2003年9月28日日曜日

roly poly rag bear : 『ryan's favorite』(abcdefg*record a-g013)












roly poly rag bear(ローリーポリーラグベア)は2000年にデビューした、男女二人のギターポップ、ソフトロック・ユニット。 ヴォーカルの田之上美穂子と、ソングライティングを手掛けコーラスと全ての演奏を担当する五十嵐誠からなる。

本作『ryan's favorite』は彼らの3枚目のミニ・アルバム。 ソングライターの五十嵐は嘗てのソフトロックやポップスへの造詣が深いとみられ、「yellow balloon」「flying machine」「all summer long」と、実にストレートな曲のタイトルからもそれがうかがえて親しみを感じる。
全体的にミッド・テンポでシンプルな構成の曲が殆どで、聴き飽きない日本語歌詞のソフト・サウンディン・ミュージックを展開しているのだが、現代のツールの使用も控えめで、曲自体の素材を殺すことなく、余計に気張ってないスタンスにも好感が持てるのだ。 何気ないオーソドックスな転調が心に響く、「that summer feeling」(エンディングがビートルズぽい)。
五十嵐がリードをとる「orange colored sky」等も丁寧に曲を紡いでいて安心して聴けるが、筆者が最も注目して聴き続けたのは、「the melody goes on」という曲。
この曲は昨年、『send my badge! -bluebadge compilation CD vol.1』というインディーズのギタポ系コンピレーションに収録されたらしいが、本作のラスト・ナンバーとして相応しい出来である。特別に歌唱力や演奏テクニックが優れているいという訳ではなく、ロー・バジェッドなプロダクションで作られた一曲に過ぎないのだが、シャッフルで進んでいく、この無垢で時代性に媚びないサウンドがやけに愛おしい。チープでウォームなシンセ・ブラスのリフ、さり気ないピアノのオブリガード、サビの多重録音によるコーラスのリフレイン(歌詞のラインも実に素晴らしい)等、全てに愛がつまっているのだ。
嘗ての国営放送の夕方感覚を彷彿させたり、どことなく懐かしく、誰もがほっとけないサムシングが潜んでいる。青春の輝きや慈愛に満ちた歌詞の描写も影響しているだろう。 とにかく、多くのポップス愛好家に聴いて欲しい、とっておきの隠れた名曲なのである。
(ウチタカヒデ)


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