping」と「Marrakesh Express」。前者は最初にこの3人が歌ってそのハーモニーの素晴らしさにグループ結成したという曲だけあって完璧なハーモニー。それ以上に引かれたのは後者でなんとこのライブのバックはナッシュのギターのみ。ナッシュというとギターの名手であるスティルスに譲り、クロスビーも引くので、しばしばコーラスのみという姿を見るが、ナッシュだけがギターを弾いている映像は珍しい。アコースティックギターは巧みで十分な出来。スティルスはマラカスを鳴らし、クロスビーは何も持っていない。レコードとは違うハーモニーや、アドリブのヴォーカルがあり楽しめる。その他、サンタナ、メラニー、ジョーン・バエズ、ジェファーソン・エアプレイン、ポール・バターフィールド・ブルース・バンド、シャナナが楽しめる。これが初登場の「伝説のライブPart2」。
まさかとは思うが映画版しか持っていない人のために、2009年版にも収められた「伝説のライブPart1」を簡単に紹介しておこう。25曲が収められ、まずは初登場のCCRに注目だ。「Born On The Bayou」「I Put A Spell On You」「Keep On Chooglin'」の3曲が楽しめる。こういう野外コンサートだと、シンプルなロックのCCRの曲が光る。ジョン・フォガティのパワフルなヴォーカルと、コード中心のバッキングが実にカッコいい。トム・フォガティにほとんどカメラが当たらず、かわいそうなほど。これなら脱退したくなる。そして何と言ってもフー。「We're Not Gonna Take It」(映画版の「See Me Feel Me」を含む)、「My Generation」、「Sparks」の3曲だが、仁王のようなピートのパフォーマンスに惚れ惚れ。最強のライブ・バンドということを実感する。その他グレートフル・デッド、サンタナ、マウンテン、ジミー・ヘンドリックス、キャンド・ヒート、ジョー・コッカー、ジェファーソン・エアプレイン、ジョニー・ウィンターなどの映画版未収録映像をたっぷり楽しめる。映画版と違って画面分割がないので実に見やすい。あの頃の最新スタイルだったのだろうが、映画版の映像は今見ると古臭い。最後にこの新版のオマケに、サンタナのライブ映像に、ギターによってかき消されていたギロをオーバー・ダビングして合わせている映像が入っていた。なお、オマケのバンダナやワッペン、チケット・新聞記事の切り抜き・LIFE Magazineのレプリカが付属されているが、こんなマテリアルは一切不要なのでその分価格を下げて欲しいものだ。(佐野邦彦)
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2014年9月17日水曜日

☆Frankie Valli & The Four Seasons:『The Classic Albums Box』(Rhino/8122795939)

 長くフォー・シーズンズのVee-Jay時代とPhillips時代のCDをコンプリートにCD化してくれていたAce盤が入手できなくなっていたが、一気に本ボックスでこの両時代のアルバム14枚に、Motown時代を除きその後の、Warner70年代の2枚、85年のMCA/Curb1枚、92年のCurb1枚(これがグループとしての実質的最後のスタジオ・アルバム)の4枚をプラスして計18枚が一気にオリジナル・アルバム、それも紙ジャケでリリースされた。ダブル・ジャケだった2枚はちゃんとその当時の形にしていて、さすがRhinoである。18枚も入って日本のamazon7529円(917日現在)、自分は前に予約したので5675円とさらに安かったが、現在の価格でも1418円程度なんで超お買い得。前に揃えた人もこの価格なら買っておく必要があるだろう。自分のその一人だ。売れなかったがフォー・シーズンズが最もその魅力を発揮していたMotown時代の全音源はHip-O-Selectからの『The Motown Years』で『Chameleon』とValliのソロ名義の『Inside You』を合わせて全音源がCD化されているので、今やこのボックスと合わせた2枚でFour Seasonsのほぼすべてのアルバムが揃うという素晴らしい時代になった。このWeb VANDAの読者でFrankie Valli & The Four Seasonsを聴いたことがない(Sherryしか聴いたことがないというのも聴いたことがないと同じ)という不届き者はいないはずだが、万が一いたらこの機会に必ず買う事。これは全てのロック&ポップ・ミュージックを愛する音楽ファンの義務である。ビートルズやビーチ・ボーイズの音源を揃えるのと同レベルの話だ。特にPhillps時代の全アルバムは、この両グループのアルバムと比べても同等のクオリティがある。さてこのボックスでは聴けない音源のみ下記に紹介しよう。 Ace時代のアルバムとの比較だがSherry.../Big Girls Don't Cry...』の2イン1に収録されていたシングルB面曲の「I've Cried Before」は、1000円もしない廉価版の『Anthology1956-1962』に入っている。このアルバムには最初にFour Seasonsの名前を使ったGoneレーベルの「Bermuda/Spanish Lace」のシングルも入っているので必要な1枚だ。この2イン1の「Connie-O」と、『Ain't That A Shame.../Recorded Live On Stage』の2イン1に入っていた「Silver Wings」「Starmaker」はAce盤では出なかった本ボックスの「Folk-Nanny」に収録されている。『Entertain You/Working My Way Back To You』の2イン1の「Girl Come Running」「Let's Hang On」と『Sing Big Hits.../New Gold Hits』の「Opus 17」「I've Got You Under My Skin」、『The Genuine Imitation Life Gazette』の「Watch The Flowers Grow」「Raven」「Will You Love Me Tomorrow」「Electric Stories」というヒット曲、65年のラジオプロモ「Cousin Brucie Go Go(Rarities Volume1』にも収録)、さらにAce盤の『Half & Half』収録の70年のシングル「Lay Me Down」「Where Are My Dreams」、70年のシングル「Heartaches And Raindrops」、71UKのみシングルの「Sleeping Man(後者の4曲は『Rarities Volume2』にも収録)は本ボックスには収録されていないのでヒット曲+当時の貴重な映像DVDが入った『Jersey Beat』(CD3+DVD1枚で3113円と安価)が必要である。このCDにはビーチ・ボーイズとの唯一の共演シングル「East Meets West」も入っているのでマスト・バイだ。後はAce盤『Half & Half』にいずれもシングル曲で、Four Seasons名義の「The Singles Game(69年。『Rarities Volume2』にも収録)と、Valliのソロ名義の「A Face Without A Name」「You've Got A Troubles」「The Dream Of Kings」が入っているので必要。また「Dawn」「Big Man In Town」「Save It For Me」「Girl Come Running」「Let's Hang On」「Ain't That A Shame」の別ヴァージョンが入った『Edizione D'Oro』もCDAce盤のみ。残るはRhinoのレアリティーズ『Rarities Volume1』には、Aceの『Entertain You/Working My Way Back To You』の2イン1収録の「A Sunday Kind Of Love」や1963年のボウリングのCMBrunswick Bowling Spot」、Wonder Who?名義のシングル「On The Good Ship Lollipop」「You're Nobody Till Somebody Loves You」が入り、『Rarities Volume2』には71年のUKシングルのみの「Whatever You Say」が入っているので絶対必要。さらにHip-O-SelectからCD化されたオムニバスの『All This And The World War 2』には「We Can Work It Out」のカバー(『Rarities Volume2』にも収録)とValli名義の「A Day In The Life」のカバーも入っていて、ビートルズ・ファンにとってもこれはマスト・バイ。そして何故かオリジナル盤なのに入らなかったクリスマス盤の『Season's Greetings』はAce盤の2イン1(『Born To Wonder』との組み合わせ)があるが、最近は単独盤が500円以下で出ているのでこれで十分。あとはもうコンプリートを目指す人のみの90年のCurbのリユニオンライブ『20 Greatest Hits Live』と、最近リリースされたImmortalからの1982年のライブ『Live In Chicago 1982』でほぼパーフェクト。残るは1965年のWonder Who?のシングル「Don't Think Twice」のB面の「Sassy」(Real Musicの『US Softpop Rarities』には入っていた)があり、Valliのソロシングルにも「Hurt Yourself」のB面の「Night Hawk」が残っているがいずれもどうでもいいようなインストだ。なお本ボックスのファーストプレスには『New Gold Hits』と『Rag Doll』で4曲、間違って別の曲が収録されていたとamazonのレビューにあったので、中古盤は決して買わないこと。今、amazonで売っているものは大丈夫だ。(佐野邦彦)


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